(完結)相談女とお幸せに!(なれるものならの話ですけども。)

ちゃむふー

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8.リュカとエミール(エミール)

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卒業試験が間近になって来た。


あの後もジョセフは色々纏わりついてきて、嫌味を沢山言ってきたが試験勉強が忙しいと相手にしなかった。


卒業試験用のノートは大体完成した。が、どうしても一箇所不安な箇所があった。
というのも、1週間ほど病気で授業を休んでいたのだ。

(試験も近いから他の人の邪魔もしたく無いし…。この授業担当の先生は話が長いから、聞きに行ったら大変な事になるし…。どうしましょうか…。)


悩んだ末、図書館にて独学で勉強する事にした。


(よいしょっと…この本ね…。うっ…。難しい…。知りたい事はほんの少しなのに…。この本は分厚すぎるわ…。)


そうして分厚い本と睨めっこをしていたら、急に後ろから声を掛けられた。


「この本は、第19章に大切な所が載っていますよ。」

優しい声に、思わずドキッとして振り向くと、声と同じく優しい目をした黒髪の青年が立っていた。


「あ、ありがとうございます!助かりました!あの…すみませんが、貴方のお名前は…。私は、エミール・アルマーと申します。3年生ですわ。」


「いいえ。私は、、、リュカです。3年生です。」


(同じ学年でリュカ様…?初めてお聞きしました…。こんな美しい方なら有名でありそうなのに…。しかも家名を…伏せられたのかしら…?)

私が不思議そうな顔をしていると、

「私は15から騎士団に入っていまして、余りにも世間知らずだからという理由でこの学園に3ヶ月だけ入学させられたのですよ。」


そう言われ、納得する。

(だから、顔も名前も知らなかったのね。)

「まぁ、そうでしたのね。はっ!では、卒業試験はどうされるのですか?授業を受けていらっしゃらないのに、試験なんて難しいですよね…。私で良ければ先程のお礼にノートをお見せしますわ。」


「ありがとうございます。エミール嬢はお優しいのですね。でも、このような姿を婚約者に見られたら誤解されるのでは…?」

「それは……大丈夫です。先日婚約解消した所ですの。」

ニコリと微笑んで答えると、リュカ様は驚き、

「それは失礼な事を言いましたね。」

申し訳なさそうにこう言った。

「気を遣わせてしまい申し訳ございません。本当に大丈夫ですので。婚約解消、したかったのです。今とっても気が楽ですわ。って…こんな初めて会った方に私、こんな話を…。すみません…。」


「ここで会えたのも何かの縁です。良ければ聞かせて頂けませんか?」

そう言われて、ついつい話してしまった。

「なるほど…。大変でしたね。失礼ですがその相手の令嬢のお名前は…。」

「リリアン様ですわ。」
そう言うと、リュカ様の顔が強張った。


「ダーソン子爵の…!!」

「あら、ご存知ですか?可愛らしい方ですものね。」

「いや…。はい…。そうか…やはり…。」

先程までの優しい目をしたリュカ様では無かった。

「リュカ様?私何か失礼な事を言ってしまいましたか…?」

「いえ…違います。話してくださりありがとうございます。エミール様は先程の本の箇所がまだなのですよね?良ければ私のノートを見てください。」


優しい顔と声に戻ったリュカ様が差し出したノートには、びっちりと要点が書かれていた。

「リュカ様…、授業を受けられていないのに、こんな素晴らしいノートを作られるなんて凄いですね…!」


「うーん…。実は褒められたものじゃなくて…。実は、兄がこの学園に通っていて卒業したのだけれど、その時のノートを見せて貰ったんです。」

「まぁ!そうでしたの、でもこんな完成度の高いノートは初めて見ました!素晴らしいお兄様なのですね。」


「はい。自慢の兄です。でも…。やっぱり授業を受けていなくて不安なので、また一緒に勉強してくれませんか?」


「はい!喜んで!と、言いたい所ですが…。リュカ様には婚約者様はいませんか…?その…。リリアン様のようにはなりたくなくて…。」

(リュカ様に婚約者がいれば、私がリリアン様と同じ立場になってしまう…。それは嫌ですわ!)

アワアワしながらそう言う私に向かって、

「私は次男だし、家も色々と大変な事もあり、早くから騎士団に入ってそのような話は無いのです。」

そう笑う姿に、私の胸は高なってしまうのだった。




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