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10.突然の来訪者(ミレイユ)
しおりを挟むいよいよ試験当日。
「おはようございます、ミレイユ様。」
後ろからエミール様に声を掛けられる。
「おはようございます、エミール様。試験勉強はどうでしたか??」
「自信はありませんが…。出来る事は全てしたので、あとは本番、頑張るのみですわ。」
「そうですわね、私もですわ。でも…。あの方達はそうでは無いようですわね…。」
前の方を見ると、明らかに挙動不審な男が2人いた。
1人はガスパルだ。
きっと私に断られた後、誰にもノートを見せて貰えなかったのだろう。
自分で復習するにしても、3日では到底間に合わなかっただろう。
虚な目をしてブツブツ何かを言っている。
そうしてもう1人はエミール様の元婚約者であるジョセフだ。
何か叫んでいる。
「誰だ!?私のノートはどこへ行った!?無い!無い!」
……どうやら持ち込み用のノートを無くしたらしい…。
周りの目が、
"あ、こいつ終わったな…。"
と、物語っている。
「あら、ジョセフ様が昨日自分でリリアン様にノートを貸すと言っているのを聞きましたけれども…。」
エミール様がボソッと呟いた。
「まぁ…。という事は、ジョセフ様はリリアン様にノートを貸したままで返して貰っていないという事でしょうか…。」
「おそらく…。」
「まさかジョセフ様のノートでリリアン様は試験を受けられるのかしら…。」
「リリアン様はクラスが違うので分かりませんが、そうかもしれませんね…。」
人が一生懸命書いたノートを横取りするなんて、3日かけて必死に写すガスパルよりタチが悪い。
「「まぁ、でも私達には関係の無い事ですわね!」」
顔を見合わせて、笑い合う。
試験官が入室し、試験が始まる。
事前に準備しておいた為、試験時間を半分以上残して無事終えた。
(これで卒業はできそうですわ。)
試験が終わる鐘の合図があり、屍のように項垂れる2人の男達以外、各々帰宅していくのだった。
そして家に着くと、見慣れない馬車が家の前に停まっていた。
(なんて素敵な馬車なのでしょう…。)
父に来客かと思いながら家に入ると、慌てたメイドに声を掛けられる。
「ミレイユ様、お客様がいらっしゃっていますので、急ぎ用意を致しましょう。」
(私に…?)
身に覚えが無いものの、急いで支度して客間に向かう。
すると、そこには見た事がある人が座っていた。
「こんにちは。急な来訪申し訳無い。私は、クロード・タバリアと申します。」
「こちらこそ、伯爵家にご足労頂き光栄でございます。私は、ミレイユ・ハーブスでございます。」
間違い無い。この方は去年学園を卒業されたタバリア侯爵令息であるクロード様だ。
また、リリアンの婚約者でもある。
去年、学園でクロード様を知らない者はいなかった。
優れた容姿に、優秀な成績。そして誰にでも優しく接するクロード様に誰もが憧れたのだ。
「ミレイユ嬢の事は、学園の時によく見聞きしていたよ。いつも2年生で学年トップの成績で、学年代表のディベートも素晴らしかった。よく先生方にも頼られていたから3年生でも有名だったよ。」
「そんな…。恐れ多いですわ。しかし、そのようなお言葉をくださりありがとうございます。」
(まさかクロード様が私の事をご存知だなんて知らなかったですわ。)
クロード様が微笑まれる。
「そ、その失礼ですが、クロード様はどうしてこの伯爵家にいらっしゃったのでしょうか…。」
「あぁ、本題に入ろうか。今日私がここに来たのは、リリアン嬢の話についてだ。」
(やはり…。父からタバリア侯爵に話をしたのでしょうね。)
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