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33.私の幸せ(リリアン視点)
しおりを挟む薄暗い牢屋の中で、キャンキャンうるさい母親の声を聞き流しボーッと牢屋の外を眺めていた。
牢に入れられ何日が経ったのだろう。
クロード様はまだやってこない。
(まだ私を焦らすのかしら…。こんな薄暗い所は嫌よ…。クロード様…早く来て!!)
と、その時。誰かの足音がした。
(クロード様っ!?)
淡い期待は虚しく、仏頂面の看守がやってきた。
「2人共出るように。」
そう言われると、母親の顔が途端に明るくなる。
「やっと出れるのね!!悪いのはリリアンよ!!私は関係ない!」
"悪いのはリリアン、私は悪くない"
この数日間でこの言葉を何度言われた事か。
しかしどうでも良い。
きっとすぐにでもクロード様が迎えに来てくれるのだから…。そうなればこんな女とはおさらばだ。
しかし、通された部屋にはクロード様はおらず、数人の裁判官らしき人物がいるだけだった。
そして床に座らされ下された言葉は…。
「まずこの度の騒動の責任を取りダーソン子爵家には爵位の返上を命ずる。それに伴い領地、財産は没収する。」
「ちょっちょっと!!どういう事よ!そんな事したら私はどうやって生きて行けば……!!」
「黙りなさい。もうお前は子爵夫人では無い。ただの平民だ。そのような口を聞く事は許されない。」
「くぅ……!」
「次に。リリアン・ダーソンの罪は重く、国外追放を命ずる。この国に二度と踏み入らない事を誓うのならば命だけは助けてやろう。」
(国外追放!?)
「そ、そんな事をしたらクロード様に会えないじゃ無い!!」
「口を慎むように。これは決定事項でありお前達に選択権は無い。国外追放の前に2人で城下町に見せしめとして罪状の立て札と共に7日間立たせる。ほら、すぐ行くぞ。」
国外追放は予想外だったが、7日間の猶予がある。
クロード様が私を助け出すのにはここしか無い。
(クロード様……!!チャンスはこの7日間ですわ…!!貴方が颯爽と現れて私を連れ去ってくださる姿を想像するだけで……あぁゾクゾクしますわ…!!)
「な、なんだコイツニヤニヤして…気でも触れたのか…?」
私を拘束する看守がボソボソ何か言っている。
そのまま引きずられるように連れて行かれるのだった。
そうして城下町に立ち数日が経った。
しかしクロード様は現れない。
石を投げてきたり、暴言を吐いてくる不届き者もいたが、私には何も響かない。
(もうすぐ…もうすぐ王子様が迎えに来てくれる…!アンタ達とは違うのよ!!)
しかし、あっという間に7日間は過ぎ去り、我が身一つで国外に追放されたのだ……。
「ちょ…ちょっと待って…。私これからどうすれば良いの……?クロード様は……私を見限ったの……?嘘よね……??嘘よねぇぇぇ!?」
途方に暮れてその場に座り込む。
その時。
後ろの茂みがガサガサと揺れた、
「クロード様っっっ!?」
そう言って振り返った瞬間、湿った布で口元を塞がれた。
「ううううううぅうっぅ!!!!!」
必死に抵抗するが、すぐに意識が遠のいてしまった。
「うぅん……。」
(ここは……どこ………?)
薄暗く、汚く古びた山小屋のようだ。
咄嗟に起き上がろうとするが身体が全く動かない。声も思ったように出ない。
「やぁ…。起きたかなぁリリアン…。」
(ガスパルッッ!!!!)
そこには虚な目をして笑うガスパルがいた。
必死に起き上がろうとする。
「あぁ、やめておいた方が良いよ。さっき吸った痺れ薬がまだ身体に残っているから……。まぁ、痺れ薬が切れてもリリアンは動けないよ……。これからずっと一緒にいる事ができるように、ちょっと縛らせて貰ったから…。」
「!?」
自分の手足を見ると、自分は大の字に寝てベッドの四隅に手足が紐でキツく結ばれている。
「ねえ…。リリアン。君が言っていたよね。いつでも物語のヒロインは王子様が迎えにくるって。やっと…やっと君を助け出す事ができた…。これからずっと私がリリアンを守るからね…。ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとここに縛りつけて私が君を守ってみせる…愛しているよ…リリアン……。」
冗談じゃない……。この男はおかしい……。これから一生ここに縛り付けられこの男と生きていくなんて死んだ方がマシだ。
絶望で思わず涙が流れる。
「あぁリリアン!涙を流すほど喜んでくれるだなんて……!!!愛している愛している愛している愛している………」
そう言ってガスパルの手が私に伸びてくるのだった………。
私は……一体どこで間違ってしまったの………????
次回、最終回です。
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