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7 次の街へ行こう
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ぺしぺしと頬を叩く小さな手を感じて目を薄く開け、小さな手の感触のある方を見ると、ラグがぺしぺしと叩いてた。
「はよ、ラグ、、ふぁ~」
起きたことを知らせるために声をかけ、そっと撫でた。
俺はベッドから降りて背伸びをし、固まっている体をほぐすために体を動かした。
食堂へ行き鍵を返し、ご飯を注文した。その際にギルド長とリームさんに一言言おうと思い
「あの、ギルド長とリームさんに話があるんだけど、会えるかな?」
食堂の受付のおっさんは何やら手元を動かすと
「飯食ったらギルド長部屋へ来いってさ」
「??」
俺が不思議そうな顔をしていたからか、おっさんは手元を見ろと言うように手招きした。カウンターの中のおっさんの手元を見ると、そこには四角い箱みたいなのがあった。
(パソコン?)
俺はそれを見たとたんそう思った。でもその“パソコン”というものがどういうのかは分からない。
「これはパコと言って、ギルド内の要所にある。機能は要所要所で異なるが、唯一統一された機能は文字を指定したパコに送れんだわ。で、さっきお前さんが用があるってギルド長のパコに送ったのさ」
「へぇ、便利ですね。あっ、もしかしてカードもこれで?」
登録の時、ラグの首輪を選んでいるときに受付のお兄さん、手元でなんかしてたな。
「ああ、登録や依頼の処理などは、下の受付のパコの機能の一つだな。ハハ、相棒が腹減ったと睨んでるぞ」
そう言われて胸のポケットを見ると、小さな頬を膨らせたラグがいた。
「ハハ、ごめんごめん。もう行くよ。おっさんも忙しいのに色々ありがとう」
「おう。ちいせぇの腹一杯食えよ」
「キュィ」
ラグが動物の鳴き声でおっさんに答えた。
おっさんと話してて、少し遅くなった朝食を食べた後、俺は三階のギルド長部屋へ向かった。
ギルド長部屋のドアをノックした。
「おう、入れ」
「失礼します。ヨミです。お忙しいのにお時間を取ってもらってありがとうございます」
俺は名乗りながら入ると、会ってくれた事のお礼を言った。そんな俺にギルド長は手を振ると
「あーそう言うのいいから。今リームを呼ぶよ」
そう言ってパコを打った。そしてすぐにリームさんが入ってきた。
「おはようございます、ヨミ。私達にお話があるとか」
「おはようございます、リームさん。はい、二人には色々とお世話になったので、挨拶していこうかと。今日この街を立ちます」
二人は驚いた顔をした後、
「そうですか、お体に気をつけて」
「そっか、まぁ冒険者は自由だしな。他のギルドにもお前の事は伝えとく。困ったことがあればそこのギルド長を頼れ」
「ありがとうございます。こんな俺に良くしてくれて感謝します。最初に来たのがここで良かった。お元気で」
本当はこの世界に慣れるまでここに居たかったけど、なぜか急いで先に行かないと行けない気がした。
俺はギルド長部屋を出て、食堂の受付のおっさんにも挨拶をしてからギルドを後にした。
****
「行ったか」
「ああ」
ギルド長部屋の窓から外を見て、ヨミがギルドを出て門への道を歩いていくのを見たギルド長とリームは、ヨミの姿が見えなくなる前に窓から離れた。
そしてギルド長の机の引き出しから一通の手紙を取り出した。
「選定者、、ね。あいつは自分が選ばれてることを知ってんのかね」
「恐らくだが、分かっていると思うぞ。まっ、俺の勘だがな」
「お前の勘ならそうなんだろうな」
俺はもう一度、手紙を読み返した。
〈オーガストギルド長へ
これから記す事は貴方が信ずるもの以外には口外しないでいただきたい。この事は私含め、各国の国王他一部の人しか知らないことだ。
今から500年前、この世界の神は居なくなった。それからは4柱の神聖獣方がこの世界の維持を命を削り守っている。
しかし、それも永遠ではない。なのでこの世界に新たな神を与えるにしたがって、神の選定が行われている。
特徴としては時には少女。時には少年や青年であり、誰もその人物の事を知っているものは居ない。そしてその人物は片寄った知識しか持たず、珍しい動物を連れている。そして突然現れては突然消えるとのことだ。
それを踏まえて、ヨミと言う青年は選定者ではないかと私は思っている。選定基準は分からないがこれまで選ばれたものは居ないのだろう。
そして、世界の状態を見るに神聖獣方も限界に近いのかしれない。まっ、人の時間に比べればまだまだ大丈夫だとは思うけどな。
だが、だからと言ってこのままというわけにもいかない。少ししか接触はしなかったが彼ならやってくれると私は思う。
そこでだ、彼の事をギルドでできるだけサポートしてもらいたい。ギルドで難しいことは私がサポートをする。検討してもらいたい。無理維持はしない。もし無理ならこの手紙の事は忘れてくれ
マキシム コリーナ〉
俺は手紙を読み終えると、
「リーム、マスターに時間を取ってもらってくれ。それと、商業ギルドのギルド長にもな」
リームは待ってましたとばかりに
「では、送信するな」
と俺のパコの送信キーを押した。
「いつの間に、、」
その後はすぐに返信が来て、領主の手紙を持ってマスターの部屋へ向かった。
****
街を出るために門の列に並んでいた時
《ヨミ、お腹空いた。イチイちょーだい》
と、頭の中でラグの声がした。驚いてラグを見ると
《へへ、人前だとヨミとお話出来ないから念話を覚えたの。これなら人前でもお話出来るからね。ヨミも出来るからやってみてよ。それからイチイ》
俺は鞄から小袋を出し、その中にあるイチイを一粒ラグにやりながら
《ラグは自分の欲に忠実だな。良くも悪くも》
ラグはイチイを頬張りながら
《悪くは余計だよ。悪かったら邪神になっちゃうよ》
と、俺の胸ポケットを赤く染めながらイチイを一生懸命食べていた。
《自分の居場所を汚すなよ。あーあ、ラグ自身もベタベタに》
街を出たらきれいにしないとと思いながら、自分の番を待った。ラグはイチイとグーレを一粒づつ食べ、ベタベタのぐちゃぐちゃになった胸ポケットでベタベタのまま眠ってしまった。
門を出るとき、門番に胸を怪我したのかと心配されたけど、ベタベタのラグを見せたら苦笑して、怪我じゃなくて良かったと言った。
そして無事街から出た。少し街道から外れて、自分とラグにクリーンをかけた。
「はぁ、このクリーンも失われた魔法だから人前では出来ないんだよな。まぁ、このクリーンのお掛けでお風呂に入ってなくても清潔ではいられるけど、人の目を気にしないと行けないのはめんどい」
少し憂鬱になったけど、気を取り直してまた歩きだした。
俺が次の街につく頃には、ギルドでAランクも無期限になって、どこのギルドでもお祭り騒ぎになっていた。
でも今はまだ俺の預かり知らぬこと。のんびりとラグと一人と一匹での旅を楽しんでいる。
ーーーー
ラグレット 5/100(良)
・育成者 ヨミ
・眷属共鳴
完全防御(物理、魔法)
状態異常耐性
精神耐性
New念話
(魔法共有)*習得するか検討中
「はよ、ラグ、、ふぁ~」
起きたことを知らせるために声をかけ、そっと撫でた。
俺はベッドから降りて背伸びをし、固まっている体をほぐすために体を動かした。
食堂へ行き鍵を返し、ご飯を注文した。その際にギルド長とリームさんに一言言おうと思い
「あの、ギルド長とリームさんに話があるんだけど、会えるかな?」
食堂の受付のおっさんは何やら手元を動かすと
「飯食ったらギルド長部屋へ来いってさ」
「??」
俺が不思議そうな顔をしていたからか、おっさんは手元を見ろと言うように手招きした。カウンターの中のおっさんの手元を見ると、そこには四角い箱みたいなのがあった。
(パソコン?)
俺はそれを見たとたんそう思った。でもその“パソコン”というものがどういうのかは分からない。
「これはパコと言って、ギルド内の要所にある。機能は要所要所で異なるが、唯一統一された機能は文字を指定したパコに送れんだわ。で、さっきお前さんが用があるってギルド長のパコに送ったのさ」
「へぇ、便利ですね。あっ、もしかしてカードもこれで?」
登録の時、ラグの首輪を選んでいるときに受付のお兄さん、手元でなんかしてたな。
「ああ、登録や依頼の処理などは、下の受付のパコの機能の一つだな。ハハ、相棒が腹減ったと睨んでるぞ」
そう言われて胸のポケットを見ると、小さな頬を膨らせたラグがいた。
「ハハ、ごめんごめん。もう行くよ。おっさんも忙しいのに色々ありがとう」
「おう。ちいせぇの腹一杯食えよ」
「キュィ」
ラグが動物の鳴き声でおっさんに答えた。
おっさんと話してて、少し遅くなった朝食を食べた後、俺は三階のギルド長部屋へ向かった。
ギルド長部屋のドアをノックした。
「おう、入れ」
「失礼します。ヨミです。お忙しいのにお時間を取ってもらってありがとうございます」
俺は名乗りながら入ると、会ってくれた事のお礼を言った。そんな俺にギルド長は手を振ると
「あーそう言うのいいから。今リームを呼ぶよ」
そう言ってパコを打った。そしてすぐにリームさんが入ってきた。
「おはようございます、ヨミ。私達にお話があるとか」
「おはようございます、リームさん。はい、二人には色々とお世話になったので、挨拶していこうかと。今日この街を立ちます」
二人は驚いた顔をした後、
「そうですか、お体に気をつけて」
「そっか、まぁ冒険者は自由だしな。他のギルドにもお前の事は伝えとく。困ったことがあればそこのギルド長を頼れ」
「ありがとうございます。こんな俺に良くしてくれて感謝します。最初に来たのがここで良かった。お元気で」
本当はこの世界に慣れるまでここに居たかったけど、なぜか急いで先に行かないと行けない気がした。
俺はギルド長部屋を出て、食堂の受付のおっさんにも挨拶をしてからギルドを後にした。
****
「行ったか」
「ああ」
ギルド長部屋の窓から外を見て、ヨミがギルドを出て門への道を歩いていくのを見たギルド長とリームは、ヨミの姿が見えなくなる前に窓から離れた。
そしてギルド長の机の引き出しから一通の手紙を取り出した。
「選定者、、ね。あいつは自分が選ばれてることを知ってんのかね」
「恐らくだが、分かっていると思うぞ。まっ、俺の勘だがな」
「お前の勘ならそうなんだろうな」
俺はもう一度、手紙を読み返した。
〈オーガストギルド長へ
これから記す事は貴方が信ずるもの以外には口外しないでいただきたい。この事は私含め、各国の国王他一部の人しか知らないことだ。
今から500年前、この世界の神は居なくなった。それからは4柱の神聖獣方がこの世界の維持を命を削り守っている。
しかし、それも永遠ではない。なのでこの世界に新たな神を与えるにしたがって、神の選定が行われている。
特徴としては時には少女。時には少年や青年であり、誰もその人物の事を知っているものは居ない。そしてその人物は片寄った知識しか持たず、珍しい動物を連れている。そして突然現れては突然消えるとのことだ。
それを踏まえて、ヨミと言う青年は選定者ではないかと私は思っている。選定基準は分からないがこれまで選ばれたものは居ないのだろう。
そして、世界の状態を見るに神聖獣方も限界に近いのかしれない。まっ、人の時間に比べればまだまだ大丈夫だとは思うけどな。
だが、だからと言ってこのままというわけにもいかない。少ししか接触はしなかったが彼ならやってくれると私は思う。
そこでだ、彼の事をギルドでできるだけサポートしてもらいたい。ギルドで難しいことは私がサポートをする。検討してもらいたい。無理維持はしない。もし無理ならこの手紙の事は忘れてくれ
マキシム コリーナ〉
俺は手紙を読み終えると、
「リーム、マスターに時間を取ってもらってくれ。それと、商業ギルドのギルド長にもな」
リームは待ってましたとばかりに
「では、送信するな」
と俺のパコの送信キーを押した。
「いつの間に、、」
その後はすぐに返信が来て、領主の手紙を持ってマスターの部屋へ向かった。
****
街を出るために門の列に並んでいた時
《ヨミ、お腹空いた。イチイちょーだい》
と、頭の中でラグの声がした。驚いてラグを見ると
《へへ、人前だとヨミとお話出来ないから念話を覚えたの。これなら人前でもお話出来るからね。ヨミも出来るからやってみてよ。それからイチイ》
俺は鞄から小袋を出し、その中にあるイチイを一粒ラグにやりながら
《ラグは自分の欲に忠実だな。良くも悪くも》
ラグはイチイを頬張りながら
《悪くは余計だよ。悪かったら邪神になっちゃうよ》
と、俺の胸ポケットを赤く染めながらイチイを一生懸命食べていた。
《自分の居場所を汚すなよ。あーあ、ラグ自身もベタベタに》
街を出たらきれいにしないとと思いながら、自分の番を待った。ラグはイチイとグーレを一粒づつ食べ、ベタベタのぐちゃぐちゃになった胸ポケットでベタベタのまま眠ってしまった。
門を出るとき、門番に胸を怪我したのかと心配されたけど、ベタベタのラグを見せたら苦笑して、怪我じゃなくて良かったと言った。
そして無事街から出た。少し街道から外れて、自分とラグにクリーンをかけた。
「はぁ、このクリーンも失われた魔法だから人前では出来ないんだよな。まぁ、このクリーンのお掛けでお風呂に入ってなくても清潔ではいられるけど、人の目を気にしないと行けないのはめんどい」
少し憂鬱になったけど、気を取り直してまた歩きだした。
俺が次の街につく頃には、ギルドでAランクも無期限になって、どこのギルドでもお祭り騒ぎになっていた。
でも今はまだ俺の預かり知らぬこと。のんびりとラグと一人と一匹での旅を楽しんでいる。
ーーーー
ラグレット 5/100(良)
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