神様を育てることになりました

菻莅❝りんり❞

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13 神様は派手好き?

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レティをバッグのポケットに入れ、ラグはいつものように胸のポケットへ入れて、ギルドへ行ったら、お通夜かと言うように静まりかえり、冒険者達もどこか元気がなかった。

入り口のお兄さんを見ると、苦笑して首を振った。ギルドマスターの雷が落ちたようだ。
そんな空気の中、登録の受付へ向かった。

「あの、テイムとは違うけど、動物を連れているので登録したいのですが」

俺の言葉に受付のお姉さんは首を傾げた。その為、冒険者カードとビルナでのやり取りを説明した。

「そうなんですね。でも、私では判断できないのですみませんが、上に確認して見るので少しお待ちください」

そう言うと、上司らしき人の側に行き相談している。

(ビルナの受付のお兄さんの独断だったのかな?)

少し不安に思いながら、お姉さんが戻ってくるのを待っていると

『もし、大丈夫ならワタシも二本欲しいわ』

バッグのポケットから少し顔を出したレティが念話で話かけてきた。

『大丈夫だったそれも聞いてみるよ』

『ありがとう』

レティと話している間に、お姉さんが上司の人と一緒に戻ってきた。

「お待たせしました。私は受付長のウィルと申します。登録したいという動物を見せてもらっても」

そう言われレティを、そしてついでにラグを出した。

手のひらサイズの珍しい動物が二匹も出てきて受付長のウィルさんは固まり、お姉さんや周りの人達はかわいいと叫んでいた。一気に騒がしさが戻った。

ラグはともかく、蛇を苦手とする女性は多いけど、手のひらサイズの小ささだからかレティも怖がられることなくかわいいと眺められていた。

ギルド職員も他の冒険者達も、許可もなく触ろうとしないことに好感が持てた。

「あの、もし登録出きるのならこっちはラグというんですが、この子のように首輪を二つ欲しいんですがいいですか?」

「選定者・・・」

ウィルさんは俺とラグ達を見てボソッと呟くた。
小声過ぎて聞き取れなくて首を傾げると

「いえ、なんでもありません。登録を許可します。このような珍しい動物は狙われやすいですからね。首輪も二本お選び頂いて構いません。そして、恐れ入りますが登録後はしばらくここでお待ちいただけますか。上の者と会ってもらいたいので」

「明日ではダメですか?あまり帰りが遅いとお世話になっている方に心配をかけてしまうので」

とっくに外は暗くなっているのでそう言うと

「そうですか。では明日、お待ちいたしています。では急いで登録をいたしましょう。カードもお預かりしますね」

そう言って、登録用紙を取り出した。俺はそれにレティの名を書き、カードと一緒に渡した。

「では、こちらからお選びください。蛇ですのでこちらの方がいいでしょう」

とリングをカウンターに乗せた。

「レティ、どれがいいんだ?」

俺がレティに言うと、レティはにょろにょろと動き、器用に尻尾で二つのリングを取った。

「ラグといい、お前らは派手好きだな」

レティが選んだのは、緑と赤だ。

『ラグから聞いたの。緑はあなたが選んだ色だと。だから、緑は育成者としてのあなたの色として、赤はワタシの好きな色よ。似合うでしょ?』

ラグは金で、レティは赤。神様って派手好きなんだな。と遠い目になった。

「あの、この二つください」

俺は一端レティの尻尾からリングを外して、ウィルさんに見せた。ウィルさんも作業が終わったのか、俺のカードを渡しながら

「こちらをお返ししますね。それとリングをお預かりします」

と言って二つのリングを受けとると、二つのリングをカチッと合わせた。
すると二つのリングが合わさり一つになった。

「二つ着けるよりもこの方が邪魔にならずにすみますからね」

と言い、リングを俺に返した。俺はそれをレティの尻尾に嵌めると、レティサイズに縮んだ。

『フフ。どう?』

『いいなぁ。ヨミ、これもあれみたいにできる?』

とちっさい腕を俺の前に出した。

『邸に帰ったら試してみる。それまで待って』

「レティかわいいよ。ウィルさんありがとうございます。明日は何時ごろここへ来ればいいですか」

レティは尻尾をぴるぴるしながら嬉しいそうにしていた。普通の蛇とは違うからか感情が分かりやすい。

「そうですね。お昼過ぎくらいに来ていただければ」

ウィルさんもレティの嬉しそうな行動に目を細めて見ていて、俺の問いも笑顔で答えた。

「では、明日のお昼過ぎにまた来ますね」

そう言って、羨ましそうにレティを見ているラグを胸ポケットに、レティをバッグのポケットに入れて急いでセドリック様の邸へ戻った。

セドリック様の邸へ戻るとちょうど騎士が数名門から出てくるところだった。でも、俺の姿を確認すると、一人がまた邸へと戻っていった。
残りの騎士達が慌てて俺の所へ来ると

「ご無事でしたか!お帰りが遅いので今探しに行くところでした!」

おっと、何か問題があったのかと心配したけど、俺の捜索の為だった。

「こんな成りですが、これでもAランクです。多少のことは対処出来ますよ。でも、ご心配かけました」

と頭を下げると

「頭をお上げください。あなた様がお強いのはご存知です。それでも、絶対はありませんからね。なのでご当主様が我らにあなた様の助けになればと捜索を命令したのです」

俺達がこんなやり取りをしていると、門からセドリック様が慌てたように出てきた。その後ろからクリスさんもつきてきていた。

「ヨミ、無事か?良かった」

「だから申しました。それにヨミさんは冒険者です。依頼内容で2、3日戻らなくても不思議はないと。それなのに、こんなことをすればかえって気を使わせることになります」

セドリック様は、執事であるクリスさんからのお説教で小さくなっていた。

騎士の人達も日常なのか、苦笑しているだけで止めようとはしなかった。なので

「あの、もし数日戻れない依頼の場合は必ずこちらへ連絡しますので。それに、今日もこんなに遅くなるはずではなかったので、心配かけてすみません。ほら、いつまでもこんなところにいないで中に入りましょう?アリアちゃん達が心配しますよ」

と二人を宥めた。ウィルさんはセドリック様にまた後でと言って

「そうですね、ヨミさんもお疲れでしょうし。ほら、旦那様戻りますよ。団長達も解散してください」

騎士達は一礼をして、帰っていった。俺はウィルさんとセドリック様の後ろをついて邸へ入っていった。

*****
ヨミに報償の事を伝え、ヨミが部屋を出ていった後、また陛下からメールが来た。

“そなたの保護下に入ったヨミは、コリーナ辺境伯が言うには選定者だろうとのことだ。くれぐれもよろしく頼む”

俺が内容に固まっていると、ウィルがヨミがギルドへ出掛けたと報告に来た。俺は錆びた人形のようにギギギと顔を上げ、パコを指し

「陛下から追加のメールが来た。ウィルも読め」

「私なんかが拝見しても?」

ゆっくりと頷いた。俺が許可を出したことで机を回り、パコが見える位置に来ると、メールを読んだ。

「これはこれは。まさか私が生きている内にこのような事象に出会えるとは。しかも、ご本人のお世話をできようとは」

俺は信じられないものを見る目でウィルを見た。

「え?なんでそんな軽いの?」

ウィルは俺に向き直ると

「ヨミさんを初めて見たときから只者ではないと思っておりましたので。それと、ヨミさんは特別扱いは望みません。この事は私達のみで共有し、他の者達には内密にしましょう。旦那様も極力普通に接してくださいね。さぁ、お仕事を再開してください。まだまだありますからね」

それから地獄の書類作業をしていると、いつの間にか夜になっていた。

「旦那様、そろそろ夕食の時間です。ご準備下さい」

ウィルに促され席を立つと、ドアがノックされた。ウィルがそれに出るとリアとアリアが入ってきた。

「リア、アリア。どうした?」

アリアは今にも泣きそうな顔をしていたので聞いてみると

「ヨミお兄さんがまだ帰ってこないの」

言葉にしたことで不安が増したのか、とうとう涙がこぼれた。俺は慌ててアリアに駆けより抱き上げた。

「大丈夫だ。ヨミは強いからな。ほら泣き止んで可愛い笑顔をお父様に見せてくれ」

アリアを宥めてリアに託した後、俺は騎士団の練習場へ向かった。

「緊急出動だ!今すぐ客人の捜索に出てくれ!」

「旦那様!ヨミさんは冒険者です。依頼で2日3日戻られない事もあります。今すぐ、命令を取り下げてください」

「団長、今すぐ精鋭を集めて出てくれ!」

団長はウィルを見て、ウィルが首を振ったことですぐに動いた。団長、指揮権は俺にあるのだが?

その後すぐに、ヨミが帰ってきたと報告があり、急いで門まで走っていった。

その後はヨミも交えて夕食を食べ、その時新しい動物を得たと、手のひらサイズの蛇を紹介した。

アリアもフレッドも小さい動物と蛇に喜び、ヨミの許可を得て遊んでいた。

アリア達も寝る時間になり、それぞれ寝室に戻ったけど、俺は今執務室でウィルによるお説教の続きを聞いている。


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