2 / 101
にらめっこ
しおりを挟む
春の風がふわっとカーテンを揺らした。
かおりん――いや、これからは「しおりん」と呼ばれる私の隣で、妹は何か考え込むように口を尖らせている。
「……ねえ、しおry……しおりん」
また嚙んだ。そんないいい辛くないよね。
「ん? なに、かおりん(仮)」
「(仮)ってつけるのやめて」
「えー、それ外したら私ほんとにしおりん(正)になっちゃうじゃん」
「もうなってるんだよ、しおりん」
にやっと笑う妹の顔を見て、私はちょっとだけ照れた。けど、それを見せるのもしゃくだから、すかさず話題を変える。
「そういえばさ、かおりんの制服ってもう届いた?」
「うん、さっき部屋で広げてたんだ。ちょっとブカブカだけど、袖を通したら急に実感わいちゃった」
「いよいよ高校生かあ……。いいなあ、青春って感じ」
「え、しおりんはまだ高校生じゃん」
「もう卒業式追わったら、高校生じゃないでしょ?」
「3月中は高校生でいいんじゃない?」
「うーーん」
高校生のままでもいっか。でも……
「いやいや、入学したての頃が一番キラキラしてるんだよ。知らなかった?」
「なにそれ、先輩風吹かせちゃって」
くすくす笑い合うこの空気が、私は好きだ。
昔はもっと喧嘩ばっかりしてた気がするのに、不思議と今は、こうして何でもない会話が心地いい。
「……でもさ」
「ん?」
「高校って、楽しいだけじゃないよね?」
急に真面目な顔になった妹の横顔に、私は少し驚く。
「友達100人できるかな?」
「小学校か!」
「中学の時、ちょっと怖かったの。友だちのことで悩んだり、なんか浮いてる気がしたり」
ポツリとこぼれる言葉に、私は少し胸がぎゅっとなった。
「そっか。……じゃあさ」
私は立ち上がり、妹の前に座った。
「にらめっこしよっか」
「は?」
「負けた方が悩みを聞く。どう?」
「なにそれ、しおりんルールすぎる……」
「いいからいいから。せーの、にーらめっこ、しましょ……」
二人して顔を寄せ合う。うわ……まつげ長い……。
………………………………
変な顔の妹って可愛い。こんなの笑えないって。
………………………………
どうしよう、なかなか勝負つかないな……
………………………………
よし、とっておきの鼻の穴を膨らませる技で……
私が思いきり変な顔をした瞬間、かおりん(仮)は――笑った。
「ぶっ……!」
「はい、勝ちー!」
「ずるい、今のはずるすぎる!」
「ということで、悩みはもう全部聞いた。高校生活、怖くなっても大丈夫。何かあったら、しおりんがまたにらめっこで笑わせてやるよ」
妹はちょっと涙ぐんだ目で笑った。
「……しおりん、ほんとにお姉ちゃん?」
「しおりんはしおりん。もう、お姉ちゃんなんて呼ばせてあげないもんねー」
「もう、調子乗ってる!」
二人でソファの上でごろごろと転がりながら、私は思う。
こうして、私たち姉妹の新しい関係が、少しずつ育っていくんだろう。
春は、もうすぐそこだ。
かおりん――いや、これからは「しおりん」と呼ばれる私の隣で、妹は何か考え込むように口を尖らせている。
「……ねえ、しおry……しおりん」
また嚙んだ。そんないいい辛くないよね。
「ん? なに、かおりん(仮)」
「(仮)ってつけるのやめて」
「えー、それ外したら私ほんとにしおりん(正)になっちゃうじゃん」
「もうなってるんだよ、しおりん」
にやっと笑う妹の顔を見て、私はちょっとだけ照れた。けど、それを見せるのもしゃくだから、すかさず話題を変える。
「そういえばさ、かおりんの制服ってもう届いた?」
「うん、さっき部屋で広げてたんだ。ちょっとブカブカだけど、袖を通したら急に実感わいちゃった」
「いよいよ高校生かあ……。いいなあ、青春って感じ」
「え、しおりんはまだ高校生じゃん」
「もう卒業式追わったら、高校生じゃないでしょ?」
「3月中は高校生でいいんじゃない?」
「うーーん」
高校生のままでもいっか。でも……
「いやいや、入学したての頃が一番キラキラしてるんだよ。知らなかった?」
「なにそれ、先輩風吹かせちゃって」
くすくす笑い合うこの空気が、私は好きだ。
昔はもっと喧嘩ばっかりしてた気がするのに、不思議と今は、こうして何でもない会話が心地いい。
「……でもさ」
「ん?」
「高校って、楽しいだけじゃないよね?」
急に真面目な顔になった妹の横顔に、私は少し驚く。
「友達100人できるかな?」
「小学校か!」
「中学の時、ちょっと怖かったの。友だちのことで悩んだり、なんか浮いてる気がしたり」
ポツリとこぼれる言葉に、私は少し胸がぎゅっとなった。
「そっか。……じゃあさ」
私は立ち上がり、妹の前に座った。
「にらめっこしよっか」
「は?」
「負けた方が悩みを聞く。どう?」
「なにそれ、しおりんルールすぎる……」
「いいからいいから。せーの、にーらめっこ、しましょ……」
二人して顔を寄せ合う。うわ……まつげ長い……。
………………………………
変な顔の妹って可愛い。こんなの笑えないって。
………………………………
どうしよう、なかなか勝負つかないな……
………………………………
よし、とっておきの鼻の穴を膨らませる技で……
私が思いきり変な顔をした瞬間、かおりん(仮)は――笑った。
「ぶっ……!」
「はい、勝ちー!」
「ずるい、今のはずるすぎる!」
「ということで、悩みはもう全部聞いた。高校生活、怖くなっても大丈夫。何かあったら、しおりんがまたにらめっこで笑わせてやるよ」
妹はちょっと涙ぐんだ目で笑った。
「……しおりん、ほんとにお姉ちゃん?」
「しおりんはしおりん。もう、お姉ちゃんなんて呼ばせてあげないもんねー」
「もう、調子乗ってる!」
二人でソファの上でごろごろと転がりながら、私は思う。
こうして、私たち姉妹の新しい関係が、少しずつ育っていくんだろう。
春は、もうすぐそこだ。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった
白藍まこと
恋愛
主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。
クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。
明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。
しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。
そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。
三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。
※他サイトでも掲載中です。
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
ほのぼの学園百合小説 キタコミ!
水原渉
青春
ごくごく普通の女子高生の帰り道。
帰宅部の仲良し3人+1人が織り成す、ほのぼの学園百合小説。
♪ 野阪 千紗都(のさか ちさと):一人称の主人公。帰宅部部長。
♪ 猪谷 涼夏(いのや すずか):帰宅部。雑貨屋でバイトをしている。
♪ 西畑 絢音(にしはた あやね):帰宅部。塾に行っていて成績優秀。
♪ 今澤 奈都(いまざわ なつ):バトン部。千紗都の中学からの親友。
※本小説は小説家になろう等、他サイトにも掲載しております。
★Kindle情報★
1巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B098XLYJG4
2巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B09L6RM9SP
3巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B09VTHS1W3
4巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B0BNQRN12P
5巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B0CHFX4THL
6巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B0D9KFRSLZ
7巻:https://www.amazon.co.jp/dp/B0F7FLTV8P
Chit-Chat!1:https://www.amazon.co.jp/dp/B0CTHQX88H
Chit-Chat!2:https://www.amazon.co.jp/dp/B0FP9YBQSL
★YouTube情報★
第1話『アイス』朗読
https://www.youtube.com/watch?v=8hEfRp8JWwE
番外編『帰宅部活動 1.ホームドア』朗読
https://www.youtube.com/watch?v=98vgjHO25XI
Chit-Chat!1
https://www.youtube.com/watch?v=cKZypuc0R34
イラスト:tojo様(@tojonatori)
百合活少女とぼっちの姫
佐古橋トーラ
青春
あなたは私のもの。わたしは貴女のもの?
高校一年生の伊月樹には秘密がある。
誰にもバレたくない、バレてはいけないことだった。
それが、なんの変哲もないクラスの根暗少女、結奈に知られてしまった。弱みを握られてしまった。
──土下座して。
──四つん這いになって。
──下着姿になって。
断れるはずもない要求。
最低だ。
最悪だ。
こんなことさせられて好きになるわけないのに。
人を手中に収めることを知ってしまった少女と、人の手中に収められることを知ってしまった少女たちの物語。
当作品はカクヨムで連載している作品の転載です。
※この物語はフィクションです
※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
ご注意ください。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件
マサタカ
青春
俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。
あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。
そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。
「久しぶりですね、兄さん」
義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。
ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。
「矯正します」
「それがなにか関係あります? 今のあなたと」
冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。
今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人?
ノベルアッププラスでも公開。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる