212 / 219
重なった時間
しおりを挟む
バスが見知った町並みを通り過ぎる内に、ふとあの頃の記憶が蘇ってくる。
今俺が住んでいる家は母方の祖母の持ち家であり、離婚した時は父さんが家を出ていった。
今父さんは離婚前も泊まりに行ったり度々遊びに行ったりしてた父方の祖母の実家に住んでいる。
日奈美から聞いた話では実家の住所は生前の場所と同じだった。
そのまま何となく窓から外の景色を眺めていると、小さな時によく足を運んだ公園が見えてくる。
場所自体は残っている様だが、遊具は一部子供の頃の物とは違う物に変わっている様だった。
それに少し寂しさのような物を感じるのは俺があの時より大人になったからだろうか。
まぁ、今は今も子供な訳だが。
いや、ややこしいな……。
でも一度大人になってから子供に戻ってるわけだから字面にしたらそうなるんだよな……。
あの公園が見えたって事は……そろそろか。
ほんとこうして見ると記憶そのまま、だよな。
設定はだいぶ複雑だが、本当に細部まで再現されててただ俺が若返っただけ、みたいな錯覚に陥る。
いや……流石にそれは都合良すぎるか……。
「お父さん元気かなぁ。」
隣に座る日奈美がポツリと呟く。
「多分な。」
さて、そうこうしているうちにバスは親父の家の目の前に設置されたバス停に到着。
本当にアクセス最強である。
ちなみにバス代は志麻が全員分クレカで払ってくれました。
「バスってこんなに安かったんだ。」
「なんだ……?普段はリムジンとかに乗ってるからバスなんかに乗らないってか……?」
「そんなの乗らないよ!?
大体歩くかお手伝いさんの車だよー。
それだってそんなに高くない普通のやつだよ。」
まぁ……確かにリムジンで尾行とかされたら怖すぎるな……。
それにそもそも普段から俺のストーカーばっかしてる志麻にずっと付き合ってたら運転する側も溜まったもんじゃないわな……。
「一応ありがとう……私達の分まで。」
「ありがとうございます。 」
日奈美、リオもお礼を言う。
「これくらい全然大丈夫だよー!日奈美ちゃんは悠太の妹だしね!」
「ちゃっかり外堀埋めようとするんじゃありません……。」
「そういう事ならやっぱり返す!!」
「一度渡したものは受けとりませーん。
あ、でも悠太のならなんでも受け取るよ!」
志麻は志麻である……。
「おぉ、よく来たな。」
入口に入ると早速親父が出迎えてくれる。
「日奈美も久しぶりだな。」
「うん、久しぶり。」
「それと……?」
俺と日奈美に目配せした後、親父の目線は後ろで待機していた志麻とリオに向けられる。
「あ、そのはじめま……「はじめましてお父様!」」リオの挨拶を遮り、志麻が勢い良く前に出て親父の手を掴む。
「私、悠太君の同級生の金澤志麻って言います!今はまだお友達ですけどゆくゆくは「はいストップ……。
親父戸惑ってるから……。」
えー!まだ紹介しきれてないのに!」
「いや……結婚の挨拶かよ……。」
「ははは、随分賑やかな同級生だな。
そっちの女の子は?」
「あ、はい、はじめまして。
私リオって言います。」
「そうかそうか、ちゃんと自分の名前が言えて偉いね。」
「ぷーくす……!」
「悠太さん!!」
思わず吹き出してしまったら速攻で怒られました……。
「ま、まさか日奈美に次ぐ妹とかか……?」
「違いますから!私!見た目はアレですけど悠太さんのクラスメイトですから!」
「え!そ、そうだったのか……そ、それは悪かった。
とりあえず大したもてなしは出来ないが入ってくれ。」
そうして親父は俺達を家に招き入れてくれた。
「飲み物はお茶とコーヒーどちらが良いかな?」
そう言って食器棚からカップを取り出す親父。
「あ、私やります!」
そう言って志麻、なんと手下げ鞄から魔法瓶を取り出した。
コイツこんなの持って来てたのか……。
しかもお湯だけじゃない。
同じ手提げカバンからいかにも高そうな紅茶のティバックの袋を取り出した。
「あぁ、客人なのに何から何まで悪いね。」
「いえいえ!これぐらい当然ですから!
あ、私は自分のカップあるので。」
そう言って志麻が取り出したのは白のマグカップにピンク文字でI♡yuuの文字が入ったオリジナルマグカップである。
oじゃなくuなのがポイントである……。
これには親父も苦笑い。
って……あれ?
「日奈美は?」
気が付いたら姿が無い。
「日奈美さんなら隣のお部屋ですよ。」
日奈美の姿を探す俺にリオが声をかけてくる。
「隣?」
言われて隣の部屋に目を向けると、仏壇の前で真剣に手を合わせる日奈美の姿が。
「ここに居たのか。」
言いながら隣に座る。
「うん、お婆ちゃんとお爺ちゃんに挨拶してた所。」
父方の爺ちゃんが亡くなったのは中学生の時だったか。
思えばあの時が初めて身近な存在の死を知った瞬間だった。
確かに兆候はあった。
小さな頃はよく遊んでもらった。
来る度に温かく迎えてくれた。
それが亡くなる年の辺りからはずっと自室で寝込みがちになり、俺達兄弟(前世では兄と弟がいる。)が誰が誰だかでさえ分からないような状態だった。
そこから息を引き取るまでは長くなかった。
通夜の日、会場に行く前思いっきり泣いたっけ。
「お爺ちゃんが死んだ時ね。
凄く悲しくて、沢山泣いた。」
「日奈美もなのか……。
俺も泣いた気がする。」
「うん、お兄ちゃんは泣いてる私を見て一緒に泣いてくれた。
嬉しかったなぁ……。
変に励まされたりするように、ただ傍にいて一緒に泣いてくれた事が。
別に特別な事なんていらなかった。
あの時はただ隣にいて一緒に泣いてくれる存在が欲しかったんだよ。」
「日奈美……。」
そうだよな……。
あの時俺が初めて身内を失って悲しんだように、この世界では日奈美だって同じ悲しみを共有してるんだよな……。
「2人ともここに居たのか。」
「お父さん。」
後ろから歩いてきた親父に日奈美が目を向けながら返す。
「お婆ちゃんもお爺ちゃんもきっと喜んでいるよ。」
「うん。」
「お婆ちゃんもね、確かに厳しかったけどでも優しくて本当に好きだった。」
「そうだな。」
確かによく叱られたりした事はあった。
でも厳しいながらによく笑う人でもあって。
俺が学校での事や会社での事を話せば時に真剣に、時に楽しそうに聞いてくれる人だった。
「最近お参り出来てなかったから良かった。」
「そうだな。」
今の日奈美は……ちゃんと家族なんだよな。
別に疑っていた訳じゃない。
でも俺が知らなかった時間の中には確かに俺と日奈美が爺ちゃんと婆ちゃんと過ごした時間がある。
それを今改めて実感した。
今俺が住んでいる家は母方の祖母の持ち家であり、離婚した時は父さんが家を出ていった。
今父さんは離婚前も泊まりに行ったり度々遊びに行ったりしてた父方の祖母の実家に住んでいる。
日奈美から聞いた話では実家の住所は生前の場所と同じだった。
そのまま何となく窓から外の景色を眺めていると、小さな時によく足を運んだ公園が見えてくる。
場所自体は残っている様だが、遊具は一部子供の頃の物とは違う物に変わっている様だった。
それに少し寂しさのような物を感じるのは俺があの時より大人になったからだろうか。
まぁ、今は今も子供な訳だが。
いや、ややこしいな……。
でも一度大人になってから子供に戻ってるわけだから字面にしたらそうなるんだよな……。
あの公園が見えたって事は……そろそろか。
ほんとこうして見ると記憶そのまま、だよな。
設定はだいぶ複雑だが、本当に細部まで再現されててただ俺が若返っただけ、みたいな錯覚に陥る。
いや……流石にそれは都合良すぎるか……。
「お父さん元気かなぁ。」
隣に座る日奈美がポツリと呟く。
「多分な。」
さて、そうこうしているうちにバスは親父の家の目の前に設置されたバス停に到着。
本当にアクセス最強である。
ちなみにバス代は志麻が全員分クレカで払ってくれました。
「バスってこんなに安かったんだ。」
「なんだ……?普段はリムジンとかに乗ってるからバスなんかに乗らないってか……?」
「そんなの乗らないよ!?
大体歩くかお手伝いさんの車だよー。
それだってそんなに高くない普通のやつだよ。」
まぁ……確かにリムジンで尾行とかされたら怖すぎるな……。
それにそもそも普段から俺のストーカーばっかしてる志麻にずっと付き合ってたら運転する側も溜まったもんじゃないわな……。
「一応ありがとう……私達の分まで。」
「ありがとうございます。 」
日奈美、リオもお礼を言う。
「これくらい全然大丈夫だよー!日奈美ちゃんは悠太の妹だしね!」
「ちゃっかり外堀埋めようとするんじゃありません……。」
「そういう事ならやっぱり返す!!」
「一度渡したものは受けとりませーん。
あ、でも悠太のならなんでも受け取るよ!」
志麻は志麻である……。
「おぉ、よく来たな。」
入口に入ると早速親父が出迎えてくれる。
「日奈美も久しぶりだな。」
「うん、久しぶり。」
「それと……?」
俺と日奈美に目配せした後、親父の目線は後ろで待機していた志麻とリオに向けられる。
「あ、そのはじめま……「はじめましてお父様!」」リオの挨拶を遮り、志麻が勢い良く前に出て親父の手を掴む。
「私、悠太君の同級生の金澤志麻って言います!今はまだお友達ですけどゆくゆくは「はいストップ……。
親父戸惑ってるから……。」
えー!まだ紹介しきれてないのに!」
「いや……結婚の挨拶かよ……。」
「ははは、随分賑やかな同級生だな。
そっちの女の子は?」
「あ、はい、はじめまして。
私リオって言います。」
「そうかそうか、ちゃんと自分の名前が言えて偉いね。」
「ぷーくす……!」
「悠太さん!!」
思わず吹き出してしまったら速攻で怒られました……。
「ま、まさか日奈美に次ぐ妹とかか……?」
「違いますから!私!見た目はアレですけど悠太さんのクラスメイトですから!」
「え!そ、そうだったのか……そ、それは悪かった。
とりあえず大したもてなしは出来ないが入ってくれ。」
そうして親父は俺達を家に招き入れてくれた。
「飲み物はお茶とコーヒーどちらが良いかな?」
そう言って食器棚からカップを取り出す親父。
「あ、私やります!」
そう言って志麻、なんと手下げ鞄から魔法瓶を取り出した。
コイツこんなの持って来てたのか……。
しかもお湯だけじゃない。
同じ手提げカバンからいかにも高そうな紅茶のティバックの袋を取り出した。
「あぁ、客人なのに何から何まで悪いね。」
「いえいえ!これぐらい当然ですから!
あ、私は自分のカップあるので。」
そう言って志麻が取り出したのは白のマグカップにピンク文字でI♡yuuの文字が入ったオリジナルマグカップである。
oじゃなくuなのがポイントである……。
これには親父も苦笑い。
って……あれ?
「日奈美は?」
気が付いたら姿が無い。
「日奈美さんなら隣のお部屋ですよ。」
日奈美の姿を探す俺にリオが声をかけてくる。
「隣?」
言われて隣の部屋に目を向けると、仏壇の前で真剣に手を合わせる日奈美の姿が。
「ここに居たのか。」
言いながら隣に座る。
「うん、お婆ちゃんとお爺ちゃんに挨拶してた所。」
父方の爺ちゃんが亡くなったのは中学生の時だったか。
思えばあの時が初めて身近な存在の死を知った瞬間だった。
確かに兆候はあった。
小さな頃はよく遊んでもらった。
来る度に温かく迎えてくれた。
それが亡くなる年の辺りからはずっと自室で寝込みがちになり、俺達兄弟(前世では兄と弟がいる。)が誰が誰だかでさえ分からないような状態だった。
そこから息を引き取るまでは長くなかった。
通夜の日、会場に行く前思いっきり泣いたっけ。
「お爺ちゃんが死んだ時ね。
凄く悲しくて、沢山泣いた。」
「日奈美もなのか……。
俺も泣いた気がする。」
「うん、お兄ちゃんは泣いてる私を見て一緒に泣いてくれた。
嬉しかったなぁ……。
変に励まされたりするように、ただ傍にいて一緒に泣いてくれた事が。
別に特別な事なんていらなかった。
あの時はただ隣にいて一緒に泣いてくれる存在が欲しかったんだよ。」
「日奈美……。」
そうだよな……。
あの時俺が初めて身内を失って悲しんだように、この世界では日奈美だって同じ悲しみを共有してるんだよな……。
「2人ともここに居たのか。」
「お父さん。」
後ろから歩いてきた親父に日奈美が目を向けながら返す。
「お婆ちゃんもお爺ちゃんもきっと喜んでいるよ。」
「うん。」
「お婆ちゃんもね、確かに厳しかったけどでも優しくて本当に好きだった。」
「そうだな。」
確かによく叱られたりした事はあった。
でも厳しいながらによく笑う人でもあって。
俺が学校での事や会社での事を話せば時に真剣に、時に楽しそうに聞いてくれる人だった。
「最近お参り出来てなかったから良かった。」
「そうだな。」
今の日奈美は……ちゃんと家族なんだよな。
別に疑っていた訳じゃない。
でも俺が知らなかった時間の中には確かに俺と日奈美が爺ちゃんと婆ちゃんと過ごした時間がある。
それを今改めて実感した。
0
あなたにおすすめの小説
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。
エース皇命
青春
高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。
そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。
最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。
陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。
以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。
※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。
※表紙にはAI生成画像を使用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる