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パティシエ志麻の気まぐれクッキング
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日奈美と並んでお参りした後、呼びに来た親父と続いてリビングに戻る。
すると明らかに高級感のある香りが、湯気と共に立ち上って来ていた。
そしてその出処はダイニングテーブルに並べられたティーカップから出ている物だった。
でもそんな物気にならないぐらい俺の視線は中央に鎮座している物に向けられていた。
「あ、準備出来たよ!」
そう言って志麻が俺達に着席を促す。
「なんだこれ……。」
「え、すごっ……。」
それは……ケーキタワーだった……。
ケーキタワーと言っても単にケーキを重ねているタイプのものでは無くいわゆるアフタヌーンティースタンドと言うやつ。
4段重ねの棚にはそれぞれ種類の違うスイーツが食べやすいサイズに綺麗に切り分けられた状態で並べである。
「あ、やっぱりそれ気になる?
えへへ、全部手作りなんだ~。」
そう言ってさも気付いてもらえて嬉しいと言わんばかりに微笑む志麻。
本当志麻ってなんて言うか……。
凄いんだか凄くないんだか……いや実際凄いんだが普段の素行がアレだから何ともアレだからただ凄い奴って感じでまとめられないんだよな……。
本当どうしてこうなった……。
「今回はね!季節を意識してみたの!
上から春夏秋冬、1番上は春だからさくらんぼのタルトにしてみたんだ~。
ちゃんと種はとってあるから安心してね!」
三角形に切られたタルト生地にカスタードクリーム。
その上には溢れんばかりのさくらんぼが丁寧に並べられている。
「で、2段目は夏だからスイカ!
スイカの実も入った果汁入りゼリーだよー!」
こちらは小さなカップに赤いゼリー。
上にはペースト状になったスイカの果肉がかかっており、さっきまで冷やされていたのかカップには水滴が垂れている。
何とも夏にありがたい食べやすく涼し気なスイーツである。
「そして3段目は秋だから柿!
和を意識した感じにしたくて柿羊羹にしてみたの!」
1口大に切られた羊羹。
横には爪楊枝もしっかり準備されている。
色は暗めのオレンジ。
丁寧に並べられたそれはなるほど確かに日本の秋を思わせる。
「そして最後は冬!冬と言えばコタツでみかん!みかんたっぷりパウンドケーキだよ!」
切り分けられた断面は焦げ1つなく、確かにみかんがたっぷり入っているように見える。
切り分け方も実に丁寧で型崩れが一切ない……。
いや……普通にハイレベル過ぎて草。
しかも季節のフルーツを全部違うスイーツにしている辺りも志麻のセンスの良さを物語っている!
そしてそんなアフタヌーンティータワーのてっぺん。
尖った先端に突き刺してあるハート型のチョコ!
そこにはホイップクリームでi ♡yuuの文字が!
なんでそこyouじゃなくてyuuにしちゃったかなぁ、、
本当全体のクオリティに関してはパティシエもびっくりなレベルなだけにミスマッチ感が半端ない……。
凄いけどただ凄いじゃ締まらないのが志麻である……志麻だけに。
「さ!食べて食べて!」
「そうだな、まずはあのハート型のチョコを割って良いか?」
「ダメだよ!?」
ダメかぁ……。
いやでもあのサイズだと普通に割らなきゃ食べれなさそうだけど……。
そう言えばなんか小学生くらいの時にキャラクターの形のお菓子の首の部分を食べて首無しにする遊びが流行ってた時期あったなぁ……。
今思えばなんであんなの流行ったんだか……。
「あ、でもそっか!半分にして分け合えば私達の間に更に深い繋がりが!「出来ません。」即答!?ぴえん……。」
うん……やっぱり志麻は志麻である……。
「と言うかこれどうやって持って……いや、良いわ……。」
大方お手伝いさんにでも運んでもらったのだろう……。
「えへへ、流石悠太!私の事よく分かってる!好き!」
やっぱり志麻は志麻である……。
思わず頭を抱えてため息。
「ま、まぁまぁ……。
折角だし頂きましょうよ。」
そう言って口を挟んできたのはリオだ。
「お前ただ自分が食べたいだけだろ……?」
「うっ……良いじゃないですか。
どれも美味しそうだし。」
「まぁ……確かにな。」
と、言う訳で……。
現在アフタヌーンにはまだ早い昼前の時間だが、もはやツッコむまい……。
それぞれ1段ずつ季節の味を楽しんだ。
ちなみにどれも見た目だけじゃなく味も一級品だった。
「うっ……悔しいけどどれも凄く美味しい……。」
日奈美が何とも微妙な表情で言う。
「そりゃそうだよ!果物の品質にもこだわったからね!」
志麻の婆技術だけじゃなくて財力もあるからなぁ……。
あとロリ天使……お前は食べ過ぎだ……。
やっぱり自分が食べたかっただけジャマイカ……。
「大丈夫だよ、悠太!おかわりも沢山あるから!」
いや、用意周到過ぎて草。
「いや、凄いな。
これを一人で作ったのかい?」
そう聞く親父。
「はい!昨日の夜から気合いを入れてよういしました!」
ここぞとばかりに食い気味に首肯し、アピールする志麻。
本当にいつ外堀埋められてもおかしくなくて草。
お菓子だけに……。
志麻、恐ろしい子!
いや、知ってたけども……。
それからしばらく雑談を交わしながら、志麻お手製スイーツに全員で舌鼓を打つのだった。
すると明らかに高級感のある香りが、湯気と共に立ち上って来ていた。
そしてその出処はダイニングテーブルに並べられたティーカップから出ている物だった。
でもそんな物気にならないぐらい俺の視線は中央に鎮座している物に向けられていた。
「あ、準備出来たよ!」
そう言って志麻が俺達に着席を促す。
「なんだこれ……。」
「え、すごっ……。」
それは……ケーキタワーだった……。
ケーキタワーと言っても単にケーキを重ねているタイプのものでは無くいわゆるアフタヌーンティースタンドと言うやつ。
4段重ねの棚にはそれぞれ種類の違うスイーツが食べやすいサイズに綺麗に切り分けられた状態で並べである。
「あ、やっぱりそれ気になる?
えへへ、全部手作りなんだ~。」
そう言ってさも気付いてもらえて嬉しいと言わんばかりに微笑む志麻。
本当志麻ってなんて言うか……。
凄いんだか凄くないんだか……いや実際凄いんだが普段の素行がアレだから何ともアレだからただ凄い奴って感じでまとめられないんだよな……。
本当どうしてこうなった……。
「今回はね!季節を意識してみたの!
上から春夏秋冬、1番上は春だからさくらんぼのタルトにしてみたんだ~。
ちゃんと種はとってあるから安心してね!」
三角形に切られたタルト生地にカスタードクリーム。
その上には溢れんばかりのさくらんぼが丁寧に並べられている。
「で、2段目は夏だからスイカ!
スイカの実も入った果汁入りゼリーだよー!」
こちらは小さなカップに赤いゼリー。
上にはペースト状になったスイカの果肉がかかっており、さっきまで冷やされていたのかカップには水滴が垂れている。
何とも夏にありがたい食べやすく涼し気なスイーツである。
「そして3段目は秋だから柿!
和を意識した感じにしたくて柿羊羹にしてみたの!」
1口大に切られた羊羹。
横には爪楊枝もしっかり準備されている。
色は暗めのオレンジ。
丁寧に並べられたそれはなるほど確かに日本の秋を思わせる。
「そして最後は冬!冬と言えばコタツでみかん!みかんたっぷりパウンドケーキだよ!」
切り分けられた断面は焦げ1つなく、確かにみかんがたっぷり入っているように見える。
切り分け方も実に丁寧で型崩れが一切ない……。
いや……普通にハイレベル過ぎて草。
しかも季節のフルーツを全部違うスイーツにしている辺りも志麻のセンスの良さを物語っている!
そしてそんなアフタヌーンティータワーのてっぺん。
尖った先端に突き刺してあるハート型のチョコ!
そこにはホイップクリームでi ♡yuuの文字が!
なんでそこyouじゃなくてyuuにしちゃったかなぁ、、
本当全体のクオリティに関してはパティシエもびっくりなレベルなだけにミスマッチ感が半端ない……。
凄いけどただ凄いじゃ締まらないのが志麻である……志麻だけに。
「さ!食べて食べて!」
「そうだな、まずはあのハート型のチョコを割って良いか?」
「ダメだよ!?」
ダメかぁ……。
いやでもあのサイズだと普通に割らなきゃ食べれなさそうだけど……。
そう言えばなんか小学生くらいの時にキャラクターの形のお菓子の首の部分を食べて首無しにする遊びが流行ってた時期あったなぁ……。
今思えばなんであんなの流行ったんだか……。
「あ、でもそっか!半分にして分け合えば私達の間に更に深い繋がりが!「出来ません。」即答!?ぴえん……。」
うん……やっぱり志麻は志麻である……。
「と言うかこれどうやって持って……いや、良いわ……。」
大方お手伝いさんにでも運んでもらったのだろう……。
「えへへ、流石悠太!私の事よく分かってる!好き!」
やっぱり志麻は志麻である……。
思わず頭を抱えてため息。
「ま、まぁまぁ……。
折角だし頂きましょうよ。」
そう言って口を挟んできたのはリオだ。
「お前ただ自分が食べたいだけだろ……?」
「うっ……良いじゃないですか。
どれも美味しそうだし。」
「まぁ……確かにな。」
と、言う訳で……。
現在アフタヌーンにはまだ早い昼前の時間だが、もはやツッコむまい……。
それぞれ1段ずつ季節の味を楽しんだ。
ちなみにどれも見た目だけじゃなく味も一級品だった。
「うっ……悔しいけどどれも凄く美味しい……。」
日奈美が何とも微妙な表情で言う。
「そりゃそうだよ!果物の品質にもこだわったからね!」
志麻の婆技術だけじゃなくて財力もあるからなぁ……。
あとロリ天使……お前は食べ過ぎだ……。
やっぱり自分が食べたかっただけジャマイカ……。
「大丈夫だよ、悠太!おかわりも沢山あるから!」
いや、用意周到過ぎて草。
「いや、凄いな。
これを一人で作ったのかい?」
そう聞く親父。
「はい!昨日の夜から気合いを入れてよういしました!」
ここぞとばかりに食い気味に首肯し、アピールする志麻。
本当にいつ外堀埋められてもおかしくなくて草。
お菓子だけに……。
志麻、恐ろしい子!
いや、知ってたけども……。
それからしばらく雑談を交わしながら、志麻お手製スイーツに全員で舌鼓を打つのだった。
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