彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。

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重なった時間

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バスが見知った町並みを通り過ぎる内に、ふとあの頃の記憶が蘇ってくる。

今俺が住んでいる家は母方の祖母の持ち家であり、離婚した時は父さんが家を出ていった。

今父さんは離婚前も泊まりに行ったり度々遊びに行ったりしてた父方の祖母の持ち家に住んでいる。
 
日奈美から聞いた話では住所は生前の場所と同じだった。

そのまま何となく窓から外の景色を眺めていると、小さな時によく足を運んだ公園が見えてくる。

場所自体は残っている様だが、遊具は一部子供の頃の物とは違う物に変わっている様だった。

それに少し寂しさのような物を感じるのは俺があの時より大人になったからだろうか。

まぁ、今は子供な訳だけど……。

あの公園が見えたって事は……そろそろか。

ほんとこうして見ると記憶そのまま、だよな。

設定はだいぶ複雑だが、本当に細部まで再現されててただ俺が若返っただけみたいな錯覚に陥る。

いや……流石にそれは都合良すぎるか……。

「お父さん元気かなぁ。」

隣に座る日奈美がポツリと呟く。

「多分な。」

さて、そうこうしているうちにバスは親父の家の目の前に設置されたバス停に到着。

本当にアクセス最強である。

ちなみにバス代は志麻が全員分クレカで払ってくれました。

「バスってこんなに安かったんだ。」

「なんだ……?普段はリムジンとかに乗ってるからバスなんかに乗らないってか……?」

「そんなの乗らないよ!?

大体歩くかお手伝いさんの車だよー。

それだってそんなに高くない普通のやつだよ。」

まぁ……確かにリムジンで尾行とかされたら怖すぎるな……。

それにそもそも普段から俺のストーカーばっかしてる志麻にずっと付き合ってたら運転する側も溜まったもんじゃないだろ……。

「一応ありがとう……私達の分まで。」

「ありがとうございます。 」

日奈美、リオもお礼を言う。
 
「これくらい全然大丈夫だよー!日奈美ちゃんは悠太の妹だしね!」 

「ちゃっかり外堀埋めようとするんじゃありません……。」

「そういう事ならやっぱり返す!!」

「一度渡したものは受けとりませーん。

あ、でも悠太のならなんでも受け取るよ!」

志麻は志麻である……。

「おぉ、よく来たな。」

入口に入ると早速親父が出迎えてくれる。

「日奈美も久しぶりだな。」

「うん、久しぶり。」

「それと……?」

俺と日奈美に目配せした後、親父の目線は後ろで待機していた志麻とリオに向けられる。

「あ、そのはじめま……「はじめましてお父様!」」リオの挨拶を遮り、志麻が勢い良く前に出て親父の手を掴む。

「私、悠太君の同級生の金澤志麻って言います!今はまだお友達ですけどゆくゆくは「はいストップ……。

親父戸惑ってるから……。」

えー!まだ紹介しきれてないのに!」

「いや……結婚の挨拶かよ……。」

「ははは、随分賑やかな同級生だな。

それでそっちの女の子は?」

「あ、はい、はじめまして。

私リオって言います。」

「そうかそうか、ちゃんと自分の名前が言えて偉いね。」

「ぷーくす……!」

「悠太さん!!」

思わず吹き出してしまったら速攻で怒られました……。

「ま、まさか日奈美に次ぐ妹とかか……?」

「違いますから!私!見た目はアレですけど悠太さんのクラスメイトですから!」

「え!そ、そうだったのか……そ、それは悪かった。

とりあえず大したもてなしは出来ないが入ってくれ。」

そうして親父は俺達を家に招き入れてくれた。

「飲み物はお茶とコーヒーどちらが良いかな?」 

そう言って食器棚からカップを取り出す親父。

「あ、私やります!」

そう言って志麻、なんと手下げ鞄から魔法瓶を取り出した。

コイツこんなの持って来てたのか……。

しかもお湯だけじゃない。

同じ手提げカバンからいかにも高そうな紅茶のティバックの袋を取り出した。

「あぁ、客人なのに何から何まで悪いね。」

「いえいえ!これぐらい当然ですから!

あ、私は自分のカップがあるので。」

そう言って志麻が取り出したのは白のマグカップにピンク文字でI♡yuuの文字が入ったオリジナルマグカップである。

oじゃなくuなのがポイントである……。

これには親父も苦笑い。

って……あれ?

「日奈美は?」

気が付いたら姿が無い。

「日奈美さんなら隣のお部屋ですよ。」

リオが声を教えてくれる。

「隣?」

言われて隣の部屋に目を向けると、仏壇の前で真剣に手を合わせる日奈美の姿が。

「ここに居たのか。」

言いながら隣に座る。

「うん、お婆ちゃんとお爺ちゃんに挨拶してた所。」

父方の爺ちゃんが亡くなったのは中学生の時だったか。

思えばあの時が初めて身近な存在の死を知った瞬間だったっけ。

確かに兆候はあったんだ。

小さな頃はよく遊んでもらったし、来る度に温かく迎えてくれた。 

それが亡くなる年の辺りからはずっと自室で寝込みがちになり、俺達兄弟(前世では兄と弟がいる。)が誰が誰だかでさえ分からないような状態だった。

そこから息を引き取るまでは長くなかった。

通夜の日、会場に行く前思いっきり泣いたのを覚えてる。

「お爺ちゃんが死んだ時ね。

凄く悲しくて、沢山泣いた。」

「日奈美もなのか……。

俺も泣いた気がする。」

「うん、お兄ちゃんは泣いてる私を見て一緒に泣いてくれた。

嬉しかったなぁ……。

変に励まされたりするより、ただ傍にいて一緒に泣いてくれた事が。

別に特別な事なんていらなかった。

あの時はただ隣にいて一緒に泣いてくれる存在が欲しかったんだよ。」

「日奈美……。」

そうだよな……。

あの時俺が初めて身内を失って悲しんだように、この世界では日奈美だって同じ悲しみを共有してるんだよな……。

「2人ともここに居たのか。」

「お父さん。」

後ろから歩いてきた親父に日奈美が目を向けながら返す。

「お婆ちゃんもお爺ちゃんもきっと喜んでいるよ。」

「うん。」

「お婆ちゃんもね、確かに厳しかったけどでも優しくて本当に好きだった。」

「そうだな。」

確かによく叱られたりした事はあった。

でも厳しいながらによく笑う人でもあって。

俺が学校での事や会社での事を話せば時に真剣に、時に楽しそうに聞いてくれる人だった。

「最近お参り出来てなかったから良かった。」

「そうだな。」

今の日奈美は……ちゃんと家族なんだよな。

別に疑っていた訳じゃない。

でも俺が知らなかった時間の中には確かに俺と日奈美が爺ちゃんと婆ちゃんと過ごした時間がある。

それを今改めて実感した。



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