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第14話
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あれから7年の月日が経ち、ルイーザとレオンは17歳となっていた――
すっかり青年の顔付きになったレオンは、とうにルイーザよりも背が高くなり、声も以前より低く、ルイーザがゲーム画面越しに見ていた無駄に超絶美形の姿になっていた。
ゲームをやっていた時は、攻略キャラでもないのにこの顔面は無駄だと思っていたけど、今は私の婚約者で将来の夫なのよね……。今となれば、運営にお礼を言いたい気分だわ。
紅茶のカップを持つ姿も様になった超絶美形の婚約者は、私の視線に気が付くとカップを置いて、こちらを見て微笑んだ。
「あと一年で結婚だな」
「え?あ、うん……。そ、そうね……」
こちらに注がれる視線に思わず顔を逸らして、それを誤魔化すように紅茶のカップを手に取った。
「もうそんな歳になったのね。初めて会った時は、こんなに小さかったのに」
とルイーザは5歳の頃の身長を手で表して、安心したように笑った。
初めてレオンを見て、前世の事を思い出した時はどうなる事かと思ったけど、レオンは闇落ちしてないし、エヴァルト王子は生きていて、王位も彼が継ぐことになっているし、これはもう、全員救われるハッピーエンドルートって事で良いんじゃない!?
王宮では、エヴァルト王子を二度も救った事で、レオンに対するカルメラ王妃からの風当たりは弱まり、それに伴って、王宮の使用人達からも理不尽な事をされなくなっていった。そして、リヴァイト国王も行動力のあるレオンを見直し、以前のように接してくれるようになったそうだ。その証拠にレオンがリシェントを専属の魔術講師として雇いたいと言うと、すんなりOKが出たそうだ。そして、リシェントはレオンの魔術講師を足掛かりに王宮に他国の珍しい宝石や酒を持って行った所、リヴァイト国王もカルメラ王妃もそれを気に入り、リシェントはカルヴァ王族御用達の商人という泊を付け大商人となっていた――
「なあ、ルイーザ。その……、本当にこのまま僕と結婚して良いのか?」
レオンは答えを聞くのが怖くて視線を逸した。
「今更?嫌だったらとっくに婚約解消してるでしょう?」
とルイーザは笑い飛ばした。
「そ、そうだけどさ……。でも、その……結婚したら……色々と夫婦の……事とか……あるから……」
とレオンは赤い顔してゴニョゴニョと話し始めた。
「夫婦の事?ああ!大丈夫よ。いくらレストランが軌道に乗ってきたからって、第二王子の妃としての仕事もちゃんとするから!」
「え?」
ルイーザの言葉にレオンは疑問の声を上げた。
「え?だから、お米専門レストランが忙しいから、王宮での行事とかを心配してるんでしょう?」
私はあれから、王都の食堂で前世ぶりのお米を食べて大いに感動した。しかし、この国では、パンの代わりにご飯を食べるというくらいで、お米をメインにした料理がなかったので、そこに目を付け、リシェントに協力してもらって、平民向けのお米専門レストランを作る事を思い付いた。リシェントに醤油や味噌などの調味料を扱っている国を探して貰い、その結果、東の国で似たような調味料が使われている事が分かると早速取り寄せてもらった。そして、炊き込みご飯を中心としたお米専門のレストランを開業した所、これが平民の間でブームとなり、私は今、公爵令嬢でありながら、飲食店も経営していたのだった。
そんなわけで、レオンは私が最近忙しくて、結婚してから妃としての務めを果たせるか心配しているのだろうと思い、ちゃんと王子の妃としての仕事もするから大丈夫だと伝えたのだが……
「あ……、うん……、それもそうなんだけど……」
と歯切れの悪い返事が返ってきた。
「ん?まだ何かあるの?」
「ううん。何でもないよ」
そんな二人の様子を、ちょうど王宮に商品を納めにきたリシェントとラステックが目撃していた。
「あいつら、5歳から婚約してるって言ってたよな?」
「ああ、そうですよ。10年以上婚約してるのに、まだあんな段階なんすね」
「レオンが押し切れないからか、ルイーザが鈍すぎるせいか……。いや、どっちもだな」
「リシェントさん、レオンに魔術のコントロールだけじゃなく、女の口説き方も教えてやった方が良いんじゃないっすか?」
リシェントはラステックの顔を見て苦笑いで頷いたのだった。
すっかり青年の顔付きになったレオンは、とうにルイーザよりも背が高くなり、声も以前より低く、ルイーザがゲーム画面越しに見ていた無駄に超絶美形の姿になっていた。
ゲームをやっていた時は、攻略キャラでもないのにこの顔面は無駄だと思っていたけど、今は私の婚約者で将来の夫なのよね……。今となれば、運営にお礼を言いたい気分だわ。
紅茶のカップを持つ姿も様になった超絶美形の婚約者は、私の視線に気が付くとカップを置いて、こちらを見て微笑んだ。
「あと一年で結婚だな」
「え?あ、うん……。そ、そうね……」
こちらに注がれる視線に思わず顔を逸らして、それを誤魔化すように紅茶のカップを手に取った。
「もうそんな歳になったのね。初めて会った時は、こんなに小さかったのに」
とルイーザは5歳の頃の身長を手で表して、安心したように笑った。
初めてレオンを見て、前世の事を思い出した時はどうなる事かと思ったけど、レオンは闇落ちしてないし、エヴァルト王子は生きていて、王位も彼が継ぐことになっているし、これはもう、全員救われるハッピーエンドルートって事で良いんじゃない!?
王宮では、エヴァルト王子を二度も救った事で、レオンに対するカルメラ王妃からの風当たりは弱まり、それに伴って、王宮の使用人達からも理不尽な事をされなくなっていった。そして、リヴァイト国王も行動力のあるレオンを見直し、以前のように接してくれるようになったそうだ。その証拠にレオンがリシェントを専属の魔術講師として雇いたいと言うと、すんなりOKが出たそうだ。そして、リシェントはレオンの魔術講師を足掛かりに王宮に他国の珍しい宝石や酒を持って行った所、リヴァイト国王もカルメラ王妃もそれを気に入り、リシェントはカルヴァ王族御用達の商人という泊を付け大商人となっていた――
「なあ、ルイーザ。その……、本当にこのまま僕と結婚して良いのか?」
レオンは答えを聞くのが怖くて視線を逸した。
「今更?嫌だったらとっくに婚約解消してるでしょう?」
とルイーザは笑い飛ばした。
「そ、そうだけどさ……。でも、その……結婚したら……色々と夫婦の……事とか……あるから……」
とレオンは赤い顔してゴニョゴニョと話し始めた。
「夫婦の事?ああ!大丈夫よ。いくらレストランが軌道に乗ってきたからって、第二王子の妃としての仕事もちゃんとするから!」
「え?」
ルイーザの言葉にレオンは疑問の声を上げた。
「え?だから、お米専門レストランが忙しいから、王宮での行事とかを心配してるんでしょう?」
私はあれから、王都の食堂で前世ぶりのお米を食べて大いに感動した。しかし、この国では、パンの代わりにご飯を食べるというくらいで、お米をメインにした料理がなかったので、そこに目を付け、リシェントに協力してもらって、平民向けのお米専門レストランを作る事を思い付いた。リシェントに醤油や味噌などの調味料を扱っている国を探して貰い、その結果、東の国で似たような調味料が使われている事が分かると早速取り寄せてもらった。そして、炊き込みご飯を中心としたお米専門のレストランを開業した所、これが平民の間でブームとなり、私は今、公爵令嬢でありながら、飲食店も経営していたのだった。
そんなわけで、レオンは私が最近忙しくて、結婚してから妃としての務めを果たせるか心配しているのだろうと思い、ちゃんと王子の妃としての仕事もするから大丈夫だと伝えたのだが……
「あ……、うん……、それもそうなんだけど……」
と歯切れの悪い返事が返ってきた。
「ん?まだ何かあるの?」
「ううん。何でもないよ」
そんな二人の様子を、ちょうど王宮に商品を納めにきたリシェントとラステックが目撃していた。
「あいつら、5歳から婚約してるって言ってたよな?」
「ああ、そうですよ。10年以上婚約してるのに、まだあんな段階なんすね」
「レオンが押し切れないからか、ルイーザが鈍すぎるせいか……。いや、どっちもだな」
「リシェントさん、レオンに魔術のコントロールだけじゃなく、女の口説き方も教えてやった方が良いんじゃないっすか?」
リシェントはラステックの顔を見て苦笑いで頷いたのだった。
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