16 / 17
第16話
しおりを挟む「この度は貴国の舞踏会に招待頂き、有り難く存じます」
ホステラーノ王国へやって来た私とレオンは、ホステラーノ王国の国王に挨拶をしていた。
子供の頃はビクビクしていたレオンが、立派に挨拶をして、王族として凛としている姿にルイーザは安心していた――
今のレオンは、きっと自分に自信を持てているんだわ。
「遠い所を来て頂き、有り難く思っております。特に息子のバシリオとは同じ年頃、この機会に交流を深めてくれると嬉しい」
「はい。私もそうしたいと思っておりました」
そう言うとレオンは、バシリオ王子の方を向いて微笑むと、軽く会釈した。
それにバシリオ王子も同様に会釈を返す。
その姿に私は一人、気持ちが高ぶっていた。
ああ……、ゲームの中では敵だった二人が、微笑んで会釈を交わしているわ……。なんて奇跡の瞬間なの!?
ルイーザは、あのゲームの本当のハッピーエンドはやっぱり、レオンが悪の帝王にならないって事なんじゃないかという気さえしてきていた。
ホステラーノ国王との挨拶を終えると、バシリオ王子にお茶に誘われ、私達はテラスへ移動した。
「レオン王子、改めてこれから仲良くして頂けると嬉しいよ」
「ええ、こちらこそ」
と二人は軽く挨拶を交わすと、バシリオ王子の視線が私を捉えた。
「それで、先程から気になっていたのだが、こちらの美しいご令嬢は?」
「婚約者のルイーザです」
ルイーザがバシリオ王子へカーテシーをすと、幼い頃から淑女として完璧だと讃えられていたルイーザの姿に、周りから感嘆のため息が漏れた。
「美しいご令嬢、どうかあなたの手の甲に口付けを……」
ルイーザは、美しい微笑みを浮かべると、バシリオ王子へ右の手の甲を差し出した。
その姿に今度は侍女達から黄色い声が上がる。
バシリオ王子、さすが、ゲーム攻略キャラ!
さらっと女の子をドキドキさせてくるわ!
それは、そうとファニアちゃんは居ないのかしら?
ゲームでは、聖女の力に目覚める前は、王宮で侍女をしていたから、どこかに居るはずよね……?
とルイーザはキャーキャー言う侍女達を見回すが、ファニアは見当たらない。
「さあ、ルイーザ嬢、座ってお茶を頂こう」
とバシリオがルイーザの手を取ろうとすると、ルイーザの肩を抱いてレオンが自身に引き寄せた。
「さあ、ルイーザここに座って」
とレオンが自ら椅子を引き、ルイーザを座らせ、自分はその隣に座った。
バシリオはルイーザの向かいに座ると、ルイーザを見つめて、微笑む。
「バシリオ王子には、仲の良い女性はおられないのですか?」
レオンはにこやかに聞くが、ルイーザはレオンの様子がおかしい事に気が付いていた。
レオン、何だかバシリオ王子に怒っていない?どうしたのかしら?やはり、ゲームの中で敵同士だったから、バシリオ王子と合わないのかしら?
「ええ。私にはまだそういった相手はおりませんよ」
とバシリオ王子はにこやかに答える。
あ、あれ?バシリオ王子、ファニアちゃんは?
「意外ですね。私と違って女性の扱いに慣れているバシリオ王子なら、仲の良いご令嬢もたくさん居られるかと思いましたよ」
あ!そうか!ファニアちゃんとバシリオ王子の距離が縮まるのは、ファニアちゃんが聖女に目覚めてから……。あら?レオンが悪の帝王にならなかった場合、ファニアちゃんって聖女に目覚めるのかしら?
というか、もしファニアちゃんが聖女に目覚めなかったら、バシリオ王子との恋はどうなるの!?
え!?もしかして、私の推しカプ消滅の危機!?
11
あなたにおすすめの小説
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
ヤンキー、悪役令嬢になる
山口三
恋愛
岸田和華(きしだわか)は異世界に飛ばされた。自分が読んでいた小説の悪役令嬢ジュリエットに憑依してしまったのだ。だが和華は短気でガサツで、中学高校と番を張ってたヤンキーだ。高貴な身分の貴族令嬢なんてガラじゃない。「舞踏会でダンス? 踊りなんて盆踊りしか知らないからっ」
一方、リアル世界に残された和華の中にはジュリエットが入っていて・・。
編み物好き地味令嬢はお荷物として幼女化されましたが、えっ?これ魔法陣なんですか?
灯息めてら
恋愛
編み物しか芸がないと言われた地味令嬢ニニィアネは、家族から冷遇された挙句、幼女化されて魔族の公爵に売り飛ばされてしまう。
しかし、彼女の編み物が複雑な魔法陣だと発見した公爵によって、ニニィアネの生活は一変する。しかもなんだか……溺愛されてる!?
氷狼陛下のお茶会と溺愛は比例しない!フェンリル様と会話できるようになったらオプションがついてました!
屋月 トム伽
恋愛
ディティーリア国の末王女のフィリ―ネは、社交なども出させてもらえず、王宮の離れで軟禁同様にひっそりと育っていた。そして、18歳になると大国フェンヴィルム国の陛下に嫁ぐことになった。
どこにいても変わらない。それどころかやっと外に出られるのだと思い、フェンヴィルム国の陛下フェリクスのもとへと行くと、彼はフィリ―ネを「よく来てくれた」と迎え入れてくれた。
そんなフィリ―ネに、フェリクスは毎日一緒にお茶をして欲しいと頼んでくる。
そんなある日フェリクスの幻獣フェンリルに出会う。話相手のいないフィリ―ネはフェンリルと話がしたくて「心を通わせたい」とフェンリルに願う。
望んだとおりフェンリルと言葉が通じるようになったが、フェンリルの幻獣士フェリクスにまで異変が起きてしまい……お互いの心の声が聞こえるようになってしまった。
心の声が聞こえるのは、フェンリル様だけで十分なのですが!
※あらすじは時々書き直します!
元お助けキャラ、死んだと思ったら何故か孫娘で悪役令嬢に憑依しました!?
冬野月子
恋愛
乙女ゲームの世界にお助けキャラとして転生したリリアン。
無事ヒロインを王太子とくっつけ、自身も幼馴染と結婚。子供や孫にも恵まれて幸せな生涯を閉じた……はずなのに。
目覚めると、何故か孫娘マリアンヌの中にいた。
マリアンヌは続編ゲームの悪役令嬢で第二王子の婚約者。
婚約者と仲の悪かったマリアンヌは、学園の階段から落ちたという。
その婚約者は中身がリリアンに変わった事に大喜びで……?!
破滅フラグから逃げたくて引きこもり聖女になったのに「たぶんこれも破滅ルートですよね?」
氷雨そら
恋愛
「どうしてよりによって、18歳で破滅する悪役令嬢に生まれてしまったのかしら」
こうなったら引きこもってフラグ回避に全力を尽くす!
そう決意したリアナは、聖女候補という肩書きを使って世界樹の塔に引きこもっていた。そしていつしか、聖女と呼ばれるように……。
うまくいっていると思っていたのに、呪いに倒れた聖騎士様を見過ごすことができなくて肩代わりしたのは「18歳までしか生きられない呪い」
これまさか、悪役令嬢の隠し破滅フラグ?!
18歳の破滅ルートに足を踏み入れてしまった悪役令嬢が聖騎士と攻略対象のはずの兄に溺愛されるところから物語は動き出す。
小説家になろうにも掲載しています。
前世で孵した竜の卵~幼竜が竜王になって迎えに来ました~
高遠すばる
恋愛
エリナには前世の記憶がある。
先代竜王の「仮の伴侶」であり、人間貴族であった「エリスティナ」の記憶。
先代竜王に真の番が現れてからは虐げられる日々、その末に追放され、非業の死を遂げたエリスティナ。
普通の平民に生まれ変わったエリスティナ、改めエリナは強く心に決めている。
「もう二度と、竜種とかかわらないで生きていこう!」
たったひとつ、心残りは前世で捨てられていた卵から孵ったはちみつ色の髪をした竜種の雛のこと。クリスと名付け、かわいがっていたその少年のことだけが忘れられない。
そんなある日、エリナのもとへ、今代竜王の遣いがやってくる。
はちみつ色の髪をした竜王曰く。
「あなたが、僕の運命の番だからです。エリナ。愛しいひと」
番なんてもうこりごり、そんなエリナとエリナを一身に愛する竜王のラブロマンス・ファンタジー!
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる