異世界貴族は家柄と共に! 〜悪役貴族に転生したので、成り上がり共を潰します〜

スクールH

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少年編 3章

第39話 子供

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「おい、まだか!」

既に騎士を呼びに行って二十分。未だに連絡すら無い。

「ここの町の騎士は大丈夫なのかよ。後で文句言ってやる」

僕はソワソワしながら孤児院の入り口で待っていた。

何か嫌な予感が先程からするため、余計に苛立つ。空は既に暗くなりつつあり、孤児院全体に不安が募っていく。

「あの~、そのことなのですが」

僕の呟きを聞いてか一人の孤児院で働く男が近寄ってくる。

「実は、ここの孤児院は町から嫌われているのです」
「何故?」
「町のお金で一部支援して貰っているためです。町の人々からは無駄に税金を使っていると言われまして・・・。町の役場の方々にも下に見られていまして」

なるほど、そういうことか。こういう時に面倒くさいな。

「おい、僕の名前―」

 グァアアァァァァ!!!!

大きな咆哮が森の奥から聞こえてくる。

「チッ」

思わず舌打ちをしてしまう。

恐らくレーナか子供たちのどちらかが見つかったのだろう。

「糞、僕は何を焦っているんだ」

イライラが止まらず、早く行きたい衝動に駆られる。

どうしてこんなにも焦っている?そう自問せずにはいられない。

たかが孤児院の子供、特別でも何でも無い死んでも誰も悲しまない存在。貴族である僕が心配する問題でもなくほっといて任せればいいい話。

自分の所有物だからか?だったらもっと余裕があっただろう。

この孤児院が楽しかったからか?否、中身が大人な僕がそんな事を思うはずなど・・・ほんの少しだけ思ったが置いておこう。

では、どうしてか?

「子供、か」

答えを呟く。

もし前世に心残りがあるとしたら置いてきてしまった自分の子供の事だ。

好きでもない妻が産み、両親に奪われた家族。

家族や周囲の中で唯一僕の姿を知らない人。

「まさか自分の子供に会いたいなんて思ってしまうとは」

自分から命を捨て、前世からの繋がりを断ったというのに。

何処かで心残りになっていた。

孤児院の子たちを見て、自分の子供を想像してしまった。

もし成長していたらこのぐらいなんだなー、と。

だから、あのクソガキに付き合ってしまったのかも知れない。

「行くかー」
「?ルイ兄様、先程から何を呟いているのですか?」

戦闘服を着たアルスが近寄ってくる。

「おい、アルス。僕の名前を出して早く騎士を連れてこい」
「!分かりました」

指示を出すと僕は森の方へと歩き出す。それを見てアルスが言う。

「ルイ兄様はどちらに?」
「ちょっくら、散歩してくるよ」
「え!?」

アルスの驚きを無視して、詠唱した。

「【リミット・ブースト】」

聖級の身体強化魔法リミット・ブーストは、速さを極限まで高める魔法。人が耐えうるギリギリまで強化させるのだ。

僕が一歩踏み出すごとに数十メートル進む。

木々を避け探知をしながら進んでいく。


 グアアアア、コケーーーー!!


近くから咆哮が聞こえてきた。

「相手はコカトリスか」

独特な鶏の様な鳴き声。

探知をそちらの方に向けると、十の魔力の流れを感じた。

「全員まだ生きているな」

つい安堵の声を漏らしてしまった。

「あ”あ”糞!僕らしくないな。後でたっぷりと孤児院から搾り取ろう」

近くへと来た時、一気に視界が開ける。前方数十メートルにコカトリスと倒れて動かなくなっているレーナを目視する。よく見ると脇腹から血が流れ出ていた。どうやらレーナが一発御見舞したらしい。

コカトリスはこちらに気づかず自分を傷つけたレーナへと鋭い鉤爪で殺ろうとする。僕は地面を力強く踏み、一気にレーナの前へと行く。

「う、」

息はしているようだが体中は傷だらけ。

「コカトリスに一撃入れたとは大したもんだ」

僕は気を失っているレーナを小声で褒める。

「おっと、そうだった。壁となれ、【トリプルシールド】」

頭上から切り裂くように振ってきた大きな鉤爪をシールドで防ぐ。一枚目と二枚目は割れたが、最後の一枚までは割られなかった。

 グアアアア、コケーーーー!!

自分の攻撃を何処からか現れた人間に防がれ、怒り狂うように雄叫びを上げる。

「鶏風情が。第二ラウンドだ」
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