58 / 188
少年編 4章
第58話 試験
しおりを挟む
「ルイ兄様。朝になりましたので起きてください」
布団に潜り込んでいた僕をアルスが起こしに来る。
僕は目を覚ましていたが、その声を無視して狸寝入りする。
「ルイ兄様が実践試験を見ると言われたのですよ。起きてください!」
僕はその言葉を無視して寝続ける。
そう、今日はアルスとレーナの実践試験日。
二日前に行われた記述試験を簡単に二人は合格し、今日に至る。
そして僕は昨日、実践試験を見たいと言ってしまっていた。
何しろ、敵と戦うには情報が必要だから。
だが、今日になって行きたくない気持ちが芽生えた。
何か嫌な予感がする。
絶対面倒くさいことになる気がする。
「ルイ兄様。早くして!ください!」
そうアルスが声に力を込めると、思いっきり掛けていた毛布を奪い取る。
「お、おい!主人に乱暴するなんて!」
「これは主君を思って取った行動ですから」
ぐぬぬぬ。ああ言えばこう言う。
最近こいつを配下にしたことを後悔してきている。忠誠心はあついが。
「ルイ様。早く着替えてください」
どうやら近くに控えていたセバスが、服を持ってくる。
「あ~行きたくな~い」
僕は文句を言いながら着替え始めた。
「「・・・・・・」」
その間、二人は僕をじーっと見てくる。
何だかむず痒くなり、大声で聞く。
「何でそんなにじっと見てくるんだ。気持ち悪いぞ!」
僕の問いにセバスが遠慮した感じで聞く。
「いや~そのですね。前から思っていたことなのですが、普通の貴族は自分の着替えも出来ないんですよ。着替えは使用人たちにやらせていて、ルイ様が出来るのに驚いているんですよ」
・・・なるほど。貴族はそういうものなのか。
前世の名残で毎日自分で着替えていたわ。
「よし、じゃあ」
「これからもご自分で着替えてください」
「まだ何も言ってないわ!」
僕の思考を読んでアルスが言う。
「とりあえず早く着替えてください。試験を受けないルイ様が一番遅いんですから」
主人を主人とも思わない態度で言うセバス。
「私の主人はラノルド様ですから」
「だからまだ何も言ってないわ!」
ドタバタしながらも、時間通り彼らは家を出た。
会場である、学園の大競技場に着く。
中世のコロシアムみたいな場所で、観客席が中心を囲うようにできている。
「アルス、お前は何番目だ?」
「自分は十番目です」
「レーナは?」
「三十五番目です」
「そうか、まだ時間はあるな。少し見るか」
そう言って僕はフードを被る。
流石に公爵令息がいるとなると僕の周りに人だかりが出来てしまうので、身を隠すことにした。
観客席の最前列に着いた時、既に試験は始まっていた。
中心には二人の少年が相対しており、離れた位置に五人の試験官と思われる人がいる。
その中でも中心にいた一人が大きな野太い声で開始の合図を言う。
「始めぇ!!!」
その合図とともに、二人の少年が一斉に魔法を唱えだす。
この試験に来るのは基本的二種類。
魔法使いと剣使い。
僕やレーナのように魔法を使って戦うのが魔法使い、アルスやオールドのように剣と魔法を組み合わせて使っているのが剣使い。
僕は同年代がどんな実力なのか関心を持ちながら試合を見る。
二人共、身なりからして下級貴族。よく練習された魔法で、それぞれが的確に相手に当てようとしている。が―
「弱いな」
魔法のレベルが中級。種類を二種しか使われていない。
戦いの立ち回りは上手いが決定打にはならない。
結局勝負のつかないままタイムアップになる。
「はぁ~無理か」
全受験生の戦いを見た訳では無いが、こういう奴らが相手だったら・・・アルスとレーナが負けるわけない。
僕の平穏(?)な学園生活が無くなる・・・
そんなこんなしているうちに、アルスの出番となった。
布団に潜り込んでいた僕をアルスが起こしに来る。
僕は目を覚ましていたが、その声を無視して狸寝入りする。
「ルイ兄様が実践試験を見ると言われたのですよ。起きてください!」
僕はその言葉を無視して寝続ける。
そう、今日はアルスとレーナの実践試験日。
二日前に行われた記述試験を簡単に二人は合格し、今日に至る。
そして僕は昨日、実践試験を見たいと言ってしまっていた。
何しろ、敵と戦うには情報が必要だから。
だが、今日になって行きたくない気持ちが芽生えた。
何か嫌な予感がする。
絶対面倒くさいことになる気がする。
「ルイ兄様。早くして!ください!」
そうアルスが声に力を込めると、思いっきり掛けていた毛布を奪い取る。
「お、おい!主人に乱暴するなんて!」
「これは主君を思って取った行動ですから」
ぐぬぬぬ。ああ言えばこう言う。
最近こいつを配下にしたことを後悔してきている。忠誠心はあついが。
「ルイ様。早く着替えてください」
どうやら近くに控えていたセバスが、服を持ってくる。
「あ~行きたくな~い」
僕は文句を言いながら着替え始めた。
「「・・・・・・」」
その間、二人は僕をじーっと見てくる。
何だかむず痒くなり、大声で聞く。
「何でそんなにじっと見てくるんだ。気持ち悪いぞ!」
僕の問いにセバスが遠慮した感じで聞く。
「いや~そのですね。前から思っていたことなのですが、普通の貴族は自分の着替えも出来ないんですよ。着替えは使用人たちにやらせていて、ルイ様が出来るのに驚いているんですよ」
・・・なるほど。貴族はそういうものなのか。
前世の名残で毎日自分で着替えていたわ。
「よし、じゃあ」
「これからもご自分で着替えてください」
「まだ何も言ってないわ!」
僕の思考を読んでアルスが言う。
「とりあえず早く着替えてください。試験を受けないルイ様が一番遅いんですから」
主人を主人とも思わない態度で言うセバス。
「私の主人はラノルド様ですから」
「だからまだ何も言ってないわ!」
ドタバタしながらも、時間通り彼らは家を出た。
会場である、学園の大競技場に着く。
中世のコロシアムみたいな場所で、観客席が中心を囲うようにできている。
「アルス、お前は何番目だ?」
「自分は十番目です」
「レーナは?」
「三十五番目です」
「そうか、まだ時間はあるな。少し見るか」
そう言って僕はフードを被る。
流石に公爵令息がいるとなると僕の周りに人だかりが出来てしまうので、身を隠すことにした。
観客席の最前列に着いた時、既に試験は始まっていた。
中心には二人の少年が相対しており、離れた位置に五人の試験官と思われる人がいる。
その中でも中心にいた一人が大きな野太い声で開始の合図を言う。
「始めぇ!!!」
その合図とともに、二人の少年が一斉に魔法を唱えだす。
この試験に来るのは基本的二種類。
魔法使いと剣使い。
僕やレーナのように魔法を使って戦うのが魔法使い、アルスやオールドのように剣と魔法を組み合わせて使っているのが剣使い。
僕は同年代がどんな実力なのか関心を持ちながら試合を見る。
二人共、身なりからして下級貴族。よく練習された魔法で、それぞれが的確に相手に当てようとしている。が―
「弱いな」
魔法のレベルが中級。種類を二種しか使われていない。
戦いの立ち回りは上手いが決定打にはならない。
結局勝負のつかないままタイムアップになる。
「はぁ~無理か」
全受験生の戦いを見た訳では無いが、こういう奴らが相手だったら・・・アルスとレーナが負けるわけない。
僕の平穏(?)な学園生活が無くなる・・・
そんなこんなしているうちに、アルスの出番となった。
21
あなたにおすすめの小説
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした
赤白玉ゆずる
ファンタジー
【コミックス第2巻発売中です!】
逞しく成長したリューク、そしてジーナ、ユフィオ、キスティーが大活躍します!
皆様どうぞよろしくお願いいたします。
【書籍第3巻が発売されました!】
今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。
イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。アニスもレムも超カワで、表紙もカッコイイです!
素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。
【2024年10月23日コミカライズ開始!】
『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました!
颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。
【ストーリー紹介】
幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。
そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。
養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。
だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。
『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。
貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。
『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。
『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。
どん底だった主人公が一発逆転する物語です。
※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
異世界で目が覚めたら目の前で俺が死んでました。この世界でオリジナルの俺はとっくに死んでたみたいです
青山喜太
ファンタジー
主人公桜間トオル17歳は家族との旅行中、車の中ではなく突然なんの脈絡もなく遺跡の中で目が覚めてしまう。
混乱する桜間トオルの目の前にいたのは自分と瓜二つ、服装さえ一緒のもう一人の桜間トオルだった。
もう一人の桜間トオルは全身から出血し血を吐きながら、乞う。
「父さんと、母さん……妹をアカリを頼む……!!」
思わず、頷いた桜間トオルはもう一人の自分の最後を看取った。
その時、見知らぬ声が響く。
「私のことがわかるか? 13人の桜間トオル?」
これはただの高校生である桜間トオルが英雄たちとの戦争に巻き込まれていく物語
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる