62 / 188
少年編 4章
第62話 出会い (アレックス視点)
しおりを挟む「し、勝者、レーナ!」
審査員の終了の合図が響く。
その声を只々唖然とした表情で眺めている三人の姿が会場にあった。
「何なんだ!どう考えても聖級はあるぞ!」
「ぼくも見たことがない物ですよ!」
「やばすぎだろ!」
三人は各々驚きの声を上げる。
「流石は公爵令息の従者ですね、殿下」
「ああ・・・」
驚きとショックで一言しか喋ることが出来ないアレックス。
目の前の光景を信じることが出来ずにいた。
レーナが聖級魔法を使ったことにそこまで驚いたのではない。
アルスとレーナを配下に持つルイに驚いた―いや、恐怖を感じたのだった。
自分を馬鹿にした相手、ノホホンと生きてきたであろう相手を何処かで馬鹿にしていた。
自分はこんなに努力したのだ!誰にも愛されなくとも、見てくれなくても一生懸命努力してきた。
「ルイ様と比べるまでもありませんね」
レーナの言葉に更に顔を強張らせる。
ルイの実力がどれぐらいなのか分からない。
ただ、自分よりは確実に上なのは理解した。
「見返すとかできるのかよ・・・」
弱音を思わず吐いてしまう。
それだけアルスとレーナの実力に圧倒され、実力差を感じさせられた。
「殿下?どうされたのですか?」
「その呼称で呼ぶな!バレるだろう!」
声を小さくしながらハンネスを叱る。
仮にも皇子だ。バレたら人だかりが出来てしまうのを知っているため、フードを被って顔を見えなくしている。
「すいません」
フレッドの応援のために来たはいいが、偶々ルイと同じ会場になってしまっていた。
来なければ良かったと少し後悔している。
「ごめん、ちょっと歩いてくる」
アレックスは徐ろに立ち上がる。二人は付いてこようとするが、それを拒否して席を立った。
誰かにバレるのではないかと思い、足早に会場から出て近くのベンチに座ってフードを外した。
「何であいつと俺に差があるんだよ!」
先程までは会場の雰囲気に飲み込まれたか弱音を吐いていたアレックスだが、外に出て少し大きな声で苛立ちを露わにする。
「どうしてどうしてどうして!」
僕が信頼を寄せれるのはあの二人の友人しかいない。
だが、奴には優秀な従者がいて、周りからも認められて、実力を持っていて・・・
「何嫉妬しているんだろう」
自分の感情がどんどん複雑になっていくのを感じる。
俺はこの学園に何で入ったんだ?何がしたいんだ?
ますます感情、思いが混乱していく。
どうすれば―
「あの~すいません。第一会場ってここで合っていましたっけ?」
頭を抱えていた俺に一人の少女が話しかけてくる。
思わずそちらを向いてしまったが、すぐに後悔した。
また騒がれる。そう思ったが、
「あ、すいません。もしかして体調不良でしたか?」
目が合っているにも関わらず、俺の顔を見ても何も言わず、逆に何故か心配された。
「え、あ、いや大丈夫、です」
どうしてだか敬語になる。
「そうですか!それで、先程の質問なのですか」
「合ってるぞ。ここが第一会場だ」
「そうですか!良かった!」
よほど嬉しかったんか、ぴょんぴょんと飛び跳ねる。
「君も受験者か」
「ええ、一応」
胸元のプレートには五十番と書かれている。
「そうか」
「ええ!あ、もう行かなきゃ!教えていただきありがとうございました」
出場が近いためか足踏みを初めて会場へと入ろうとする。
アレックスは咄嗟に質問した。
「お、おい!俺の顔を見て何も思わないのか?」
その質問に訳が分からず首を傾げた少女だが、不意にニヤッと笑って返答する。
「右頬に汚れが付いていますよ」
「え!」
「冗談です!また会いましょう!」
本当に皇子と認識されていないらしく、しょうもない引掛けをされてしまう。
「何だったんだ?」
自分を知らない奇妙な少女。不敬ともとれる行動。
でも、心はの渦巻いていた感情が綺麗に流される感覚になった。
彼らの物語は始まったばかり。
21
あなたにおすすめの小説
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした
赤白玉ゆずる
ファンタジー
【コミックス第2巻発売中です!】
逞しく成長したリューク、そしてジーナ、ユフィオ、キスティーが大活躍します!
皆様どうぞよろしくお願いいたします。
【書籍第3巻が発売されました!】
今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。
イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。アニスもレムも超カワで、表紙もカッコイイです!
素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。
【2024年10月23日コミカライズ開始!】
『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました!
颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。
【ストーリー紹介】
幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。
そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。
養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。
だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。
『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。
貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。
『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。
『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。
どん底だった主人公が一発逆転する物語です。
※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
異世界で目が覚めたら目の前で俺が死んでました。この世界でオリジナルの俺はとっくに死んでたみたいです
青山喜太
ファンタジー
主人公桜間トオル17歳は家族との旅行中、車の中ではなく突然なんの脈絡もなく遺跡の中で目が覚めてしまう。
混乱する桜間トオルの目の前にいたのは自分と瓜二つ、服装さえ一緒のもう一人の桜間トオルだった。
もう一人の桜間トオルは全身から出血し血を吐きながら、乞う。
「父さんと、母さん……妹をアカリを頼む……!!」
思わず、頷いた桜間トオルはもう一人の自分の最後を看取った。
その時、見知らぬ声が響く。
「私のことがわかるか? 13人の桜間トオル?」
これはただの高校生である桜間トオルが英雄たちとの戦争に巻き込まれていく物語
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる