200万年後 軽トラで未来にやってきた勇者たち

半道海豚

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第4章

第123話 チャド湖東岸

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 チャド湖周辺は、網目状に森が広がる奇妙な風景が続く。幾何学的ではあるが、正確な図形ではない。自然の造形のようでもあり、人工の産物にも思える。
 草原に道があり、森のなかを通り抜けていく。
 草原の半径は2キロほど。
 フェニックス双発双胴輸送機は、森に囲まれた草原に着陸し、2輌のATV(全地形対応車)を降ろしている。
 1輌には冷蔵庫が備え付けられていて、冷蔵庫用発電機とバッテリーも積んでいる。

 チャド湖周辺は、陸棲ワニが非常に多い。西にはいない、吻部が短い草食のワニもいる。この草食のワニは、群で行動する。体長は3メートルほどだが、非常に敏捷だ。
 このワニが大量にいるためか、ガゼルがいない。ライオン、チーター、カラカル、ハイエナなどの哺乳類の捕食動物もいない。
 シマウマ、ゾウ、サイはいる。
 奇妙な風景で、常に心のざわつきを感じさせる。

 この作戦は、銃器班と車輌班の支援を受けていたが、それ以外は“誰も知らない”状態だった。
 銃器班は水口珠月、車輌班は金沢壮一、それ以外に知るヒトはごくわずか。銃器班では、須崎金吾でさえ知らない。
 水口珠月はチャド湖周辺には大型爬虫類が多いという情報から、7.62×51ミリNATO弾を使う銃器を用意した。小銃は西地区の制式FN FAL、機関銃はMG3。パンツァーファウスト3並の長射程型RPG-7も十分な弾頭を送っている。
 車輌班が準備したATVは、1輌が4人乗り、1輌が2人乗りピックアップとされた。
 遺伝子サンプルの確保は、半田千早、アルミン、ハイノの護衛チーム、ミルシェ、リュードの採集チームの計5。

 金沢壮一は、水口珠月に居館の食堂の片隅で顔を合わせていた。
「この作戦は危険だ。
 もし、フェニックスが飛べなくなったら、救出は困難どころか不可能に近い。
 バックアップの機材は、バンジェル島のガンシップだけだ。
 この作戦が終わるまで、ガンシップを臨戦態勢にするんだ。
 誰にも知られるな。由加さんにも……。半田さんにも……。
 敵はどこにいるかわからない」
 水口珠月が金沢壮一を見詰める。
「ブロウスの信奉者が妨害に出る?」
 金沢壮一は心底不安だった。
「可能性は十分にある」

 フェニックス5号機は、1800キロ飛行してチャド湖西岸に至り、チャド湖を横断して、東岸から30キロの予定地点に無事着陸していた。機体、降着装置ともに損傷はない。
 中央胴体後部ランプドアから、ATV2輌を自走で降ろし、東岸に向かう準備を整えていた。

 フェニックス5号機の塗装は、明るい茶色1色の単色迷彩で、この一帯の風景には馴染んでいる。しかし、上空から見れば、あるいはこの草原に踏み込めば、容易に判別できる。
 7日間、誰にも見つからない、という期待には無理がある。
 だから、できるだけ手早く、できれば2日か3日で任務を終わらせる必要がある。
 5人は、着陸後、すぐにチャド湖がある西に向けて出発した。

 機長のラリーサ、副操縦士のラーニー、航法士のババク、航空整備士のイルファンは、ジッとこの地で待つ以外の任務はない。
 救世主に傍受される危険があり、無線は封止している。日没後に1度だけ、リュード隊からFM変調による圧縮された電文が送られてくるだけだ。

 半田千早が運転し、助手席にアルミン、後部座席にハイノが座る。助手席と車体フレーム上部にはMG3機関銃を装備している。

 リュードは機長以下クルーに、ヒトを見つけても接触しないように厳命している。
 不用意に接触すれば、西ユーラシアの感染症を伝播してしまう可能性があるし、その逆もありうる。
 リュードは特に、白魔族の“遺伝子工学”を警戒している。ヒトの遺伝子を操作しているとすれば、黒羊や白羊には無害なウィルスでも、それ以外のヒトには致死性ということもある。
 実際、オルカなどの証言では、数百年前に高い致死性の伝染病がチャド湖西岸で猛威を振るった記録があるという。
 発生源は、チャド湖東岸の白羊とされている。東岸で白羊と接触した人物が、西岸に病原を持ち込んだのだ。
 接触感染か空気感染か、その他の感染だったのかはわからないが、西岸の人口の3分の1が死亡している。4つの街を封鎖することで、街は全滅したが、感染は食い止めた。
 当時の西岸の人々の処置は、医療行為より、軍事行動に近かったようだ。
 疫病が蔓延した街を包囲し、罹患の有無にかかわらずヒトごと焼いたのだ。

 半田千早たちが出発した当日。機長たちクルーは、森からヒトが現れるところを目撃する。
 200万年前のこの一帯は、年間平均最高気温35℃、年間平均最低気温20℃ほどであった。
 200万年後は、最も気温が高い時間で25℃ほど、日の出直前は15℃まで下がる。200万年前の熱帯の気温ではない。
 雨が降らない限り、湿度は低い。チャド湖の上には雲があるが、湖の水深が浅いためか雲に厚さがない。

 機長のラリーサは、森から現れたヒトの姿を操縦席から見て呆然としていた。
「原始人?」
 隣に座る副操縦士のラーニーが答える。
「ヒト、ですかね?」
 機体上部銃座の機関銃手を兼ねる航空整備士のイルファンが、動力銃座から飛び降りた。
「機長、見ましたか?」
「見た、けど、ヒト?」
「ヒトにしか見えませんよ。
 髪が赤くて、肌が白く、髪はボサボサですけど、服みたいなものは着てましたよ」
 航法士のババクがイルファンの背後に立つ。
「だが、半分は裸だった。
 機長、ランプドアを閉めてきました」
 ラリーサが命じる。
「すべての乗降ドアをチェック。
 完全に閉鎖しろ」

 乗降ドアのチェックを終えると、4人は再度機首の操縦室に集まる。
 ラリーサが“原始人”と呼んだ集団は、草原と森の境界付近にいた。木の実を採集しているようだ。先端を尖らせた長い棒を持つものが複数いる。
 集団は20体ほど。奇声を発したりはせず、音を立てず、意外なほど整然と行動している。
 30分ほどで姿を消し、飛行機には一切の興味を示さなかった。イルファンが「ヒトではないと思う」といったが、その理由の1つとして飛行機に興味を示さなかったことを挙げた。
 ヒトならば、好奇心から、飛行機を無視できないはず。この説には、他のクルーも本能的に賛成した。
 ヒトではないにしても、眼前に巨大な物体があるのに、一切興味を示さない様子は、知性を感じさせなかった。
 機長は「機外に出るのは、1日に1回のみ、2人ずつ、各30分とする」と命じ、加えて「もし、また現れたら、視界にいるうちはできるだけ観察し、映像に収める」と指示した。撮影担当は、航空整備士のイルファンとした。

 静かな機内で機長のラリーサが疑問を呈する。
「本当に親の努力は子供に遺伝しないのか?」
 航空整備士のイルファンが機長の疑問を拡大する。
「腕のいい整備士の子は、腕のいい整備士になるぞ」
 航法士のババクは、イルファンの論を肯定する。
「俺は北地区に転居したが、俺の両親は東地区に住んでいるんだ。
 兄貴の家族と一緒に、農業をやっている。
 親父も兄貴も……、収穫が多くない。周囲の農家と比べてね。親父の能力が兄貴に遺伝したんだと思う」

 副操縦士のラーニーが反論する。
「俺は、第2世代だ。親父と2人の兄貴は、移住第1世代。兄貴は200万年前の世界で生まれ、俺は200万年後に父親がやって来てから生まれた。
 お袋は、世代を重ねた人々だ。兄貴のお袋さんは、人食いの餌食になった。
 親父は、農業班にいる。家畜の医師だ。200万年前は、家畜の品種改良の研究をしていたらしい。
 親父がいっていた。何かに長けた親は、その技術を子に効果的に効率よく教えられる。
 その反対もあるって……。
 親父は、親がこの世に生まれてから獲得した能力は、子に遺伝することはないっていっていた。
 だから、俺も適切に不断の努力をすれば、優秀なパイロットになれるって……。
 俺は親父や兄貴たちと違い、動物の相手をするよりは、鳥みたいに空を飛びたかった。そんな、俺に親父が贈ってくれた言葉だ。
 俺はそれを信じている」
 機長のラリーサが同意する。
「確かに……。
 親の努力云々で、子の運命が決まるなんて、理不尽だ」
 航空整備士のイルファンが賛成する。
「そりゃ、そうだ」
 航法士のババクが笑う。
「財産だけ相続すりゃいいんだ。知識、能力、経験まで相続したら、不公平ってもんだ」

 副操縦士のラーニーが話を続ける。クルーは周囲を監視している。
「親父の話の続きだが……。
 親父は農業班の家畜家禽部で働いている。もう、いい歳だが元気だ。休日は、お袋と庭の花壇の手入れをする。
 獲得形質は遺伝しない。
 これは原理原則。3代続けて、人食いに右手を食いちぎられたからって、4代目にも右手はある。
 獲得形質は遺伝しない。だが、獲得形質が遺伝すると唱える学者は後を立たない。
 200万年前は、そうだったらしい。
 オーストリアのパウル・カンメラーという学者は、陸で交配して足に卵をつけ、孵化まで保護するサンバガエルを使った実験をしたんだ。
 この学者は、水中で交配して産卵させることに成功する。水中で交配するサンバガエルには、オスの前足親指にコブができて、水中でメスを捕まえるときの滑り止めになる。
 本来のサンバガエルにはこんなコブはない。水中での交配を可能にするための進化と考えられる。
 この学者は、サンバガエルを3世代にわたって水中で産卵させた。このコブは、2代目では小さいが、3代目は明瞭なものになったと発表する。つまり、3世代で明確な進化を遂げたというわけだ。
 水中で交配するための器官としてコブができ、そのコブが獲得形質として遺伝したと主張したんだ。
 だが、実験で使われたサンバガエルを別の研究者が検証すると、コブはインクを注入した偽造だった。
 実験自体が捏造だったんだ。もちろん獲得形質が遺伝した証拠なんてなかった。コブの偽造がばれて、この学者は自殺するんだが、自分の生命を賭けてでも獲得形質の遺伝を主張したかったのだろう。
 自然選択は、偶然の産物だ。ヒトが偶然ヒトになったなんて堪えられない。ヒトとなるべく努力したからヒトになった、と思いたい。それは研究者にも、素人にも多くいる。
 それほど、ヒトにとって獲得形質の遺伝っていうやつは、魅力があるんだ。
 学者でさえそうなんだから、ブロウス・コーネインのような遺伝のド素人ならば、本気で信じていても不思議じゃない。彼が口先でそれらしいことをいえば、一般のヒトは信じるだろう。
 潜在的にそうあって欲しいと願っていることは、肯定してやれば、ヒトは簡単に信じる。
 俺は、この任務を志願した。親父からブロウスたちのことを聞いていてね。
 親父の跡を継がなかった、親父への侘びだ」

 機長のラリーサが笑う。
「何か事情があるんだろう、って思っていたよ。俺よりも飛行時間の長い輸送班のパイロットが、副操縦士で志願したって聞いたときに……。
 で、本当に、その“獲得形質”ってやつは遺伝しないのか?」
 副操縦士のラーニーが嬉しそうに微笑む。
「セントラルドグマという考え方がある。遺伝情報の伝達は、DNAの複製、複製したDNAをRNAで翻訳、翻訳した結果をタンパク質に伝えるんだ。分子生物学における一般的な説だ。
 DNAの複製、つまり子供に遺伝子を受け渡すときに突然変異が起こる。
 子は両親から半分ずつ遺伝情報を受け継ぐけれど、確率は低いけれど、写し間違いをするんだ。これが、突然変異。
 遺伝情報は、DNAを翻訳して形質が現れる。その逆、後天的に現れた形質が遺伝情報に伝わることはない、とされている。
 つまり、獲得形質は遺伝しない。
 ここまでが基本。ここからは例外だ。
 エピジェネティクスという説がある。DNAの変化を伴わない遺伝子の発現がある、とする説だ。
 つまり、形質の発現は遺伝子情報以外の要素もあるってわけ。親からの遺伝子では親が獲得した形質を受け継げないとしても、他のルートなら獲得形質は受け継げるかもしれないってことさ。
 だけど、この説は獲得形質の遺伝を支持するものじゃないんだ。突然変異によらない形質の変化はあるかもしれないけれど、その形質も遺伝子によるものなんだ。
 つまり、進化は突然変異以外でも起きることはあるかもしれないけれど、自然がその形質を選択すれば遺伝という形で継承されていくし、その逆ならば消えていく。どうでもよければ、そのまま伝えられるけど、どうでもいいまま、ということになる。
 親父がいうには、ブロウス・コーネインは家畜の品種改良みたいに、ヒトを改良したいんだと。それを進化だと思っているらしいが、進化なんかじゃない。
 単なる人為的な品種改良に過ぎないって……。亜種や変種でさえなく、単なる品種だと。無知で愚かな行為だとも……。
 進化はもっとダイナミックなものなんだ。突然変異があっても、多くは自然選択の対象にはならない。生物が生きていく上で、不利にも有利もならないんだ。
 稀に有利になる形質が発現すれば、それが子孫に伝わり種の主流となり進化となる。不利ならば子孫を残す機会を得られず、遺伝子はいつしか顕在化しなくなる。
 進化は、突然変異の形質の変化を自然が選択することで起きるんだ。突然変異以外の変異だって同じだ。形質が変化すれば、自動的に自然選択の枠組みに入れられる。
 進化を人為的に起こすことはできない」

 機長のラリーサが問う。
「ベテランパイロットの副操縦士殿は、この任務の結末は、どうあって欲しい?」
 副操縦士のラーニーは即答した。
「本来のノイリン北地区に戻って欲しい。
 博愛、寛容、自由、平等を尊ぶ北地区に。俺は北地区で飛行機の操縦を習った。東地区の出身だからといって、差別されたことはない。
 本来の北地区に戻って欲しい」
 航法士のババクが賛成する。
「俺も同じ気持ちだが、簡単じゃない。
 ブロウス・コーネインは井戸に毒を投げ入れた。
 ヒトが根源的に持つ些細な願望を、邪悪な闇に転化したんだ。
 この闇を照らす光は、強烈じゃないと。
 それをチハヤたちが、見つけられればいいが……」

 半田千早たちは、2時間で湖岸付近まで近付くことに成功する。
 網状に広がる森に隠れて、草原を観察する。草原は幅の狭い森に囲まれ、周囲とは隔離されている雰囲気がある。
 半田千早、アルミン、ハイノは、森林迷彩の作業服、ヘルメット、ボディアーマーを着けているが、ミルシェとリュードは白い防護服を着けている。その白が奇妙に目立つ。
 眼前には、瀟洒な家、木製の柵、その柵のなかには貫頭衣風の簡易な白い服を着た成人のヒトがいる。
 全員が坊主頭だ。柵は2つに分かれており、2つの柵の間には緩衝地らしい空き地がある。最初はわからなかったが、男女を分けている。ヒトは男女とも小柄で、年齢は10代後半以上のようだ。
 ミルシェとリュードは、子供はいない、と判断した。
 アルミンが「ここは、何なんだ?」と問い、ハイノが「見る限り、牧場だ。ヒトの」と答える。
 柵内のヒトは活発には動いておらず、老人の散策のような行動をしている。
 草の上に座っているヒトもいる。
 牧童らしい騎乗していない男が4人。ウマに乗った男が2人。牧童の雰囲気は、服装はカウボーイ風だが、剣を下げていて、銃は持っていない。
 牧童側の女の姿はない。

 異様な光景であった。
 ヒトが飼われている。

 森のなかは静かだった。鳥の声も聞こえない。そして、半田千早たち5人は重苦しい沈黙を続けている。
 リュードが少し高い声でいう。
「思うところはあるが、任務を果たそう。
 隙を見て、サンプルを回収する。
 白い服が白羊、カウボーイ風が黒羊だろう」

 しかし、その隙は夕方になっても訪れなかった。
 半田千早たちは、日没前に車輌に乗って隣の草地に移動する。

 リュードがいう。
「違うな」
 ミシュリンが答える。
「えぇ」
 半田千早が問う。
「何が違うの?」
 ミシュリンが大きく息を吸い込んでから、防護服のマスク越しにくぐもった声で答える。
「前の柵にいたヒトだけど、黒髪、白い肌だった。
 ここの柵のヒトは、金髪で肌の色も違う。白いけど、白さが違う」
 半田千早は、短髪であることには注目していたが、髪の色は意識していなかった。
 ミシュリンの説明は正しく、髪の色と肌の色が違う。
 半田千早が問う。
「種が違うの?」
 リュードが防護マスクを外して答える。
「品種だ。ヒトの品種だ!」
 半田千早がリュードの瞳を見詰める。
 リュードは、半田千早の突き刺すような視線を真正面から受けていった。
「ブタの品種改良と同じなんだよ。
 多産、肉質、免疫、成長、体重。
 何でもいいが、食用としての“生産性”を上げるための品種改良をやっているんだ。
 ここは肥育の場じゃない。たぶん、繁殖のための牧場だ。
 白魔族は、ここで食用のためのヒトを“繁殖”させているんだ。
 品種改良の結果、外見が違う品種が作られた。
 ブタはイノシシを食用目的で家畜化した動物だが、バスク豚、イベリコ豚、デュロック種とか、ブタの品種にはいろいろある。
 ヒトがブタにしたことと同じことを、白魔族はヒトにしたんだ。
 そうとしか思えない」
 リュードは明らかに興奮している。怒りではなく、強い嫌悪を表している。
「チハヤ、次の柵に移動しよう。もっと、たくさんの牧場を調べるんだ。
 私の仮説が正しければ、いいや正しくないことを願うが、確認しなければならない」
 半田千早が引き止める。
「先生、もうすぐ日没です。
 朝まで、ジッとしていましょう。
 夜間行動は危険です」
 壮年をとうに過ぎている科学者は、16歳の少女の指示に従った。

 半田千早とリュードは、夜明けの直前には行動を始めていた。
 車輌を使わず、森を伝って徒歩で北に向かった。
 ミルシェ、アルミン、ハイノは、白羊の遺伝子サンプルを確保するチャンスをうかがうことになった。

 森が網状に広がり、森を使えば、誰にも見られずに、どこへでも行ける不思議な風景だ。網目の部分が草原だ。イネ科の草が茂り、腰くらいの高さがある。
 姿を見られずに柵の近くまで近付くことはできるが、柵周辺と柵の内側の草は、短く刈られている。
 網目の形状は、六角形、八角形、円形が多い。網目の中央付近に建物があり、その建物には全周を見渡せる塔がある。
 塔には弓矢を持った牧童がいる。網目にあたる草原の直径は4キロほど。塔の高さは8メートル、雨や霧がなければ平坦な草原のすべてが見渡せる。
 半田千早とリュードは、森から10メートルほど草原に入り込んだ丈の高い草むらに潜んでいる。
 リュードが要望する。
「撮影したい。ここのすべてを」
 半田千早が森を振り返る。
「先生、森の戻ろう。
 高い木から、最大ズームで撮影すれば……」
 リュードが了解する。
「チハヤに従う。
 私には木登りは無理だが……」
 半田千早が笑う。
「私が登るよ。
 先生、ゆっくり戻るよ。立ち上がらずに、付いてきて」

 森には巨樹・大木はないが、ヒトが登っても折れない程度の幹と枝がある低木はある。森の木々は、総じて樹高が低い。
 半田千早は、5メートルほどの高さからリュードから渡されたデジタルビデオカメラで、草原一帯から白羊と思われるヒトの群、個体の様子、黒羊と思われる牧童の動きを30分にわたって、克明に記録した。

 ヒトは、ヒツジのようであった。終始動き回っているが、その行為自体に意味がある、あるいは目的があるようには感じられない。
 単に健康を維持するためだけの適度な運動でしかない。
 半田千早とリュードは、八方を森で囲まれた閉鎖空間に近い草原4カ所を撮影する。森伝いに20キロ、往復で40キロを徒歩で移動し、丸1日をかけ、ヒトの奇妙な有り様を撮影し続けた。
 撮影時点では、半田千早は家畜化されたヒトに対して「のんびりとしていて、いいなぁ」程度の感想しかなかった。
 切迫感、悲壮感、怒りや悲しみは感じなかった。リュードは違い、やや興奮している。怒りの感情をあらわにすることもある。
 特に幼児を“放牧”する草原では、リュードの怒りと困惑は危険な水準にあった。彼は何度も不用意に動き、姿を暴露しかけている。
 半田千早はそんなリュードを抑えることに精一杯で、彼女自身は「保育園だね」程度の感情しか抱かなかった。

 半田千早とリュードが車輌まで戻ると、ミルシェが近付く。
「先生、遺伝子サンプルは採取できませんでした」
 リュードが水筒から水を飲みながらいう。
「チハヤが映像を撮った。驚嘆すべき映像だ。
“遺伝子の改良によって人類の進歩を促す科学的社会改革”がどういうものか一目でわかる。
 遺伝子自体の改良なんて、人為的にはできない。だが、都合のよい遺伝的特性を交配によって固定化することはできる。
 遺伝子の多様性を排除して、ごく一部であっても均質な形質を持つ集団を作ることは可能なんだ。
 それが、家畜の品種改良だ。
 交配による品種改良には、弊害もある。生存に不利な形質が現れることがあるし、病気などの耐性が低い個体も生まれる。
 それをどうにか排除して、新たな品種を生み出すんだ。
 おそらく、白魔族は、その手法をヒトに使った!
 ゲノムの編集といった生命工学的手法の有無はともかく、白魔族はヒトに対して交配による品種改良を実施したんだ」
 半田千早には、リュードがなぜ興奮しているのか理解できなかった。
 唐突にミルシェが泣き出す。
「そんなの酷いよ。
 イヤだよ。
 自然への冒涜だよ。
 精霊が怒っちゃうよ」
 この瞬間、半田千早は彼女がよく知るミルシェを見た。子供の頃と変わらないミルシェを。
 美形で、冷徹で、冷酷で、何にも動じないミルシェではなかった。兄の背中に隠れていたミルシェだった。

 ミルシェはしばらく声を出さずに泣き続け、リュードは黙りこくった。
 夜になると、半田千早は、この地から禍々しい何かを感じ始めていた。他のメンバーも同じだった。ヒトにとって、本能的に嫌悪を感じる気のようなものが、地面から放射されているように感じるのだ。

 夜は冷える。防水シート製のポンチョが、最良の防寒具だ。毛布を身体に巻き、ポンチョを被って、ATVのシートで交代で眠る。
 その夜は、なぜか全員が眠れなかった。
 リュードが話し始める。
「優生学は、自然科学ではないし、社会科学でもない。神学や哲学でもない。筋の悪い新興宗教だ。
 邪教だよ。
 優生学は、ヒトの心に原初的に巣くっている悪魔を目覚めさせる。
 ヒトを含めて、生物の進化は、偶然起こる。方向性はないし、生物の意思や潜在的な指向性なんてものはない。
 すべて、偶然なんだ。
 遺伝子には、いくつかの選択が働く。自然選択のほかには、性選択もある。
 若いお嬢さんは、格好いい男の子が好きだ。これが性選択だよ。
 しかしね、律儀で誠実な見てくれのいい男よりも、醜男〈ぶおとこ〉でも口が達者なナンパ野郎のほうが遺伝子を残すんだ。
 優秀な遺伝子だからって、残るわけじゃない。そもそも、遺伝子に優劣なんてない。その局面で、適応するかしないかだけなんだ。
 ヒトがブタを品種改良しようとすると、ここで自然選択が働かなくなる。
 ヒトがある形質を残そうと、人為的に“改良”を試みても、特定の形質を抜き出したに過ぎないんだ。
 遺伝学的には、意味はないし、生物として進化もしていない。遺伝的多様性が失われているから、生物としての生存には不利に働く。
 ブタはイノシシを家畜化した動物だが、人為的な選択が働かなくなれば、自動的に自然選択が働く。
 数代を経れば、ヒトが介在して作り上げた品種なんて、消えてなくなっている。
 個体が死滅するって意味じゃない。代を重ねて、ヒトの都合で行った改良が、本来の姿に戻るんだ。
 つまり、人為的な品種改良は、進化には結びつかない。
 それは、ヒトも同じ。
 ブロウス・コーネインの“理想”を確実に実現するには、父と娘、母と息子、叔父と姪、叔母と甥、姉と弟、兄と妹を交配させる必要がある。
 崇拝者たちは、それを理解しているのだろうか……?」
 半田千早がリュードに尋ねる。
「ハプスブルク家?」
 リュードが引き継ぐ。
「よく知ってるね。チハヤは博識だ。
 歴史は門外漢だが、200万年前の西ユーラシアにはハプスブルク家という王家があった。
 大災厄が起こる何百年も前のことだ。ハプスブルク家は婚姻による領土の拡大を行ったが、同時に領土が婚姻によって他家に移ることを嫌った。
 そこで、一族内での血族結婚を繰り返す。特に叔父と姪の婚姻が多かった。
 結果、障害を持った子供や夭逝〈ようせつ〉するものが増える。特に、顎に障害が発生することが多く、咬合がうまくできない人物もいた。カルロス5世という王様は咀嚼できずに、食べ物を丸呑みしていたらしい。
 こういった問題を回避する方法もあるが、ブロウス・コーネインの信奉者たちはどうするんだろうねぇ」
 アルミンとハイノは、同一のグループを12時間以上観察していて、白羊のヒトとは異なる部分を十分すぎるほど、見せ付けられていた。
 特に草原の真っ只中での交配は、衝撃的だった。黒羊は女を発情させ、発情した女を使って男を発情させた。
 そして、発情した男と女を交配させた。
 アルミンとハイノは、白羊に知性を感じさせる部分がまったくないと……。
 アルミンが「ヒトとは違う」というと、ハノイが頷いた。

 翌日、アルミンは、黒羊による白羊の交配作業の撮影に成功する。
 残る任務は、黒羊と白羊の遺伝子サンプルだ。ミルシェとリュードは、困ったことに「複数個体のサンプルが必要だ」といい始めた。

 フェニックス5号機のクルーは、帰還したい思いを押さえることに苦労していた。

 夜明け前、朝食のビスケットを食べているミルシェに半田千早が問う。
「何で、複数の個体の遺伝子サンプルが必要なの?」
「個体間の関係、他人なのか血縁なのか、それを知りたいの」
「男だけで300人以上いるけど……」
「全員が血縁だと思う。
 それを確かめたい」

 フェニックス5号機のクルーは、朝から機内に閉じ込められていた。
 半裸、全裸のヒトに似た動物が、今朝も森の縁に現れたからだ。
 ラリーサが問う。
「ヒトなのかな?」
 ラーニーが答える。
「ヒトに見えるけどね」
 イルファンとババクは沈黙。
 ラリーサが尋ねる。
「ブロウス・コーネインがいうように、優れた遺伝子を持つ男女が結婚し、子をなせば、ああはならないのだろうか?」
 ラーニーは、答えを持っていた。
「そういう問題じゃない。
 遺伝子っていうヤツは、かなり厄介なんだ。
 そもそも優れた遺伝子、劣った遺伝子がない。特定の環境化で、生存に有利な遺伝子と、不利な遺伝子があるだけだ。
 遺伝性の疾患はあるが、疾患を引き起こす遺伝子を“撲滅”できるわけじゃない。
 そもそも、遺伝性の疾患だって、環境が変われば生存に有利に働くことがあるんだ。
 乳糖分解酵素活性持続症がいい例だ。この遺伝性疾患にかかっていれば、離乳後もミルクが飲める。
 この遺伝性疾患の発現があまりにも多いから、発現しないヒトは乳糖不耐症だ。本来は、遺伝的に乳糖不耐症が正しい。
 ブロウス・コーネインが主張するような人為的な遺伝の操作をすると、ヒトの生存確率が減る。
 あのヒトに似た動物だけど、たぶんヒトじゃないかな。全員金髪だ。金髪は潜性遺伝子だから、集団全員が金髪ならば、何らかの人為的操作か突然変異か……。
 ブロウス・コーネインの主張を真に受ければ、ヒトは文明を失いああなる可能性もある」
 ラリーサが下を向く。
「安心したよ。
 しかし、あの様子は衝撃だね。
 我々にできることはないのだろうか?」
 ラーニーが瞑目する。
「見て見ぬ振り以外、何もできないよ。」
 ラリーサがさらに疑問を呈する。
「優れた、劣った遺伝子は本当にないのか?」
 ラーニーがその疑問に真正面から答える。
「遺伝子には、顕性と潜性がある。
 顕性は現れやすく、潜性は発現しにくい。
 遺伝子の大半は、生存の有利・不利には無関係だ。
 例えば、耳垢、湿っていると顕性、乾いていると潜性が発現している。
 ABO式血液型なら、AとBが顕性、Oが潜性だ。
 だけど、遺伝子には、生存に不利なものもある。
 顕性で生存に不利な遺伝子は、発現しやすいから、自然の淘汰圧を受ける。その遺伝子を受け継いだ個体は子孫を残す確率が減る。
 だが、潜性で生存に不利な遺伝子は、発現しにくいから、自然の淘汰圧を受けない。結果、継承しやすいんだ。
 血縁の個体グループの場合、潜在的に発現しにくい生存に不利な同じ遺伝子を持っている確率が高い。
 だから、血縁の個体グループ間で交配をすると、生存に不利な遺伝子を発現させてしまう確率が高まるんだ。
 血縁関係がなければ、雌雄とも生存に不利な潜性遺伝子を継承していても、同じ遺伝子である確率が大きく減るので、生存に不利な形質が現れる確率が減る。
 例えば、湿めった耳垢は聴覚に悪い影響を与えるとしよう。この場合、湿った耳垢は顕性遺伝子だから発現の確率が高い。当然、淘汰圧を受けるから、潜性遺伝子を持つ乾いた耳垢の個体が増えていく。
 逆に、もし湿った耳垢が潜性遺伝子ならば、血縁のある個体グループは潜在的に持ち続ける。発現しにくいからね。淘汰圧を受けないんだ。
 で、血縁間で交配すると、雌雄とも湿った耳垢の潜性遺伝子を持っているのだから、かなりの確率で形質として発現することになる。発現確率は4分の1の高確率だ。
 血縁のない雌雄が交配した場合、生存に不利な潜性遺伝子の発現を防ぐだけじゃなく、生存に有利な潜性遺伝子を発現させる可能性が出てくる。
 遺伝子は両親から均等に受け継ぐから、血縁のない雌雄間の子は、遺伝子が多様化する。これだけで、種として生存可能性が高まるんだ。
 一定地域の個体数が極端に少なくなると、血縁間の交配以外に子孫を残す方法がなくなる。こうなると、一般的には急速に絶滅に向かっていく。
 この世界のヒトは、人口が少ない。俺たちが湖水地域を目指した理由、チャド湖に惹かれる理由は、遺伝子の多様化を求める本能かもしれない。生物としてのね」
 ラリーサがコーヒーカップを受け取る。
 一口だけ口に含み、喉に流し込む。
「遺伝と進化の関係がわからないんだ」
 ラーニーが困惑する。
「正直、誰にもわからないと思う。
 なぜ、生物は進化するのか、それは究極の疑問だよ。
 わかっていることは、子は両親から均等に遺伝子を受け継ぐ。しかし、受け継いだ遺伝子には複写ミスがあり、そのミスは悪い方向にばかり向かうことがないってことだ。
 複写ミスが突然変異だ。
 突然変異は常時起きている。突然変異が身体の形成に何らかの影響を与える場合は、自然選択のメカニズムが働く。
 この世界において、ヒトにとっての天敵はヒト食いだ。
 足の速いヒトは、天敵であるヒト食いから逃れられる確率が増すか?
 答えは否。ヒト食いの瞬発力は圧倒的だ。少しばかり速く走れても、生存可能性は高くならない。
 むしろ、身を隠す能力。体臭がないとか。
 ヒト食いは、視覚、聴覚、臭覚の順で認識することがわかっている。
 視覚を誤魔化しても、臭覚でヒトと認識することも知られている。
 ありえないが、体臭がないヒトがいれば、生存可能性は飛躍的に高まる。
 ありえないことが突如起こること、それが進化なんだろう。
 遺伝のレベルを超えた変化、それが進化なのかもしれない。
 ヒトを含めて、生物は、何らかの指向性があって進化するわけじゃない。進化の決め手は、自然選択だ。生物は主体的に進化するんじゃなくて、自然が、環境が、進化の方向を決めるんだ。
 つまり、俺たちにはどうすることもできない」
 ラリーサが重ねて問う。
「ブロウス・コーネインは、ヒトの力でヒトの進化を制御できると……」
 ラーニーが答える。
「あぁ、金髪の女と金髪の男を同じベッドに入れたら、優秀な子孫が残せるって考えているんだ。
 金髪の両親からは黒髪の子は生まれない。そうやって、金髪を増やす。その集団は、他の集団とは性的接触はしない。黒い髪の遺伝子が入り込んだらたいへんだから。
 それが、ヒトの進化だと考えている。
 実際は、人為的に遺伝子の継承を操作するから、自然選択は働かない。人為的な選択は働くだろうが、それでは進化は起きない。
 なぜなら、希望しない形質が発現したら、排除してしまうからね。突然変異の恩恵を、ある意味否定しているんだ」

 ミルシェとリュードは防護服を着ている。これは、2人が黒羊や白羊からの病原の伝染を防いでいるのではなく、その逆だ。2人が伝さないようにしている。
 それと、2人の遺伝子がサンプルに混入することを防いでもいる。
 2人の白い防護服は、よく目立つ。気を付けてはいたが、白羊が気付く。
 10体ほどが近付いてくる。興味を示したようだ。ゆっくりと近付いてくる。
 麻酔銃はライフル型が2挺ある。単発で、再装填には時間がかかる。発射はガスで行う。有効射程は最大25メートル。火薬を使わないので、基本的には無音だ。
 ミルシェが手を振ると、かなりの速さで近付いてくる。
 距離10メートルで、リュードが発射。続けてミルシェも発射。リュードが次弾を装填、ミルシェも続く。
 白い服を着た風貌のよく似た10体ほどが、倒れた個体を見ている。
 リュードが発射し、ミルシェが続く。
 4体が倒れ、6体が逃げ出す。
 リュードが3弾目を発射し、最大射程ギリギリで5体目を倒す。

 ミルシェとリュードは、血液の採取に取り掛かる。注射器で採血し、密封容器に移し、容器にラベルを貼り、輸送用ケースに入れる。
 2人は急いている。麻酔は5分ほどしか効果がない。麻酔薬のケタミンは量を極限まで減らしていて、個体への影響を最小にしているからだ。
 リュードが5体目の血液を回収した。

 しばらく待つと、撃たれた5体が目を覚まし、立ち上がる。針の刺さった部位を触る。
 その様子を不審に思ったのか、ウマに乗った黒羊が近付いてくる。
 ウマは走っていない。歩いている。1体が先行し、2体が続く。
 ミシェルは、無謀な行動に出た。
 先行する1体に、最大射程距離付近で麻酔銃を発射したのだ。
 撃たれた黒羊は、肩に刺さった針を自分で抜いたが、ウマの背から落ちずに、馬上で突っ伏す。
 ミシェルは、再装填している。
 後続の2体がウマの歩みを速める。
 先行のウマは、5メートルまで近付いている。
 ほぼ同時にミルシェとリュードが撃った。
 2体が馬上から崩れ落ちる。
 先行の1対は動いていないが、後続の2体は動きを止めていない。
 ミルシェが馬上に突っ伏す黒羊の左腕にゴムバンドを巻き、血管を浮き立たせ、注射器で採血する。
 リュードは抵抗する1体から採血、ミルシェも最後の個体の採血をする。

 ミルシェとリュードが森のなかに戻ってくる。
「さぁ、逃げよう」

 5人を乗せた2輌は、フェニックス5号機に向かった。
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