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第2章
第四九話 犠牲
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厳冬期であってもロワール川は、結氷しない。この川は、東西と南北を結ぶ、重要な交易路だ。
この川を封鎖されたら、ノイリンの生存は危機に陥る。それは、シェプニノやカンガブル、そして多くのヒトの街や村も同じ。
ロワール川は、生命線だ。
この川をフルギア人が、西の川(アリエ川)合流部よりもやや下流で封鎖した。
ロワール川中流域に住む鬼神族との交流が遮断されたが、それはヒトに対してだけで、精霊族と鬼神族は通行勝手だった。
精霊族のほとんどとの交流は、遮断されていない。
実際、フルギア人の行為は不愉快だが、実害は少ない。
評議会では、議題の俎上にも載らなかった。だが、俺たちの居館では、かなりの話題になっている。
食堂で大人たちが新作のジャガイモ焼酎を試飲していると、チェスラクが「フルギア人の封鎖を解かないと、連中は付け上がって次の手を打ってくる」と発言。
それにヴァリオが「その通りだ」と相槌を打ち、酒を飲まないトルクがフライドポテトをつまみながら「不愉快ですね」と同意を示す。
トルクは最近、寡黙ではあるが意思を示すようになってきた。銃創の回復は、トルクの心の回復よりも早かったが、少しずつ本来の彼に戻りつつある。
マトーシュとミルシェの養育親になったことと、大きな関係があるようだ。
ヴァリオが言う。
「軍事的なことはわからないが、政治的な観点から見れば、フルギア人は我々の出方を見ているんだ。
川に関所を設けて、交通の妨害をする。我々が何もしなければ、関所をさらに上流に移動する。
それでも何もしなければ、攻めてくる……」
能美が答える。相当に酔っている。
「何もしなければ、攻めてくる……。
そうよね。
嫌がらせをされて、何もしなければ、次は奪いに来る。すべて奪われて、それでも黙っていたら、殺される。
今回も、きっとそうよ。
たぶんね。おそらく……」
能美は二〇〇万年後にやって来る以前、あの混乱した世界での出来事を言っている。食料と燃料がなくなり、それを求めて争いが始まった。
善良なヒトほど早く死に、俺たちのような小悪党が生き残った。
由加がちーちゃんとマーニを寝かしつけて戻ってきた。ケンちゃんはとうに寝ている。 彼女が発言。
「下流の関所のこと?
実害がないなら、放っておけば?」
ミランダが同意する。
「不愉快な程度だから、見て見ぬ振りが一番いいと思う」
斉木が「それでは、相手に間違ったシグナルを送ることになる」と言い、デュランダルも斉木に追従する。
「もめ事は、小さいうちに処理したほうがいい。
火事と同じだ」
相馬の意見。
「でもね。実害はないんだ。
害がないのに、行動を起こすことは過剰反応ですよ」
金沢が相馬に賛意を唱える。彼が続ける。
「例えば、アリエ川との合流部よりも上流に関所を設けたなら、爆撃でも何でもすればいいし、クラウスさんの高速砲艇で粉砕したっていいけど、実害がないのに不愉快というだけで、攻撃は正当化できないでしょ」
その通りだ。
フルギア人の関所は中途半端なのだ。ヒトに明確な害を与えているなら、対処のしようがある。
しかし、それはない。
だが、あの関所は、明確にヒトに向けられている。我々を下流域に進出させないためのものだ。
何もしないことは、フルギア人に間違ったメッセージを送ることになる可能性がある。ノイリンがフルギアを恐れていると、思われる可能性が高い。
そして、次のフルギアの一手で、人の生命が損なわれることになる。
その生命をフルギア人が負担するのか、ノイリンの人々が購うのか、その違いだけだ。 俺はこの状況ならば、先手を打つ必要はないと考えていた。
「フルギアの皇帝さんに、手を出させてもらおう。
守りを固めて、向かい討てばいい。弓と槍で何ができる。連中は、原始人だ」
この考えは、甘過ぎた。
この世界において、内燃機関を製造する上で最も困難な事柄は、電気系・電装系の設計・製造・整備/保守だ。
これができなければ、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンは保有できない。
しかし、内燃機関の中には、電気系・電装系が不要なタイプがある。
焼玉エンジンだ。
この機関は、擬似的なディーゼルエンジンで、燃料は低質な重油でもいい。一度始動してしまえば、ガソリンエンジンのようにシリンダー内の電気火花による着火は不要だ。
焼玉と呼ばれる、気化器と点火機構を兼ねた装置が、焼玉が発する熱によって燃料を爆発させる。
始動時は、バーナーで焼玉を外部から熱して燃料の燃焼に必要な始動用の熱を得る。
だから、電気系・電装系が不要。
この焼玉エンジンを船舶用に製造しているグループが、西の川(アリエ川)合流部のやや上流北岸にあった。
ヒト、精霊族、鬼神族の混合集落で、この街は数百年前まで、魍魎族と呼ばれる直立二足歩行の巨人が住んでいたとの伝説がある。
魍魎族はまったくの伝説上の種族ではなく、実在したらしい。
俺は、精霊族の研究者から魍魎族の全身骨格を見せられたことがある。
単純にヒトの骨格を二・五倍ほど拡大したような……。作り物の印象を強く受ける現実感の乏しい標本だった。
しかし、骨は明らかに実在した動物のものだ。
伝説では、焼玉エンジンの技術は、偉大な種族が魍魎族に伝えた。
一〇〇〇年以上前、精霊族は定住を始めたばかりで、鬼神族は採集狩猟生活から完全に脱却していない状況だったが、魍魎族は技術的に高い農耕を基盤とする高度な文明を築いていたらしい。
この街は、そんな魍魎族の文明を継承している。
街は巨石を巧みに組み合わせた石組みを基礎にして建設されているが、その石組みが魍魎族の遺産なのだそうだ。
魍魎族は、死に絶えたと伝えられている。彼らを絶滅に追い込んだのは、白魔族だった。
魍魎族はある種の戦闘民族で、精霊族や鬼神族、そして森の人をも迫害したようだ。
同じ動機で新参の白魔族を攻撃し、大敗を喫したという。
偉大な種族が魍魎族に各種技術を伝授したのは、この大敗後、魍魎族の急速な衰退が始まって以後のことらしい。
寒い朝だった。
ケンちゃんは、椅子に座ってちょっとぐずっている。
ちーちゃんとマーニは、色違いだがおそろいのスキーウェアのジャケットを由加に着せてもらっている。
フードにファーが付いている。
小ぶりのデイパックを背負っている。
俺が「かわいいね」と言うと、ちーちゃんがミトンの手袋を着けた両手を顔の位置にサッ持ち上げた。
それを見たマーニが、ゆっくりした動作でちーちゃんを真似る。
由加が「学校に行ってらっしゃい」と言うと、二人は部屋を飛び出していった。
二人を追うようにウィルの子ヘーゼルが何かを叫びながら廊下を走っていく。
いつもと変わらない、平和な朝だった。
大人たちは仕事に向かう。
一一時少し過ぎ、ロワール川に停泊していたフルギア商人の船が突如接岸し、船倉から五人の巨人が上陸する。
そして殺戮が始まる。
巨人は、身長三・五メートル、体重六〇〇キロと推定される。
まさに巨人だ。
全身を黒いコートのような皮衣で覆い、衣の下には鎧を着込む。頭部には一切の隙間がない冑を被る。呼吸のためだろうか、口元に太いパイプが伸び、背中には何かの機械を背負う。
腰に帯びる剣は刀身二・五メートルを超え、手には巨大な薙刀状の戈を握る。
その戈を一閃するたびに、ヒトの身体が切断される。
男性、女性、幼老は一切関係なし。無差別の殺戮だ。
川岸近くには、ヒトは少なかった。だが、漁や土木工事で一〇〇人ほどが働いていたし、川岸を散策する老人もいた。親に連れられた幼い子供もいる。
悲鳴と絶叫が空間を満たす。
たった五体の巨人は、横一列に広がり、手当たり次第に切っていく。
袈裟懸けに斬られた老人は、血管から大量の血液を噴水のように吹き上げる。
五体はゆっくりと殺戮を続けながら、我々の居館に向かってくる。
居館には我々が〝学校〟と呼ぶ、二教室に一〇〇人強の子供と教師役を含む数人の大人しかいなかった。この教室には、ケンちゃん、ちーちゃん、チュールとマーニ、優菜やショウくんもいた。
大人と子供は、襲撃を受けた場合に定められた規定の行動を開始する。
フクスとXA‐180六輪装甲車に乗り込もうと車庫に向かう。
しかし、車庫には二輌ともなかった。商用で出払っていたのだ。
それに、この二輌では、一〇〇人を乗せきれない。
やむなく、車庫に立て籠もることにする。
巨人の斬激はすさまじく、煉瓦造りの車庫では、壁を破壊させられてしまう危険が容易に想像できた。
ヒトとは次元の異なるパワーなのだ。そして、機械とは異なる滑らかで変幻自在な動き。
巨人の一人は強弓を持ち、彼が射た矢は厚さ一〇センチのコンクリートを貫く。
ノイリン中心部にいて、異変を知った俺は、居館に向かって必死に走った。
右足と左足を必死に交互に出すのだが、いっこうに前進しない。
クルマが調達できず、徒歩での移動だった。運が悪すぎる。
年長の子供たちは勇敢だった。
優菜たちは銃を手に、巨人の前に立ち塞がり、間断なく五・五六ミリNATO弾を浴びせる。
鎧の鋼は厚く貫通しない。冑もしかり。だが、顔面付近に弾着を集中すると、巨人は目元を庇って、明確に嫌がった。
優菜たちは、決して間合いを詰めず、そして射線をそらさず、五・五六ミリ弾を命中させ続ける。
二人が背中合わせになり、一人が射撃を続け、弾切れになるとくるりと回転し、もう一人が発射を続ける。その間に反転した一方が弾倉を交換する。
そんな二人一組の幼い戦士たちが一〇組以上いる。
身体の大きい男の子が手榴弾を投げつけた。
その爆発で、巨人の一人が跪く。
その巨人に向かって、さらに手榴弾が投げられる。
チェスラクのグループの子供たちが、牽引式の三七ミリ対戦車砲を人力で牽いてきた。
この砲は、大人ならば五人で移動できる軽量砲で、年長の子供たち一五人で必死に運んできた。蛮族の子も手伝う。
砲を何もない平地に置き、開脚し、スペードを地面に打ち込み、三七ミリ砲弾を装填し、直接照準で狙う。
優菜たち小銃隊が射線を開ける。
三七ミリ砲弾が発射される。
巨人の一人が跪き、そしてうつぶせに倒れた。
仲間の死を四人の巨人が呆然とみている。
そして、すさまじい咆哮を放つ。
大佐グループの子供たちが、砲塔なしのAVGPクーガーを持ち出してきて、一二・七ミリ重機関銃を発射しながら、体当たりしていく。
ブローニングM2の機関銃弾が、巨人を覆う装甲を貫く。そして、一〇トンの車体が巨人の腹に乗り上げる。
ヒトならば即死だが、巨人は悲鳴ともうめき声とも判断できない不気味な声を発して、仰向けに横たわる。
一二・七ミリ弾は、もう一体の巨人に浴びせられる。
無傷の巨人は一体だけとなった。
その無傷の巨人の前を、小さな影が横切った。
巨人は戈を一閃する。
首が飛んだ。
子供の首だった。
戈を振るった巨人に三七ミリ砲弾、一二・七ミリ機関銃弾、五・五六ミリNATO弾が発射され、そして手榴弾が投げつけられた。
その巨人は、完全な骸〈むくろ〉となった。
首をはねられた子供は、片倉幸子の子、片倉章一、ショウくんだった。
ショウくんは、快活で理知的な子であったが、何かに心がとらわれると、周囲が見えなくなる傾向が強かった。
射撃の訓練中に、何かを見つけて、銃弾が飛ぶ射撃場に走り込んだことさえある。
何度注意を受けても、彼には抑えられない衝動のようで、こういったことは何回もあり、片倉は非常に心配していた。
そして、母親の心配が現実となった。
ショウくんが何に注目して、巨人の前を横切ったのか、それは誰にもわからなかった。
ショウくんが巨人を意識の中で見ていないことは確かで、巨人よりも彼の興味を引く何かがあったようだ。
片倉の悲しみは大きく、激しく慟哭している。由加とベルタが付き添っているが、それで悲しみがどうにかなるものでもない。
ショウくんは、鍋の中から脱出したメンバーにおける、初めての犠牲者だった。
俺は能美とともに、巨人の死体を調査した。驚いたことがある。顔の造作がヒトとあまり変わらないのだ。
造作は、精霊族や鬼神族よりもヒトに近い。金髪で、眉が濃く、頬、口、顎に髭を蓄えている。眼孔上隆起が強く発達していて類人猿的だが、額は広く、口吻部は突き出ていない。
肌の色はやや青みを帯びた灰白色。
精霊族は、魍魎族だと断定して、大騒ぎしている。鬼神族は、南の内海のさらに南の大陸に住んでいた魍魎族の生き残りだと推測する。
つまり、精霊族と鬼神族はともに、巨人を魍魎族だと同定したわけだ。
だが、魍魎族との関わりがないノイリンを、魍魎族が襲ってきた理由がわからない。接触がないのだから恨みではないだろうし、何かを奪いに来たわけでもなさそうだ。
彼らが行ったことは、殺戮だけだ。
それと、巨人はフルギア商船に乗ってやって来た。
ならば、フルギア人と何らかの関係があると考えることは、自然だろう。
フルギア人と関係があるとすれば、その背後には白魔族がいる。
だが、魍魎族と白魔族は敵対関係にあると伝えられている。
ここで、整合性が途切れる。
この襲撃で、死者二八人、負傷者はいなかった。凶刃を振るわれた全員が即死だった。
ノイリンに帰還直前だったクラウスの輸送船は、巨人を上陸させたフルギア商船を追跡し、戦闘によって撃沈した。
この商船の乗組員多数を捕虜にしている。
我々のフルギア商船乗組員への尋問は、容赦のない苛烈なものであることは、彼らは理解していたようだ。
何でも話した。積極的に。何も尋ねなくても。
彼らの話を総合すると、ごく少数の魍魎族は生き残り、白魔族に降った。
白魔族がフルギア皇帝に命じて、白魔族隷下の魍魎族をノイリンに送り込んだらしい。
フルギア人は、精強な魍魎族がノイリンで長時間暴れ回ると考えていたようだ。
彼らの言を借りれば、「こうも簡単に殺されてしまうなんて、まったく考えていなかった」と。
船長と上級の船員は戦死していたが、フルギア帝国軍本国軍の軍団長は生き残っていた。
彼に投げかけられたノイリン住民の視線は、極めて冷たく、死を望んでも簡単にはかなえられないことを悟らせるものだ。
しかし、彼の皇帝への忠誠心は本物だった。尋問には一切答えない。
毅然とした、立派な態度だ。
能美は冷酷だった。
この軍団長をごく短期間でモルヒネ中毒にした。そして、軍団長はモルヒネほしさで、何でも話した。
そして、その姿をフルギア船の乗組員に見せた。歴戦の軍団長がモルヒネを必死にほしがり、いかなる要求にも応じ、狂い死にしていく様を恐怖の眼差しで見詰め続けた。
俺の「次はお前たちだ」の一言で、彼らは命乞いを始め、愚かなフルギア皇帝を平然と裏切った。
ショウくんの死は、フルギアに対する放置論をかき消した。由加やベルタは「様子を見るべきだ」と主張しているが、先制攻撃すべき要衝の選定を始めている。
二人の意見は、拙速に攻撃すべきではないという意味であり、このまま放置していてもいいと考えているわけではない。
夕食後、何人かの大人が食堂に残っている。そして、大人の数は増えていった。ハミルカルやベルトルドなど、若年者グループのリーダーもいる。
何人かは、酒を飲んでいる。だが、明らかに酔っているものはいない。
ショウくんの死は、フルギア人に対する怒りよりも、食人動物である白魔族への嫌悪感を呼び起こしていた。
ゴキブリを駆除するように、白魔族を殺さなければならない、と誰もが考え始めている。
サビーナが発言した。
「オンダリを爆撃しよう。
ショウの仇をとるのではなく、恨みを晴らすためでもなく、私たちが生きていくために……」
彼女のグループの全員が賛成の声を上げる。
ケレネスも同意。
「オンダリを討てば、フルギア人は震え上がるぞ!」
チェスラクも賛同する。
「白魔族はヒトを侮っている。我々の恐ろしさを身体に刻み込んでやろう!」
ニエベやカロロは、チェスラクの言葉に「そうだ!」と叫ぶ。
由加が反対する。
「皆さん落ち着いて!
白魔族は対空ミサイルを持っていますよ」
ベルタが由加に賛同。
「白魔族の装備がわからないと、攻撃はできませんよ!」
相馬が案を出す。
「巡航ミサイルとは言わないが、飛行爆弾ならばどう?
そのくらいならば作れるでしょ?」
金沢が賛成する。
「弾頭を搭載したグライダーを曳航して、対空ミサイルの射程外で切り離せば安全ですよ」
アマリネが反対する。
「必中を期すなら、スカイバンから直接投下したほうがいいよ」
セルゲイがアマリネを支持する。
「対空ミサイルにはチャフで対応しよう。アルミ箔があれば作れる。
レーダー追跡型ならば誤魔化せる。熱線追跡型にはフレアを作ろう」
トクタルがポツリと。
「どうせ、たいしたミサイルじゃないよ。
古いものだろうし、発射できるかどうかさえ、怪しいよ」
確かにその通りだ。
白魔族の対空ミサイルは、この世界に誰かが持ち込んだものなのだろうが、数百年はたっているはずだ。経年劣化で、発射できない可能性が高い。
だが、それでも警戒しなければならない。双発機は一機だけ、失えば補充は難しい。
絶対の安全はないが、少しの危険でも避けたい。人命はもちろん、機材だって補充が難しいのだ。
納田から別の提案があった。
「子供たちが、乗り込める装甲車がなかった。だから、子供たちは戦わなくてはならなかったの。
子供や病人を守るための専用車輌が必要だと思うのだけど……」
金沢が反対する。
「車輌は恒常的に不足しているし、今後も不足し続けるだろうから、通常不動の車輌を整備することは非効率だし、現実的には不可能でしょう。
この地に留まる覚悟をしているのだから、避難施設を建てたほうがいいのじゃないかと……」
片倉が賛成する。
「章一のような犠牲が出ないように、避難用の建物を造りま……」
最後のほうは、涙声だった。
俺は、片倉が気丈だと感じた。ショウくんのことは、俺と由加の間でも度々話題になっていた。
ショウくんの衝動的な行動は、由加とベルタが行っている戦闘訓練中でも頻繁に見られていた。
ショウくんは好奇心が旺盛で、現在の状況・状態にかかわらず、何かに興味が移ると、同時に集中力のすべてが新しい目標に移行してしまう。
由加はショウくんに射撃練習場以外で、銃を持たせたことはない。また、銃弾は一発ずつしか渡さなかった。
ショウくん自身は、自分のそういった傾向に対して、何も感じてはいなかったようだ。片倉はショウくんの衝動を非常に恐れていたし、息子の生存可能性を心配していた。
ある程度の覚悟があったのかもしれない。
ライマが簡単な料理を皿に盛ってきた。何人かがそれを手伝う。
街の中心から戻ったヴァリオも参加し、いつもとは異なる全体会議の様相になりつつあった。
大佐グループの新リーダーであるシャンタルは、身支度を調えて急遽やって来た。
由加とベルタはオンダリ攻撃に対して、慎重な姿勢を崩さないが、各グループのリーダーと主要メンバーに反対はない。
俺は、報復攻撃に傾く議論をニュートラルな位置に戻したかった。
それもあって、唐突に別の問題を持ち出した。
「ところで、例の農業機ベースの戦闘機モドキはどうなったの?」
トクタルが答える。
「エアトラクターAT‐802ですけど、エンジンはプラット・アンド・ホイットニーのターボプロップを搭載していました。
エンジンは、予備が用意されています。
一三五〇馬力を発生します。
オリジナルと違う点は、プロペラブレードが四枚で、水上機としても使えるようにフロートが用意されていました。
どうも原型は、AT‐802Uのようですね。軍用のUに消防用Aの装備を加えたんじゃないかと……」
金沢が尋ねる。
「航続距離は?」
「一二〇〇キロ。
行動半径は五〇〇キロが限界かな」
「ドロップタンクは?」
「作れば搭載できるだろうけど、どこまで延ばせるか。
でも、搭載能力が高いから、二五〇リットルのタンクを四個作れば、五〇〇キロくらいは余計に飛べるよ」
ベルタが問う。
「農業機って、機動性はどうなの?」
アネリアが答えた。
「大型の単発機だけど、敏捷なの。
でも、この飛行機のことは、わからないことが多すぎる……」
アネリアの不安は、議論の俎上には載らなかった。彼女が強く訴えなかったこともあるが、議論全体がそういったプリミティブな問題を無視する傾向にあったことも事実だ。
ベルタが提案する。
「ショート・スカイバンで大型爆弾を投下する前に、二機のエアトラクターで二五〇キロクラスの爆弾を四発落とすというのはどう?」
由加が問う。
「だけど、オンダリまでは飛べないでしょう」
ベルタが答える。
「水上機にもなるのだから、川の下流のどこか、例えば目立たない沼とかに着水して燃料を補給して、攻撃に向かったら?」
サビーナが言った。
「それでいきましょう。
食人動物に、私たちは餌じゃないことを教えてあげましょう」
基本戦略はそれでいい。
だが、戦術レベルでは問題が山積している。
ベルタが提起する。
「下流に中継基地を作る案はいいと思う。だけど、川は下れないよ。
関所があるから……」
クラウスが早口で発言し、アリーセが通訳する。
「陸路では、中継基地を作るのに相当な日数が必要と思うの。
船ならば、先行して数時間留まればいいだけ。
中継基地は、船のほうがいいと思います。
私の意見でもあります」
金沢が先例を述べる。
「一九四二年にウオッゼ島を発った二機の二式大艇がフレンチフリゲート礁で潜水艦から燃料の補給を受けて、ハワイ諸島を爆撃したことがある。
この作戦には先例があるんだ。
きっと、成功するよ」
アネリアが金沢に尋ねる。
「その作戦の参加機はどうなったの?」
「米軍のレーダーで捕捉され、カタリナ飛行艇が偵察に出て、P‐40ウォーホーク戦闘機が迎撃に離陸したんだ。
だけど、二機の日本の大型飛行艇は発見されず、無事に帰還している。
でも、ハワイ上空の天候が悪くて、爆弾は目標には落とせなかったんだ。
そうか、天偵機が必要だ!」
由加が「テンテイキ?」と尋ねる。
金沢が答える。
「目標上空付近の気象を観測するための偵察機です。
気象衛星なんてなかった時代の作戦では、目標上空の天候が悪いと作戦は失敗するから……」
セルゲイがサビーナを見てから話し出す。
「その役目は、スカイバンが請け負うよ。
でも、そうすると、エアトラクターのバックシーターがいなくなる」
ベルタが即答する。
「一人は私がする」
金沢が応じた。
「じゃ、もう一人は自分がしますよ」
セルゲイが結論を出す。
「カナザワは、スカイバンに私と乗ってくれ。
さぁ、作戦開始だ!」
翌日から、密かに、そして大がかりに作戦の準備が始まった。
クラウスは、二隻の新造輸送船、ベルリン号とミュンヘン号の完成を急ぎ、護衛用高速砲艇二隻の試運転を川の上流で実施。
大佐グループは、金沢やウィル・ハーマンの助力を得て、ヴィレの街から破壊されたカスカベル装輪装甲車の譲渡交渉を始めた。
ヴィレには破壊されたカスカベルを修理する能力はなく、譲渡には応じてもらえそうだが、その代価で交渉が難航した。
ヴィレ側は、農業トラクターを要求している。それには、簡単に応じられない。自動車工場が試作しているガソリンエンジン搭載の中型トラクターの量産一号車と四号車の引き渡しで、交渉しているが、実体のないものに対してはなかなか信用してもらえない。
当然なのだが……。
しかし、ベルトルドたちが操る農業トラクターの威力は絶大で、同種の車輌をノイリンが試作していると聞きつけた、ヒト、精霊族、鬼神族からひっきりなしの問い合わせが入っている。
また、ベルトルドと彼の仲間たちは、農地を耕すための助っ人として重用され始めている。
何しろ、人工〈にんく〉なら一〇人で一〇日かかる農作業を、一時間か二時間で終わらせてしまうのだから……。
なお、量産一八号車までは、購入希望者の予約済みだ。
また、野砲を牽引していた重トラクターは、農業トラクターとしても使用できるよう改造を始めている。これもベルトルドたちの持ち物を参考にして得た成果だ。
まもなく、農業トラクターは新造の試作車を含めて四輌になる。農地の拡大は、劇的に進むだろう。
ヴィレとの交渉は、ウルリカとヴァリオが担当し、第二次試作車(増加試作車四輌)から一輌と量産一号車を代価として引き渡すことで商談が調った。
シャンタルは非常に喜び、四輌から二輌を集成再生することも決まった。
それと、シャンタルはスパルタカスからルーイカット装甲車の購入も希望している。
シャンタルたちは、輸送の護衛を生業〈なりわい〉にしたいと考えており、そのための車輌を欲している。
由加やベルタの用途とは明確に異なり、シャンタルたちの用途ならばルーイカットは十分すぎるほど強力な車輌だ。
シャンタルは、車体が再生不能なカスカベルの砲塔をAVGPクーガーの無砲塔車に移植したいと、金沢に相談している。
金沢は、カスカベルのエンジンや車体を含む残余パーツの譲渡を条件に応じる旨、回答した。
その残骸みたいな金属塊から、金沢は何を作り出すのだろうか?
俺は、それが楽しみだ。
ショウくんの遺体は、片倉の願いで荼毘に付された。遺灰の一部は、小さな金属容器に収められ片倉の首から下げられた。
それ以外の遺灰は、片倉が引き取った。密封したステンレス製の円筒容器に収められ、彼女の部屋に置かれた。
墓は造らないそうだ。
また、片倉はショウくんの仇討ちを望まなかった。彼女の心は、そういった感情を超越した悲しみの中にあった。
ショウくんが唐突な行動をした際、何人もの少年少女がショウくんを止めようと、あるいは助けようとした。
巨大な魍魎族に斬りかかっていった蛮族の子、小銃を発射しながら突撃した異教徒の子。そして、何人かが凍てつく恐怖を味わった。
片倉は、彼らに深く感謝している。
俺は、犠牲者を出した理由を分析し、二度と起こさない方策を考えなければならない。犠牲をショウくんのパーソナリティに求めてはならない。
俺の心には、慚愧の念しかない。
ショウくんはサッカーが好きだった。クラウスたちがサッカーなのかフットサルなのか微妙なスポーツを広めたのだが、かなり年かさのお兄さんたちが相手でもディフェンスをドリブルで突破したり、オーバーヘッドでシュートを放ったり、と快活な姿を見せていた。
あの姿が忘れられない。
俺は、白魔族とフルギア人に対して、ヒトの恐ろしさを積極的に伝えるべきだった。そうしなかったから、ショウくんが犠牲になった。
ショウくんがかわいそうで胸が張り裂ける思いだ。誰もいないことを確認して、フクスの中で泣いた。
俺によく話しかけてくれる子で、日本刀を見せる約束もしていた。カンガブルに一緒に行く予定もあったし、釣りをする約束もしていた。
涙には、自分の愚かさに対する後悔も含まれていた。
この川を封鎖されたら、ノイリンの生存は危機に陥る。それは、シェプニノやカンガブル、そして多くのヒトの街や村も同じ。
ロワール川は、生命線だ。
この川をフルギア人が、西の川(アリエ川)合流部よりもやや下流で封鎖した。
ロワール川中流域に住む鬼神族との交流が遮断されたが、それはヒトに対してだけで、精霊族と鬼神族は通行勝手だった。
精霊族のほとんどとの交流は、遮断されていない。
実際、フルギア人の行為は不愉快だが、実害は少ない。
評議会では、議題の俎上にも載らなかった。だが、俺たちの居館では、かなりの話題になっている。
食堂で大人たちが新作のジャガイモ焼酎を試飲していると、チェスラクが「フルギア人の封鎖を解かないと、連中は付け上がって次の手を打ってくる」と発言。
それにヴァリオが「その通りだ」と相槌を打ち、酒を飲まないトルクがフライドポテトをつまみながら「不愉快ですね」と同意を示す。
トルクは最近、寡黙ではあるが意思を示すようになってきた。銃創の回復は、トルクの心の回復よりも早かったが、少しずつ本来の彼に戻りつつある。
マトーシュとミルシェの養育親になったことと、大きな関係があるようだ。
ヴァリオが言う。
「軍事的なことはわからないが、政治的な観点から見れば、フルギア人は我々の出方を見ているんだ。
川に関所を設けて、交通の妨害をする。我々が何もしなければ、関所をさらに上流に移動する。
それでも何もしなければ、攻めてくる……」
能美が答える。相当に酔っている。
「何もしなければ、攻めてくる……。
そうよね。
嫌がらせをされて、何もしなければ、次は奪いに来る。すべて奪われて、それでも黙っていたら、殺される。
今回も、きっとそうよ。
たぶんね。おそらく……」
能美は二〇〇万年後にやって来る以前、あの混乱した世界での出来事を言っている。食料と燃料がなくなり、それを求めて争いが始まった。
善良なヒトほど早く死に、俺たちのような小悪党が生き残った。
由加がちーちゃんとマーニを寝かしつけて戻ってきた。ケンちゃんはとうに寝ている。 彼女が発言。
「下流の関所のこと?
実害がないなら、放っておけば?」
ミランダが同意する。
「不愉快な程度だから、見て見ぬ振りが一番いいと思う」
斉木が「それでは、相手に間違ったシグナルを送ることになる」と言い、デュランダルも斉木に追従する。
「もめ事は、小さいうちに処理したほうがいい。
火事と同じだ」
相馬の意見。
「でもね。実害はないんだ。
害がないのに、行動を起こすことは過剰反応ですよ」
金沢が相馬に賛意を唱える。彼が続ける。
「例えば、アリエ川との合流部よりも上流に関所を設けたなら、爆撃でも何でもすればいいし、クラウスさんの高速砲艇で粉砕したっていいけど、実害がないのに不愉快というだけで、攻撃は正当化できないでしょ」
その通りだ。
フルギア人の関所は中途半端なのだ。ヒトに明確な害を与えているなら、対処のしようがある。
しかし、それはない。
だが、あの関所は、明確にヒトに向けられている。我々を下流域に進出させないためのものだ。
何もしないことは、フルギア人に間違ったメッセージを送ることになる可能性がある。ノイリンがフルギアを恐れていると、思われる可能性が高い。
そして、次のフルギアの一手で、人の生命が損なわれることになる。
その生命をフルギア人が負担するのか、ノイリンの人々が購うのか、その違いだけだ。 俺はこの状況ならば、先手を打つ必要はないと考えていた。
「フルギアの皇帝さんに、手を出させてもらおう。
守りを固めて、向かい討てばいい。弓と槍で何ができる。連中は、原始人だ」
この考えは、甘過ぎた。
この世界において、内燃機関を製造する上で最も困難な事柄は、電気系・電装系の設計・製造・整備/保守だ。
これができなければ、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンは保有できない。
しかし、内燃機関の中には、電気系・電装系が不要なタイプがある。
焼玉エンジンだ。
この機関は、擬似的なディーゼルエンジンで、燃料は低質な重油でもいい。一度始動してしまえば、ガソリンエンジンのようにシリンダー内の電気火花による着火は不要だ。
焼玉と呼ばれる、気化器と点火機構を兼ねた装置が、焼玉が発する熱によって燃料を爆発させる。
始動時は、バーナーで焼玉を外部から熱して燃料の燃焼に必要な始動用の熱を得る。
だから、電気系・電装系が不要。
この焼玉エンジンを船舶用に製造しているグループが、西の川(アリエ川)合流部のやや上流北岸にあった。
ヒト、精霊族、鬼神族の混合集落で、この街は数百年前まで、魍魎族と呼ばれる直立二足歩行の巨人が住んでいたとの伝説がある。
魍魎族はまったくの伝説上の種族ではなく、実在したらしい。
俺は、精霊族の研究者から魍魎族の全身骨格を見せられたことがある。
単純にヒトの骨格を二・五倍ほど拡大したような……。作り物の印象を強く受ける現実感の乏しい標本だった。
しかし、骨は明らかに実在した動物のものだ。
伝説では、焼玉エンジンの技術は、偉大な種族が魍魎族に伝えた。
一〇〇〇年以上前、精霊族は定住を始めたばかりで、鬼神族は採集狩猟生活から完全に脱却していない状況だったが、魍魎族は技術的に高い農耕を基盤とする高度な文明を築いていたらしい。
この街は、そんな魍魎族の文明を継承している。
街は巨石を巧みに組み合わせた石組みを基礎にして建設されているが、その石組みが魍魎族の遺産なのだそうだ。
魍魎族は、死に絶えたと伝えられている。彼らを絶滅に追い込んだのは、白魔族だった。
魍魎族はある種の戦闘民族で、精霊族や鬼神族、そして森の人をも迫害したようだ。
同じ動機で新参の白魔族を攻撃し、大敗を喫したという。
偉大な種族が魍魎族に各種技術を伝授したのは、この大敗後、魍魎族の急速な衰退が始まって以後のことらしい。
寒い朝だった。
ケンちゃんは、椅子に座ってちょっとぐずっている。
ちーちゃんとマーニは、色違いだがおそろいのスキーウェアのジャケットを由加に着せてもらっている。
フードにファーが付いている。
小ぶりのデイパックを背負っている。
俺が「かわいいね」と言うと、ちーちゃんがミトンの手袋を着けた両手を顔の位置にサッ持ち上げた。
それを見たマーニが、ゆっくりした動作でちーちゃんを真似る。
由加が「学校に行ってらっしゃい」と言うと、二人は部屋を飛び出していった。
二人を追うようにウィルの子ヘーゼルが何かを叫びながら廊下を走っていく。
いつもと変わらない、平和な朝だった。
大人たちは仕事に向かう。
一一時少し過ぎ、ロワール川に停泊していたフルギア商人の船が突如接岸し、船倉から五人の巨人が上陸する。
そして殺戮が始まる。
巨人は、身長三・五メートル、体重六〇〇キロと推定される。
まさに巨人だ。
全身を黒いコートのような皮衣で覆い、衣の下には鎧を着込む。頭部には一切の隙間がない冑を被る。呼吸のためだろうか、口元に太いパイプが伸び、背中には何かの機械を背負う。
腰に帯びる剣は刀身二・五メートルを超え、手には巨大な薙刀状の戈を握る。
その戈を一閃するたびに、ヒトの身体が切断される。
男性、女性、幼老は一切関係なし。無差別の殺戮だ。
川岸近くには、ヒトは少なかった。だが、漁や土木工事で一〇〇人ほどが働いていたし、川岸を散策する老人もいた。親に連れられた幼い子供もいる。
悲鳴と絶叫が空間を満たす。
たった五体の巨人は、横一列に広がり、手当たり次第に切っていく。
袈裟懸けに斬られた老人は、血管から大量の血液を噴水のように吹き上げる。
五体はゆっくりと殺戮を続けながら、我々の居館に向かってくる。
居館には我々が〝学校〟と呼ぶ、二教室に一〇〇人強の子供と教師役を含む数人の大人しかいなかった。この教室には、ケンちゃん、ちーちゃん、チュールとマーニ、優菜やショウくんもいた。
大人と子供は、襲撃を受けた場合に定められた規定の行動を開始する。
フクスとXA‐180六輪装甲車に乗り込もうと車庫に向かう。
しかし、車庫には二輌ともなかった。商用で出払っていたのだ。
それに、この二輌では、一〇〇人を乗せきれない。
やむなく、車庫に立て籠もることにする。
巨人の斬激はすさまじく、煉瓦造りの車庫では、壁を破壊させられてしまう危険が容易に想像できた。
ヒトとは次元の異なるパワーなのだ。そして、機械とは異なる滑らかで変幻自在な動き。
巨人の一人は強弓を持ち、彼が射た矢は厚さ一〇センチのコンクリートを貫く。
ノイリン中心部にいて、異変を知った俺は、居館に向かって必死に走った。
右足と左足を必死に交互に出すのだが、いっこうに前進しない。
クルマが調達できず、徒歩での移動だった。運が悪すぎる。
年長の子供たちは勇敢だった。
優菜たちは銃を手に、巨人の前に立ち塞がり、間断なく五・五六ミリNATO弾を浴びせる。
鎧の鋼は厚く貫通しない。冑もしかり。だが、顔面付近に弾着を集中すると、巨人は目元を庇って、明確に嫌がった。
優菜たちは、決して間合いを詰めず、そして射線をそらさず、五・五六ミリ弾を命中させ続ける。
二人が背中合わせになり、一人が射撃を続け、弾切れになるとくるりと回転し、もう一人が発射を続ける。その間に反転した一方が弾倉を交換する。
そんな二人一組の幼い戦士たちが一〇組以上いる。
身体の大きい男の子が手榴弾を投げつけた。
その爆発で、巨人の一人が跪く。
その巨人に向かって、さらに手榴弾が投げられる。
チェスラクのグループの子供たちが、牽引式の三七ミリ対戦車砲を人力で牽いてきた。
この砲は、大人ならば五人で移動できる軽量砲で、年長の子供たち一五人で必死に運んできた。蛮族の子も手伝う。
砲を何もない平地に置き、開脚し、スペードを地面に打ち込み、三七ミリ砲弾を装填し、直接照準で狙う。
優菜たち小銃隊が射線を開ける。
三七ミリ砲弾が発射される。
巨人の一人が跪き、そしてうつぶせに倒れた。
仲間の死を四人の巨人が呆然とみている。
そして、すさまじい咆哮を放つ。
大佐グループの子供たちが、砲塔なしのAVGPクーガーを持ち出してきて、一二・七ミリ重機関銃を発射しながら、体当たりしていく。
ブローニングM2の機関銃弾が、巨人を覆う装甲を貫く。そして、一〇トンの車体が巨人の腹に乗り上げる。
ヒトならば即死だが、巨人は悲鳴ともうめき声とも判断できない不気味な声を発して、仰向けに横たわる。
一二・七ミリ弾は、もう一体の巨人に浴びせられる。
無傷の巨人は一体だけとなった。
その無傷の巨人の前を、小さな影が横切った。
巨人は戈を一閃する。
首が飛んだ。
子供の首だった。
戈を振るった巨人に三七ミリ砲弾、一二・七ミリ機関銃弾、五・五六ミリNATO弾が発射され、そして手榴弾が投げつけられた。
その巨人は、完全な骸〈むくろ〉となった。
首をはねられた子供は、片倉幸子の子、片倉章一、ショウくんだった。
ショウくんは、快活で理知的な子であったが、何かに心がとらわれると、周囲が見えなくなる傾向が強かった。
射撃の訓練中に、何かを見つけて、銃弾が飛ぶ射撃場に走り込んだことさえある。
何度注意を受けても、彼には抑えられない衝動のようで、こういったことは何回もあり、片倉は非常に心配していた。
そして、母親の心配が現実となった。
ショウくんが何に注目して、巨人の前を横切ったのか、それは誰にもわからなかった。
ショウくんが巨人を意識の中で見ていないことは確かで、巨人よりも彼の興味を引く何かがあったようだ。
片倉の悲しみは大きく、激しく慟哭している。由加とベルタが付き添っているが、それで悲しみがどうにかなるものでもない。
ショウくんは、鍋の中から脱出したメンバーにおける、初めての犠牲者だった。
俺は能美とともに、巨人の死体を調査した。驚いたことがある。顔の造作がヒトとあまり変わらないのだ。
造作は、精霊族や鬼神族よりもヒトに近い。金髪で、眉が濃く、頬、口、顎に髭を蓄えている。眼孔上隆起が強く発達していて類人猿的だが、額は広く、口吻部は突き出ていない。
肌の色はやや青みを帯びた灰白色。
精霊族は、魍魎族だと断定して、大騒ぎしている。鬼神族は、南の内海のさらに南の大陸に住んでいた魍魎族の生き残りだと推測する。
つまり、精霊族と鬼神族はともに、巨人を魍魎族だと同定したわけだ。
だが、魍魎族との関わりがないノイリンを、魍魎族が襲ってきた理由がわからない。接触がないのだから恨みではないだろうし、何かを奪いに来たわけでもなさそうだ。
彼らが行ったことは、殺戮だけだ。
それと、巨人はフルギア商船に乗ってやって来た。
ならば、フルギア人と何らかの関係があると考えることは、自然だろう。
フルギア人と関係があるとすれば、その背後には白魔族がいる。
だが、魍魎族と白魔族は敵対関係にあると伝えられている。
ここで、整合性が途切れる。
この襲撃で、死者二八人、負傷者はいなかった。凶刃を振るわれた全員が即死だった。
ノイリンに帰還直前だったクラウスの輸送船は、巨人を上陸させたフルギア商船を追跡し、戦闘によって撃沈した。
この商船の乗組員多数を捕虜にしている。
我々のフルギア商船乗組員への尋問は、容赦のない苛烈なものであることは、彼らは理解していたようだ。
何でも話した。積極的に。何も尋ねなくても。
彼らの話を総合すると、ごく少数の魍魎族は生き残り、白魔族に降った。
白魔族がフルギア皇帝に命じて、白魔族隷下の魍魎族をノイリンに送り込んだらしい。
フルギア人は、精強な魍魎族がノイリンで長時間暴れ回ると考えていたようだ。
彼らの言を借りれば、「こうも簡単に殺されてしまうなんて、まったく考えていなかった」と。
船長と上級の船員は戦死していたが、フルギア帝国軍本国軍の軍団長は生き残っていた。
彼に投げかけられたノイリン住民の視線は、極めて冷たく、死を望んでも簡単にはかなえられないことを悟らせるものだ。
しかし、彼の皇帝への忠誠心は本物だった。尋問には一切答えない。
毅然とした、立派な態度だ。
能美は冷酷だった。
この軍団長をごく短期間でモルヒネ中毒にした。そして、軍団長はモルヒネほしさで、何でも話した。
そして、その姿をフルギア船の乗組員に見せた。歴戦の軍団長がモルヒネを必死にほしがり、いかなる要求にも応じ、狂い死にしていく様を恐怖の眼差しで見詰め続けた。
俺の「次はお前たちだ」の一言で、彼らは命乞いを始め、愚かなフルギア皇帝を平然と裏切った。
ショウくんの死は、フルギアに対する放置論をかき消した。由加やベルタは「様子を見るべきだ」と主張しているが、先制攻撃すべき要衝の選定を始めている。
二人の意見は、拙速に攻撃すべきではないという意味であり、このまま放置していてもいいと考えているわけではない。
夕食後、何人かの大人が食堂に残っている。そして、大人の数は増えていった。ハミルカルやベルトルドなど、若年者グループのリーダーもいる。
何人かは、酒を飲んでいる。だが、明らかに酔っているものはいない。
ショウくんの死は、フルギア人に対する怒りよりも、食人動物である白魔族への嫌悪感を呼び起こしていた。
ゴキブリを駆除するように、白魔族を殺さなければならない、と誰もが考え始めている。
サビーナが発言した。
「オンダリを爆撃しよう。
ショウの仇をとるのではなく、恨みを晴らすためでもなく、私たちが生きていくために……」
彼女のグループの全員が賛成の声を上げる。
ケレネスも同意。
「オンダリを討てば、フルギア人は震え上がるぞ!」
チェスラクも賛同する。
「白魔族はヒトを侮っている。我々の恐ろしさを身体に刻み込んでやろう!」
ニエベやカロロは、チェスラクの言葉に「そうだ!」と叫ぶ。
由加が反対する。
「皆さん落ち着いて!
白魔族は対空ミサイルを持っていますよ」
ベルタが由加に賛同。
「白魔族の装備がわからないと、攻撃はできませんよ!」
相馬が案を出す。
「巡航ミサイルとは言わないが、飛行爆弾ならばどう?
そのくらいならば作れるでしょ?」
金沢が賛成する。
「弾頭を搭載したグライダーを曳航して、対空ミサイルの射程外で切り離せば安全ですよ」
アマリネが反対する。
「必中を期すなら、スカイバンから直接投下したほうがいいよ」
セルゲイがアマリネを支持する。
「対空ミサイルにはチャフで対応しよう。アルミ箔があれば作れる。
レーダー追跡型ならば誤魔化せる。熱線追跡型にはフレアを作ろう」
トクタルがポツリと。
「どうせ、たいしたミサイルじゃないよ。
古いものだろうし、発射できるかどうかさえ、怪しいよ」
確かにその通りだ。
白魔族の対空ミサイルは、この世界に誰かが持ち込んだものなのだろうが、数百年はたっているはずだ。経年劣化で、発射できない可能性が高い。
だが、それでも警戒しなければならない。双発機は一機だけ、失えば補充は難しい。
絶対の安全はないが、少しの危険でも避けたい。人命はもちろん、機材だって補充が難しいのだ。
納田から別の提案があった。
「子供たちが、乗り込める装甲車がなかった。だから、子供たちは戦わなくてはならなかったの。
子供や病人を守るための専用車輌が必要だと思うのだけど……」
金沢が反対する。
「車輌は恒常的に不足しているし、今後も不足し続けるだろうから、通常不動の車輌を整備することは非効率だし、現実的には不可能でしょう。
この地に留まる覚悟をしているのだから、避難施設を建てたほうがいいのじゃないかと……」
片倉が賛成する。
「章一のような犠牲が出ないように、避難用の建物を造りま……」
最後のほうは、涙声だった。
俺は、片倉が気丈だと感じた。ショウくんのことは、俺と由加の間でも度々話題になっていた。
ショウくんの衝動的な行動は、由加とベルタが行っている戦闘訓練中でも頻繁に見られていた。
ショウくんは好奇心が旺盛で、現在の状況・状態にかかわらず、何かに興味が移ると、同時に集中力のすべてが新しい目標に移行してしまう。
由加はショウくんに射撃練習場以外で、銃を持たせたことはない。また、銃弾は一発ずつしか渡さなかった。
ショウくん自身は、自分のそういった傾向に対して、何も感じてはいなかったようだ。片倉はショウくんの衝動を非常に恐れていたし、息子の生存可能性を心配していた。
ある程度の覚悟があったのかもしれない。
ライマが簡単な料理を皿に盛ってきた。何人かがそれを手伝う。
街の中心から戻ったヴァリオも参加し、いつもとは異なる全体会議の様相になりつつあった。
大佐グループの新リーダーであるシャンタルは、身支度を調えて急遽やって来た。
由加とベルタはオンダリ攻撃に対して、慎重な姿勢を崩さないが、各グループのリーダーと主要メンバーに反対はない。
俺は、報復攻撃に傾く議論をニュートラルな位置に戻したかった。
それもあって、唐突に別の問題を持ち出した。
「ところで、例の農業機ベースの戦闘機モドキはどうなったの?」
トクタルが答える。
「エアトラクターAT‐802ですけど、エンジンはプラット・アンド・ホイットニーのターボプロップを搭載していました。
エンジンは、予備が用意されています。
一三五〇馬力を発生します。
オリジナルと違う点は、プロペラブレードが四枚で、水上機としても使えるようにフロートが用意されていました。
どうも原型は、AT‐802Uのようですね。軍用のUに消防用Aの装備を加えたんじゃないかと……」
金沢が尋ねる。
「航続距離は?」
「一二〇〇キロ。
行動半径は五〇〇キロが限界かな」
「ドロップタンクは?」
「作れば搭載できるだろうけど、どこまで延ばせるか。
でも、搭載能力が高いから、二五〇リットルのタンクを四個作れば、五〇〇キロくらいは余計に飛べるよ」
ベルタが問う。
「農業機って、機動性はどうなの?」
アネリアが答えた。
「大型の単発機だけど、敏捷なの。
でも、この飛行機のことは、わからないことが多すぎる……」
アネリアの不安は、議論の俎上には載らなかった。彼女が強く訴えなかったこともあるが、議論全体がそういったプリミティブな問題を無視する傾向にあったことも事実だ。
ベルタが提案する。
「ショート・スカイバンで大型爆弾を投下する前に、二機のエアトラクターで二五〇キロクラスの爆弾を四発落とすというのはどう?」
由加が問う。
「だけど、オンダリまでは飛べないでしょう」
ベルタが答える。
「水上機にもなるのだから、川の下流のどこか、例えば目立たない沼とかに着水して燃料を補給して、攻撃に向かったら?」
サビーナが言った。
「それでいきましょう。
食人動物に、私たちは餌じゃないことを教えてあげましょう」
基本戦略はそれでいい。
だが、戦術レベルでは問題が山積している。
ベルタが提起する。
「下流に中継基地を作る案はいいと思う。だけど、川は下れないよ。
関所があるから……」
クラウスが早口で発言し、アリーセが通訳する。
「陸路では、中継基地を作るのに相当な日数が必要と思うの。
船ならば、先行して数時間留まればいいだけ。
中継基地は、船のほうがいいと思います。
私の意見でもあります」
金沢が先例を述べる。
「一九四二年にウオッゼ島を発った二機の二式大艇がフレンチフリゲート礁で潜水艦から燃料の補給を受けて、ハワイ諸島を爆撃したことがある。
この作戦には先例があるんだ。
きっと、成功するよ」
アネリアが金沢に尋ねる。
「その作戦の参加機はどうなったの?」
「米軍のレーダーで捕捉され、カタリナ飛行艇が偵察に出て、P‐40ウォーホーク戦闘機が迎撃に離陸したんだ。
だけど、二機の日本の大型飛行艇は発見されず、無事に帰還している。
でも、ハワイ上空の天候が悪くて、爆弾は目標には落とせなかったんだ。
そうか、天偵機が必要だ!」
由加が「テンテイキ?」と尋ねる。
金沢が答える。
「目標上空付近の気象を観測するための偵察機です。
気象衛星なんてなかった時代の作戦では、目標上空の天候が悪いと作戦は失敗するから……」
セルゲイがサビーナを見てから話し出す。
「その役目は、スカイバンが請け負うよ。
でも、そうすると、エアトラクターのバックシーターがいなくなる」
ベルタが即答する。
「一人は私がする」
金沢が応じた。
「じゃ、もう一人は自分がしますよ」
セルゲイが結論を出す。
「カナザワは、スカイバンに私と乗ってくれ。
さぁ、作戦開始だ!」
翌日から、密かに、そして大がかりに作戦の準備が始まった。
クラウスは、二隻の新造輸送船、ベルリン号とミュンヘン号の完成を急ぎ、護衛用高速砲艇二隻の試運転を川の上流で実施。
大佐グループは、金沢やウィル・ハーマンの助力を得て、ヴィレの街から破壊されたカスカベル装輪装甲車の譲渡交渉を始めた。
ヴィレには破壊されたカスカベルを修理する能力はなく、譲渡には応じてもらえそうだが、その代価で交渉が難航した。
ヴィレ側は、農業トラクターを要求している。それには、簡単に応じられない。自動車工場が試作しているガソリンエンジン搭載の中型トラクターの量産一号車と四号車の引き渡しで、交渉しているが、実体のないものに対してはなかなか信用してもらえない。
当然なのだが……。
しかし、ベルトルドたちが操る農業トラクターの威力は絶大で、同種の車輌をノイリンが試作していると聞きつけた、ヒト、精霊族、鬼神族からひっきりなしの問い合わせが入っている。
また、ベルトルドと彼の仲間たちは、農地を耕すための助っ人として重用され始めている。
何しろ、人工〈にんく〉なら一〇人で一〇日かかる農作業を、一時間か二時間で終わらせてしまうのだから……。
なお、量産一八号車までは、購入希望者の予約済みだ。
また、野砲を牽引していた重トラクターは、農業トラクターとしても使用できるよう改造を始めている。これもベルトルドたちの持ち物を参考にして得た成果だ。
まもなく、農業トラクターは新造の試作車を含めて四輌になる。農地の拡大は、劇的に進むだろう。
ヴィレとの交渉は、ウルリカとヴァリオが担当し、第二次試作車(増加試作車四輌)から一輌と量産一号車を代価として引き渡すことで商談が調った。
シャンタルは非常に喜び、四輌から二輌を集成再生することも決まった。
それと、シャンタルはスパルタカスからルーイカット装甲車の購入も希望している。
シャンタルたちは、輸送の護衛を生業〈なりわい〉にしたいと考えており、そのための車輌を欲している。
由加やベルタの用途とは明確に異なり、シャンタルたちの用途ならばルーイカットは十分すぎるほど強力な車輌だ。
シャンタルは、車体が再生不能なカスカベルの砲塔をAVGPクーガーの無砲塔車に移植したいと、金沢に相談している。
金沢は、カスカベルのエンジンや車体を含む残余パーツの譲渡を条件に応じる旨、回答した。
その残骸みたいな金属塊から、金沢は何を作り出すのだろうか?
俺は、それが楽しみだ。
ショウくんの遺体は、片倉の願いで荼毘に付された。遺灰の一部は、小さな金属容器に収められ片倉の首から下げられた。
それ以外の遺灰は、片倉が引き取った。密封したステンレス製の円筒容器に収められ、彼女の部屋に置かれた。
墓は造らないそうだ。
また、片倉はショウくんの仇討ちを望まなかった。彼女の心は、そういった感情を超越した悲しみの中にあった。
ショウくんが唐突な行動をした際、何人もの少年少女がショウくんを止めようと、あるいは助けようとした。
巨大な魍魎族に斬りかかっていった蛮族の子、小銃を発射しながら突撃した異教徒の子。そして、何人かが凍てつく恐怖を味わった。
片倉は、彼らに深く感謝している。
俺は、犠牲者を出した理由を分析し、二度と起こさない方策を考えなければならない。犠牲をショウくんのパーソナリティに求めてはならない。
俺の心には、慚愧の念しかない。
ショウくんはサッカーが好きだった。クラウスたちがサッカーなのかフットサルなのか微妙なスポーツを広めたのだが、かなり年かさのお兄さんたちが相手でもディフェンスをドリブルで突破したり、オーバーヘッドでシュートを放ったり、と快活な姿を見せていた。
あの姿が忘れられない。
俺は、白魔族とフルギア人に対して、ヒトの恐ろしさを積極的に伝えるべきだった。そうしなかったから、ショウくんが犠牲になった。
ショウくんがかわいそうで胸が張り裂ける思いだ。誰もいないことを確認して、フクスの中で泣いた。
俺によく話しかけてくれる子で、日本刀を見せる約束もしていた。カンガブルに一緒に行く予定もあったし、釣りをする約束もしていた。
涙には、自分の愚かさに対する後悔も含まれていた。
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