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なんとか言ってくれ
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さっきまで私を見つめていたサランダの視線は、床に落ちて微動だにしなくなっている。
――本当の姿じゃない。
俄かには信じがたい。
しかし、先ほどナナが二度も変身する姿を見てしまった後だ。
サランダが人間の街に来るために変身していたっておかしなことではないのだ。
「リューやナナがあんな態度だったのは、俺が人間のふりをするように言ったからだ」
小さく謝る声が聞こえた。
最初からリューという人からは嫌われているとしか思えなかった。
初対面なのにと思っていたが、そんな理由があったとは。
「側近の姿も受け入れられないような人間を、妻にしようとしている俺への当てこすりだな」
受け入れられないと言った覚えがない。
「どんな姿をしているのか知らないうちから?」
サランダは申し訳なさそうに頷く。
「多分……怖がると思った。ナナは髪の毛が動くし、リューは全身が緑になるんだ!」
全身が緑……なかなか想像がつかないが、あの堅苦しそうな顔が緑色になるということか。笑わないように気を付けよう。
私の表情から何かを悟ったのか、サランダは大きく息を吐いて疲れたように椅子に座りこんだ。
ゆっくりと目の前に置かれたカップを持ち上げ、ちびちびとすすっている。
私は、サランダが何か言うまで待つことにする。
どれくらい経ったのか……お茶を飲み干したサランダが、真っ直ぐにこちらを見た。
「俺の、本当の姿を見て……受け入れて欲しい」
サランダは真剣に見つめてくるが、そう簡単に良いよとは言えない。
「見てみないと、受け入れられるかどうか、分からないよ」
例えば、恐竜だったりヘビだったりすると、ちょっと大きさ的に無理があるのではないだろうか。はたまた、全身が目玉だらけだったり、ドロドロだったりの場合は、それがサランダだと認識していても厳しいかもしれない。
「……そうだよな」
眉間にしわを寄せて、苦しそうな顔をするが、決意は揺らがないようで、サランダは静かに立ち上がって、一歩私から離れた。
サランダが目を閉じると、彼の頭に、羊のような角が生えてきて、首筋に、黒い毛が生えた部分があらわれる。
少しだけ、体が大きくなっただろうか。着ていた旅装が黒い軍服のような服に変わった。
「…………」
「…………」
「リンカ」
「はい」
「何とか言ってくれ」
「はい?」
「どうだ?この姿は……受け入れら……」
「――もう終わり!?」
サランダの言葉を驚きすぎてぶった切ってしまった。
「え、変わってない。顔そのままだし、脱いだら毛むくじゃら?」
あんなに悲壮な決意を持つほどの変化はない。むしろ、ナナの方が変わりようがすごかった。あれを見せられた後のサランダでは、どうにも、プロの手品師の後に小学生の手品を見せられた気分だ。
「いや、毛は……まあ、生えているところもあるが、この首のところのように一部分だな」
「ええ~……。なんか、期待外れ」
あれだけ引き延ばすような内容ではなかった。
「期待外れってなんだ!?角が生えたんだぞ?」
「毛むくじゃらになるとか、もっと大きくなるとか。羽が生えて四つ足になるとか……ないかなあ」
こう、これは受け入れられるギリギリだとかいう葛藤させるものが何もない。
どうしても目玉を増やして欲しいわけではなかったが、どこに悩む要素があるのか。
「……そういうやつもいるけど、俺は人型なんだ。……しっぽはある」
サランダの背後から、ちょろんと黒いトカゲのような尻尾が出てきた。
「一本だけ?」
「なぜ、複数本しっぽが出てくると思うんだ」
呆れたように行ってから、サランダは天井を見上げ――急に笑い出した。
「そうか、期待外れか。はははっ」
そして、私に向かって両手を伸ばす。
体がふわりと浮いて、私は座った姿勢のまま、サランダの腕の中に納まった。
突然、魔法を見せられて驚く私の顔を覗き込んで、サランダは首をかしげる。
「リンカ。抱きたい」
――本当の姿じゃない。
俄かには信じがたい。
しかし、先ほどナナが二度も変身する姿を見てしまった後だ。
サランダが人間の街に来るために変身していたっておかしなことではないのだ。
「リューやナナがあんな態度だったのは、俺が人間のふりをするように言ったからだ」
小さく謝る声が聞こえた。
最初からリューという人からは嫌われているとしか思えなかった。
初対面なのにと思っていたが、そんな理由があったとは。
「側近の姿も受け入れられないような人間を、妻にしようとしている俺への当てこすりだな」
受け入れられないと言った覚えがない。
「どんな姿をしているのか知らないうちから?」
サランダは申し訳なさそうに頷く。
「多分……怖がると思った。ナナは髪の毛が動くし、リューは全身が緑になるんだ!」
全身が緑……なかなか想像がつかないが、あの堅苦しそうな顔が緑色になるということか。笑わないように気を付けよう。
私の表情から何かを悟ったのか、サランダは大きく息を吐いて疲れたように椅子に座りこんだ。
ゆっくりと目の前に置かれたカップを持ち上げ、ちびちびとすすっている。
私は、サランダが何か言うまで待つことにする。
どれくらい経ったのか……お茶を飲み干したサランダが、真っ直ぐにこちらを見た。
「俺の、本当の姿を見て……受け入れて欲しい」
サランダは真剣に見つめてくるが、そう簡単に良いよとは言えない。
「見てみないと、受け入れられるかどうか、分からないよ」
例えば、恐竜だったりヘビだったりすると、ちょっと大きさ的に無理があるのではないだろうか。はたまた、全身が目玉だらけだったり、ドロドロだったりの場合は、それがサランダだと認識していても厳しいかもしれない。
「……そうだよな」
眉間にしわを寄せて、苦しそうな顔をするが、決意は揺らがないようで、サランダは静かに立ち上がって、一歩私から離れた。
サランダが目を閉じると、彼の頭に、羊のような角が生えてきて、首筋に、黒い毛が生えた部分があらわれる。
少しだけ、体が大きくなっただろうか。着ていた旅装が黒い軍服のような服に変わった。
「…………」
「…………」
「リンカ」
「はい」
「何とか言ってくれ」
「はい?」
「どうだ?この姿は……受け入れら……」
「――もう終わり!?」
サランダの言葉を驚きすぎてぶった切ってしまった。
「え、変わってない。顔そのままだし、脱いだら毛むくじゃら?」
あんなに悲壮な決意を持つほどの変化はない。むしろ、ナナの方が変わりようがすごかった。あれを見せられた後のサランダでは、どうにも、プロの手品師の後に小学生の手品を見せられた気分だ。
「いや、毛は……まあ、生えているところもあるが、この首のところのように一部分だな」
「ええ~……。なんか、期待外れ」
あれだけ引き延ばすような内容ではなかった。
「期待外れってなんだ!?角が生えたんだぞ?」
「毛むくじゃらになるとか、もっと大きくなるとか。羽が生えて四つ足になるとか……ないかなあ」
こう、これは受け入れられるギリギリだとかいう葛藤させるものが何もない。
どうしても目玉を増やして欲しいわけではなかったが、どこに悩む要素があるのか。
「……そういうやつもいるけど、俺は人型なんだ。……しっぽはある」
サランダの背後から、ちょろんと黒いトカゲのような尻尾が出てきた。
「一本だけ?」
「なぜ、複数本しっぽが出てくると思うんだ」
呆れたように行ってから、サランダは天井を見上げ――急に笑い出した。
「そうか、期待外れか。はははっ」
そして、私に向かって両手を伸ばす。
体がふわりと浮いて、私は座った姿勢のまま、サランダの腕の中に納まった。
突然、魔法を見せられて驚く私の顔を覗き込んで、サランダは首をかしげる。
「リンカ。抱きたい」
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