離婚したい女と離婚したくない男の結婚

Na20

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 それから学園に入学するまでの五年間、私はウィズバーテン公爵家で訓練を受けさせてもらうことになった。家から通うのに時間がかかり、二ヶ月に一度のペースでしか参加できなかったが、さすが名門。短い時間でもとても充実した訓練を受けることができた。ただ行く度にレイノに絡まれ、勝負をさせられることになったのだが。


「おい。俺と勝負だ!」

「……また?」

「なんだ?俺に負けるのが怖いのか?」

「そんなわけないでしょ!」

「じゃあやるよな?」

「はっ!売られた喧嘩は買ってやるわ!」

「絶対負けないからな」

「それはこっちのセリフよ!」


 私が十二歳の頃まではたまに勝てる時もあったが、それ以降は体格や筋力に差が出てきたこともあり、まったく勝てなくなってしまった。レイノもそれをわかっているはずなのに私の負ける姿をよほど見たかったのかずっと勝負をさせられ、こいつ本当に性格が悪いなと何度思ったことか。だけど私は『負けるからやりたくない』などとは絶対に言いたくなかったので、勝負を受け続けたのだった。


 学園に入学後も学園にはレイノも在籍しており、顔を合わせる度になにかと私に絡んできた。

 授業で分からないところを先生に質問していると、


『なんだ?こんなのもわからないのか?特別に俺が教えてやってもいいぞ』

『……結構です』


 全学年合同のダンスの授業では、


『なんだそのドレスは。似合ってないな』

『……そうですね』


 クラスの男子生徒と話していると、


『お前には不釣り合いだ』

『……関係ないのでほっといてください』


 こんなことが二年間も続きイライラで頭がおかしくなりそうだった。だけどレイノは公爵子息。訓練の時とは違い学園にはたくさんの目があり、伯爵令嬢ごときが生意気な態度を取るわけにもいかず耐えに耐えたのだ。


 (どうせ私は天才の誰かさんと違って、頭はよくないし、可愛いドレスは似合わないし、縁談一つこない残念な女ですよ!)


 私の成績は中の中。可愛いドレスが似合わない残念な体型。女性としての魅力が皆無。
 自分で言ってても悲しくなるのに、なぜレイノに言われなければならないのか。


 (なーにが美しき天才よ!ただの嫌味な男じゃない!)


 しかし現実は悲しいもので、レイノは頭よし、見た目よし、家柄よしで結婚したい男ナンバーワン。いつも女子生徒からキャッキャ言われていた。


 (こっちは縁談一つ来ないっていうのに、選り取り見取りで羨ましいわね。はぁ……)


 女子生徒はレイノの婚約者の座を狙っているのだ。美しき天才と呼ばれるレイノには婚約者がおらず、みなその座を射止めようと躍起になっていたのだが、結局レイノは婚約者を作ることなく学園を卒業していった。
 この時の私はただ嫌味を言ってくる奴と顔を合わせることがなくなることにホッとしていた。まさか一年後に自分がレイノの婚約者に選ばれるなど夢にも思わずに。
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