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しおりを挟む(今思い出しても最悪の出会いだったな……)
出会いの日以降、カレンは公爵家の訓練に参加するようになった。公爵家と伯爵家は距離が離れているため二ヶ月に一度の頻度ではあったが、俺はカレンが参加する度に勝負を挑んだ。
「おい。俺と勝負しろ!」
「……また?」
「なんだ?俺に負けるのが怖いのか?」
「そんなわけないでしょ!」
「じゃあやるよな?」
「はっ!売られた喧嘩は買ってやるわ!」
「絶対負けないからな」
「それはこっちのセリフよ!」
最初は負けた悔しさからだったが、勝負をする度に強くなっていくカレンに興味を持った俺は、自然とカレンを目で追うようになっていた。訓練中の真剣な顔や、食事をおいしそうに食べる顔、先輩相手に緊張した顔、楽しそうに笑う顔。
(俺には笑った顔なんて一度も見せたことないくせに……っ!……俺は今、何を考えたんだ?)
どうしてだかカレンが他の男と話している姿を見ると胸がざわつく。
(これは一体なんなんだ?)
そんな今までに経験したことのない感情に振り回されていた頃、父から話があると呼び出された。
「アイラス嬢を正式にお前の婚約者にと思うのだが、どうだ?」
「こ、婚約者……?」
「ああ。元からそのつもりで彼女を連れてきたが、うちで訓練するようになってから時間も経ったことだしそろそろと思ってな」
そうだった。カレンが俺の婚約者候補だったことを父の言葉でようやく思い出した。
(あいつが俺の婚約者……)
そう考えた瞬間、突然胸が激しく鼓動を打ち、頬が熱くなった。
「っ!」
「お前のそんな反応は初めて見るな」
「あ……いや、これは!」
「ははは!別に恥ずかしがることじゃないぞ。好いた相手が婚約者になるのだから喜べばいいじゃないか」
「……好いた、相手?」
「なんだ?自覚してないのか?」
「……」
(俺があいつを好き……?)
それからはどんなに頭で違うと否定しても、カレンの一挙手一投足に振り回される自分がいて。彼女に会えない時間が寂しくてもどかしくて。だけど彼女を目の前にすると上手く話せなくて。
日に日にカレンに対する想いが募っていき、もう認めるしかなかった。
俺はカレンが好きなのだと。
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