対米戦、準備せよ!

湖灯

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★第2次ノモンハン事件★

【ソビエト軍から見た、攻防戦】

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<4月18日PM14:00:ソビエト軍司令部 ジューコフ将軍>



「ジューコフ閣下! 敵23師団は司令部に撤退を要求しています!」

「それで司令部からの返答は⁉」

「撤退不可です!」



 予想通り。

 敵の23師団は前任の小松原中将から新任の佐藤という大佐に代わっている。

 6000から10000人規模の師団を将官でない者が指揮を執るのは異例で、その実力を試す意味もあって前線の部隊には積極的に23師団を叩くように命じておいた。

 新任の佐藤大佐に師団指揮官として能力が無ければ、一気にノモンハン要塞まで駒を進めることができ、そうなれば我が方の破壊工作で道路を寸断された日本軍の第7師団はノモンハン要塞に到着できず部隊を寸断することができる。

 特にこの場合、機械化された第7師団の列が道に渋滞してしまい、それらを破壊することによって敵の補給線を断つことも出来た。



 しかし佐藤は手強かった。

 前任の小松原であれば野営地に固着して直ぐに大群をもって圧し潰すことができただろうが、ヤツは幾重にも罠を仕掛け、我々はその罠により進軍を止められた。

 これにより我々は一気にノモンハン要塞に向かうことも、第7師団を分断することも叶わず、敵の左翼に回り込ませた戦車隊も、おそらくは第7師団のものと思われる新型の対戦車砲の攻撃に阻まれ大損害を被ってしまった。

 戦車隊の指揮官には、相手は急いで応援に駆け付けて陣地を構築する暇もなく野ざらしのまま戦っているのだから突撃してまず対戦車砲を叩けと命令したが、どういうわけかそれも失敗して退却した。

 まあしかしこの攻撃により、対戦車砲を運んで来たトラックに大きな損害を与えたことは容易に想像できる。

 軍用と言ってもトラックは、ただのトラック。

 防弾能力もなければ、大砲の穴で出来たデコボコ道を走る能力にも乏しい。

 つまり敵の第7師団は、23師団を助けるために、虎の子の新型対戦車砲を戦場の一番端に置き去りにしてくれたのだ。



 その第7師団も夕方前に前線に現れたのだが、臆したのか最前線に陣を構えず、23師団の1km斜め後方で陣を止めた。

 23師団には既に司令部から撤退不可の命令が届いているから、彼らは動けない。

 おかげで我が軍は、新型の対戦車砲が待ち構える左翼を通らずとも、右翼から23師団を叩くことができるという訳だ。



 “この戦い、もらった!!”



 あとは、指揮系統を強固にして全軍一丸となってノモンハン要塞を叩くのみ!



「戦車隊を敵の右翼に集結させろ! これより司令部も渡河を開始する!!」





 午後3時に航空支援を受けて司令部と、司令部を守る予備部隊も渡河を始めた。

 モンゴルにある飛行場周辺に日本軍のスパイが潜んでいるらしく、我が方の航空機が飛ぶと直ぐに日本の戦闘機がまるでハエのようにたかって来る。

 問題は我が方の戦闘機が、そのハエに駆逐されてしまうところが癇にさわる。





<18日18:30:アルクサン・イエルシ飛行場、柳生義正>



 夕方前に、また戦闘機が出撃した。

 今日何度目の出撃だろう?

 新兵器の投入は見送られた。

 エンジンを換装したキ-27Ⅱ、そして試作実戦投入の隼は敵戦闘機に対して絶大な能力があることが分かった。

 それでもなお制空権の確保までには至らない。

 問題は数だ。

 戦闘機に搭載できる銃弾はそんなに多くない。

 しかも砲弾のように1発で敵を仕留める威力もない。

 12.7㎜機銃弾であれば敵1機仕留めるのに10発前後当てなければならない。

 もちろん初弾から10発当てるなんてことはないから、どんなに優秀なパイロットでも1回の出撃で落とすことの出来る敵はせいぜい5~6機が良いところだろう。

 だが、それも圧倒的な性能と数の差を持っていれば容易に可能になるはず。

 そのためにはこの隼で喜んでいる場合ではなく、次々に新型機を開発して実戦に投入しなければならない。

 そしてそれを成し遂げるためには、今とは次元の違うさらなる開発力と工業力が必要になる。



 前史で、いつまでも零戦の妄想に憑りつかれた、海軍のような失敗をする様では、とてもアメリカに勝つことは出来ない。
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