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荒野の商隊。
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「いったい、貴方の何処に好かれる要素があるのです。王太子殿下。」
セルビィは、微笑みながら冷ややかな声で言った。
「王太子と言う地位以外、どんな魅力があると言うのです。」
セルビィの言葉に、会場が沈黙に包まれた。
王太子と言う地位が無ければ、ただの痛々しい男でしかないとセルビィははっきりと言って退けた。
「王太子としての役割も、果たそうとせず。そんな貴方を、姉上が好きになるはずは無いでしょう。」
セルビィの言葉に、王太子は真っ赤になって口をパクパクさせているだけだった。レイモンド達も、何も言えず口を開けているだけだった。貴族子女達は、そんな様子を固唾を飲んで見守った。
「そんなこと、そんなこと、ないもの~。アラン様は、格好良くて~ぇ優しくて~ぇ。」
口を開いたのは、フローネだった。可愛らしい声で、アランを励ます。
「ありがとう、フローネ。やはり君は心根の美しい女性だ。」
王太子は、フローネを抱き締める。
「すまないアラン、余りの言葉に声が出なかった。」
「王太子に対して、なんて言葉を。」
「これだから、豪の者は野蛮ですね。」
次々と復活した、レイモンド達が声を上げた。
「セルビィ、貴様もセルビアと同じだな。私を王太子としか、見ない。」
「姉上と、一緒にしないで下さい。」
セルビィは、ここに来て初めて声を荒げた。
その言葉を聴いてフローネは喜び勇んでセルビィに近寄り、上目づかいで微笑んだ。
「そうだよね、セルビィ様。あの人と同じだなんて嫌だよね。」
可愛らしく、猫なで声で言った。
夜の迫る夕暮れ時、多くの馬車の商隊が荒野を進んでいる。進んでも進んでも、果てしない荒野が続く。その先には豪州と呼ばれた三つの伯爵領である。その奥にランドール公爵領がある。
十台に綱らう荷馬車に、護衛が何人も付いている。護衛だけで、約百人。他の者達を入れて、三百人の商隊。既に小隊規模であった。その商隊が、かがり火を持ち闇の中を移動する姿は光りの川の様だった。休む事も無く、進み続ける。その規模に、盗賊達は手が出せないであろう。いや、この荒野に物好きな盗賊はいない。
その中に、人を運ぶ馬車が紛れている。馬車に乗る四人の女性は、それぞれに美しい魅力的な女性達であった。その中でも、ひときわ美しい闇の髪と瞳を持つ凛々しい面差しの女性がため息を付いた。
「セルビィ様のことが、心配ですか。セルビア様。」
深緑の髪と瞳を持つ、優しい面差しのアイリーンがセルビアに聴いてきた。
「ええ、あの子。必要以上に煽ってないか、心配で。」
「セルビィ君。『しんがりは、お任せ下さい。』て、嬉々としていたからね。」
藍色の髪と瞳を持つ、愛らしい面差しのリリアナが微笑んだ。
「虚偽とは言え、セルビア様の事を悪く言うのは辛かったのでしょう。」
濃い紫色の髪と瞳をした、妖艶な面差しのテレジアが頰に手をあてて頷いた。
豪州と呼ばれる者達は、黒に近い色を持つ者達である。この四人の女性も、谷を挟んで荒れた土地の者であった。豪州の者詰まり元豪族、オースト国の外様の貴族達であった。
彼等は『野蛮な豪の者。』と、よく元々のオースト国の貴族達に蔑まされていた。ほんの二十年前に、オースト国の一員になったばかりである。
「言っとくけど、あの子はお勧めしないわよ。」
人差し指を立てて、セルビアは言った。
「まあ、お熱い姉弟愛だこと。」
テレジアが、驚いた顔をしてみせる。
「違うわよ。精神が病看たかったら、どうぞ。」
「セルビィ君、かわいそう。」
リリアナが、大袈裟に両手を頰に当てた。
「だって、あの子 口達者なんですもの。」
「わかる、セルビィ君。女の子だったら『オーホホホッ。』が似合いそう。」
「でしょ、でしょ。」
リリアナが言うと、セルビアが前のめりになって言った。
「『オーホホホッ。』と言えば、この一年。楽しゅうございました。」
アイリーンが、言葉を続ける。それを聞いた、女性達の話が変わる。
「私の悪役令嬢は、よかったでしょ。」
「ええ、名演技でしたわ。」
セルビアの事を、アイリーンは褒める。
「あら、黙って立っていただけじゃなかったかしら。」
テレジアが、疑問を問い掛けた。
「悪役令嬢の顔をして立っているだけでも、辛かったんだから。褒めてよ。」
セルビアは頰を膨らまして、拗ねてみせる。
「あの、フローネて子凄いよね。何も無い所で、コケたり階段からダイブしたり。」
大袈裟に、身振り手振りで話すリリアナ。
「あれは、凄かったですわ。あの子は、名女優に慣れますわ。」
アイリーンは、感心しながら頷いた。
「今頃学園は、どうなってるのかな? 」
「そうですわね。名俳優が、いらっしやるから。」
「凄い事に、なってるんじゃない? 」
「あー。私は、穏便に済ましなさいって言ったからね。言ったのよ。」
セルビアは、頭を抱えて皆に言った。
「まあ、これから大事になるんだけどね。」
セルビアの言葉に、三人の令嬢は頷いた。
セルビアは顔を上げて、馬車の窓から外を見る。
外のかがり火は、次々とこの商隊に集まって来ている様だった。今や、何十台の荷馬車と何百人の人々が夜の闇を移動していた。交替で馬車に乗り休みながら、停まる事なく進む商隊。
セルビア達も、卒業式が終わった直後に馬車に乗り王都の学園を出て今に至る。
その意味を、オースト国の者達が知る事になるのは後少しの後の事であった。
夜の空に、星が瞬いていた。
セルビィは、微笑みながら冷ややかな声で言った。
「王太子と言う地位以外、どんな魅力があると言うのです。」
セルビィの言葉に、会場が沈黙に包まれた。
王太子と言う地位が無ければ、ただの痛々しい男でしかないとセルビィははっきりと言って退けた。
「王太子としての役割も、果たそうとせず。そんな貴方を、姉上が好きになるはずは無いでしょう。」
セルビィの言葉に、王太子は真っ赤になって口をパクパクさせているだけだった。レイモンド達も、何も言えず口を開けているだけだった。貴族子女達は、そんな様子を固唾を飲んで見守った。
「そんなこと、そんなこと、ないもの~。アラン様は、格好良くて~ぇ優しくて~ぇ。」
口を開いたのは、フローネだった。可愛らしい声で、アランを励ます。
「ありがとう、フローネ。やはり君は心根の美しい女性だ。」
王太子は、フローネを抱き締める。
「すまないアラン、余りの言葉に声が出なかった。」
「王太子に対して、なんて言葉を。」
「これだから、豪の者は野蛮ですね。」
次々と復活した、レイモンド達が声を上げた。
「セルビィ、貴様もセルビアと同じだな。私を王太子としか、見ない。」
「姉上と、一緒にしないで下さい。」
セルビィは、ここに来て初めて声を荒げた。
その言葉を聴いてフローネは喜び勇んでセルビィに近寄り、上目づかいで微笑んだ。
「そうだよね、セルビィ様。あの人と同じだなんて嫌だよね。」
可愛らしく、猫なで声で言った。
夜の迫る夕暮れ時、多くの馬車の商隊が荒野を進んでいる。進んでも進んでも、果てしない荒野が続く。その先には豪州と呼ばれた三つの伯爵領である。その奥にランドール公爵領がある。
十台に綱らう荷馬車に、護衛が何人も付いている。護衛だけで、約百人。他の者達を入れて、三百人の商隊。既に小隊規模であった。その商隊が、かがり火を持ち闇の中を移動する姿は光りの川の様だった。休む事も無く、進み続ける。その規模に、盗賊達は手が出せないであろう。いや、この荒野に物好きな盗賊はいない。
その中に、人を運ぶ馬車が紛れている。馬車に乗る四人の女性は、それぞれに美しい魅力的な女性達であった。その中でも、ひときわ美しい闇の髪と瞳を持つ凛々しい面差しの女性がため息を付いた。
「セルビィ様のことが、心配ですか。セルビア様。」
深緑の髪と瞳を持つ、優しい面差しのアイリーンがセルビアに聴いてきた。
「ええ、あの子。必要以上に煽ってないか、心配で。」
「セルビィ君。『しんがりは、お任せ下さい。』て、嬉々としていたからね。」
藍色の髪と瞳を持つ、愛らしい面差しのリリアナが微笑んだ。
「虚偽とは言え、セルビア様の事を悪く言うのは辛かったのでしょう。」
濃い紫色の髪と瞳をした、妖艶な面差しのテレジアが頰に手をあてて頷いた。
豪州と呼ばれる者達は、黒に近い色を持つ者達である。この四人の女性も、谷を挟んで荒れた土地の者であった。豪州の者詰まり元豪族、オースト国の外様の貴族達であった。
彼等は『野蛮な豪の者。』と、よく元々のオースト国の貴族達に蔑まされていた。ほんの二十年前に、オースト国の一員になったばかりである。
「言っとくけど、あの子はお勧めしないわよ。」
人差し指を立てて、セルビアは言った。
「まあ、お熱い姉弟愛だこと。」
テレジアが、驚いた顔をしてみせる。
「違うわよ。精神が病看たかったら、どうぞ。」
「セルビィ君、かわいそう。」
リリアナが、大袈裟に両手を頰に当てた。
「だって、あの子 口達者なんですもの。」
「わかる、セルビィ君。女の子だったら『オーホホホッ。』が似合いそう。」
「でしょ、でしょ。」
リリアナが言うと、セルビアが前のめりになって言った。
「『オーホホホッ。』と言えば、この一年。楽しゅうございました。」
アイリーンが、言葉を続ける。それを聞いた、女性達の話が変わる。
「私の悪役令嬢は、よかったでしょ。」
「ええ、名演技でしたわ。」
セルビアの事を、アイリーンは褒める。
「あら、黙って立っていただけじゃなかったかしら。」
テレジアが、疑問を問い掛けた。
「悪役令嬢の顔をして立っているだけでも、辛かったんだから。褒めてよ。」
セルビアは頰を膨らまして、拗ねてみせる。
「あの、フローネて子凄いよね。何も無い所で、コケたり階段からダイブしたり。」
大袈裟に、身振り手振りで話すリリアナ。
「あれは、凄かったですわ。あの子は、名女優に慣れますわ。」
アイリーンは、感心しながら頷いた。
「今頃学園は、どうなってるのかな? 」
「そうですわね。名俳優が、いらっしやるから。」
「凄い事に、なってるんじゃない? 」
「あー。私は、穏便に済ましなさいって言ったからね。言ったのよ。」
セルビアは、頭を抱えて皆に言った。
「まあ、これから大事になるんだけどね。」
セルビアの言葉に、三人の令嬢は頷いた。
セルビアは顔を上げて、馬車の窓から外を見る。
外のかがり火は、次々とこの商隊に集まって来ている様だった。今や、何十台の荷馬車と何百人の人々が夜の闇を移動していた。交替で馬車に乗り休みながら、停まる事なく進む商隊。
セルビア達も、卒業式が終わった直後に馬車に乗り王都の学園を出て今に至る。
その意味を、オースト国の者達が知る事になるのは後少しの後の事であった。
夜の空に、星が瞬いていた。
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