悪役令嬢の弟。

❄️冬は つとめて

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婚約破棄の円満解決。

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セルビィの声は、静寂なる大広間に響き渡る。

「今日をもって、我が姉セルビアとアラン王太子殿下との婚約破棄を。此処に、宣言します!! 」

セルビィは、声高らかに宣言した。

突然の婚約破棄の宣言に、会場の貴族子女達はザワめいた。
「勝手なことを言うな!! これは国が決めた婚姻だ!! 勝手に、辞められるものでは無い!! 」
王太子アランが、怒鳴って反論する。其れをセルビィは、不思議層に首を傾げて王太子を見た。さらりと、黒髪が流れる。
「国が決めた婚姻を勝手に辞めようとしていたのでは、なかったのですか? 」
黒い目を細めて、王太子に微笑む。王太子は、言葉に詰まった。
「今日この場所で、姉上に婚約破棄を言うつもりでは無かったのでしょうか? 」
セルビィは、王太子達を冷ややかな目で見る。
「御安心下さい、王太子殿下。国王陛下には、父上より今朝方婚約破棄を認めた信書を届けております。」
セルビィはにっこりと、微笑んだ。
「何時見るかは、王家がランドール家をどれ程大事に思っているか、ですが。」
セルビィは、口元に微笑を残して益々目を細めた。
「ああ、それと。姉上セルビアの名誉の為に、言っておきますが。」
くすくすと、笑いながら。
「王太子殿下、姉上は貴方の事を『これっぽっち』も好きではありませんでした。」
右手の親指と人差し指をくっ付けて、王太子の目の前で見せる。一ミリの隙間も無い。
「ばっ、馬鹿な!! セルビアは私とフローネに嫉妬して、彼女を虐めていたのだ!! 」
セルビィは、驚いた顔をした。
「何故、好きでも無い者の為に 嫉妬しなければならないのです。」
セルビィは、王太子の横にいるフローネを見た。フローネは王太子の後に、隠れた。
「むしろ姉上は煩わしい者を相手にしてくれると、喜んでいましたよ。」
セルビィは、晴れやかに笑った。
「何せ、無能者達の所為で姉上にかなりの負担が掛かってしまっていましたから。」
「無能者とは、誰のことだ!! 」
王太子が、声を荒げる。
「自覚がありませんか? 姉上が、勉学やお后教育に明け暮れている時。何処ぞの尻軽女を、追い掛けていた無能者が四人もいましたから。」
「なっ、それは俺達のことか!? 」
レイモンドが、声を荒げる。セルビィは、わざとらしく驚いてみせる。
「こうも、無自覚な無能者が国の中枢に入ると思うと。この国の行く末が、心配でなりません。」
「なっ!! 」
王太子四人は、怒りの余り言葉が出なかった。
貴族子女達の中にも、セルビィの言葉に頷く者が何人かいた。
「酷いよ~、セルビィ様~。アラン様達は、無能なんかじゃないわ~。」
フローネが両手を広げて、四人を庇う様にセルビィの前に立つ。
「「「「フローネ。」」」」
四人の男達は、愛しそうに可愛らしい彼女を見る。
セルビィは、ため息を付いた。
「私的と公的の事を、公私混合にする者のどこが有能だと? 」
「 ? 」
フローネ達は、何を言っているのか判らない様だ。
「本当に馬鹿ですね。姉上との婚姻は、国が決めた公的な事。そして、貴方達の事は私的な事。そう言っても、判りませんか? 」
クスクスと、周りの貴族子女達から笑いが溢れる。
「わ、私は、フローネを愛しているのだ!! 」
真っ赤になって、王太子アランは叫んだ。
「それが、私的な事だと言っているのです。」
セルビィは、きっぱりと言い切った。顔は笑顔だが、その目は笑っていなかった。
「まあ、いいでしょう。王太子殿下は、姉上と婚約破棄がしたかった。姉上は、それを喜んで受け入れた。円満解決ですね。」
セルビィは ぽんと、手を合わせた。
それでは、とセルビィは周りの貴族子女達に礼をしてその場を放れようとした。だが、その行く手を王太子が遮った。
「まだ、何か? 」
セルビィは、首を傾げる。
「セルビアは、何処だ。セルビアは、私とフローネの仲を嫉妬して彼女を虐めていたのだ。フローネに、謝らせる。」
王太子の言い分に、こればかりは本当にセルビィはため息を付いた。
「姉上が、嫉妬などする筈がないといいましたが。」
「黙れ!! セルビアは、セルビアは私の事を好きだったのだ!! 」
王太子は、真っ赤に顔を染めて言い張った。
「そうよ、だから私に嫉妬して。私を、虐めて。」
フローネが続けて言い、泣きながら顔を両手で覆った。王太子は、そっとフローネを抱き寄せる。レイモンド達も、彼女に近づきセルビィを睨み付けた。
どうやら、彼らはセルビアが王太子を『好いていた』としたいらしかった。そうしなければ、フローネが虐められていた理由が付かない。
「王太子殿下の何処に、姉上が好きになる要素があるのです? 」
呆れながら、セルビィは王太子達に対して聴いた。
「あれは、政略結婚。愛など、あるはずは無い。」
円満解決で、穏便に済ましてあげようとするセルビィの気持ちは届かなかった様だった。
「この場の淑女達に、お聴きしたい。定例の顔合わせにも表れない、そんな婚約者をどう思いますか? 」
貴族令嬢達から『それは、酷いですわ。』『あんまりですわ。』の声が上がる。
「婚約者に公的の場でさえ、敬意も誠意も表さない者をどう思います。」
『それは、駄目だろう。』『政略結婚なら表向きだけは、なあ。』貴族令息達からも声が上がる。 
いくら嫌っていても、家同士の繫がりを知らしめるために公の場では仲良く見せるのが貴族社会であった。
「挙げ句、女を作って公の場で婚約破棄を宣言しょうと画策する。」
『最低ですわ。』『阿呆だな。』そんな声が、周りから聞こえてくる。
「いったい、貴方の何処に好かれる要素があるのです。王太子殿下。」
セルビィは、微笑みながら冷ややかな声で言った。
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