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私の天使。
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王都の少し外れた所 郊外に、自然に囲まれた大きな屋敷が在った。
ランドール公爵家である。
簡素だが、良い素材を使った応接間に四人の少女がいた。四人それぞれに愛らしく、美しい少女である。だが、その髪は黒に近い色合いをしていた。
「今回も、来なかったね。」
藍色の髪を持つ、愛らしいリリアナが言った。
「うん、来なかったね。」
漆黒の髪を持つ、凛々しい面差しのセルビアが応えた。
「哀しい、ですね。」
深緑の髪を持つ、優しい面差しのアイリーンが呟いた。
「そうだね。」
濃い紫色の大人っぽいテレジアが、俯いた。
今日は、定例の婚約者とのお茶会であった。セルビア以外の少女は、豪の三伯爵の令嬢である。
彼女らは、望まぬ婚約を強いられながらも 前向きに頑張っている健気な少女達であった。
自分達が、王太子や公爵家達と婚姻したら もう少し豪の者達の扱いの改善を。政略結婚で愛は無いとしても、少しは仲良く出来ないかと淡い期待を持っていた。その思いは、露と消える事になるのだが。
初めて婚約者だと紹介されてから、彼女らは彼等に会えていなかった。
「大丈夫よ。学園に通えば、嫌でも逢えるようになるから。」
セルビアが、奮い立った。
「そうね、そうだよね。」
リリアナが、笑った。
「私たちの頑張りが、豪の者の為ですもの。」
テレジアが、頷いた。
「ええ、頑張りましょう。」
アイリーンが、微笑む。
余りにも、健気な四人に執事は言った。
「お嬢様、お庭を散策されて気分転換など如何でしょう。」
「そうね。皆様、まだ少し寒いけど体が引き締まっていいかも。」
「よし、体力作り!! 」
「えっ、散歩でしょ。」
「お庭の散策に、しましょう。リリアナ様。」
四人は、和気あいあいと部屋を出て行った。
残った執事は、手を目頭にあてた。
四人が廊下を歩いていると、ぱたぱたと軽い足の音が聞こえてくる。
「ね え さ ま。 」
その声に、セルビアは振り返った。其所には、愛らしい弟の姿が。
「セルビィ!! 」
セルビアは、走りだし弟を抱き締めた。
「姉様、姉様。会いたかった、です。」
「セルビィ、私もよ。
ああ、良く顔を見せて。」
「はい。姉様。」
セルビィは、満面の笑顔をセルビアに見せた。
「ああ、可愛い!! 私の天使。」
セルビアは、抱き締めて頬をすり寄せた。
「姉様、大好き。」
「ああ、私もよ。私も、セルビィのこと大好き。」
余りの微笑ましさに、三人の令嬢は見守っていたが。ちょっと、抱擁が長かったのでリリアナが声を掛けた。
「セルビア様。その子。」
その声に、セルビアは顔を上げた。セルビィも、声のする方を見て 一瞬黒い目を細めた。だが、子供のセルビア達は気づかない。
「ああ、いけない。紹介するわ、私の天使。弟のセルビィよ。」
セルビィは、ぺこり と頭を下げた。そっと、姉セルビアの後に隠れる。
「あっ、脅かしちゃった? 私、リリアナて言うの。」
「私は、アイリーン。」
「テレジアよ。」
令嬢の挨拶に、セルビィは姉の顔を見上げた。
「三人は、お友達なの。豪の伯爵令嬢よ。」
「やっぱり。」
セルビィは、三人の令嬢に笑顔を向けた。
「セルビィです。よろしくお願いします。」
天使の笑顔を。
「はふっ、天使!! 」
「何、この子。可愛いいわ。」
「天使ですわ、天使がここに。」
「でしょ、でしょ。天使なのよ、私の弟は。」
盛り上がる令嬢達を、セルビィは微笑みながら見ていた。
「知らねぇて、怖えな。」
その声は、セルビアに届いた。声のする方を、見る。
「誰? 」
其所には、一人の青年が立っていた。彼は、頭を掻きながら
「俺、俺か。俺は、ナルト。よろしく。」
セルビアは、胡散臭そうに彼を見た。
「姉様。彼は僕の、ごえいです。ボルト様の、おいです。」
「ボルト様の。」
ボルトの名前が出た時、セルビアは頰を染めた。其所にいた令嬢達は『あっ、』と声を漏らした。
ナルトも『へえ~。』と口元を上げた。
セルビアは、ボルトに淡い恋心を抱いていた。それは、弟セルビィにも父セラムにも、ましてやボルトにも秘密であった。
だが、其所にいた者は気づいた。一人を、除いては。
セルビィは、首を傾げた。何故、令嬢達は声を上げたのか。何故、ナルトは意味ありげに笑うのか。
「 ? 」
子供のセルビィには、セルビアの恋心はわからなかった。だが、それでよかったのだ。もしここで、セルビアの恋心がセルビィに知れていたら。ボルトは人知れず消・・・かも知れない。
(かも、です。かも、)
セラムに知れたら、ボコボコにされていただろう。
「セルビィを、よろしくお願いします。」
セルビアは、ナルトに頭を下げた。
「この子は、純粋で 優しい子だから。気を付けて、上げて下さい。」
「うん、あ ああ。」
ナルトは、なんとも言えない顔で応えた。
「セルビィは、気が弱くって何も知らなくって。」
セルビアは、令嬢達を見た。令嬢達は、頷いた。
この天使を護る為にも、私たちが頑張らなくては。
令嬢達は、心を引き締め微笑んだ。
ナルトは、複雑な思いで令嬢達を見ていた。彼は叔父ボルトに『天使の見た目に、騙されるな。』と注意を受けていた。
そのセルビィの子供らしく無い片鱗は、開拓地で知っていた。彼は 令嬢達は『何も、知らないんだな。』『知らねぇて、怖えな。』と心の中で思った。
セルビィは、微笑んでいた。姉セルビアの前では、『まだ』セルビィは天使であった。
ランドール公爵家である。
簡素だが、良い素材を使った応接間に四人の少女がいた。四人それぞれに愛らしく、美しい少女である。だが、その髪は黒に近い色合いをしていた。
「今回も、来なかったね。」
藍色の髪を持つ、愛らしいリリアナが言った。
「うん、来なかったね。」
漆黒の髪を持つ、凛々しい面差しのセルビアが応えた。
「哀しい、ですね。」
深緑の髪を持つ、優しい面差しのアイリーンが呟いた。
「そうだね。」
濃い紫色の大人っぽいテレジアが、俯いた。
今日は、定例の婚約者とのお茶会であった。セルビア以外の少女は、豪の三伯爵の令嬢である。
彼女らは、望まぬ婚約を強いられながらも 前向きに頑張っている健気な少女達であった。
自分達が、王太子や公爵家達と婚姻したら もう少し豪の者達の扱いの改善を。政略結婚で愛は無いとしても、少しは仲良く出来ないかと淡い期待を持っていた。その思いは、露と消える事になるのだが。
初めて婚約者だと紹介されてから、彼女らは彼等に会えていなかった。
「大丈夫よ。学園に通えば、嫌でも逢えるようになるから。」
セルビアが、奮い立った。
「そうね、そうだよね。」
リリアナが、笑った。
「私たちの頑張りが、豪の者の為ですもの。」
テレジアが、頷いた。
「ええ、頑張りましょう。」
アイリーンが、微笑む。
余りにも、健気な四人に執事は言った。
「お嬢様、お庭を散策されて気分転換など如何でしょう。」
「そうね。皆様、まだ少し寒いけど体が引き締まっていいかも。」
「よし、体力作り!! 」
「えっ、散歩でしょ。」
「お庭の散策に、しましょう。リリアナ様。」
四人は、和気あいあいと部屋を出て行った。
残った執事は、手を目頭にあてた。
四人が廊下を歩いていると、ぱたぱたと軽い足の音が聞こえてくる。
「ね え さ ま。 」
その声に、セルビアは振り返った。其所には、愛らしい弟の姿が。
「セルビィ!! 」
セルビアは、走りだし弟を抱き締めた。
「姉様、姉様。会いたかった、です。」
「セルビィ、私もよ。
ああ、良く顔を見せて。」
「はい。姉様。」
セルビィは、満面の笑顔をセルビアに見せた。
「ああ、可愛い!! 私の天使。」
セルビアは、抱き締めて頬をすり寄せた。
「姉様、大好き。」
「ああ、私もよ。私も、セルビィのこと大好き。」
余りの微笑ましさに、三人の令嬢は見守っていたが。ちょっと、抱擁が長かったのでリリアナが声を掛けた。
「セルビア様。その子。」
その声に、セルビアは顔を上げた。セルビィも、声のする方を見て 一瞬黒い目を細めた。だが、子供のセルビア達は気づかない。
「ああ、いけない。紹介するわ、私の天使。弟のセルビィよ。」
セルビィは、ぺこり と頭を下げた。そっと、姉セルビアの後に隠れる。
「あっ、脅かしちゃった? 私、リリアナて言うの。」
「私は、アイリーン。」
「テレジアよ。」
令嬢の挨拶に、セルビィは姉の顔を見上げた。
「三人は、お友達なの。豪の伯爵令嬢よ。」
「やっぱり。」
セルビィは、三人の令嬢に笑顔を向けた。
「セルビィです。よろしくお願いします。」
天使の笑顔を。
「はふっ、天使!! 」
「何、この子。可愛いいわ。」
「天使ですわ、天使がここに。」
「でしょ、でしょ。天使なのよ、私の弟は。」
盛り上がる令嬢達を、セルビィは微笑みながら見ていた。
「知らねぇて、怖えな。」
その声は、セルビアに届いた。声のする方を、見る。
「誰? 」
其所には、一人の青年が立っていた。彼は、頭を掻きながら
「俺、俺か。俺は、ナルト。よろしく。」
セルビアは、胡散臭そうに彼を見た。
「姉様。彼は僕の、ごえいです。ボルト様の、おいです。」
「ボルト様の。」
ボルトの名前が出た時、セルビアは頰を染めた。其所にいた令嬢達は『あっ、』と声を漏らした。
ナルトも『へえ~。』と口元を上げた。
セルビアは、ボルトに淡い恋心を抱いていた。それは、弟セルビィにも父セラムにも、ましてやボルトにも秘密であった。
だが、其所にいた者は気づいた。一人を、除いては。
セルビィは、首を傾げた。何故、令嬢達は声を上げたのか。何故、ナルトは意味ありげに笑うのか。
「 ? 」
子供のセルビィには、セルビアの恋心はわからなかった。だが、それでよかったのだ。もしここで、セルビアの恋心がセルビィに知れていたら。ボルトは人知れず消・・・かも知れない。
(かも、です。かも、)
セラムに知れたら、ボコボコにされていただろう。
「セルビィを、よろしくお願いします。」
セルビアは、ナルトに頭を下げた。
「この子は、純粋で 優しい子だから。気を付けて、上げて下さい。」
「うん、あ ああ。」
ナルトは、なんとも言えない顔で応えた。
「セルビィは、気が弱くって何も知らなくって。」
セルビアは、令嬢達を見た。令嬢達は、頷いた。
この天使を護る為にも、私たちが頑張らなくては。
令嬢達は、心を引き締め微笑んだ。
ナルトは、複雑な思いで令嬢達を見ていた。彼は叔父ボルトに『天使の見た目に、騙されるな。』と注意を受けていた。
そのセルビィの子供らしく無い片鱗は、開拓地で知っていた。彼は 令嬢達は『何も、知らないんだな。』『知らねぇて、怖えな。』と心の中で思った。
セルビィは、微笑んでいた。姉セルビアの前では、『まだ』セルビィは天使であった。
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