悪役令嬢の弟。

❄️冬は つとめて

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会議室の秘密。

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数日後。
三伯爵と公爵 ボルトは、ランドール家の会議室にいた。これからの事を、話し合う為だ。
椅子に座って、三伯爵の一人が言った。
「しかし、あの時は騙されましたな。」
「いや、本当に。」
「鬼気、迫るモノが在りました。役者ですな、セラム殿は。」
三人は、顔を見回せ頷いた。
「俺に、演技が出来るはずないだろう。」
「此奴に、演技が出来るはずないだろう。」
セラムとボルトは、声を揃えて言った。

「えっ!! 」

三人は、テーブルの横に座る少年を見た。床に着かない足を、ぷらんぷらん させて椅子に座っている天使の様な少年を。
「いやー。うちの子、天使なうえに名役者で。」
セラムは、声 高らかに
「余りの名演技に、俺は秘密がバレてどうしょうか。本当に恐怖したんだ。」
目をつぶって、しみじみ思 い出す。
「あの時は、とにかくパニくって お前らに本当に帰って欲しかったんだ。」

「・・・・・・。」

三人は、言葉を失った。
其れは、この幼い天使の様な少年が 父親を誘導して自分たちを仲間にしたと言うことなのか。三人の背に、冷たい物がつたった。

「セルビィが、会った事も無い殿下や子息の事を言った時は。親としては、怖いと思ってしまってな。そこまで、セルビィの心を追い詰めていたのかと。」

「会った、事も無い? 」

三人は、顔が引き攣るのが解った。
「いやー。あれも、お前らに同情される為の演技だったんだな。」
三人は、縋る様にボルトを見る。ボルトは、優しく微笑んで首を振った。
「いやー。俺、天使に騙されちゃったな て。」
そう言ってセラムは、高らかに笑った。

「父様。会議室では、お静かに。」
椅子の上で、足を ぷらんぷらん させながら首を傾げて言った。
「はふっ、天使!! 」
その可愛いらしさは、まさに天使だった。だが、一人を除いては複雑な思いを持っていた。あの、天使の下に隠れている もの は。

「親馬鹿は、ほっといて話しを始めよう。」
ボルトが、話しを始める。
「そうですね。」
「其れで、我等は何をすれば良いのだ? 」
「城壁を、作るんだよな。セルビィ。」
ボルトは、セルビィに聞いた。

(ああ、やっぱり聞くんだな。)
と、三伯爵は思った。

「うん、と。人員も増えたし。ここに、城壁じゃなくって 砦を作りたいな。」
開拓地の周りの地図に、セルビィは指を差した。
その場合は、土を盛った場所からかなり離れた位置に在った。入り江の様に突き出ている、岩と岩の間に小さな指を滑らせる。
「此所か、開拓地からかなり離れてるが。」
ボルトが、聞いた。
「城壁より、砦の方が護りやすいと思うのです。」
確かに、城壁より兵士が常駐する砦の方が。いざという時、動きやすい。背は岩山で護りは完璧だが、城壁を越えられれば袋小路に追い詰められてしまう。
ボルトは感心して、頷いた。セラムは、ニコニコとして聞いている。三伯爵は、呆然と

(本当に、十歳か!? )
心の中で突っ込んだ。

「ここが、一番狭いから五年位で出来るかな? 」
「五年か。人員、資金、資材の問題だな。」
ボルトは、唸った。
「五年も、掛かるのか。」
「其れでは、娘の婚約解消はどうなる。」
「話が違う。」
三伯爵は、言葉を吐いた。
「僕だって、早く姉様を助けたい。でも、」
セルビィの声が、小さくなった。今にも、泣き出しそうな顔になる。其れはまるで、虐めている様で三人は悪い気分になった。
「中途半端は、いけないです。やるなら、徹底的に やらないと。」
そう言って、セルビィは愛らしく微笑んだ。

(な、何を する気なんだ!! )
其処にいた、親馬鹿以外は聞くのが怖かった。
「姉様たちには、ただで帝王学が学べると我慢して貰います。これ秘密です。」
可愛らしく口元に人差し指をもって来て『しーっ』と、する。
そして、晴れやかに
「その時は、僕が責任をもって。姉様達を、助けます。」
笑った。
その笑顔は、背筋を凍らせる程 晴れやかであった。

四人は、喉を鳴らした。
セルビィは、ボルトに向き直って言う。
「人は、おじ様達の兵士が増えるし 領民も力に成ってくれるよ ね。」
セルビィは、三伯爵を見て微笑んだ。三人は、冷や汗を流した。
「資金も、援助金が増えるし ね。」
三人は、頷いた。
「だが、砦の資材と言うと 足が着く可能性が。」
ボルトは、再び唸った。普通の資材と違って、砦の資材は特別の発注に成ってしまう。其処から、足が着く可能性が出て来る。
「つきませんよ。」
セルビィは、首を傾げて言った。
「砦の資材は、オースト国の砦が発注するのです。」
「何!? 」
四人は、驚いた。
「どう言う、事だ。」
「砦が、修理の為に発注して。廃棄する資材を、使うのです。」
「其れって、横領じゃ。」
三人の誰が、言った。
「違います。廃棄した物の、有効活用です。」
セルビィは、爽やか天使の笑顔を向けた。

(こいつ、砦の資金。国に、出させる気だな。)
其処にいる、親馬鹿以外は そう理解した。
(怖い、怖すぎる。)
四人は、目を合わせ頷いた。
(俺達は、絶対に敵には成らない。なるもんか。)
と、心に刻み込んだ。

「いやー。うちの子は、天使なうえに 天才で。やっぱ、転生者かも。」
セラムは、空気を読まずに高らかに言った。
「父様。転生者は、物語の話しです。現実を、見て下さい。」
冷たい目で、セルビィは父親を見た。
「すまん。」
セラムは、謝って静かになった。

五年後、砦が出来たらどうなるのか。未来に希望の光が見えてる筈なのに、其処にいる四人は何故か恐ろしい者に魅入られてしまったの では と身を震わせるのであった。
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