悪役令嬢の弟。

❄️冬は つとめて

文字の大きさ
14 / 128

セルビア・ランドール。

しおりを挟む
国の学校は、初等部 中等部 高等部と三つある。
初等部は、十歳から十二歳間での三年 主に庶民が通う学校である。貴族は、その頃。お抱えの家庭教師を、雇っている。中等部では、貴族と金持ちの商人が通っている。主に、貴族と商人の人脈作りの為だ。高等部は、貴族達だけが通い婚姻や家柄の強化為に存在する。一応、礼儀作法や勉学の教科はあるが。


中等部、学園。入園式が終わった、教室内。
取り巻きの公爵の息子三人を連れた王子に、一人の少女が声を掛けた。
「お久しぶりで、御座います。アラン殿下。」
漆黒の髪と瞳を持つ、セルビア 十二歳である。
「誰だ、お前。」
金髪碧眼の王子は、セルビアに対してそう言った。
「この黒い髪。豪の者です、アラン殿下。」
聖教長の息子のシモンが、声を上げた。
「後に、居るのもそうだ。」
軍事総長の息子のレイモンドが、セルビアの後に居る三人の令嬢を見て言った。
「要するに、僕達の婚約者と言う処でしょうか。」
宰相の息子、エリックが推測する。
「みたいだな。」
アランは、不機嫌な顔でセルビア達を見る。
「私は、お前と結婚する積もりは無い。」
「豪の者など、おぞましい。」
「政略結婚は、嫌だな。」
「右に、同じです。」
次々と、四人は婚約無効を言い出す。
「でも、これは国が決めた婚約です。」
「だから嫌なんだ!! 」
アランは、声を上げて言った。周りで見ていた学園生達は、ざわめき立った。

「何の、騒ぎですか? 皆様、席にお付きあそばせ。」
女性が、手を叩きながら教室に入って来る。
担任の教師である。金髪に、緑色の瞳の華やかな女性は教壇に立って挨拶をする。その目は、殿下と公爵子息に注がれていた。誰 憚る事もなく、えこひいき そのものだった。
帰りの挨拶が、終わって殿下達は足早に教室を出て行く。その後を追う様に、セルビアも席を立った。

「ランドールさん、殿下に迷惑を掛けてはいけませんわ。」
教師が、行く手を遮った。
「迷惑なんて。私はただ、アラン様と話がしたくって。」
教師は、口元に手をあて。
「其れが、迷惑だとお解りにならないの?」
哀しそうに、頭を振った。
「豪の者は、立場を弁えなければ成りませんよ。」
優しく、言葉を吐いた。
「立場、て。」
「貴方がたは、領内の援助の代わりに 売られたも同然なのです。」
教師は、ワザと分かりやすく 傷尽く言葉を選んで言った。
「う、売られたなんて。」
「私たちは、豪の者の改善の為に。」
「改善だなんて、在るはずないのよ。貴方たちは、人質でも在るの。」
教師は、十二歳の子供に向かって平然と言った。
「豪の者が、裏切らない様に。ねっ、王都から出た事ないでしよう。」
「そ、それは。」
令嬢達は、俯いた。
「貴方たちは、豪の者にとって足枷でしか ないのよ。」
「でも、私たちは婚約者なのよ。」
セルビアが、教師に言った。教師は、苛立ち。
「だから、立場を弁えろと言っているのよ。」
次々と、傷付ける言葉を浴びせる。
「王家のお優しい心遣い、なのよ。奴隷同然なんて、可哀想でしよ。」
「ど、奴隷。」
とうとう、セルビア以外の令嬢たちは泣き出してしまった。其れだけではない、数少ない豪の貴族子女達も騒ぎを聞き付け集まっている。その者達も、暗い顔で俯いていた。
「婚姻しても、貴方たちとの間には世継ぎは生まれないの。分かるでしょう、豪の者の血筋なんて汚らわしい。」
周りで見ていた、オースト国の子女達は。大人の教師が言っている事に『そうなんだ。』と、蔑んだ目で見始める。
「これで、解ったで」
「お黙りなさい。」
セルビアは、教師の言葉を遮る。手を、握り締めた。
「私は、セルビア・ランドール。ランドール公爵令嬢です。貴方に、そのような事を言われる筋合いは在りません。」
セルビアは、凛とした態度で教師を睨んだ。
「私は、貴方たちの立場を解って貰うために。」
教師は、セルビアの圧力に戸惑う。
「私的の事を、貴方に言われる筋合いはないと言っているのです。」
セルビアは、首を振った。
「いいえ、婚姻に関しては公的な事。それに意を唱えるなら、王家に意を唱えると思って良いのですね。」
「そ、それは。」
教師は、押し黙った。
「私は、ランドール公爵の娘セルビア。私に、意見を述べられる者は。私と同等の爵位を持つ、公爵か王族の者だけです。」
セルビアは、周りのオースト国の子女達を見回した。
「私は、教師として。」
「立場を、弁えなさい。」
セルビアは、強い口調で、
「教師でも、踏み込んではいけない処を 弁えろと言ってるのです。」
言った。
「それでは、これで失礼します。皆様、行きましょう。」
セルビアは、後にいる令嬢達と周りに居る豪の貴族達を見る。ゆっくりと、歩き出す。その背に。
「名ばかりの公爵の、癖に。」
悔しそうに、教師は呟いた。セルビアは、振り向き。
「名ばかりでも、公爵は公爵。意が在るのなら、王家に直接 意を唱えなさい。」
そう言って、セルビアは踵を返した。その後を、令嬢達が追いかける。
セルビアは、女王前として歩き続ける。
(私が、皆を。豪の者達を護らなくては。)
セルビアは、唇を噛み締めた。
(泣かない、決して泣かない。泣くものか。)
豪の者達の為にも、公爵の地位を。名ばかりの王妃でも、その地位を手に入れなくてはならないと心に誓うセルビアであった。


しおりを挟む
感想 55

あなたにおすすめの小説

「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。

パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、 クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。 「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。 完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、 “何も持たずに”去ったその先にあったものとは。 これは誰かのために生きることをやめ、 「私自身の幸せ」を選びなおした、 ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

[完]本好き元地味令嬢〜婚約破棄に浮かれていたら王太子妃になりました〜

桐生桜月姫
恋愛
 シャーロット侯爵令嬢は地味で大人しいが、勉強・魔法がパーフェクトでいつも1番、それが婚約破棄されるまでの彼女の周りからの評価だった。  だが、婚約破棄されて現れた本来の彼女は輝かんばかりの銀髪にアメジストの瞳を持つ超絶美人な行動過激派だった⁉︎  本が大好きな彼女は婚約破棄後に国立図書館の司書になるがそこで待っていたのは幼馴染である王太子からの溺愛⁉︎ 〜これはシャーロットの婚約破棄から始まる波瀾万丈の人生を綴った物語である〜 夕方6時に毎日予約更新です。 1話あたり超短いです。 毎日ちょこちょこ読みたい人向けです。

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……

希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。 幼馴染に婚約者を奪われたのだ。 レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。 「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」 「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」 誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。 けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。 レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。 心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。 強く気高く冷酷に。 裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。 ☆完結しました。ありがとうございました!☆ (ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在)) (ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9)) (ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在)) (ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))

笑う令嬢は毒の杯を傾ける

無色
恋愛
 その笑顔は、甘い毒の味がした。  父親に虐げられ、義妹によって婚約者を奪われた令嬢は復讐のために毒を喰む。

処理中です...