67 / 128
哀愁漂う、背中。
しおりを挟む
その部屋は、暗かった。部屋が暗い訳では無く、其処にいる二人の男の雰囲気が暗かった。まるで、御通夜の様に。
手元に差し出されたお茶を、ビウェルは 溜息混じりに飲んだ。
「ぶっ!! 」
「ぶぶーーっ!! 」
ビウェルとナルトは、同時にお茶を吹き出した。
「この不味さ、不快感。」
「毒をも思わす、舌の痺れ。」
「セルビィ!! 」
「セルビィ様!! 」
「あれ? 」
振り向くと、ポットを持って可愛らしく首を傾げるセルビィがいた。
「可笑しいですね? 教わった通りに、淹れたのに。」
「お前は、毒を作るな!! いや、茶を淹れるな!! 」
「心が、体が痺れる。」
「可笑しいですね? ポットが、悪いのでしょうか。」
蓋を開けて、覗き込む。
「悪いのは、お前の腕だ!! 」
ナルトは、セルビィからポットを取り上げた。
セルビィは、頰を膨らませた。
「僕は、悪く有りません。教え方が、悪いのです。」
「口直し、淹れるわ。」
セルビィの言葉を無視して、ナルトはポットを持って茶器のある場所に向かう。
「そんな態度をとるのは、ナルト様くらいです。」
無視されたので、セルビィはビウェルの鞄の中をあさる。お菓子を見つけ出し、食べ始める。ソファに腰を下ろした。
「ビウェル様。ネルソン様から、連絡はありました? 」
手の震えを押さえながら、ビウェルはセルビィに顔を向けた。
「ああ、有った。全員、見事に買い取った様だ。」
「流石は、ネルソン様。」
セルビィは、素直に称えた。
手を合わせて、微笑む。
「ネルソン殿が、王都に入る前にかなり記事が出回っていたらしい。」
「記事、だと? 」
ナルトが、新しく淹れた美味しいお茶を差し出す。
「ああ、侯爵が『四人の死神』を、怒らした事だ。」
一口、飲む。
「あの、脂肪様ですね。」
セルビィはナルトから、カップを受け取った。
「ある一部の、肉体派奴隷が騒ぎを起こしていたとか。」
「其れは、大変です。」
セルビィは、言った。
ナルトは、冷たい目でセルビィを見る。
「『我らの姫君を、侮辱したチャイニ国を許すな。』と、暴動を起こしたようだ。」
セルビィは、祈る様に手を組んだ。
「姉様を、思って下さって、有難いです。」
ビウェルも、冷たい目でセルビィを見る。
「其れに、英雄達の戦出で立ちの姿を見て チャイニ国の者は震え上がった様だ。」
「父様達の、戦出で立ちは格好よかったです。」
思い出すように、セルビィは目を閉じた。
「王家の者が動き、反乱を起こすかも知れない『豪の者』を一纏めにしていた処に ネルソン殿が話を持ち掛けたそうだ。」
「其れは、素晴らしです。」
セルビィは、微笑む。
「ああ、チャイニ国も、集めたのはいいが 如何すればいいか思案に暮れていたらし。」
「渡りに舟か。」
ナルトが、話に入った。
「殺せば、英雄達の怒りを買うからな。交渉は、すんなり決まったそうだ。」
ビウェルは、一息にお茶を飲む。セルビィは、手を叩いて喜んだ。
「流石は、ネルソン様です。」
「何故か、ポカリス王子が戻る前に セラム公や三伯爵の戦出で立ちの絵姿が王都に流れたらしい。」
ビウェルとナルトは、セルビィを見詰めた。
「其れは、チャイニ国の情報収集は侮れませんね。」
腕を組み、頷くセルビィ。
二人は、深い溜息を吐いた。
いったい、何時から思案をしていたのか。『豪の者』のリストを用意していた時点からか。いや、リストを作る前から 考えていた事に成る。『豪の者』を、救う為には如何すればいいか。時間を掛けて、潜り込ませ 情報を集め。情報機関を手中に修め 情報を操り 噂を流し。行動を起こさせ、不安を煽り 留めに英雄達の戦出で立ちを見せつける。チャイニ国の手に余った『豪の者』を、奪い返す。
(何時から、絵姿を用意していた? )
(チャイニ国の、誰かを怒らす気だったのか? )
((そうしなければ、辻褄が合わない。))
ビウェルとナルトは、目線を合わす。
「どうやら、侯爵は『カモネギ』だった様だな。」
「はは、誰かしら犠牲に成ってたんだし。」
((もしかしたら、ポカリス王子が。))
あの場にいたチャイニ国の高位の者は二人しか、いない。
其れは、戦争ぎりぎりの線である。二人は身が震えた。
「魔物だな。」
「魔王だ。」
無邪気にお菓子とお茶を、美味しそうに頂く セルビィからは想像出来ない。
目線に気が付いた様に、セルビィは天使の微笑みを二人に向ける。
「大丈夫だな。」
「ああ、何時ものセルビィだ。」
安心仕切った、二人に爆弾が落とされる。
「ナルト様。僕、今日 帰りませんから。」
しれっと、セルビィは言った。
「えっ!? 」
「何だと!? 」
驚愕する二人に、セルビィは微笑んだ。
「今日、僕は 帰りません。」
「えっ!! 」
「何!? 」
思考が追い着かない。
「ですから、僕は 屋敷には帰りません。泊まります。」
「何処に? 」
ナルトは、何とか声に出した。セルビィは首を傾げる。
「まだ、はっきり決まってません。」
少し悩んだ後。
「週末の休み。明日から二日間、帰りませんから。」
微笑む。
「えっ!? 」
「なんで!? 」
思考が、追い着かない。
「ときめき が、錯覚だと気付かれる前に、畳み掛けます。」
「「 畳み掛ける!! 」」
二人の声が、揃った。
「はい。冷静に考える時間を与えません。決めます。」
セルビィは、笑った。
「「決めるのか!? 」」
声が、揃う。
「と、言う訳で 姉様に伝えて下さい ナルト様。」
首を傾げて、可愛らしく微笑む。足取り軽く、出て行く。
暫くして、
「待て、セルビィ!! 」
思考が追い着いて来たナルトは、叫んだ。そして、蹌踉めく。壁に頭を預け。
「俺、セルビアに殺される。」
呟いた。その哀愁漂う肩に、ビウェルは優しく手を置いた。
手元に差し出されたお茶を、ビウェルは 溜息混じりに飲んだ。
「ぶっ!! 」
「ぶぶーーっ!! 」
ビウェルとナルトは、同時にお茶を吹き出した。
「この不味さ、不快感。」
「毒をも思わす、舌の痺れ。」
「セルビィ!! 」
「セルビィ様!! 」
「あれ? 」
振り向くと、ポットを持って可愛らしく首を傾げるセルビィがいた。
「可笑しいですね? 教わった通りに、淹れたのに。」
「お前は、毒を作るな!! いや、茶を淹れるな!! 」
「心が、体が痺れる。」
「可笑しいですね? ポットが、悪いのでしょうか。」
蓋を開けて、覗き込む。
「悪いのは、お前の腕だ!! 」
ナルトは、セルビィからポットを取り上げた。
セルビィは、頰を膨らませた。
「僕は、悪く有りません。教え方が、悪いのです。」
「口直し、淹れるわ。」
セルビィの言葉を無視して、ナルトはポットを持って茶器のある場所に向かう。
「そんな態度をとるのは、ナルト様くらいです。」
無視されたので、セルビィはビウェルの鞄の中をあさる。お菓子を見つけ出し、食べ始める。ソファに腰を下ろした。
「ビウェル様。ネルソン様から、連絡はありました? 」
手の震えを押さえながら、ビウェルはセルビィに顔を向けた。
「ああ、有った。全員、見事に買い取った様だ。」
「流石は、ネルソン様。」
セルビィは、素直に称えた。
手を合わせて、微笑む。
「ネルソン殿が、王都に入る前にかなり記事が出回っていたらしい。」
「記事、だと? 」
ナルトが、新しく淹れた美味しいお茶を差し出す。
「ああ、侯爵が『四人の死神』を、怒らした事だ。」
一口、飲む。
「あの、脂肪様ですね。」
セルビィはナルトから、カップを受け取った。
「ある一部の、肉体派奴隷が騒ぎを起こしていたとか。」
「其れは、大変です。」
セルビィは、言った。
ナルトは、冷たい目でセルビィを見る。
「『我らの姫君を、侮辱したチャイニ国を許すな。』と、暴動を起こしたようだ。」
セルビィは、祈る様に手を組んだ。
「姉様を、思って下さって、有難いです。」
ビウェルも、冷たい目でセルビィを見る。
「其れに、英雄達の戦出で立ちの姿を見て チャイニ国の者は震え上がった様だ。」
「父様達の、戦出で立ちは格好よかったです。」
思い出すように、セルビィは目を閉じた。
「王家の者が動き、反乱を起こすかも知れない『豪の者』を一纏めにしていた処に ネルソン殿が話を持ち掛けたそうだ。」
「其れは、素晴らしです。」
セルビィは、微笑む。
「ああ、チャイニ国も、集めたのはいいが 如何すればいいか思案に暮れていたらし。」
「渡りに舟か。」
ナルトが、話に入った。
「殺せば、英雄達の怒りを買うからな。交渉は、すんなり決まったそうだ。」
ビウェルは、一息にお茶を飲む。セルビィは、手を叩いて喜んだ。
「流石は、ネルソン様です。」
「何故か、ポカリス王子が戻る前に セラム公や三伯爵の戦出で立ちの絵姿が王都に流れたらしい。」
ビウェルとナルトは、セルビィを見詰めた。
「其れは、チャイニ国の情報収集は侮れませんね。」
腕を組み、頷くセルビィ。
二人は、深い溜息を吐いた。
いったい、何時から思案をしていたのか。『豪の者』のリストを用意していた時点からか。いや、リストを作る前から 考えていた事に成る。『豪の者』を、救う為には如何すればいいか。時間を掛けて、潜り込ませ 情報を集め。情報機関を手中に修め 情報を操り 噂を流し。行動を起こさせ、不安を煽り 留めに英雄達の戦出で立ちを見せつける。チャイニ国の手に余った『豪の者』を、奪い返す。
(何時から、絵姿を用意していた? )
(チャイニ国の、誰かを怒らす気だったのか? )
((そうしなければ、辻褄が合わない。))
ビウェルとナルトは、目線を合わす。
「どうやら、侯爵は『カモネギ』だった様だな。」
「はは、誰かしら犠牲に成ってたんだし。」
((もしかしたら、ポカリス王子が。))
あの場にいたチャイニ国の高位の者は二人しか、いない。
其れは、戦争ぎりぎりの線である。二人は身が震えた。
「魔物だな。」
「魔王だ。」
無邪気にお菓子とお茶を、美味しそうに頂く セルビィからは想像出来ない。
目線に気が付いた様に、セルビィは天使の微笑みを二人に向ける。
「大丈夫だな。」
「ああ、何時ものセルビィだ。」
安心仕切った、二人に爆弾が落とされる。
「ナルト様。僕、今日 帰りませんから。」
しれっと、セルビィは言った。
「えっ!? 」
「何だと!? 」
驚愕する二人に、セルビィは微笑んだ。
「今日、僕は 帰りません。」
「えっ!! 」
「何!? 」
思考が追い着かない。
「ですから、僕は 屋敷には帰りません。泊まります。」
「何処に? 」
ナルトは、何とか声に出した。セルビィは首を傾げる。
「まだ、はっきり決まってません。」
少し悩んだ後。
「週末の休み。明日から二日間、帰りませんから。」
微笑む。
「えっ!? 」
「なんで!? 」
思考が、追い着かない。
「ときめき が、錯覚だと気付かれる前に、畳み掛けます。」
「「 畳み掛ける!! 」」
二人の声が、揃った。
「はい。冷静に考える時間を与えません。決めます。」
セルビィは、笑った。
「「決めるのか!? 」」
声が、揃う。
「と、言う訳で 姉様に伝えて下さい ナルト様。」
首を傾げて、可愛らしく微笑む。足取り軽く、出て行く。
暫くして、
「待て、セルビィ!! 」
思考が追い着いて来たナルトは、叫んだ。そして、蹌踉めく。壁に頭を預け。
「俺、セルビアに殺される。」
呟いた。その哀愁漂う肩に、ビウェルは優しく手を置いた。
10
あなたにおすすめの小説
「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。
パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、
クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。
「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。
完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、
“何も持たずに”去ったその先にあったものとは。
これは誰かのために生きることをやめ、
「私自身の幸せ」を選びなおした、
ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。
[完]本好き元地味令嬢〜婚約破棄に浮かれていたら王太子妃になりました〜
桐生桜月姫
恋愛
シャーロット侯爵令嬢は地味で大人しいが、勉強・魔法がパーフェクトでいつも1番、それが婚約破棄されるまでの彼女の周りからの評価だった。
だが、婚約破棄されて現れた本来の彼女は輝かんばかりの銀髪にアメジストの瞳を持つ超絶美人な行動過激派だった⁉︎
本が大好きな彼女は婚約破棄後に国立図書館の司書になるがそこで待っていたのは幼馴染である王太子からの溺愛⁉︎
〜これはシャーロットの婚約破棄から始まる波瀾万丈の人生を綴った物語である〜
夕方6時に毎日予約更新です。
1話あたり超短いです。
毎日ちょこちょこ読みたい人向けです。
田舎娘をバカにした令嬢の末路
冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。
それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。
――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。
田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……
希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。
幼馴染に婚約者を奪われたのだ。
レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。
「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」
「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」
誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。
けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。
レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。
心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。
強く気高く冷酷に。
裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。
☆完結しました。ありがとうございました!☆
(ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在))
(ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9))
(ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在))
(ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる