悪役令嬢の弟。

❄️冬は つとめて

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黒き羽根の天使。

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次の日、美しく復活した令嬢達がいた。昨日 緊張の糸が切れたように、令嬢達は眠りについた。そして、朝早く目が覚めて マリア達メイドに要って昨日よりも遙かに美しく磨き上げられていた。


「姉様!! 美しいです。」
セルビィは、称賛する。
「姉様達が、女神なら僕は喜んで帰依します。」

「そ、そうかしら。」
セルビア達は、嬉しそうに微笑んだ。
「マジ、綺麗だ。」
ナルトも、ぼそりと呟いた。
その声が、聞こえたのかセルビィが振り向いた。
にっこりと、微笑む。

「ナルト様。声を出して、称賛して下さればいいのです。」
ナルトの背に、冷たい物が伝う。
「影での含みある言い方に、僕 勘違いをしてしまいそうです。」
セルビィの漆黒の瞳が、細められる。
「それとも、ナルト様は 姉様達を・・・。」
その場の空気の温度が下がった。天使の微笑みのセルビィに、何故 寒くなるのか令嬢達もマリア達使用人も解らなかった。
「いやぁー!! め、女神の様に綺麗だな、と。」
ナルトは、死神の鎌が自分の首に掛かっているのを感じた。必死で、繕う。
「そうです。女神は信仰の対象、恋愛感情なんて有りませんよね。」
『ですよね。』と、微笑む。

ナルトは、冷や汗をかきながら頭を縦に振った。
姉達の皆の前では天使だったセルビィは、笑顔は天使のままだったが その奥に隠れていたものが溢れ出ていた。

「黒い羽根が、見えるわ。」
「笑顔は、天使なのに。」
「何か、言い方が怖いんですけど。」
令嬢達が囁いき、マリア達使用人は頷く。
「セルビィは、天使。セルビィは、天使。」
ただ一人認めない、セルビアが いた。

「セルビィ。私達は、何をすればいいの? 」
気持ちを誤魔化す為にセルビアは、話を振った。
「何もしなくていいです。」

「「「「何も? 」」」」
令嬢達は、声を合わせた。

「はい。姉様達は、阿呆様達の前に ただ降臨して下さればいいです。」
「「「「降臨? 」」」」
セルビィは にっこり と、微笑んで手を合わせた。
 
「後は僕が、無い事 無い事を阿呆様達に吹き込んで置きますので 憂いなく。」
「「「「無い事、無い事? 」」」」
「はい。」
セルビィは、天使の笑顔で応える。

「姉様達は、優しいので。尻軽さんに、嫌味を言ったり見下したりは 出来ませんよね。」

「「「「うっ!! 」」」」

彼女ら令嬢達の性格では、無理だった。それは、マリア達使用人も頷く。欲も悪くも、豪の者は裏表なく単純であった。

※セルビィとか、一部を除いて。

「ワザと足を引っかけたり、ぶつかったり。階段から突き落としたり、池に落としたり。ましてや、毒を盛ったり。」
セルビィは、天使の笑顔で つらつらと話す。
「「ど、毒!? 」」
「「毒は、駄目よ!! 」」
リリアナとアイリーンが、驚き。テレジアとセルビアが、止める。
「如何して、ですか? 」
セルビィは、可愛らしく首を傾げた。
「だって、死んでしまうわ。」
「大丈夫です。致死量は与えません。倒れる位です。」
にっこりと、笑う。

「お願い、毒はやめて。」
セルビアのお願いにセルビィは、頷いた。
「解りました、下剤辺りにしておきます。」
納得いかないが、姉のお願いをセルビィは聴く良い子であった。

「姉様達は、優しいです。」
「いや、お前が怖いだけだから!! 」
微笑むセルビィに、ナルトが突っ込んだ。
「そんな事言うのは、ナルト様だけです。」
「いや、此処にいる者は皆 思っているからな。」
「僕のいったい何が、怖いんです。」
首を傾げるセルビィには、解っていない様だった。

「笑顔は、天使なのに。」
「言っている内容が、怖いですわ。」
「羽根が、黒い羽根が。」

((((黒い羽根が見える!! ))))
その場にいる者の心情であった。一人を除いて。

「セルビィは、天使。セルビィは、天使。」
セルビアは、現実逃避をしていた。

「いざという時は、僕が姉様と成り代わり 事を運びますから 安心して下さい。」
くすくす と、笑った。

((((事って、なに!? ))))
(足を掛けるとか? )
(ぶつかるとか? )
(階段から、突き落とすとか? )
「池に、突き落とすとかか。」
ナルトは、セルビィに聞いた。セルビィは、微笑んで肯定した。

「これは、黒。黒ですわ。」
「真っ黒よ。」
「羽根が、ですよね。」

((((天使のような、悪魔です!! ))))
「いや、魔王だから。」
ナルトが皆の心情を察して、突っ込みを入れた。


「姉様、御免なさい。」
セルビィは、哀しそうに謝った。
「セルビィ? 」
「僕は、昨日の様に姉様達に 酷いことを言うかもしれません。」
セルビィは、下から覗き込む様に令嬢達を見る。
「本意では無いので、僕を 嫌わないで 下さい。」
祈るように、令嬢達を見上げる。
「解ってるわ セルビィ。」
セルビアは、優しく微笑んだ。


「僕はそろそろ、学園に向かいます。」
セルビィは、ちらりと時計を見ると言った。
「姉様達は、もう少ししてから此処を後にして下さい。」
セルビィは、丁度アラン達と出会う時間帯を選ぶ。

「阿呆様達の前に、美しく降臨して下さい 姉様。」
嬉しそうにセルビィは、微笑む。
「姉様達の手を煩わしたりしません。」
くすくす と、笑う。
そして、足取り軽く馬車に乗り込む為に玄関へ向かった。その後をナルトが、明るい茶色の桂を被りながら続く。

残された令嬢達は、立ち尽くすセルビアに。
「現実逃避は、やめましょう。」
「そろそろ、現実を認めましょう。」
「セルビィ君は、真っ黒よ。」

「「「「セルビィ様の羽根は、真っ黒です。」」」」
マリア達使用人も、現実を受け止めた。

「だから、なに。」
セルビアは、呟いた。

「羽根が黒くても、セルビィは天使なんだから。」
セルビアは、開き直った。

「言葉の内容が、精神を病ませる程 酷くても。」
セルビアは、女神の如く立ち上がる。

「笑顔は、天使なんだから。問題はないわ。そうでしょう。」
セルビィを、天使と言い張るセルビアは女神の如く美しかった。
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