悪役令嬢の弟。

❄️冬は つとめて

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四日目、地獄の朝。(お食事中の方はご遠慮ください。)

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地獄の朝はけたたましい扉を叩く音と、
「オラァ!! 早く出てこい!! うっ、 」
怒号と、
『ぎゅゆゅゅゅゅゅ~~ 』
激しい腸内活動で始まった。

簡易的に作られた数百個の個室に、死人の形相で長蛇の列ができていた。

トイレである。

つまり、簡単に言うとセルビィは薬を盛った。


「で、何を盛ったんだ? 」
爽やかに目覚め朝食を取ったセルビィに、茶を淹れながらナルトは質問した。他の者の手が止まる。
 
「人聞きの悪いことを言わないでください。僕が何をしたと。」
可愛く首を傾げる。

「お前が何もせずに、敵陣視察なんぞ行くもんか。」
ナルトは他の者にも茶を差し出しながら問いただす。ロビンは『うんだ、うんだ。』と頷いている。

「何故私は、あの時冷静に断らなかったのか。何故私は、あの時服を脱がなかったのか…… 」
ビウェルはあの時の姿を思い出し、ぶつぶつと呟きお通夜のように暗くなっていた。

「すまない!! 俺が、俺が代わればよかった。何なら今からでも!! 」
「リオル様、それはやめてください!! 」
リオルは済まなそうに何処からか取り出したメイド服をかざした。着ようとする主君をロレンスは必死に止めている。

「で、何を盛ったんだ。」
気にすることも無くナルトはセルビィを問いただす。 

「人聞きの悪い言い方はやめてください。僕が毒を盛るなんて、そんな非人道的な事をすると思いますか? 」
哀しそうにセルビィは目を閉じる。

「お前、魔王だし。」
ナルトもお茶を飲みながら即答する。ロビンは『うんだ、うんだ。』と頷いている。

「いつ何時も、冷静でいなければならなかったのに…… 」
ビウェルはまだ反省中だ。

「すまない、ビウェル!! この俺も同じ変態の誹りを受けよう!! 」
「リオル様、それはやめてください!! 」
リオルは済まなそうにメイド服に腕を通しているが、入らない。着ようとする主君をロレンスは必死に止めている。

「で、何を盛ったんだ。」
「腹下しを少々。」
まるで隠し味のように言って、セルビィは微笑んだ。

「「やっぱ、盛ってんじゃねぇか!! 」」
ナルトとロビンは突っ込んだ。



「頼む……出てきてくれ…… 」
『きゅゆゅゅるるる~~ 』
トイレは入った者が陣取り、出てこない。溢れかえった者達は戦場近くの草陰で用を足すしかなかった。待つことは出来ない、既に我慢の限界でお尻の出口は決壊していた。アチラコチラそこかしこで、用を足す兵士達。足場は既に他の者が下したモノで埋め尽くされていたが、我慢出来ずに消化できてなかったモノが転がる場所を踏み潰してその上から汚物を撒き散らしていた。

「うっ、うっぷっ…… うえっ。うっ…… 」
『ゲッ、ゲッ、ゲーーッ!! 』
『グルルルルーー!! 』
その臭いは辺りに充満し、目に染みて涙を流し鼻にきてえづき上の口からも吐瀉物が溢れ出していた。えづけば腹に力が入り、また下から汚物が溢れ出す。 

耳障りな合唱が聞えてくる。其処は、正に地獄絵図となっていた。

「なんだこの臭いは!! 」
戦場より離れた近くの街ユーヨクが大将閣下や貴族達の偉い部隊の指揮官達が休んでいた。戦支度をした将軍大将が鼻を押さえながら叫んだ。同じく鼻をハンカチで押さえた副官が苦しそうに報告する、風下の為臭いが此処まで届いていた。

「うっぷっ。ど、どうやら食あたりにあったようでして。」
「食あたりだと!? 」
「は、はい……うえっ、 殆どの兵が食あたりになっています。」
「何だと、これから戦だというのにか!? 」
「は、はい……うっぷっ、その戦は……無理かと……うっ、 」
臭いにえずきながら、副官は大将閣下に進言をする。腹を下だしながら戦など出来るはずはない。剣を構えて腹に力を入れた途端、下から水のような排泄物が漏れ出すのだ。その臭いと気持ち悪さに、今度は吐き気を催す。吐けばまたそのスイた臭いに、えずき吐き気が倍増する。精神的に疲弊し、体からも水分が失われて力など入るはずはない。

「ば、馬鹿を言うな!! そんなことをすれば皇帝陛下からどんなお咎めがあるか!! 戦は時間通り始めるぞ!! 気を引き締めて、腹下しを止めろ!! 」
めちゃくちゃな事を言い出す。下痢止めなど兵士達の人数分あるはずもなく、兵達は青い顔をしたまま戦の陣形を取らされた。

よろよろと立ち尽くす兵士達は既に戦意など微塵もなかった。今もなお鳴り続ける腸内活動の音と、歩くたびに漏れ出す物が股下を汚す。そして気持ち悪い臭いにが充満し、吐き気を催す。ゲロゲロと吐き出す者もいた、それに誘われるように周りの者も吐瀉物を吐き出す、魔のスパイラルに陥っていた。




「そろそろ、僕達の聖戦士達に会いに行きます。シアン様もこの聖戦を心待ちにしている事でしょう。」
「悪魔め…… 」
「魔王め…… 」
腹を下したことのない者などいないだろう。あの不可解な腹の痛みと油断すれば漏らしそうになる恐怖。ナルトとロビンは敵兵ながら哀れに思った。だが二人が考える以上にかの地は地獄と化していたが。

「おやめくださいリオル様。私はギリセーフでしたが、貴方はまじヤバいですから。」
冷静さを取り戻したビウェルは、静かにリオルを制する。

「まじヤバい? 」
「はい、まじヤバい。ですのでおやめください。」
腕だけ通したところで、拘束された状態になっているリオルにビウェルは冷静な判断を下した。

「ビウェル殿もこう仰られているのでやめましょうリオル様。」
「そうか…… 俺はまじヤバいのか。」
「はい、目の毒ですからやめてください。」

四日目、開戦の朝が始まった。




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