【完結】私の婚約者の、自称健康な幼なじみ。

❄️冬は つとめて

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自称健康な幼なじみの、不屈の精神。

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ルミナスとオスカーは、デートの定番遊園地へと馬車で向かっていた。

オスカーはルミナスの横に座り手を握り締め、幸せでいっぱいで微笑んでいた。
戸惑うルミナスの頬がバラ色に染まっている。

(なんて可愛いんだ、食べてしまいたい。) 
オスカーは欲望を何とか理性で押さえていた。

(ガマンしろ俺。ルミナスに嫌われてしまう。)
二人になってオスカーは、カノンの存在の重要性に気付く。
カノンのお陰で欲望より理性が立ってた。だが今は二人きり、手まで握れている。

(バラ色に頬にキスがしたい。その可愛らしい唇にキスがしたい。)

「カノンがいれば…… 」
少なくとも人の目があるため、冷静でいられた。オスカーの言葉にルミナスは哀しくなった。

「オスカー様は、カノン様を護って差し上げたいのですね。」
「ルミナス? 」
ルミナスは俯いた。

「カノン様は私と違って、か弱く可愛らしく。オスカー様を思っていらっしゃるから…… 」

「カノンが俺を思っている? それ全然違うから。」
オスカーはカノンが自分を好いている事を否定する。

「でも、辛い体に鞭打ってもオスカー様の傍に居たいと…… 」
思い詰めたようにルミナスはオスカーを見る。

「ああ、それは…… 」




「白いですわ。」
カノンは目を覚ました。

「カーテンも壁も、総てが白いですわ。」
消毒液の匂いが鼻につく。

「病院ですわ。」
カノンは体を起こした。

「お兄様、酷い。わたくしを病院に入れるなんて。わたくしは健康なのに…… 」
カノンはベッドを降りると、ドアに向かってゆらゆらと歩き出す。

「わたくしを置き去りにするなんて。」
白い入院着のまま、ドアを開けて廊下に出る。足も裸足のまま。

「ルミナス様と二人で…… 」
行き交う入院患者の中をゆっくりと壁づたいに階段へと歩く。

「わたくしの気持ちを知ってる癖に… 」
階段を一段一段、踏み締めるように降りる。

「わたくしがどんなに癖に…… 酷いですわ、お兄様。」
一番下まで辿り着くと、カノンは体を壁に預けた。

「はぁーっ。」
一呼吸着いた。
カノンは病院の入り口を見ると、まるで天国の入り口の様に光がさしている。
カノンは壁づたいにその入り口へと歩き出した。

「お兄様。ルミナス様と二人っきりで、デートしてるのですわね。」
カノンは拳を握り締める。 

「デートと言えば遊園地…… 」
カノンは目から涙を流した。

「酷いですわ、お兄様。わたくしを置いていくなんて、こんなに愛してやまないのに…… 」
カノンの足は病院の入り口へと向かう。ゆっくりだが確実に。

待合室を壁づたいに歩き、病院の出口へと歩く。その出口の先に、オスカーとルミナスが楽しそうにしている姿が幻のように見える。

「またわたくしを置いて行くのね、お兄様。子供の時のように…… 」
カノンは唇を噛みしめると、微かに血が滲む。

「遊園地へ。」
子供の頃熱を出し、行けなかった遊園地。目が覚めると傍に居てくれるはずのオスカーの姿は無く、掴んだ上着だけがそこにあった。

オスカーが初めて使用人に遊園地へと連れて行ってもらった日。

「自分だけずるいですわ、お兄様。わたくしだって行きたかったのに。」
それ以来カノンは片時もオスカーの傍を離れなかった。

「遊園地へ。」
カノンは歩く。

「わたくしも、遊園地へ。」
不屈の精神で病院の出口へと辿り着く。
日の光の中に遊園地がある。

憧れの遊園地。夢に見た遊園地。

そして、カナンは夢見るように力尽き静にその場に倒れて落ちた。

「先生、居ました!! カナン様が、出入り口に!! 」
出入り口寸前の処でカノンは力尽き倒れた。

だがその顔は喜びに微笑んでいた。




「つまりカノンが俺から放れないのは、俺が黙って遊園地へ行かないように見張っているだけなんだ。」
「そ、そうなの…… 」
「いやー。子供の頃の怨みって恐いよな。」
オスカーは頭を掻いて笑った。

「その…… 遊園地。連れて行ってあげたら? 」
ルミナスは戸惑いながら言った。

「それは、ちょっと。」
「どうして? 」
ルミナスは首を傾げる。

「満足して、天昇してしまいそうで…… 」
オスカーは苦笑した。


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