【完結】私の婚約者の、自称健康な幼なじみ。

❄️冬は つとめて

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自称健康な幼なじみの、主治医。

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「酷いですわ、お兄様。」
「元気出せカノン。ほら、土産だ。」
ベットに横たわるカノンにオスカーは、猫のぬいぐるみを差し出す。

「酷いですわ、ルミナス様。」
「ごめんなさいカノン様。これ、クッキーですわ。」
ルミナスは猫型のクッキーをお土産に差し出す。

「クッキーより、おまんじゅうがよかったですわ。」
ぷいっと、横を向くカノン。

デートの帰りにオスカーとルミナスはカノンの入院している病院へとやって来ていた。
お土産を持って。

「二人して、酷いですわ。」
カノンはあれから何度か目覚めると病院を抜け出そうとし、出入り口付近で倒れている処を発見されていた。
なので、カノンは逃げ出さないように足元を人魚の様に包帯で巻かれていた。

「二人して、ずるいですわ。」
包帯を解かないように、カノンは拘束着を着せられていた。

「二人して、抜け駆けですわ。」
それでも、張って抜け出そうとするカノンはシーツにより、ベットにと綺麗にラッピングされていた。

「わたくしも行きたかったですわ。」
カノンは怨みがましく二人を見る目に涙がたまっていた。

「それはな、カノンが元気になったらな。」
「わたくしは、元気ですわ! 」
蒼白い顔で、応える。

「お前は、病気だから。」
「酷いですわお兄様。いつもそう、みんなしてわたくしを病気にするのですわ。ゴホッゴホッ! 」
興奮して、咳が出る。 

「落ち着いて、カノン様。」
「そう思うでしょう、ルミナス様。」
「ええ…… 」
ルミナスは目線を反らした。

「みんなしてゴホッ! わたくしを病弱にしてゴホッゴホッ! わたくしだって、学校にも行きたかったですわゴホッ!! 」
カノンは病弱な為、学校へは行けず家庭教師に勉学を習っていた。

「友達もゴホッ! 遠足もゴホッゴホッ! そう、遠足に行きたかったですわゴホッゴホッゴホッ!! 」
「カノン様、落ち着いて!! 」
ルミナスは宥めに掛かった。

「酷いですわゴホッゴホッ! ルミナス様までゴホッゴホッ! わたくしをゴホッ! 病弱に…うっ、ガボッ!! 」
カノンは血を吐いた。

「きゃーー!! カノン様!! 」
ルミナスは悲鳴をあげた。

「ゴホッゴホッ!! ゲホッゲホッ!! 」
「横を向けカノン、窒息するぞ!! 」
血で溺れそうになるカノンの頭をオスカーは横に向けた。口から血が流れ出るとシーツと枕を真っ赤に染めあげた。

「たいしたことありませんわ、お兄様。女性には月のものがありますの、わたくしはそれが少々多いいだけですわ。ねっ、ルミナス様。」
「…… 」

ルミナスは応えることが出来ず首を振った。オスカーは女性の月の事を言われて顔を赤らめた。

「わたくしは、口から吐き出してるだけですわ。」
だから自分はと主張する、自分は健康だと。

「月のものは口から出ませんよ。カノン様。」
まだ若い二十歳後半といったところの鳶色の髪をした好青年が現れた。きっちりと白衣を着た医者が声を掛けた。

「先生。」
いい処に着てくれたと、オスカー達は思った。

「出ましたわね、わたくしの宿。」
カノンは語気を強めた。

宿ではありません、です。」

「あなたがわたくしを!! 」
「いえ、あなたは病気です。」

「わたくしは、健康よ!! ゴホッ!! 」
「咳をし、血を吐く健康な人間がいますか? 」

「これはゴホッ! 女性のゴホッゴホッ!! 月のゴホッゴホッゴホッ!! 」
「月のものは口から出ません。」
はっきりと切って捨てる。

「カノン様。自覚して下さい、病気は自覚しないと治るものも治らないのですよ。」
「わたくしは、健康よ!! ゲホッゲホッゲホッ!! 」

言い合う二人を置いて、オスカーはルミナスの手を取り病室をそっと出ようとした。

「お兄様ゲホッ! 酷いですわ!! 逃げるの!? ゲホッゲホッ!! 」

「カノン、また来るから。」
「体を労って下さい。」
二人して挨拶をし、手を取って逃げ出した。

「卑怯ですわ、お兄様!! わたくしも連れて帰って!! ゲホッゲホッゲホッゲホッ!! 」
カノンの咳が部屋に響き渡る。

「あなたは当分入院です。」


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