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自称健康な患者の、主治医の心情。
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あれ程オスカーに、カノンとの結婚を進めるオルグの矛盾に頭を捻る。
「では、息子との婚姻も駄目と言う事だな。」
「オスカー君は別だ!! 」
オルグは叫んだ。
「何故ならば、カノンの夢なのだ。」
カノンがオスカーとの結婚を望んでいるとオルグの言葉にその場にいる者の総てが驚愕した。
独りを除いて。
「そんな…… カノン様はオスカー様を…… 」
「カノンが? 冗談だろ。」
特にルミナスとオスカーが、言葉に詰まる。
「カノンが父に言ったのだ。」
それはカノンが四歳の頃、父に。
『カノンは大きくなったら、お父様と結婚するの。』
「カノンは父と結婚したいと、言ったのだ。」
満面の笑みで、公言する。
「だが、カノンは愛しき娘。結婚は出来ない。だから、」
バッと、オスカーをオルグは見た。
「父そっくりのオスカー君と結婚をさせてあげようと思ったのだ。」
嬉しそうに言い張った。
「それは、子供の戯言だよな。」
嬉しそうに笑う弟に、兄オルガは言った。
「違う!! カノンは父と父と、結婚を望んでいるんだ!! 」
直ぐに兄の言葉を否定する。
「カノンをつれて、ウェディングアイル歩く先に待つ、父にのオスカー君。」
オルグは想像の世界に入りきる。
「まるで、父とカノンの結婚式。カノンの夢が、かなうのだ。」
「子供の戯言に俺を巻き込むな!! 」
キラキラと、夢を語るオルグに突っ込むオスカー。
「……ねたましい。
オスカー様は父上と似ていて、姉上と結婚するなんて!! 僕が父上の子供なのに、僕より父上に似ているなんて!! 」
アルトはオスカーを睨んだ。オスカーの黒い髪が目に入る。
「オスカー様なんて、禿げててしまえばいいのに!! 」
「そうだ、禿げてルミナス嬢にざまぁされろ!! 」
二人は、呪いの言葉を吐いた。
「不吉なことを言うな!! 」
オスカーは叫んだ。
カノンのストレスで抜け毛が気になっていたからだった。
『ざまぁですわ、お兄様。おハゲになりましたのね、おーほほ、ごほっごほっ!! 』
オスカーの目には、カノンの歓喜の姿が見える。はらりと、髪が落ちた。
バシッ!! バシッ!!
二人の頭に扇が炸裂した。
「いい加減になさいと、言ったでしょうオルグ!! アルトも落ち着きなさい!! 」
甲高い声の妻テノールの叱咤が二人に飛ぶと、頭を押さえて蹲る二人。
バッと、扇を広げ口元を隠す。
「今日はもう帰りますよ。」
夫人は、バァァンと扉を開けた。
「ついて来なさい、オルグ、アルト。」
「「……はい。」」
二人は夫人の後に続いた。
「御義兄様、みな様、今日はこれで帰ります。カノンの事を宜しく御願い致しますわ。」
すすすと、テノール夫人は歩き出した。オルグとアルトはドナドナされて、夫人の後を追った。
「ルミナス…… 」
「大丈夫です。オスカー様は、大丈夫です。」
ルミナスは優しくオスカーの頭を撫でた。クゥ~ンと、オスカーはルミナスに縋り付いた。
(例えオスカー様の頭部が寂しくなられても、私は…… )
ルミナスはオスカーを抱きしめた。
結婚という言葉にタクトは茫然としていた。
(結婚…… 私がカノン様と。)
タクトは頭を振る。
(馬鹿な、カノン様とは十も歳が離れている。それに地位が違いすぎる。私は貴族ではあるが爵位は持たない。)
タクトは頭を抱えた。
(しかし、主治医としてカノン様の面倒を見るのは当然であり、当たり前であって…… )
タクトは髪を掻きむしる。
(違うだろう、主治医としてではなく私は男としてカノン様を…… )
『出ましたわね、わたくしの宿敵。』
『大丈夫ですわ、先ほど飲んだ葡萄ジュースですわ。』
『わたくしは、健康ですわ。』
走馬灯のように次々とカノンの姿が現れる。気丈に言い張るカノンの姿が。
(私は、カノン様を好いているのか? )
「アプリコット侯爵閣下、私は。」
意を決してタクトは立ち上がった。
「モガモガモガ…… 」
しかし、応接室には誰もいなかった。いや、毛布に簀巻きにされた者が床に転がっているだけだった。
「では、息子との婚姻も駄目と言う事だな。」
「オスカー君は別だ!! 」
オルグは叫んだ。
「何故ならば、カノンの夢なのだ。」
カノンがオスカーとの結婚を望んでいるとオルグの言葉にその場にいる者の総てが驚愕した。
独りを除いて。
「そんな…… カノン様はオスカー様を…… 」
「カノンが? 冗談だろ。」
特にルミナスとオスカーが、言葉に詰まる。
「カノンが父に言ったのだ。」
それはカノンが四歳の頃、父に。
『カノンは大きくなったら、お父様と結婚するの。』
「カノンは父と結婚したいと、言ったのだ。」
満面の笑みで、公言する。
「だが、カノンは愛しき娘。結婚は出来ない。だから、」
バッと、オスカーをオルグは見た。
「父そっくりのオスカー君と結婚をさせてあげようと思ったのだ。」
嬉しそうに言い張った。
「それは、子供の戯言だよな。」
嬉しそうに笑う弟に、兄オルガは言った。
「違う!! カノンは父と父と、結婚を望んでいるんだ!! 」
直ぐに兄の言葉を否定する。
「カノンをつれて、ウェディングアイル歩く先に待つ、父にのオスカー君。」
オルグは想像の世界に入りきる。
「まるで、父とカノンの結婚式。カノンの夢が、かなうのだ。」
「子供の戯言に俺を巻き込むな!! 」
キラキラと、夢を語るオルグに突っ込むオスカー。
「……ねたましい。
オスカー様は父上と似ていて、姉上と結婚するなんて!! 僕が父上の子供なのに、僕より父上に似ているなんて!! 」
アルトはオスカーを睨んだ。オスカーの黒い髪が目に入る。
「オスカー様なんて、禿げててしまえばいいのに!! 」
「そうだ、禿げてルミナス嬢にざまぁされろ!! 」
二人は、呪いの言葉を吐いた。
「不吉なことを言うな!! 」
オスカーは叫んだ。
カノンのストレスで抜け毛が気になっていたからだった。
『ざまぁですわ、お兄様。おハゲになりましたのね、おーほほ、ごほっごほっ!! 』
オスカーの目には、カノンの歓喜の姿が見える。はらりと、髪が落ちた。
バシッ!! バシッ!!
二人の頭に扇が炸裂した。
「いい加減になさいと、言ったでしょうオルグ!! アルトも落ち着きなさい!! 」
甲高い声の妻テノールの叱咤が二人に飛ぶと、頭を押さえて蹲る二人。
バッと、扇を広げ口元を隠す。
「今日はもう帰りますよ。」
夫人は、バァァンと扉を開けた。
「ついて来なさい、オルグ、アルト。」
「「……はい。」」
二人は夫人の後に続いた。
「御義兄様、みな様、今日はこれで帰ります。カノンの事を宜しく御願い致しますわ。」
すすすと、テノール夫人は歩き出した。オルグとアルトはドナドナされて、夫人の後を追った。
「ルミナス…… 」
「大丈夫です。オスカー様は、大丈夫です。」
ルミナスは優しくオスカーの頭を撫でた。クゥ~ンと、オスカーはルミナスに縋り付いた。
(例えオスカー様の頭部が寂しくなられても、私は…… )
ルミナスはオスカーを抱きしめた。
結婚という言葉にタクトは茫然としていた。
(結婚…… 私がカノン様と。)
タクトは頭を振る。
(馬鹿な、カノン様とは十も歳が離れている。それに地位が違いすぎる。私は貴族ではあるが爵位は持たない。)
タクトは頭を抱えた。
(しかし、主治医としてカノン様の面倒を見るのは当然であり、当たり前であって…… )
タクトは髪を掻きむしる。
(違うだろう、主治医としてではなく私は男としてカノン様を…… )
『出ましたわね、わたくしの宿敵。』
『大丈夫ですわ、先ほど飲んだ葡萄ジュースですわ。』
『わたくしは、健康ですわ。』
走馬灯のように次々とカノンの姿が現れる。気丈に言い張るカノンの姿が。
(私は、カノン様を好いているのか? )
「アプリコット侯爵閣下、私は。」
意を決してタクトは立ち上がった。
「モガモガモガ…… 」
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