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俺の自称健康な幼なじみの、結婚。
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伯爵家の応接室で、テノール侯爵夫人は自分の屋敷のように寛いでお茶を飲んでいた。
目の前に、夫と息子を座らせて。他の者は、別のテーブル席に座って成り行きを見守っていた。
「アルト。」
「はい、母上。」
ソファに座り下を向いている少年と男性、親子揃って俯いている。母親の声に顔を上げる。
「カノンは、可愛い弟と言ってましたよ。」
「姉上が!! 」
『じ~ん』と、感動に涙を流す。アルトの目の前の闇は晴れた。
「オルグ。」
「はい、妻よ。」
テノール夫人の声に、恐る恐る顔を上げる。
「カノンの婚姻をオスカー様に進めるのは、許しません。」
『ガ~ン』と、オルグはその場に打ち砕かれる。明暗が分かれた親子であった。
「テノール叔母上、有難う御座います。」
心の底からオスカーは礼を言った。
「ルミナス様も御免なさいね。」
テノール夫人は、ルミナスに謝りを入れる。
「親子共々迷惑をかけているわ。」
「いえ、そんな…… 」
ルミナスはチラリとオスカーに目を向けると彼は嬉しそうに微笑んでいた。幾万の味方が現れたように。
「ルミナス嬢…… 」
叔父オルグはルミナスの元に跪いた。
「ルミナス嬢、お願いだ。オスカー君をほんの少し、貸してくれ。」
「えっ? 」
縋るように涙目で訴える。
「カノンは病弱だ。父は父は、カノンの幸せな花嫁姿が見たいのだ。」
オルグは妻が怖いので、目標をルミナスに代えた。
「一時の幸せを、カノンに味あわせてあげたいのだ。ルミナス嬢。」
オルグの瞳は若草色、髪は黒髪。顔はオスカーそっくりであった。息子のアルトより、オスカーの方がオルグに似ていた。数十年後のオスカーが、瞳を潤ませルミナスに哀願してくるようでルミナスはきゅんきゅんと胸を掴まれていた。
「カノンを哀れと思って、オスカー君を一時貸してくれ。」
オルグはルミナスの手を取った。
「オスカー君を、ざまぁしてくれないか。」
「ふざけんな!! ルミナスに触れるな、この糞叔父!! 」
オスカーは叔父を蹴り倒し、ルミナスを確保する。
「カノンはぜってぇ俺より長生きする、かけても良い!! 俺の方がストレスで早死する!! 」
オスカーはルミナスを抱きしめる。
「ルミナス、俺を救ってくれ。君は、俺の唯一の癒やしだ。」
「オスカー様。」
よしよしと、ルミナスはオスカーの頭を撫でた。キュ~ンキュ~ンと、子犬のようにオスカーはルミナスに縋り付く。
「弟よ、結婚させたいならそこに居る者でもいいだろう。」
兄のオルガは、ソファに座っている三人の男性に目を向ける。
バッと、ハルクは目を逸らした。ひっしとエリーゼの手を取り頭を振り、エリーゼと共に駄目だとアピールをする。
ハルクの隣のタクトは茫然としていたが、その横の金髪のナルシスが毛布をマントのように靡かせて立ち上がった。
「愛しの姫君を幸せに出来るのは僕しかいない。」
キラキラと、マントを靡かせて苦悩する。
「すまないルミナス、姫君の涙は見たくはない。少しの間僕を姫君に委ねてくれないか。」
跪き、右手を差しだした。
「だが愛してるのは、ルミナスだけだよ。僕の愛するルミナス。」
その手をオスカーははたき落とした。
「叔父さん、此奴でいいだろ。」
襟元を掴んで猫のように叔父に差しだした。
「駄目だ!! カノンを何処の馬の骨か分からない奴と結婚させるか!! 」
「そうです。姉上に、そんな馬鹿は問題外です!! 」
親子揃って結婚を反対する。
「カノンを結婚させたいのか、させたくないのかどっちだ? 」
オルガは、弟に問い掛けた。
「僕は姉上の結婚は反対です。」
「父は、父は、カノンを誰にも渡したりしない。カノンを結婚されてたまるか!! 」
その声は、応接室に響き渡った。
目の前に、夫と息子を座らせて。他の者は、別のテーブル席に座って成り行きを見守っていた。
「アルト。」
「はい、母上。」
ソファに座り下を向いている少年と男性、親子揃って俯いている。母親の声に顔を上げる。
「カノンは、可愛い弟と言ってましたよ。」
「姉上が!! 」
『じ~ん』と、感動に涙を流す。アルトの目の前の闇は晴れた。
「オルグ。」
「はい、妻よ。」
テノール夫人の声に、恐る恐る顔を上げる。
「カノンの婚姻をオスカー様に進めるのは、許しません。」
『ガ~ン』と、オルグはその場に打ち砕かれる。明暗が分かれた親子であった。
「テノール叔母上、有難う御座います。」
心の底からオスカーは礼を言った。
「ルミナス様も御免なさいね。」
テノール夫人は、ルミナスに謝りを入れる。
「親子共々迷惑をかけているわ。」
「いえ、そんな…… 」
ルミナスはチラリとオスカーに目を向けると彼は嬉しそうに微笑んでいた。幾万の味方が現れたように。
「ルミナス嬢…… 」
叔父オルグはルミナスの元に跪いた。
「ルミナス嬢、お願いだ。オスカー君をほんの少し、貸してくれ。」
「えっ? 」
縋るように涙目で訴える。
「カノンは病弱だ。父は父は、カノンの幸せな花嫁姿が見たいのだ。」
オルグは妻が怖いので、目標をルミナスに代えた。
「一時の幸せを、カノンに味あわせてあげたいのだ。ルミナス嬢。」
オルグの瞳は若草色、髪は黒髪。顔はオスカーそっくりであった。息子のアルトより、オスカーの方がオルグに似ていた。数十年後のオスカーが、瞳を潤ませルミナスに哀願してくるようでルミナスはきゅんきゅんと胸を掴まれていた。
「カノンを哀れと思って、オスカー君を一時貸してくれ。」
オルグはルミナスの手を取った。
「オスカー君を、ざまぁしてくれないか。」
「ふざけんな!! ルミナスに触れるな、この糞叔父!! 」
オスカーは叔父を蹴り倒し、ルミナスを確保する。
「カノンはぜってぇ俺より長生きする、かけても良い!! 俺の方がストレスで早死する!! 」
オスカーはルミナスを抱きしめる。
「ルミナス、俺を救ってくれ。君は、俺の唯一の癒やしだ。」
「オスカー様。」
よしよしと、ルミナスはオスカーの頭を撫でた。キュ~ンキュ~ンと、子犬のようにオスカーはルミナスに縋り付く。
「弟よ、結婚させたいならそこに居る者でもいいだろう。」
兄のオルガは、ソファに座っている三人の男性に目を向ける。
バッと、ハルクは目を逸らした。ひっしとエリーゼの手を取り頭を振り、エリーゼと共に駄目だとアピールをする。
ハルクの隣のタクトは茫然としていたが、その横の金髪のナルシスが毛布をマントのように靡かせて立ち上がった。
「愛しの姫君を幸せに出来るのは僕しかいない。」
キラキラと、マントを靡かせて苦悩する。
「すまないルミナス、姫君の涙は見たくはない。少しの間僕を姫君に委ねてくれないか。」
跪き、右手を差しだした。
「だが愛してるのは、ルミナスだけだよ。僕の愛するルミナス。」
その手をオスカーははたき落とした。
「叔父さん、此奴でいいだろ。」
襟元を掴んで猫のように叔父に差しだした。
「駄目だ!! カノンを何処の馬の骨か分からない奴と結婚させるか!! 」
「そうです。姉上に、そんな馬鹿は問題外です!! 」
親子揃って結婚を反対する。
「カノンを結婚させたいのか、させたくないのかどっちだ? 」
オルガは、弟に問い掛けた。
「僕は姉上の結婚は反対です。」
「父は、父は、カノンを誰にも渡したりしない。カノンを結婚されてたまるか!! 」
その声は、応接室に響き渡った。
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