どろんこポム

辻堂安古市

文字の大きさ
1 / 1

どろんこ ポム

しおりを挟む





どろどろ。



ぺたぺた。



ぐちゃぐちゃ。






どろんこのポムは、今日もどろんどろん。


頭の上には、ぴかぴかキラキラ光るお星さまがいっぱいです。









「いいなあ。ボクもキラりんみたいに、キレイに、ピカピカになりたいなぁ」


「ポムくん、なんだってわたしみたいになりたいんだい?」


「だってボク、みんなから『キタナイ』『泥だらけ』って言われちゃうんだ。ボクはきらわれものなんだよ」








 キラリりんはキラキラと光をふりまきながら答えました。


「ポムくん、ざんねんだけど、キミはどんなにがんばってもわたしにはなれないよ」

「ああ、やっぱりね。ボクはずーっとキラキラできないで、ドロドロ、べちゃべちゃのままなんだ・・・」


 
 がっかりです。ポムはもっとドロドロになってしまいました。
 でも、そんなポムにキラりんはちょっと意外なことを言うのです。







「でもね、ポムくん。キミはぼくよりすごいかもしれないよ?」

「え?どーいうこと?」

「ははあ、やっぱり知らなかったんだね?じゃあ一緒に見に行こうか?」


 こうして二人はいっしょに旅をして回ることになりました。









「ねぇ キラりん、あの人は何してるの?」

「あぁ あれはね、『泥パック』って言うんだよ。お肌がキレイになるんだってさ」

「えええ?いっつも『泥がついて汚い!』って言われちゃうのに?」






『よーし!今日もおハダすべすべ、ピカピカ!』



「本当だ!よろこんでるよ!」

「ね?キミはキレイにするお手つだいができてるんだよ」










「ねぇ キラりん?あそこは何を作ってるの?」

「あそこはね。お皿やお茶わんをつくっている所だよ。あれをつくるためには、岩や石をくだいて泥にして、粘土を作らないといけないんだ」







「えー?だってこれ、泥の色してないよ?すっごくキレイだよ?」

「それもね、『化粧泥』って特別の泥なんだよ」

「そうなんだ!」











「ポムくん、ちょっとこっちにおいでよ」

「はーい……って、わああああああ⁉」

「めをつぶってじっとしてて!いいよって言ったら目を開けてね」

「わかったけど、こねこねくるくる、目が回るよぅー!」








「はい、もういいよポムくん」

「もういいの?・・・って、あれ?これ、ボク?ピカピカになってるよ⁉」






「『どろだんご』っていうんだよ。ピカピカだよね。でもね、それよりもまわりを見てごらんよ」

「・・・?」

「作った人たちの顔、どう?」

「うん。なんかみんなの笑顔がキラキラしてるよ!」






 この後もキラりんとポムの旅はつづきました。

 どろんこばっかりの海では、生き物がたくさんくらしてました。

 動物たちは「泥浴び」で、体をかゆくならないようにしてました。

 それから、どろでお家を作っているところもありました。

 「泥」は、いろんなところでとっても役立っていたのです。









「ポムくん、どうだった?」

「うん!ボクね、泥でみんなが笑顔になってくれることもあるんだって知れて、うれしかった!」

「そうだね。キミはキミが輝くだけじゃなくて、ほかの人やものを輝かせることができるんだ。すごいじゃないか」

「キラりん、ありがとう!ボクはキラリさんみたいにはなれないけど、ボクは『ボクだけのキラキラ』を持ってるって、よくわかったよ!」









 ボクにしかできない事があるんだね。
 
 ボクにしかできない「輝き方」があるんだね。

 ひとりひとり、みんな「輝き方」ってちがうよね。
 
 きっと、みんな自分の「輝き方」をもってるよね。




 そんなうれしそうなポムくんの笑顔も、キラキラと輝いていました。












 











おしまい。



しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

織花かおり
2025.12.11 織花かおり

素敵なメッセージ性のあるお話でした!
自分だけの輝き✨必ずありますよね。
それを大切にしたいです。

2025.12.11 辻堂安古市

織花かおり様、お読みいただきありがとうございました。
泥にまみれてても、きっと何か光るものがあるはず!という思いを汲んでいただき嬉しかったです。

解除

あなたにおすすめの小説

だーるまさんがーこーろんだ

辻堂安古市
絵本
友だちがころんだ時に。 君はどうする?

傷ついている君へ

辻堂安古市
絵本
今、傷ついている君へ 僕は何ができるだろうか

ママのごはんはたべたくない

もちっぱち
絵本
おとこのこが ママのごはん たべたくないきもちを ほんに してみました。 ちょっと、おもしろエピソード よんでみてください。  これをよんだら おやこで   ハッピーに なれるかも? 約3600文字あります。 ゆっくり読んで大体20分以内で 読み終えると思います。 寝かしつけの読み聞かせにぜひどうぞ。 表紙作画:ぽん太郎 様  2023.3.7更新

丘の上のじゃが次郎

天仕事屋(てしごとや)
絵本
丘の上のじゃがいも畑のじゃが次郎は今日も退屈をしていました。 良いか悪いかじゃなく、今のその場所にとっては何が幸せで嬉しいかというお話。

くらげ のんびりだいぼうけん

山碕田鶴
絵本
波にゆられる くらげ が大冒険してしまうお話です。

それでも君は進んでる。

辻堂安古市
絵本
「前に進むこと」=「まっすぐに進む」わけじゃないよ。  みんなと同じペースじゃなくても、いいんだよ。

ぱれぇど

辻堂安古市
絵本
おめでとう夢がかなったね!

不幸でしあわせな子どもたち 「しあわせのふうせん」

山口かずなり
絵本
小説 不幸でしあわせな子どもたち スピンオフ作品 ・ ウルが友だちのメロウからもらったのは、 緑色のふうせん だけどウルにとっては、いらないもの いらないものは、誰かにとっては、 ほしいもの。 だけど、気づいて ふうせんの正体に‥。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。