フィライン・エデン Ⅲ

夜市彼乃

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12.文武抗争編

59文武抗争 ⑦

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***

「あれは……」
 思わず戦闘を忘れて見入っていた雷奈は、ハッと我に返って木刀を構えた。しかし、雷奈よりも、それどころかこの場にいる他の誰よりも呆然とその光景を見つめていたのは、せつなだった。大きく開いた赤い目に、まるでこの世の終わりを見るかのように煌々たる炎を映して、唇を震わせて。
「行かないと!」
 波音が鞘を手で支え、走り出す姿勢をとった。
「きっと、あれが九番隊が見た火柱だよ! やっぱり何かいるんだ!」
「チエアリか!?」
「だったら……!」
 雷奈は身をひるがえして波音たちに合流すると、そのまま火柱の立ち上る方へと駆けだした。氷架璃と芽華実、そこに寄り添うアワとフーに続いて。
 すかさず、せつなの鋭い声が飛んだ。
「待ちなさい!」
 飛んだのは、制止の叫びだけではなかった。
 勘に近い危険察知で振り返ると、せつなが片手を突き出し、そこへ急速に冷気を収束させていた。瞬く間にこぶし大の氷のつぶてがいくつも現れ、あっと思う間もなく最後尾の雷奈めがけて撃ち出される。
 まさか氷術を振るわれるとは思っておらず、雷奈はもちろん、同じように振り返っていた氷架璃や芽華実たちもぎょっとした。顔は避けているようだが、それでも当たれば強烈に痛いはずだ。
 前を走っていた波音やアワとフーが気づいて足を止めるも、かばうには間に合わない。氷架璃と芽華実も瞠目したきり、体をこわばらせることしかできなかった。
 ぎゅっと身を縮こまらせる雷奈に特攻を仕掛けてきた氷のこぶしたちは――黒衣を激しく打擲して、ひび割れながら地に散らばった。
「……!」
 せつなは腕を下ろすのも忘れて、愕然とその姿を見つめた。
 雷奈の前に立ちはだかり、幅広の袖で頭部をかばう姿勢で、固い打撃を胴に、肩に、腕に浴びた長身の希兵隊員。驚愕の表情の端に絶望をにじませる彼女を、ゆっくりと防御を解いた黒衣の袖の隙間から、切れ長の目が見据える。
「……どうして」
 腕をだらりと下ろし、うわごとのように呟くせつな。彼女から追撃がないとみると、コウは袖を一振りし、残った氷のかけらを払った。
「無事か、三日月」
「う、うん……」
 あまりに突然のことに、他の言葉が出てこず、雷奈はただ頷いた。
 コウの瞳は落ち着いた灰色だ。鋼の力を使えない状態の生身に氷砲の連撃を受けたのだと思うと、胸がぎゅっと締めつけられた。それが自分をかばってのことならなおさらだ。
 けれど、コウはわずかに吐息を漏らしただけで、「そうか」と前に向き直った。執行部最強の名は伊達ではない。
「こーちゃん」
 波音が駆け寄ってくる。指示を仰ぐように、相棒の名を呼ぶ。
 だが、彼は何も答えない。相対する幼馴染のほうを向いたまま、声一つ、視線一つよこさない。
 けれど、無視とは違う。対峙する垂河村の姫よりも短い付き合いだとしても、毎日を共に過ごしてきた波音にはわかる。
 迷っているかのように、あるいはじっと何かをこらえるように、口の端を緊張させたままの彼は――答えないのではなく、答えられないのだ。
 ならば、先導するのは波音自身。
「……先行くね!」
 雷奈たちに目配せをして、波音は今度こそ走り出した。迷いながらも彼女に続く、他の皆を伴って。いまだ立ち上り続ける火柱のほうへ。
「行かせない……!」
 せつなは鬼気迫る表情で地を蹴り、後を追おうとする。だが、すれ違う直前のコウに右腕をつかまれた。振りほどくより早く、重心の留守の方向へとひねるように引っ張られ、あっけなく地を転がる。
 手をついて起き上がった彼女は、遠ざかっていく足音の前に立ちはだかる幼馴染をにらみ上げた。まだ背丈もせつなとそう変わらなかった頃は、このような合気術を含め武術となど無縁だった銀色の少年は、今、長躯に漆黒の執行着をまとい、灰色の瞳でせつなを見下ろしている。
「……ッ!」
 ギリッと奥歯をかみしめると、ばねのように跳ね起きて、柄を振りぬいた。体を斜めにそらしてかわすコウに、返す動きで追撃。その先端に、パキパキと氷の刃が構成されていく。
「天河、やめろ」
 左に、右にと体をさばいて避けながら、コウが静かに言う。
「そんなに動いていい身体じゃねえだろ」
「黙ってどきなさい!」
 左右交互の規則的な攻撃から一転、せつなは不意を突いて中段を薙いだ。しかし、氷の刃が胴に食い込むより早く、間合いに入って柄を手首でいなしたコウは、そのまま反対の利き手でせつなの胸倉をつかんだ。そのまま、すばやく足を払う。
「く……っ」
 再び転がされたせつなだが、慣れてきた体は反射的に受け身をとった。流れるような動きで立ち上がり、詠唱と言霊を破棄した速攻の氷砲を飛ばす。
 しかし、コウの反応も引けをとらない。前方に突き出した手から結界を展開し、直線運動で襲い掛かってくる氷のつぶてを一つ残らず防いでみせた。
 だが、せつなの目的はコウを打ち負かすことではなく、雷奈たちの追走だ。結界に手を取られている間に、コウの横をすり抜けようとした。
 それがわかっているから、コウもみすみす逃すことはしない。
「行かせねえって」
 通り過ぎかけたせつなにバックステップで追いつくと、手首をつかんで重心を前へ。まるで自分ごと放り投げるように思い切り前へ踏み込み、軽々とせつなを元の位置へ転がした。
「くっ……はぁ……っ」
 せつなはだんだんと鈍くなってきた動きで立ち上がった。ケガ一つ負わせていないものの、攻撃を仕掛け、転がされ、受け身をとって立ち上がるという一連の動作を繰り返し続ければ、疲労はたまっていく。頑丈さに欠けるせつなの体ならなおさらだ。
「天河、もう一度言う。もうやめろ」
「うる、さいっ!」
 呼吸を荒らげながら、せつなは全力を込めた左足で跳躍し、コウに飛びかかった。思い切り振り上げたなぎなたで、容赦なく斬りかかる。
 ガキィンッ、と固い音とともに力が拮抗した。すばやく抜かれた鞘つきの刀となぎなたが、触れ合う一点を中心に力をぶつけ合う。震えるほどの力の飽和ののち、ぱっと離れたかと思うと、再び空気を振動させて衝突する。
「どうして!」
 何度も何度も、なぎなたが目の前の壁を打ち破ろうと振り上げられる。それを、鞘は何度も何度も、無言で受け止める。
「どうして、どうして止めるの! どうして、あなたが私を止めるの! コウ、あなたまで裏切るの!?」
 ガシャンッ、ガシャンッ、ガシャンッ。
 だんだんと必死のリズムを刻み始める音が、夜空に悲壮に響き渡る。
「あなたはずっとルシルのそばにいたじゃない! あの子がユキルを失って悲嘆に暮れているのを見ていたでしょう! やり場のない悲しみと絶望と自分への怒りに狂いそうになるあの子をすぐ近くで見て……あなた自身だってそれを感じていたはずよ!」
 刃先が鞘をひっかき、泣き叫ぶような甲高い音が上がる。
「同じ苦しみを、同じ悲しみを……!?」
 鞘が軋み、苦しそうな声を発した。
 直後、すくいあげるような逆袈裟が、それをコウの手から弾き飛ばす。
 得物を失ったコウへと、なぎなたによる一撃が迫った。とっさにかざした腕に刃が噛みつき、執行着に阻まれながらも薄皮一枚を破る。
 痛みで反射的に動きが鈍ったコウを、極寒の暴風が飲み込んだ。前方、せつなの左手から生み出される猛吹雪がその身に叩き込むのは、無慈悲な冬の脅威。目を覆うように腕を掲げて踏みとどまり続ける彼に、雪と氷の粒を伴う凍てつく風が、とめどなく襲いかかる。
 周りの木々さえ、突然の温度変化にショック死してしまいかねないような、季節外れの吹雪。
 殺生も顧みない氷点下の咆哮は、ばたばたと音を立ててあおられていた袂が凍りついて動かなくなったころに、緩やかに止んだ。
 おもむろに腕を下ろしたコウの体の表面は、うっすらと白い結晶に覆われ、凍りかけた髪はまるで彼の本来の色のように冷たく光を反射していた。
 色を失った唇はわずかに震え、疲弊を隠せない顔はいつもの色白に輪をかけて白くなっている。
 そんな彼よりも蒼白になった顔で、せつなは地に着いた柄を支えに弱弱しくあえいでいた。
「……天河」
「私は……あの子を守る」
 ふらふらと体を揺らしながら、声を絞り出す。
「たとえ、誰もついてこなくたって……一人でだって、私は……!」
 体力の消耗と源子の酷使で、彼女の体は限界を迎えていた。くらっ、と視界が回るも、体勢を立て直すだけの余力すらない。
 大きく、ゆらりと揺れた体は、ゆっくりと後ろに倒れていく。受け身をとることもできず、ただ後頭部の打撲を待つしかないその体躯は――地面に衝突することなく、後傾した姿勢のまま柔らかく静止した。
 その背中には、俊敏な動きで回り込んだコウの手の温度があった。
 せつなの顔をのぞきこむコウの顔には、美酒を味わう勝者の陶酔はない。
「天河……」
「……希兵隊を……撤退させなさい」
 大きくのけぞったせつなと、その体を抱きとめるコウ。密着したまま近くで見つめあう様は、はたから見ればダンスのワンシーンのようだ。だが、支えられながらコウの胸倉をつかんだせつながその喉元につららを突き付け、憎悪のまなざしを向けている絵面は、そんなドラマチックなものではない。
 ぎらつく眼光を受けながら、コウは神妙な面持ちで赤い瞳を見つめ返すと、重くかぶりを振った。
「断る」
「どうしてよ」
 白い手に握られた小さなつららが、コウの喉仏のすぐ下に触れた。それでも微動だにせず黙ったままのコウに、せつなは声を荒らげた。
「コウ!」
「……すまん、天河」
 その一言に、せつなの瞳が顔ごとぐしゃりとゆがんだ。
「……どうして」
 声に呼応して、ルビーも揺れる。
「どうして、私を助けてくれないの……。私だって、ルシルと同じ幼馴染でしょう。親友でしょう」
 肩で息をしながら、細く訴えかけるも、コウは唇を引き結んだまま、じっとせつなを見つめ続けるだけだ。
「それとも、私のこと、本当は友達だと思ってないの? 認めてくれてないの? だから……私だけ、名前で呼んでくれないの?」
 手が震えて、つららの先端がコウの喉をひっかいた。赤く引かれた線から、誰にも気づかれないまま、一筋の血が伝った。
「呼んでよ……せつなって呼んで。友達だからって言って、私を助けてよ」
 悲鳴のような声音で嘆願する。空白を挟みながらも十年続く絆に訴えかけるように。
 けれど、そんな血のにじむような懇願も、彼の眉一つ動かすことができないと見えると、せつなは小さな吐息とともにだらりと腕を下ろした。その手から滑り落ちた氷塊が、地面で砕ける。
「……やっぱり、いい」
 脱力し、輝きの消えた目を瞼に隠して呟く。
「嘘をつかれてまで呼ばれたい名前じゃない。言われたい言葉じゃない」
 燃え上がるようだった気炎は、尽きて風前の灯火のように弱弱しく揺れていた。失意にのみ込まれた彼女は、そのまま消えてしまいそうなほどはかなげだ。
 そんな彼女を腕の中に抱えたまま、鋼のように固く沈黙を貫いていたコウが、小さく口を開いた。
 その声は、新雪のようにそっと、眼下の彼女の胸に落ちた。
「――せつな」
 その呼び声が、落ちた胸元から奥にしみこんでいく間をおいてから、せつなは揺り起こされたように目を大きく見開いた。
 幻聴を疑うように見つめてくる彼女に、コウはやはり表情を変えることなく言った。
「オレは、お前のことを友達だなんて思ったことは一度もない」
 失望から一転、驚愕に彩られる双眸。呆然と見つめ返してくる彼女に、コウはすかさず言葉を重ねる。
「せつな、お前は村の一の姫じゃない」
 ハッと、何かに気づいたようにせつなの瞳の奥が揺らぐ。それに応えるように、なおも変わらぬトーンが続ける。
「せつな、お前は本当は氷猫じゃない」
 降り積もる言葉を浴び続けるせつなは、その外側を包む無意味な殻には目もくれない。
 内に秘められた彼の真意を見通した聡明な目で、次なる命題を待つ。
 結ばれた視線から、それをくみ取ったから。
 コウは最後に言う。
「せつな」
 こんな回りくどいことをしたところで、何も変わらない。
 今度は何が狂うのだろうか。この一言で、自分はどれだけの罪を背負うのだろうか。
 揺れに揺れた現状が、どうにか均衡を保とうとするのを、横から無遠慮に突き崩す行為だ。
 そうわかっていても――もう、耐えられなくて。
「――あの炎は、幻影なんかじゃない」
 せつなの瞳が凍りついた。
 この一言で、彼女はすべてを理解した。
 その結果訪れたのは、より深い絶望だ。
 歯の根も合わないほど震えながら、すがる。
「……嘘でしょ」
「残念だが、嘘じゃねえんだよ、天河」
 途端、消え入りそうだった蛍火が、命を吹き返して燃え上がった。
 ためらいなくコウの体にしがみついて姿勢を起こすと、彼を押しのけ、脇目も振らずに走り出した。
 森の奥へと、あの火柱の立つ方へと。
「……」
 一人取り残されたコウは、せつなを助け起こした場所から一歩も動かないまま、立ちすくんでいた。
 うつむき、虚ろな視線を地面に落とす。
 自分の行動は、果たして一体何を守ったのだろう。何を守ったぶん、何を犠牲にしたのだろう。
 きっと、何も変わってはいない。犠牲をたらい回しにしただけなのであれば、自分はこの状況を変えることができなかったに等しい。
 何一つ守れなかった。希兵隊員としても、彼女たちの幼馴染としても、
 何もかも、うまくいかなかった。
 難敵の前でも強固に立ち続ける足が、がくんと力を失った。地についた腰の後ろに手をつく形で座り込むと、はあ、と息を吐いて天を仰ぐ。
 凍っていた髪が融けて生まれたしずくが、額から頬を伝う。
 それをぬぐうこともなく、彼は炎が照らす夜空に向かって、力なくつぶやいた。
「あーあ、ルシルに怒られる……」
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