子育てスキルで異世界生活 ~かわいい子供たち(人外含む)と楽しく暮らしてます~

九頭七尾

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第14話 間接的に役立っているらしい

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「ただいま!」

 レオルくんと一緒に狩りを初めてから、一週間くらいが経ったある日のこと。
 ケモミミ三人組が嬉しそうに戻ってきた。
 幾つも収獲物を抱えていて、今日の狩りが上手くいったのだろうとすぐに分かった。

 そんな中、あまり大きくないウサギの魔物を、ライオくんがちょっと誇らしげに掲げて、

「サオリおねえちゃん、これ、おれがとったんだ!」

 たぶんホーンラビットだ。小さいのでレオルくんならスルーすることも多い魔物だけど、狩りが上手くいかずに村から追放されたライオくんにとって、この成功は自信を取り戻すきっかけになってくれるかもしれない。

「すごい! 狩りできるじゃん!」
「えへへ……でも、レオルさんのおかげっていうか……」

 どうやらレオルくんは弟子を育てる才能もあるらしい。

「ぼ、ぼくもがんばって狩れるようになる!」
「わたしも!」

 チタくんとヒューネちゃんも奮起している。

 バサバサと翼をはためかせる音が近づいてきたかと思うと、ずしんと地面が揺れた。

「クルルル!」

 どうやらリューも狩りから戻ってきたようだ。
 獲物を取り合わないよう、最近はかなり遠くまで狩りに行っているらしい。
 ていうか、またデカく……いや、デブくなってる。丸々してて、空を飛ぶのも苦しそうなほどだ。

 リューは家に入ろうとしたけど、お腹の辺りがつっかえてしまった。

「クルル!?(なんで!?)」
「何でって、太り過ぎだからでしょ。リュー、もしかして冬眠を口実にして、食べ過ぎてるんじゃない? 本当はもう十分なくらい蓄えてるんじゃないの?」
「クルル~♪」

 私の詰問に、リューは明後日の方向を向いて誤魔化した。
 分かり易い。

「そんなに脂肪だらけじゃ、もうドラゴンじゃなくてデブゴンだよ」
「クルルゥ!?(がーん!)」

 その後、リューは少しだけ自重するようになった。




 ライオくんに続いてホーンラビットの狩りに成功したのは、ヒューネちゃんだった。

「サオリおねちゃん、ちょっと小さいけど、うまくいったわ」
「すごいすごい。やっぱりヒューネちゃんは料理よりも、レオルくんのお手伝いの方が向いているね。ね、レオルくん」
「うん、じゅう人だからか、ぼくよりも上達がはやいと思うよ!」
「……」

 レオルくんに褒められて、ヒューネちゃんのほっぺがちょっと赤くなった。かわいい。

「おれもまたとったんだよ!」
「ライオくんもすごいね。しかも前のより大きいじゃん」
「へへ……」

 みんなどんどん成長してて、お姉ちゃん嬉しいよ。
 お姉ちゃんは置いてけぼりだけどね!

 と、そこでチタくんがさっきからずっと黙っていることに気づく。

「チタくん?」
「ぼ、ぼくも……ぼくもがんばるからっ」

 声をかけると、深刻そうな顔をして宣言するチタくん。
 むむむ、もしかして二人に置いていかれて焦ってるのかも?
 でも続けていればいつかは成功するだろうし、心配ないだろう。

 そう軽く考えてしまったことを後悔することになったのは、それから数日後のことだった。





「レオナ!」

 レオルくんがいつになく焦った様子で家に駆け込んできた。
 そして何事かと戸惑うレオナちゃんの手を引っ張った。

「はやく来て! チタが!」
「う、うん!」

 緊急事態だと察したのか、レオナちゃんは説明も聞かずにレオルくんと一緒に家を飛び出していった。
 彼らが戻ってきたのは、それから一時間後のことだった。

「チタくん、大丈夫!?」

 レオルくんに背負われ、ぐったりした様子のチタくん。
 意識はあるようだけど、目の焦点が合っていないというか、虚ろな顔をしている。
 よく見ると右足に包帯代わりの毛皮が巻かれていた。

「レオナが治してくれたから大丈夫だよ」
「かなりひどかったけど」

 どうやら狩ろうとした獲物に返り討ちに遭い、右足に怪我を負ってしまったらしい。
 出血が多くて動くこともできず、手持ちの薬草では治療も難しいと判断して、レオルくんが慌てて回復魔法を使えるレオナちゃんを呼びに走ったのだった。

 レオナちゃんの魔法でも、癒えるまでに時間がかるほどの大怪我だったという。
 レオルくんの背から降りると、まだ足に力が入らないのか、ふらふらとよろめいた。
 慌てて椅子を持ってきて、そこに座ってもらう。

「僕がいたのにごめんね、チタ」
「れ、レオルさんはわるくないわっ……」

 謝るレオルくんだったけど、ヒューネちゃんが訴えた。

「わるいのはチタだもん! だって、レオルさんの言いつけをやぶって、かってにまものを追いかけたし!」
「お、おれもそう思う」

 ライオくんがそれに同意する。
 みんなの視線がチタくんに集まった。
 唇を震わせ、チタくんは絞り出すような声で謝罪する。

「ご、ごめんなさい……ぼくっ……ぼくっ、どうしても、はやく狩りたくてっ……」

 それから嗚咽を漏らしながら、懇願するように、

「かならず、かならずできるようになるからっ……だからっ……だからおねがいっ……ぼくをっ――っ!?」

 私は反射的にチタくんを抱き締めていた。

「大丈夫だよ、大丈夫。たとえ狩りができなくたって、君を追い出すことなんて絶対にないから」

 単にみんなより上手くいかなくて焦ってただけじゃない。
 村を追い出され、一度は生きていく拠り所を失った彼にとって、〝狩りができない〟ということは命に関わるような恐怖だったんだ。
 何でもっと早く気づいてあげられなかったのかな、私。

「っ……サオリおねえちゃん……で、でも……」
「そもそもお姉ちゃんなんて一度も狩りやったことないし」
「でも……りょうりとか……」
「よく失敗してレオナちゃんに呆れられてるけど」

 採集を手伝っても間違って毒のあるやつ採ったりしちゃうし、解体は血を見ただけで気を失っちゃうし、唯一のアドバンテージであるはずの現代知識も、表面的なことしか知らないため大半が役に立たないし。

 あれ私、ほんと何にもできねぇや……あはは……。泣ける。

「お……おねえちゃんは……いてくれるだけでいいと思う」

 チタくんが逆に慰めてくれた。

「君だって、いてくれるだけで十分」

 幸いサバイバル生活にも余裕がでてきている。
 前の村の事情は知らないけど、ここでは弱者を切り捨てるようなことはしない。
 そんなことしたら真っ先に私が(ry

「だから焦らなくていいよ。ゆっくり少しずつやっていけばね。もし狩りがダメでもやれることは他にあるんだし」
「……うん」

 私のお説教(?)が効いたのか、それからチタくんは憑き物が落ちた様に、それまでの切羽づまった感じがなくなった。

 それでもやはり狩りをやりたいという想いがあるようで、その後もレオルくんに付いていくこと数日。

「おねえちゃん! ぼく、やったよ!」

 ついにホーンラビット狩りを果たしたらしく、息せき切ってウサギのように飛び跳ねながら戻ってきた。

「すごいじゃない! やったね!」
「うん! おねえちゃんのおかげ!」
「いやいや、私は何もやってないって。どのみち遠からず上手くいってたはずだよ」
「でもおねえちゃんのおかげだよ!」

 よく分からないけど、そういうことにしておこう。
 やった! これで私も役に立てたぞ!

 ……実は一番役立たずで焦ってるのは私かもしれない。
 だ、大丈夫……私はいるだけで十分……いるだけで十分……。





 そんなこんなでケモミミーズが新たな仲間に加わった中。
 どうやらだいぶ冬が近づいてきたらしい。
 朝晩がかなり冷え込むようになってきて、最近は暖炉代わりに窯に火を付けることも多くなってきていた。

 この家、壁は土で固めてるけど、天井は葉っぱと枝で覆ってるだけだしね。
 レオルくんたちが頑張ってくれたお陰で食糧の方は何とかなりそうだけど、果たしてこの家で本当に冬が越せるのだろうか?
 そう思っていると、

「あたらしい家を作ろう!」

 レオルくんが宣言した。
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