子育てスキルで異世界生活 ~かわいい子供たち(人外含む)と楽しく暮らしてます~

九頭七尾

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第13話 もふもふ成分をゲットした

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「どどどどっ、ドラゴン!?」
「ぎゃああああっ!?」

 家の中から悲鳴が聞こえてきた。
 何事かと慌てて駆けつけてみると、昨日レオルくんが連れてきたケモミミーズ、もとい獣人たちが壁際で身体を震わせていた。

「だ、大丈夫! この子、良いドラゴンだから!」

 慌てて教えてあげる。
 考えてみたら、起きてすぐ傍にドラゴンがいたら驚くのは当然だろう。
 最近すっかりペット感覚でリューを見ていたので、迂闊だった。

「クルゥ……」

 いきなり怯えられたリューは寂しそうに肩を落としている。
 可哀想なので頭を撫でて慰めてやった。

「すごい……ドラゴンを手なずけてるなんて……」

 なんかめっちゃ畏怖されてる。勝手に懐いてきただけなんだけど……。

「びっくりさせちゃってごめんね? よく眠れた?」
「「「は、はい!」」」
「そんなに畏まらなくていいってば。えっと……とりあえず朝ごはん食べる?」

 三人は遠慮したけど、正直こんなやせ細った身体を見ていると心が痛む。
 なので無理やり食べさせた。
 そしてなぜ子供が三人だけで森にいたのか、詳しく聞いてみる。

 十分後。

「ゔゔゔ~っ……辛がっだねぇぇぇっ!」
「「「っ?」」」

 いきなり泣き出した私を見て三人は引いていた。
 ごめんね、もう歳のせいか、この手の話に弱いのよ、私……。

 村を維持するためには仕方ないのかもしれない。でも、生まれ育った場所から追い出されるなんて、どれほどの絶望だっただろう。
 日本が恵まれていたんだろうけど、本当に子供に厳しい世界だよ。

「じゃあ、三人とも行く当てがないってことだよね?」

 三人は無言でこくりと頷いた。

「だったらここでお姉ちゃんたちと一緒に暮らそう!」
「「「え?」」」

 目を丸くして驚く三人。
 ふっふっふ、もふもふ成分、ゲットだぜ!
 そのうち仲良くなったらこの見事なケモミミをもふらせてもらおう。

 なんてちょっと邪なことも考えつつ、私は名乗る。

「私はサオリ。あの男の子はレオルくんで、女の子はレオナちゃんだよ。それからこの子はリューで、こっちの子はシャル」
「あ、あのっ……」
「どうしたの?」

 三人の中では一番身体が大きな子がおずおずと聞いてくる。

「お、おれたち、じゅう人で……」
「? そうだよね。猫の獣人で、ニャー族っていうんだって?」
「……えっと……お、おねえさんたちは、人ぞくだし……」

 ああそっか。獣人って、人間から迫害されてるんだったっけ?
 だからこんなふうに迎え入れられるなんて思ってもみなかったのだろう。

「そんなの関係ないってば。私はもちろん、レオルくんたちも気にしないよ。だったら最初から助けないし。それに魔物と一緒に住んでるくらいなんだから」
「ほ、ほんとうにいいの……?」
「もちろん!」

 三人は互いに顔を見合わせ、それから深々と頭を下げてきた。

「「「お、おねがいしますっ……サオリさま」」」

 だからそんな畏まらなくていいってば。
 それにサオリさまとか、何だか背中が痒くなっちゃう。

「私なんて大したことないから。サオリお姉ちゃんでいいよ」
「「「は、はい……サオリおねえさま」」」

 なんかマリみてみたいな呼び方されちゃったよ……。




 新しく一緒に住むことになったケモミミーズは、少年が二人、少女が一人。

 少年のうち一人はライオくんと言った。
 今は随分と痩せてしまってはいるけど、三人の中では一番大柄だ。身長はレオルくんとあまり変わらないだろう。
 素朴な田舎の少年といった雰囲気で、朴訥ながら率先して事情を説明してくれたのは彼だった。

 もう一人の少年はチタくんだ。
 骨格が細くてガリガリなので、最初はすごく心配した。

 頭も小さく、シュッとした顔立ちをしていて、日本なら間違いなく女の子にモテるだろう。
 普段は結構クールな感じ。
 だけど気は弱いらしく、ちょっとした物音でビクッてなっちゃうのが萌える。
 その後、本人は何事もなかったように涼しい顔をしているけど、めっちゃ汗掻いてたりするのもかわいいと思う。

 女の子はヒューネちゃんというらしい。
 人見知りするタイプなのか、かなり大人しく、あまりしゃべらない。
 学校だといつもクラスの隅っこにいるような女の子って感じ。
 でも細身でスタイルも良く、顔もいいので秘かなファンが沢山いそうだ。

 そんな三人は、積極的にお手伝いをしてくれた。
 もちろんレオナちゃんたちの。
 私は大した仕事してないからね……。

 冬を迎えた今、特に重要なのが狩りだ。
 リューは自分の身体に蓄えるのに精一杯な様子なので、主にレオルくんが冬の間の肉や魚を獲ってきてくれている。

 ライオくんとチタくんはそのお手伝いだ。
 狩りができなくて村を追い出された子たちなので、トラウマになっているかと思いきや、彼らはぜひやらせてほしいと最初から乗り気だった。

 レオルくんの狩りを見ながら、二人は毎日のように感動していた。

「やっぱりレオルさんはすごい。アルミラージをかんたんに倒しちゃうなんて」
「きっと村の大人たちよりつよいぜ」

 ちなみに今までよくレオルくんが捕まえていたホーンラビット、実はホーンラビットではなく、その上位種のアルミラージだったらしい。
 ホーンラビットはもうちょっと身体が小さくて、最大でも四十センチ程度だとか。
 捕まえてもまだ小さいからと、逃がしてあげていたようだ。

 ニャー族の村では、一人でアルミラージを狩った日には、村中の人たちから讃えられるほどだという。
 レオルくん、すでに一人で何匹も捕まえてきてるけど……。

 以前はリューに手伝ってもらっていたはずだけど、今はどうやって捕まえているのだろう?
 訊いてみたら、後ろから槍を投げて命中させているらしい。
 五十メートルくらい離れていても大丈夫だとか。

 レオルくんったら、いつの間に人間辞めちゃったの?

「おれ、レオルさんみたいになりたい」
「ぼくも」

 ライオくんたちは完全に憧れてしまったようだ。

 一方、ヒューネちゃんには、私と一緒にレオナちゃんのお手伝いをしてもらっている。
 森で山菜やキノコを採ってきたり、畑の手入れをしたり、料理をしたり。

「サオリおねちゃんたちは、どうしてこんなところでくらしてるの?」
「それは色々あってね……」

 最初は全然しゃべらない子かと思ってたけど、打ち解けてくると意外と人懐っこくて話しやすい子だった。
 第一印象からちょっと修正。
 中学までは大人しいけど、高校デビューしちゃいそうな感じ。
 いるよね、そういう子。
 しかも可愛いので学校のマドンナ的存在にまで登り詰めそう。

 だけど生憎、料理の腕は散々だった。
 どうやら一度もしたことないらしい。
 というか、そもそもニャー族はほぼ肉食のようで、狩る、焼く、食べる、というごくごく単純な食文化っぽい。

「だからこんなにおいしいの、食べたことなかったわ」

 レオナちゃんの料理については大絶賛なのだが、

「でも……作るのは、むずかしいわ……」

 頑張ってみてもなかなか上手くいかず、肩を落とすヒューネちゃん。

「そ、そんなに気を落とさなくていいってば!」

 私も人のこと言えるほど上手くないし。

「えっと……じゃあ、ライオくんたちと一緒に狩りの方を手伝ってみようか?」

 考えてみたら、女の子というだけでこちらに回してしまったけど、そもそも性別関係なく狩猟をして生きている種族なのだ。
 本能的にこうした作業は向かないのかもしれない。

「いいの?」
「もちろんいいよ。レオルくんにも伝えておくね」
「……うん」

 おっ、今、レオルくんの名前を出したら、ちょっと恥ずかしそうな顔をしたぞ。
 そういえばオークに襲われていたところを助けられたみたいだし、もしかして、もしかしてなのかな?

 お姉ちゃんは応援してるよ!
 でもあんまりお節介されると嫌がりそうなタイプなので、陰から見守ります。
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