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第3部 歩く路は笑顔で 余裕を持って進んでいこう
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「ん、次の日本人が来るなら布団がいるな。ここに住む、来るは別にして…」
モグラ達と畑仕事をしている大河がふと思い付く、寝床は大事だと思うからこそ畑仕事もミニトマトやダイコンも植え一段落ついた所で、また村へ買い出しをかって出ることにした。
「ついでにトウモロコシみたいなヤツも買ってくるか、後商業ギルドに寄ってショルダーバッグがあれば…ドワーフの差し入れもするか」
「俺も行く…」
「ああ」
「大河さん、買い物に行ってくれるんですか?なら塩が…」
「買ってくる」
「お茶がない…」
「そうだな、場所はチグリスが分かるか」
「ん…」
「大河さん、蜂蜜もお願いします。詠斗さんジャムはどうします?」
「ああ、果物も見繕ってくる」
「そうだね、せっかくだからパンケーキに色どりがもっと欲しいよね。チグリスが沢山焼いてくれて、タワーみたいになってるし。果物もお願いします…それとお茶屋に行くならおばあさんにこれを…」
「上手く出来てるな、分かった渡しておく」
チグリスがパンケーキを焼くのに嵌ったらしく、ひたすら焼き続け塔のような迫力があるウェディングケーキが完成した。
詠斗から渡されたのはガラスのティーカップとソーサーの2客とティーポット、鉱物ダンジョンのドロップ品で作った物は見かけより頑丈で火にも強い芸術的一品だった、それを受け取り収納に入れ転移魔法で商業ギルドに向かった。
「どうも」
「大河さん、ズィーガー様は今所用で出ておりまして」
「今日はショルダーバッグを1つ売って欲しくて来た、在庫は…」
「そうでしたか!なら是非見て頂きたい物が…こちらへ」
商業ギルドで迎えてくれたのは少し目の下の隈が薄くなったゴーテンに案内され1階の奥の部屋に通されると、どうやら縫製をする部屋のようで広間のような一室に長い机に、老若男女問わず様々な人々が等間隔に座り手縫いで作業を行っていた。
「こちらで、エコバッグとショルダーバッグの制作を行っております。それでこちらがロゴが入った物です」
少し奥の方で作業を行っている3名の男女が真剣にカバンの縫製を行っていた、そこの台の上に置いてあった上質な皮で出来たショルダーバッグをゴーテンから受け取る。
「うん、皮の質感も良い。ロゴも控えめだが主張しているし、内側の布もしっかりしている。幾らだ?」
じっくり眺めこげ茶色の皮と見た目よりも重さを感じない質感、表右下のZuのロゴが自己主張しないデザインが良かった。
「こちらは試作ですのでどうぞ…」
「いや、今回は払わせて貰う」
「そうですか、25,000ログです。使えば使うほど味が出る頑丈に仕上げした」
「手を掛けたにしては安いな、もう少し高くしてもいいんじゃないか?後これは詠斗くんからの差し入れだから食べてみてくれ」
コインを出しゴーテンに手渡した後に収納袋から氷の塊を出す、果物を絡めたフルーツ水飴だった。
「こ、これは美しいですね…」
作業を行っていた人々の手も止まりその綺麗さに見入っていた、人数的には足りないので切った果物と水飴と棒は置いていく。
「大河食べたい」
「これは差し入れだから、果物な。数が少なかったから氷の穴に果物、棒、水飴を流して少し置いて固めて食べてみてくれ」
「ん」
「いいのですか?氷は貴重ですよ?」
「ああ、氷も使い終わったら適当に処分してくれ…後、蜂蜜飴も…口に入れて舐めて溶かしてみてくれ。これは数足りそうだな。また来る」
フルーツ水飴のの隣に葉に包んだ蜂蜜飴も置いて、次は布屋に向かった。
大河達が去ったあと群がったのは言うまでもないが、フルーツ水飴と蜂蜜飴の上手さに皆驚きその噂が広まり暫く《トタラナ》から水飴と蜂蜜が消えたのはまた別の話し…。
「よお、きてくれたのか!今日も店は忙しいぞ!」
「みたいだな、敷き布と掛け布を1組売って欲しい」
布屋の周りは針仕事をする老若男女が多く、皆椅子を持って来たり茣蓙を敷いて各々自由に巾着袋を作っていた。
「よければ1つ売って欲しい」
「なんだよ!水臭いな!ほら俺が作ったヤツ!」
布屋の主人から渡されたのは淡い水色の巾着袋だった、大河が金銭の代わりに蜂蜜飴を葉に包んだ物を1つ主人に渡した。
「詠斗くんからの差し入れだ」
「お、すまんな。ほら敷き布と掛け布だ。また来てくれよ!」
「ああ」
手を振って見送られる商売は順調のようだお茶屋に向かって歩き出す、キャサナがその後戻ってきて蜂蜜飴を食べた2人がその後蜂蜜屋に向かったのは言うまでもない。
「ここがお茶屋か?茶葉のいい匂いがするな」
「ん、大河お菓子」
「ほら、パン」
「おや、いらっしゃい。お茶飲んどっておくれ。そっちは少し前に来てくれたお客さんね。あの可愛い男の子と」
「ん…」
お茶を店前にお婆さんが運び木で出来た簡素な椅子に座り周辺を見渡す、木枠の中に種類毎並べられた茶葉と木の香りはとても心地良いものだった。
「お茶いくつか多めに見繕って欲しい、後これその男の子…から火にも強いし割れにくいので…」
「あらぁ、こんな綺麗な茶器見た事ないよ!」
ガラスの透明な茶器とティーカップにうっとりと見とれている、その眼差しは子供のようにキラキラしていた。
「こんなすごいもの貰っていいのかい!?」
「どうぞ、このお茶も美味いな」
「ん…菓子も美味い」
パンのような物に木の実を沢山入れて焼いた菓子をチグリスが頬張る、お婆さんはずっと色々な角度からティーポットやティーカップを眺めている、のどかな光景に大河は目を細めた。
「ここが…《不毛》の…」
「あ、もしかして…日本から召喚された方ですか?」
《神の庭》で見た大地は寒々としていたが目の前は畑や人がいて温かみがある雰囲気が伝わる、こちらに気づいた1人が駆け寄って笑顔で話しかけて来てくれた。
「俺は時永 詠斗って言います。神様達からここ《不毛の地》を貰って絶賛開拓中です!」
笑顔が可愛らしい目のぱっちりとしたアイドルみたいな外見の率と同年代位だろうか、笑顔の眩しい青年だった。
「僕は成澤 率といいます。さっき召喚されて神様達から説明受けてここに来ました、よろしくお願いいます」
「はい!よろしくお願いします。そうだ、今もう1人の日本人の人は買い出しに行ってるんですが。今ここで作業しているメンバー呼びますね。みんなー来て来て」
良い人そうで良かった…ほっとしていると呼ばれてこちらにやって来たのは、ゆっくりとした足取りのカメと3匹のモグラ(ダグ●リオ?)白い小さなウサギと詠斗と同じ位の深い藍色の髪と瞳にパーカージーンズという、違和感がありそうで無さそうなこちらも可愛らしい青年が華やかな笑顔で迎えてくれる、そして最後の1人が…息を思わず呑んでしまう美人だった(ジーンズにしゃちくのTシャツが軽く霞む)雪の様な白い肌、星が瞬く黒い瞳と夜色の髪、率と同じ位の身長だったが顔の小ささとスタイルの良さが圧倒的に違う、彼(?)は人ではないそれだけは率にも分かる。
「初めましてナイルと言います、ドラゴンです。よろしくお願いします」
「私は序列第2位千眼魔王…千眼と呼んで欲しい」
「こっちのカメがきゅう、ウサギはウィン、淡いピンクの紐を首に付けているのがお兄ちゃんのハル、蒼い紐えお付けているのが2番目お兄ちゃんのナツ、赤と黄色の紐を付けているのが末っ子のアキです」
魔王とドラゴン…ファンタジー確かに2人とも人外めいた容貌をしている…それともこの世界の人々が容姿が皆端麗たのだろうか…気になる…『もぐ!』『もぐぅ』『もぐっ』『ぴぃ』『きゅ!』とモグラ達もそれぞれ挨拶をしてくれているようで可愛い、癒される…色々な事は後々考えていこう。
「成澤 率と言います、率と呼んでください。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「よろしく…」
「じゃあ、お茶にしようか一息つきながら話をしましょう」
「私が淹れよう」
「千眼さんこのティーポットとカップ使って」
「ああ」
お茶会の準備を始める、嬉しそうに笑う詠斗とぎこちないが笑顔を浮かべる率の為にいつもより丁寧にお茶を淹れようと千眼は思った…。
「あら、いらっしゃい」
「塩と…変わった香辛料があればそれを…」
「分かったわ、お茶を出すから少し待っていて」
「大河…飴…」
「ほら」
お茶屋から出た後次に訪れた香辛料の店女性店主が笑顔で出迎えてくれる、ショルダーカバンに入れた飴をチグリスに渡す、所狭しと並ぶ香辛料の匂いは不快感はなくどれも互いに邪魔をせず品良く並んでいた。
「どうぞ、これとかどうかしら?酸っぱいけど料理の邪魔はしないし、お肉の料理に混ぜるといつもと違う味わいになるわ」
木のカップのお茶を渡され、黄色い皮と塩を混ぜて物と黄色い皮を擦り下ろしたものを小さい匙で試食させて貰うと、レモンのような酸味と柑橘系の香りがし美味しいかったので今ある在庫と、塩を多めに購入する。
「また来てね。あの男の子も連れて来てくれると嬉しいわ」
「どうも、この飴良ければ…その子が作った…口に入れて舐めて食べてみてくれ」
葉に包んだ蜂蜜飴を渡すと顔を綻ばせ笑顔で見送ってくれる、チグリスにも1つ渡すと目を細めて舐めている。
「こんにちは、大河さん!」
「どうも、また水飴と蜂蜜が欲しい」
「はい、ありますよー!詠斗さんと大河さんに教えてもらった水飴と蜂蜜飴のレシピを伝達魔石で教えたところすぐに作り始めているそうで10日後には蜂蜜飴をこちらに運んで貰えるそうで、うちで売る事ができます」
蜂蜜屋のクローダーがニコニコしている、伝達魔石は1つの魔石を2つに分け魔力を注ぐともう1つの石に声が届く代物だが、距離があればある程魔力を消費するという魔力が少ない者には扱い辛いがクローダーはその心配がないらしい。
「それは良かった」
「こちらに水飴と…蜂蜜はどのくらい要ります?」
「一番大きい容器で5個、水飴は2樽頼む」
「それでは、水飴1樽300,000を卸値なので250,000ログを2樽と蜂蜜は1瓶この大きさで200,000ログを5個で良いですか?」
「ああ」
琥珀色のとろりとした色の4Lサイズ程の瓶を収納に入れる、大河は隠すのが面倒になったのでそまま掌を品物の前に出して収納するが、特にクローダーは何も言わなかった。
「また来てください。次はもっと蜂蜜と水飴を持って来るように言ってので、変わった蜂蜜なども用意して待ってます」
「ああ、分かったまた寄らせて貰う」
「はい」
クローダーに見送られ次はドワーフに任せた店へ向かう、まだ半日も経っていないが差し入れ位はしてやろうという気持ちで向かった。
「お、兄ちゃんきたか!今日もパティ持ってってくれよ!」
「盛況だな、トウモロ…前に買った粒が沢山付いた野菜が沢山欲しい」
「お、それなら沢山あるぞ!裏に積んでるから好きなだけ持っていってくれ!金はいいから!」
昨日よりも列が長くなったナット達の店の裏手で、トウモロコシモドキ(仮)が店の壁と同じ位の高さに積まれていたのでそれを貰い、パティも20個程くれたので30,000ログを置いて店を後にする。
「大河…」
「ほら1つな」
チグリスにパティを1つ渡す揚げ立てだが、素手で掴み1口で放り込んで食べてしまった。
「おうう、兄ちゃん!さっきぶり」
店の前に1人ドワーフ(誰が誰か区別がつかない)が玄関を修繕している、他は中で作業をしているようでカンカンコンコン音が至る所から聞こえる。
「入るぞ…」
「きちょったか」
「作業早いな」
「ドワーフじゃもん、こんなもんじゃ」
一階はキッチンスペースが広がり、壁なども木と石と魔石で頑丈に仕上げている、キッチンスペースも掃除や水捌け良くするため平らな石造りにし、キッチン側の出入り口を大きくするように頼んだが正にその通りになっている。
「それよか、窓はこのままでよいんじゃが?」
「ああ、ガラスはこっちで用意する」
「そかそか、しかしおもしろいのー入口の隣にしょーけぇす?を作ってそこでも売るなんぞ」
「それは完成したら便利性がわかる。ほら差し入れだ庭で食っていいから、ほらビールも初日だからサービス」
『おおおぉおおおお!!!』
2階にいたドワーフ達もドスドス(階段壊れないのか?丈夫らしくびくともしない)降りてきてさっそく庭で鉄板(持って来てたのか)で火起こしをし差し入れた肉ダンジョンの肉の塊を手際よく切って差し入れたビール20本をさっそく水を飲む勢いで飲んでいる。
「俺達は行くから、明日も頼む」
「食ってかんのかい」
「用があるからな」
「そかそか、しっかり仕事するんぞ!」
「頼んだ、戻るか」
「ん…」
ドワーフ達がわいわいと楽しんでいるのを見て、BBQコーナーもいいなと思いながら人気のいない場所で転移魔法を使い畑に戻った。
モグラ達と畑仕事をしている大河がふと思い付く、寝床は大事だと思うからこそ畑仕事もミニトマトやダイコンも植え一段落ついた所で、また村へ買い出しをかって出ることにした。
「ついでにトウモロコシみたいなヤツも買ってくるか、後商業ギルドに寄ってショルダーバッグがあれば…ドワーフの差し入れもするか」
「俺も行く…」
「ああ」
「大河さん、買い物に行ってくれるんですか?なら塩が…」
「買ってくる」
「お茶がない…」
「そうだな、場所はチグリスが分かるか」
「ん…」
「大河さん、蜂蜜もお願いします。詠斗さんジャムはどうします?」
「ああ、果物も見繕ってくる」
「そうだね、せっかくだからパンケーキに色どりがもっと欲しいよね。チグリスが沢山焼いてくれて、タワーみたいになってるし。果物もお願いします…それとお茶屋に行くならおばあさんにこれを…」
「上手く出来てるな、分かった渡しておく」
チグリスがパンケーキを焼くのに嵌ったらしく、ひたすら焼き続け塔のような迫力があるウェディングケーキが完成した。
詠斗から渡されたのはガラスのティーカップとソーサーの2客とティーポット、鉱物ダンジョンのドロップ品で作った物は見かけより頑丈で火にも強い芸術的一品だった、それを受け取り収納に入れ転移魔法で商業ギルドに向かった。
「どうも」
「大河さん、ズィーガー様は今所用で出ておりまして」
「今日はショルダーバッグを1つ売って欲しくて来た、在庫は…」
「そうでしたか!なら是非見て頂きたい物が…こちらへ」
商業ギルドで迎えてくれたのは少し目の下の隈が薄くなったゴーテンに案内され1階の奥の部屋に通されると、どうやら縫製をする部屋のようで広間のような一室に長い机に、老若男女問わず様々な人々が等間隔に座り手縫いで作業を行っていた。
「こちらで、エコバッグとショルダーバッグの制作を行っております。それでこちらがロゴが入った物です」
少し奥の方で作業を行っている3名の男女が真剣にカバンの縫製を行っていた、そこの台の上に置いてあった上質な皮で出来たショルダーバッグをゴーテンから受け取る。
「うん、皮の質感も良い。ロゴも控えめだが主張しているし、内側の布もしっかりしている。幾らだ?」
じっくり眺めこげ茶色の皮と見た目よりも重さを感じない質感、表右下のZuのロゴが自己主張しないデザインが良かった。
「こちらは試作ですのでどうぞ…」
「いや、今回は払わせて貰う」
「そうですか、25,000ログです。使えば使うほど味が出る頑丈に仕上げした」
「手を掛けたにしては安いな、もう少し高くしてもいいんじゃないか?後これは詠斗くんからの差し入れだから食べてみてくれ」
コインを出しゴーテンに手渡した後に収納袋から氷の塊を出す、果物を絡めたフルーツ水飴だった。
「こ、これは美しいですね…」
作業を行っていた人々の手も止まりその綺麗さに見入っていた、人数的には足りないので切った果物と水飴と棒は置いていく。
「大河食べたい」
「これは差し入れだから、果物な。数が少なかったから氷の穴に果物、棒、水飴を流して少し置いて固めて食べてみてくれ」
「ん」
「いいのですか?氷は貴重ですよ?」
「ああ、氷も使い終わったら適当に処分してくれ…後、蜂蜜飴も…口に入れて舐めて溶かしてみてくれ。これは数足りそうだな。また来る」
フルーツ水飴のの隣に葉に包んだ蜂蜜飴も置いて、次は布屋に向かった。
大河達が去ったあと群がったのは言うまでもないが、フルーツ水飴と蜂蜜飴の上手さに皆驚きその噂が広まり暫く《トタラナ》から水飴と蜂蜜が消えたのはまた別の話し…。
「よお、きてくれたのか!今日も店は忙しいぞ!」
「みたいだな、敷き布と掛け布を1組売って欲しい」
布屋の周りは針仕事をする老若男女が多く、皆椅子を持って来たり茣蓙を敷いて各々自由に巾着袋を作っていた。
「よければ1つ売って欲しい」
「なんだよ!水臭いな!ほら俺が作ったヤツ!」
布屋の主人から渡されたのは淡い水色の巾着袋だった、大河が金銭の代わりに蜂蜜飴を葉に包んだ物を1つ主人に渡した。
「詠斗くんからの差し入れだ」
「お、すまんな。ほら敷き布と掛け布だ。また来てくれよ!」
「ああ」
手を振って見送られる商売は順調のようだお茶屋に向かって歩き出す、キャサナがその後戻ってきて蜂蜜飴を食べた2人がその後蜂蜜屋に向かったのは言うまでもない。
「ここがお茶屋か?茶葉のいい匂いがするな」
「ん、大河お菓子」
「ほら、パン」
「おや、いらっしゃい。お茶飲んどっておくれ。そっちは少し前に来てくれたお客さんね。あの可愛い男の子と」
「ん…」
お茶を店前にお婆さんが運び木で出来た簡素な椅子に座り周辺を見渡す、木枠の中に種類毎並べられた茶葉と木の香りはとても心地良いものだった。
「お茶いくつか多めに見繕って欲しい、後これその男の子…から火にも強いし割れにくいので…」
「あらぁ、こんな綺麗な茶器見た事ないよ!」
ガラスの透明な茶器とティーカップにうっとりと見とれている、その眼差しは子供のようにキラキラしていた。
「こんなすごいもの貰っていいのかい!?」
「どうぞ、このお茶も美味いな」
「ん…菓子も美味い」
パンのような物に木の実を沢山入れて焼いた菓子をチグリスが頬張る、お婆さんはずっと色々な角度からティーポットやティーカップを眺めている、のどかな光景に大河は目を細めた。
「ここが…《不毛》の…」
「あ、もしかして…日本から召喚された方ですか?」
《神の庭》で見た大地は寒々としていたが目の前は畑や人がいて温かみがある雰囲気が伝わる、こちらに気づいた1人が駆け寄って笑顔で話しかけて来てくれた。
「俺は時永 詠斗って言います。神様達からここ《不毛の地》を貰って絶賛開拓中です!」
笑顔が可愛らしい目のぱっちりとしたアイドルみたいな外見の率と同年代位だろうか、笑顔の眩しい青年だった。
「僕は成澤 率といいます。さっき召喚されて神様達から説明受けてここに来ました、よろしくお願いいます」
「はい!よろしくお願いします。そうだ、今もう1人の日本人の人は買い出しに行ってるんですが。今ここで作業しているメンバー呼びますね。みんなー来て来て」
良い人そうで良かった…ほっとしていると呼ばれてこちらにやって来たのは、ゆっくりとした足取りのカメと3匹のモグラ(ダグ●リオ?)白い小さなウサギと詠斗と同じ位の深い藍色の髪と瞳にパーカージーンズという、違和感がありそうで無さそうなこちらも可愛らしい青年が華やかな笑顔で迎えてくれる、そして最後の1人が…息を思わず呑んでしまう美人だった(ジーンズにしゃちくのTシャツが軽く霞む)雪の様な白い肌、星が瞬く黒い瞳と夜色の髪、率と同じ位の身長だったが顔の小ささとスタイルの良さが圧倒的に違う、彼(?)は人ではないそれだけは率にも分かる。
「初めましてナイルと言います、ドラゴンです。よろしくお願いします」
「私は序列第2位千眼魔王…千眼と呼んで欲しい」
「こっちのカメがきゅう、ウサギはウィン、淡いピンクの紐を首に付けているのがお兄ちゃんのハル、蒼い紐えお付けているのが2番目お兄ちゃんのナツ、赤と黄色の紐を付けているのが末っ子のアキです」
魔王とドラゴン…ファンタジー確かに2人とも人外めいた容貌をしている…それともこの世界の人々が容姿が皆端麗たのだろうか…気になる…『もぐ!』『もぐぅ』『もぐっ』『ぴぃ』『きゅ!』とモグラ達もそれぞれ挨拶をしてくれているようで可愛い、癒される…色々な事は後々考えていこう。
「成澤 率と言います、率と呼んでください。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「よろしく…」
「じゃあ、お茶にしようか一息つきながら話をしましょう」
「私が淹れよう」
「千眼さんこのティーポットとカップ使って」
「ああ」
お茶会の準備を始める、嬉しそうに笑う詠斗とぎこちないが笑顔を浮かべる率の為にいつもより丁寧にお茶を淹れようと千眼は思った…。
「あら、いらっしゃい」
「塩と…変わった香辛料があればそれを…」
「分かったわ、お茶を出すから少し待っていて」
「大河…飴…」
「ほら」
お茶屋から出た後次に訪れた香辛料の店女性店主が笑顔で出迎えてくれる、ショルダーカバンに入れた飴をチグリスに渡す、所狭しと並ぶ香辛料の匂いは不快感はなくどれも互いに邪魔をせず品良く並んでいた。
「どうぞ、これとかどうかしら?酸っぱいけど料理の邪魔はしないし、お肉の料理に混ぜるといつもと違う味わいになるわ」
木のカップのお茶を渡され、黄色い皮と塩を混ぜて物と黄色い皮を擦り下ろしたものを小さい匙で試食させて貰うと、レモンのような酸味と柑橘系の香りがし美味しいかったので今ある在庫と、塩を多めに購入する。
「また来てね。あの男の子も連れて来てくれると嬉しいわ」
「どうも、この飴良ければ…その子が作った…口に入れて舐めて食べてみてくれ」
葉に包んだ蜂蜜飴を渡すと顔を綻ばせ笑顔で見送ってくれる、チグリスにも1つ渡すと目を細めて舐めている。
「こんにちは、大河さん!」
「どうも、また水飴と蜂蜜が欲しい」
「はい、ありますよー!詠斗さんと大河さんに教えてもらった水飴と蜂蜜飴のレシピを伝達魔石で教えたところすぐに作り始めているそうで10日後には蜂蜜飴をこちらに運んで貰えるそうで、うちで売る事ができます」
蜂蜜屋のクローダーがニコニコしている、伝達魔石は1つの魔石を2つに分け魔力を注ぐともう1つの石に声が届く代物だが、距離があればある程魔力を消費するという魔力が少ない者には扱い辛いがクローダーはその心配がないらしい。
「それは良かった」
「こちらに水飴と…蜂蜜はどのくらい要ります?」
「一番大きい容器で5個、水飴は2樽頼む」
「それでは、水飴1樽300,000を卸値なので250,000ログを2樽と蜂蜜は1瓶この大きさで200,000ログを5個で良いですか?」
「ああ」
琥珀色のとろりとした色の4Lサイズ程の瓶を収納に入れる、大河は隠すのが面倒になったのでそまま掌を品物の前に出して収納するが、特にクローダーは何も言わなかった。
「また来てください。次はもっと蜂蜜と水飴を持って来るように言ってので、変わった蜂蜜なども用意して待ってます」
「ああ、分かったまた寄らせて貰う」
「はい」
クローダーに見送られ次はドワーフに任せた店へ向かう、まだ半日も経っていないが差し入れ位はしてやろうという気持ちで向かった。
「お、兄ちゃんきたか!今日もパティ持ってってくれよ!」
「盛況だな、トウモロ…前に買った粒が沢山付いた野菜が沢山欲しい」
「お、それなら沢山あるぞ!裏に積んでるから好きなだけ持っていってくれ!金はいいから!」
昨日よりも列が長くなったナット達の店の裏手で、トウモロコシモドキ(仮)が店の壁と同じ位の高さに積まれていたのでそれを貰い、パティも20個程くれたので30,000ログを置いて店を後にする。
「大河…」
「ほら1つな」
チグリスにパティを1つ渡す揚げ立てだが、素手で掴み1口で放り込んで食べてしまった。
「おうう、兄ちゃん!さっきぶり」
店の前に1人ドワーフ(誰が誰か区別がつかない)が玄関を修繕している、他は中で作業をしているようでカンカンコンコン音が至る所から聞こえる。
「入るぞ…」
「きちょったか」
「作業早いな」
「ドワーフじゃもん、こんなもんじゃ」
一階はキッチンスペースが広がり、壁なども木と石と魔石で頑丈に仕上げている、キッチンスペースも掃除や水捌け良くするため平らな石造りにし、キッチン側の出入り口を大きくするように頼んだが正にその通りになっている。
「それよか、窓はこのままでよいんじゃが?」
「ああ、ガラスはこっちで用意する」
「そかそか、しかしおもしろいのー入口の隣にしょーけぇす?を作ってそこでも売るなんぞ」
「それは完成したら便利性がわかる。ほら差し入れだ庭で食っていいから、ほらビールも初日だからサービス」
『おおおぉおおおお!!!』
2階にいたドワーフ達もドスドス(階段壊れないのか?丈夫らしくびくともしない)降りてきてさっそく庭で鉄板(持って来てたのか)で火起こしをし差し入れた肉ダンジョンの肉の塊を手際よく切って差し入れたビール20本をさっそく水を飲む勢いで飲んでいる。
「俺達は行くから、明日も頼む」
「食ってかんのかい」
「用があるからな」
「そかそか、しっかり仕事するんぞ!」
「頼んだ、戻るか」
「ん…」
ドワーフ達がわいわいと楽しんでいるのを見て、BBQコーナーもいいなと思いながら人気のいない場所で転移魔法を使い畑に戻った。
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さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。
そして下されたのは――家ごとの褫奪。
一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。
欲しがったのは肩書。
継いだのは責任。
正統は叫びません。
ただ、残るだけ。
これは、婚約を奪われた公爵令嬢が
“本当に継がれるべきもの”を証明する物語。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
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