あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第8部 晴れた空の下手を繋いで…

第3幕 第22話 海から来る客

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「あ、ヒヨコ達食べちゃ駄目だよ」 
「おなかすいたのか?さっきあんまり食べてなかったかな」
晴海と舵の間のベッドに座らせると、ヒヨコを口に入れてモグモグと青年が口を動かしていたので晴海がヒヨコを救出する、ヒヨコはヨダレでベタベタになったが気にした様子もない、率が洗面所で洗ってくれると連れて行き、舵が綴に尋ねた。
「薬がまだ効れてないようだったのでパンと果物とミルクだけでしたね、何かおやつを出しましょうか?」
「なら、カノリのジャムクッキー干したカノリとジュースはどうです?トイさんから朝貰った物で作ってみたんです」
「俺も食べたい」
「俺も」
「ん…」 
詠斗とジラとチグリスが手を挙げる、ナイルが収納袋から皿に盛られたクッキーと干したカノリに、良く冷えたカノリのジュース瓶を出してくれ小さいベッドの上に置ける鉱物のテーブルに並べて、綺麗なグラスに淡い赤色のジュースを注ぐと青年は手を叩いて喜んだ。
「あ、あう」
「はい、どうぞ」
晴海がクッキーを青年の口元に運ぶと嬉しそうにパクついて晴海の指まで食べてしまい、舵の手でそっと引き離された。
「あぁ、あう」
「ほら、ジュースも飲みなよ」
「ゆっくり食べて」
「綺麗になりましたよ」
「ぁああ」
舵がコップを添えて飲ませてくれる、晴海がクッキーを口に運び、率が綺麗に洗ってくれたヒヨコを膝に乗せてくれた。
「うまいな」
「美味しいよーナイルさん!」
「ん…おかわり」
「はい、沢山ありますから」
「お酒もいいけど、甘いのもうまいわ」
ナイルが沢山だしてくれる、他にチーズや干し肉に干した果物や腸詰めも出してちょっとした宴会が始まる…次の日の朝は言うまでもなく散々たる宴の後を皆で片付ける事となる。

「この首輪とこの羅針盤に12位が2体…」
「この首輪と羅針盤は3000年以上前に滅びた国《イルガンダ》の技術ですね、それと妖精の残滓を感じます。妖精王に視て貰いましょう」
「ふむ、あの仮説を立てるならばあの魔王は3000年以上前から存在すると」
「有り得なくはないですが、不明点が多すぎて何も」
「こちらの眼ではもう1体の魔王を捉える事すらできませんし」
「危険危険…」
「この羅針盤も…解かない限りはダンジョンの場所を掴めないなのです…我々は挑戦の対象外のようなのです」
「奴隷達の罠の件もそうだ、早く外してやらねえと。発動しないにしても気分は悪いだろう」
「ええ、最優先はそれですね」
「治療は完了した筈ですが、思いの外我々の予測より不明瞭な部分が多すぎる」
「それもそうですが、今やるべき事を迅速に。さ、急いで調べましょう」
「完成したカウン酒の返礼は先に贈ります」
「ゆっくり飲むのはせめて皆さんの首輪が外れた後に…」

夜の海静かに海上を疾る《アタラクシア号》にゆっくりと近づく幾つもの影、船の防人たる風早が警告を出し生物達はそこで止まる、現在の時刻は真夜中、起きている者も少ない。
警備をしているおりがみの子達も既に気付き、きゅうとふーもまた夜の海に視線を向ける、夜が静かに過ぎていく。

『皆さま、お客様がお見えですが、会われますか?』
「風早、お客様ですか?一体どこから?」
『海からクーランタークという種族の一族が船の所有者である皆さまときゅう様、ふー様にお会いしたいと昨夜から船の周辺で待機しています』
「夜分の来客に俺達を起こさないように気を遣ってくれたか、風早」
『それが私の仕事ですから』
「クーランタラークですか…海の旅人とされる種族ですね。きゅうさんとふーさんに挨拶をしに来たのでしょう」
朝食後薬の切れた奴隷達に状況の説明や、希望を聞き取り等に追われ、すっかり昼食の時刻を過ぎた辺りだが落ち着いた今に、風早が話しを持って来てくれたのは助かる。
「きゅう、ふー会う?」
『きゅ』『ぱしゃ』
「そ、会うって。ちょうど今から昼だし飯食いながらにする?」
「いいね」
「風早、会うと伝えて下さい」
『承知しました』
「千歳さん達も呼ぼう」
大食堂で自分達の昼食の準備をしていた懐記がきゅうに尋ね、奴隷達の件をまとめていた詠斗、綴、ユナイドが頷く。
「ユナイドさん、ごめんね。休みなのに手伝って貰って」
「いえ、私も気になりますから気にしないで下さい」
「お礼とは言えないですが、沢山食べていって下さいね」
「昨日から美味しい酒に食事、沢山頂いてますよ。充分です」
ユナイドがクスリと笑う、仕事を離れこういった手伝いも悪くはないな思った。

「これは丁寧に心を破壊されているぞ、戻る可能性はほぼないな」
時間は少し遡る、朝の仕事を終え釣りをしに来たベルン一行のラピスを呼び止め部屋に連れ青年と羅針盤と首輪に12位の魔王の話をし、最初は皆と遊びたがったラピスも羅針盤と青年の状態を確認し顔をしかめた。
「次の転生も出来ないだろうな」
「あぁあぅ」
部屋にいるのは、千歳、千眼、千華、ラジカにラピスに青年という面子だった。
「後で神々に確認してみるよ、ポイントを支払っても構わないから。どうかな?羅針盤と首輪の方は?」
「《解き掛けの羅針盤》を作ったやつなら知っているぞ、妖精だぞもう死んでいるがな。あと首輪は…神々の返答待ちだな」
「妖精ですか、それに死ぬとは?」
「そいつはそれを825個作った、誰もそいつを理解しなかった。よく分からないものを沢山作っていつも1人でいたぞ、それに妖精も死ぬ時は死ぬぞ」
「これはとあるダンジョンへの鍵のようだけど、そのダンジョンがどこにあるか分かるかな?」
千歳の問いにラピスの6色虹眼が煌めく、少し遠い眼差しをしてゆっくりと口を開いた。
「そうか…そいつが行きたかったのはそこか。そこへの行き方は分からない。間違いなくその羅針盤を解けば行ける、だがそこはダンジョンじゃないぞ」
「私も行きましたよ?たしかにダンジョンでしたよ?」
「喋り思考し心があるものをダンジョンとは言わないだろう、あれは生き物だ」
ラピスの言葉にラジカの思考が止まる、そして考えこんだ。
「詠斗くん達からラインで来客があるそうだね、ラピス君ありがとう」 
「いいぞー、俺もこの件気になるぞ。後、ラジカお前の羅針盤見せてみろ、解いた後のもみたいぞ!」
「あ、はいどうぞ」 
収納袋からかつて解いたもう只の皿ような物になった羅針盤を渡す、ラピスがそれをまじまじと眺め声を漏らす。
「これは…825個の内の羅針盤じゃないぞ、しかもそいつが死んだ後に作られた物だがそいつの残滓がある。転生したのか…」
「何故その方は825個もの鍵を作っのでしょう」
「解き掛けというからには…全て解き掛けの鍵という事か…」
「知らないぞ、作っていたのを知っているだけだぞ。転生したそいつが羅針盤を作り続けているならいつか会えるかもな」  
「謎が減ったようで増えてしまったね、ラピス君ありがとう。さ、来客に会おうか」
「こいつはこっちで預かるんだろ」
「そうだね、頼むね」
「私がベルンさん達の元へ連れて行きます」
青年の手を握りラピスと共にラジカがプールの方へと向かう、千歳達は大食堂へ向かった。
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