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第8部 晴れた空の下手を繋いで…
第3幕 第28話 戦闘終了後
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「私はガーランバラーダのカトゥーシュカと申します、この度は大変申し訳ありませんでした…」
大食堂で深々頭を下げるカトゥーシュカ、先ほどの戦闘の時とは違い非常に姿勢良く礼儀正しい青年だった。
「お前が喰ったのは龍皇国皇帝の弟の血筋…バウンドランドトーカーの王族だ…今回は皇帝に話しがいく…」
「あー、まあ、たまには痛い目みた方がいいんすよあの暴君は」
チグリスが冷たく答え、ラウラスもトラングが怪我をした事に対してそっけなかった。
「ねーなんでトラングさんは暴君て呼ばれているのー?優しいよー」
「セクハラはしてくるけど」
晴海がカトゥーシュカにお茶を出し、懐記が昼食のミートソーススパゲティとサラダにスープとダンジョン肉のソテーを用意し皆に配る。
「あの方は兄弟20人以上いるんですが、唯一のライガル様の姉様とバウンドランドトーカーの王の間の子なんすよ。ライガル様の母上はそりゃもう姉様を溺愛していて、母上の夫で陛下とライガル様のお父上も、特別あの暴君を可愛がっているんですよ」
「《トルゥードン》は元々父上の領地だったのをトラングに譲ったんです、貴方がガーランバララーダの王族ですね?」
「ライガルさん、ニジェルガさん」
ライガルとニジェルガも転移で現れ、カトゥーシュカの方に目を向ける。
「こ、これは!今回の件如何様にも罰を」
「良い、頭を上げて欲しい。話しは既に聞いている、晴海、トラングは幼い頃から聡明で何もしなくても周りが全て行い、些細な事から難儀な事まで努力や鍛練を行う事せず常に高見に行ける才を持って産まれ、兄弟達から妬みや嫉妬、周囲からの次期王への期待を常に感じ…無かったんだよ。結果退屈だったトラングは好き勝手し、王からは黙認され…暴君と呼ばれる様になったのは兄弟を4人殺した後からだ」
「殺した理由も妬みからの暗殺を退けトラングが返り討ちにしたので、問題は無かったのですが…トラングは何故、自分が簡単に出来る事を周囲が出来ないのか理解出来ない性質です。歳が近いせいもあり昔はよくトラングと比較されていました」
「ふーん、ま、俺達の前では猫被っているし」
「俺好きだよ、トラング。兄弟を殺したのも自分が生き残る為に必要なら仕方ない事だと思う」
「俺もートラングさんに生きてて欲しいよ」
「皆さん…」
「トラングも良い友人を持ったものだな」
「みなさん懐が深いすよ本当」
「ん…」
懐記、詠斗、晴海の言葉にニジェルガ達が苦い笑みを溢す、世界が法も価値基準も変わる、詠斗達は割り切っている、日本ではない誰も彼も明日どうなっているか分からない世界が《アタラクシア》だ。
「羨ましいですね…私には誰もいなかった…」
ポツリとカトゥーシュカが呟く寂しい眼をし周囲を見渡す、孤独が心に住み着く、周りの暖かさにカトゥーシュカは独り寂しさを味わった…。
トラング・ハーベンダー・カゥドゥは優秀なバウンドランドトーカーだった…。
ドラゴンの妻になった祖母、血の繋がりはないが義理の娘を愛する温厚なドラゴンの祖父…恵まれた血筋、恵まれなかったのは20名以上いる顔も名前も覚えていない兄弟達だけとも言える。
端整な容姿に優れた頭脳はドラゴンと渡り合え、魔法や魔力の質量に剣、どれをとっても他の兄弟達の遥か上をいく。
「恨みます!トラング様!」
「私の子を!」
「あぁあー!」
「いやあああ!」
だから狂気的に兄弟達の憎しみと嫉妬を買い、暗殺を何度もされかけた、その度送り込まれた暗殺者達を生け捕り拷問しどの兄弟からの刺客か吐かせた。
普通の拷問で吐くような刺客ではないから、酷い死んだ方が良いやり方で吐かせその足で兄弟を殺しに行くのがトラングのやり方だった。
殺した兄弟の母、伴侶、血族の悲鳴を聞いてもトラングは何も感じない、殺そうとするから殺すそれだけだった。
報復も面倒だと母親と祖母に刺客を送り込んだ兄弟達の血族を1人残らず殺すように頼み、可愛い娘が産んだ孫の頼みを祖母は快く聞いてくれる。
父親たる王は兄弟間の不始末は関与しない、殺すのも殺されるのも愚かさと弱さが招いた結果だとしている。
「トラング、君は余りにも恵まれている…そして此処で生きていたら、やがて全ての兄弟を殺してしまう。私も3人の子を持つ親だからね…彼らの慟哭は耳が痛い…私が持つ領地の中で最も価値ある領地をあげよう。そちらで暮らすと良い」
優し気な眼差し慈悲深き、愛深きドラゴン…彼から産まれたドラゴンは次代の皇帝としての地位が約束されている、そんな義理の祖父の息子もまた慈悲深く慈愛に溢れていた。
「それじゃ、頂きます」
「うん、好きにしなさい…」
義理の祖父は優しい…穏やか…底抜けに…義理の娘の子供が他の兄弟を殺し両手を血に濡らしても目の前の慈悲深きドラゴンの眼差しは何処までも清く澄んでいる。
彼は殊の外(・・・・・)家族に優しいドラゴンだった…。
「うーん、寝たし腹減った~」
パチリとくすんだピンクの瞳を開け身体を起こす、上着だけ着替えられて血も綺麗に拭き取られ傷もない、トラングはベットから起き出し大食堂へ向かった。
「美味い…こんなに美味い食事は初めてだ…」
カトゥーシュカが焼かれた魚ダンジョンのドロップ品をフォークで味わい、身体の隅々まで行き渡るのを感じた。
「貴方は龍皇国で身柄を預かります」
「保護と思ってくれ、丁重に迎える」
「い、いえ。滅相もない…迷惑を掛けたのですから…」
ニジェルガとライガルも共に魚料理とカウン酒に舌鼓を打ち、カトゥーシュカの今後の話しを持ち掛けた。
「なら、働けば~」
「トラング起きたの?」
「身体はどう?」
「血が足りてない~肉頂戴肉ぅ~」
「出すから座れば」
「あ、あの体の方は…」
「見れば分かるだろ、この通りだよ」
「そ、そうか。本当に申し訳ない事を…」
「油断したもんなートラング」
「うえー」
大食堂でライガルの隣に腰を下ろすトラングに、席を立ちあがり状態を確認するトラング、別テーブルでミルクを飲みながら口角を上げて笑うジラを睨むトラングだった。
「ま、そんなに罪悪感抱くならゴーシュっちの手伝いすればいいんじゃない」
「ぜ、是非なんでもしよう!力はあるから任せて欲しい」
懐記が肉料理を運び提案する、カトゥーシュカもコクコクと頷く。
「それでよければ…」
「船は後3日程で《ホウラク》に到着する、それまで船旅を楽しんでから皇国の下街の支配者ゴーシュ殿の管理下で指示を受けて貰うとしよう」
「宜しく頼む、それと海精やクーランターク殿そしてこの海に住まう皆様にご迷惑をお掛けし申し訳ない」
「いえ、我々も新しい時代に進む覚悟が出来ましたし、こうして救世主様の皆様にもお会いできましたから」
『うみぃ』『うみゅ』『うみ!』『うみぁ』『うみぅ!』
フユーゲル達もヒュール達も笑顔で頷く、これでこの海は元の海に戻るだろう。
「うん、ようやく落ち着いた!さ、船の旅を楽しもう!」
『おー!』
詠斗が笑ってカウン酒の入ったグラスを掲げる、その場にいた全員がグラスを抱え残りの船旅を今度こそ思う存分楽しむ事にした。
大食堂で深々頭を下げるカトゥーシュカ、先ほどの戦闘の時とは違い非常に姿勢良く礼儀正しい青年だった。
「お前が喰ったのは龍皇国皇帝の弟の血筋…バウンドランドトーカーの王族だ…今回は皇帝に話しがいく…」
「あー、まあ、たまには痛い目みた方がいいんすよあの暴君は」
チグリスが冷たく答え、ラウラスもトラングが怪我をした事に対してそっけなかった。
「ねーなんでトラングさんは暴君て呼ばれているのー?優しいよー」
「セクハラはしてくるけど」
晴海がカトゥーシュカにお茶を出し、懐記が昼食のミートソーススパゲティとサラダにスープとダンジョン肉のソテーを用意し皆に配る。
「あの方は兄弟20人以上いるんですが、唯一のライガル様の姉様とバウンドランドトーカーの王の間の子なんすよ。ライガル様の母上はそりゃもう姉様を溺愛していて、母上の夫で陛下とライガル様のお父上も、特別あの暴君を可愛がっているんですよ」
「《トルゥードン》は元々父上の領地だったのをトラングに譲ったんです、貴方がガーランバララーダの王族ですね?」
「ライガルさん、ニジェルガさん」
ライガルとニジェルガも転移で現れ、カトゥーシュカの方に目を向ける。
「こ、これは!今回の件如何様にも罰を」
「良い、頭を上げて欲しい。話しは既に聞いている、晴海、トラングは幼い頃から聡明で何もしなくても周りが全て行い、些細な事から難儀な事まで努力や鍛練を行う事せず常に高見に行ける才を持って産まれ、兄弟達から妬みや嫉妬、周囲からの次期王への期待を常に感じ…無かったんだよ。結果退屈だったトラングは好き勝手し、王からは黙認され…暴君と呼ばれる様になったのは兄弟を4人殺した後からだ」
「殺した理由も妬みからの暗殺を退けトラングが返り討ちにしたので、問題は無かったのですが…トラングは何故、自分が簡単に出来る事を周囲が出来ないのか理解出来ない性質です。歳が近いせいもあり昔はよくトラングと比較されていました」
「ふーん、ま、俺達の前では猫被っているし」
「俺好きだよ、トラング。兄弟を殺したのも自分が生き残る為に必要なら仕方ない事だと思う」
「俺もートラングさんに生きてて欲しいよ」
「皆さん…」
「トラングも良い友人を持ったものだな」
「みなさん懐が深いすよ本当」
「ん…」
懐記、詠斗、晴海の言葉にニジェルガ達が苦い笑みを溢す、世界が法も価値基準も変わる、詠斗達は割り切っている、日本ではない誰も彼も明日どうなっているか分からない世界が《アタラクシア》だ。
「羨ましいですね…私には誰もいなかった…」
ポツリとカトゥーシュカが呟く寂しい眼をし周囲を見渡す、孤独が心に住み着く、周りの暖かさにカトゥーシュカは独り寂しさを味わった…。
トラング・ハーベンダー・カゥドゥは優秀なバウンドランドトーカーだった…。
ドラゴンの妻になった祖母、血の繋がりはないが義理の娘を愛する温厚なドラゴンの祖父…恵まれた血筋、恵まれなかったのは20名以上いる顔も名前も覚えていない兄弟達だけとも言える。
端整な容姿に優れた頭脳はドラゴンと渡り合え、魔法や魔力の質量に剣、どれをとっても他の兄弟達の遥か上をいく。
「恨みます!トラング様!」
「私の子を!」
「あぁあー!」
「いやあああ!」
だから狂気的に兄弟達の憎しみと嫉妬を買い、暗殺を何度もされかけた、その度送り込まれた暗殺者達を生け捕り拷問しどの兄弟からの刺客か吐かせた。
普通の拷問で吐くような刺客ではないから、酷い死んだ方が良いやり方で吐かせその足で兄弟を殺しに行くのがトラングのやり方だった。
殺した兄弟の母、伴侶、血族の悲鳴を聞いてもトラングは何も感じない、殺そうとするから殺すそれだけだった。
報復も面倒だと母親と祖母に刺客を送り込んだ兄弟達の血族を1人残らず殺すように頼み、可愛い娘が産んだ孫の頼みを祖母は快く聞いてくれる。
父親たる王は兄弟間の不始末は関与しない、殺すのも殺されるのも愚かさと弱さが招いた結果だとしている。
「トラング、君は余りにも恵まれている…そして此処で生きていたら、やがて全ての兄弟を殺してしまう。私も3人の子を持つ親だからね…彼らの慟哭は耳が痛い…私が持つ領地の中で最も価値ある領地をあげよう。そちらで暮らすと良い」
優し気な眼差し慈悲深き、愛深きドラゴン…彼から産まれたドラゴンは次代の皇帝としての地位が約束されている、そんな義理の祖父の息子もまた慈悲深く慈愛に溢れていた。
「それじゃ、頂きます」
「うん、好きにしなさい…」
義理の祖父は優しい…穏やか…底抜けに…義理の娘の子供が他の兄弟を殺し両手を血に濡らしても目の前の慈悲深きドラゴンの眼差しは何処までも清く澄んでいる。
彼は殊の外(・・・・・)家族に優しいドラゴンだった…。
「うーん、寝たし腹減った~」
パチリとくすんだピンクの瞳を開け身体を起こす、上着だけ着替えられて血も綺麗に拭き取られ傷もない、トラングはベットから起き出し大食堂へ向かった。
「美味い…こんなに美味い食事は初めてだ…」
カトゥーシュカが焼かれた魚ダンジョンのドロップ品をフォークで味わい、身体の隅々まで行き渡るのを感じた。
「貴方は龍皇国で身柄を預かります」
「保護と思ってくれ、丁重に迎える」
「い、いえ。滅相もない…迷惑を掛けたのですから…」
ニジェルガとライガルも共に魚料理とカウン酒に舌鼓を打ち、カトゥーシュカの今後の話しを持ち掛けた。
「なら、働けば~」
「トラング起きたの?」
「身体はどう?」
「血が足りてない~肉頂戴肉ぅ~」
「出すから座れば」
「あ、あの体の方は…」
「見れば分かるだろ、この通りだよ」
「そ、そうか。本当に申し訳ない事を…」
「油断したもんなートラング」
「うえー」
大食堂でライガルの隣に腰を下ろすトラングに、席を立ちあがり状態を確認するトラング、別テーブルでミルクを飲みながら口角を上げて笑うジラを睨むトラングだった。
「ま、そんなに罪悪感抱くならゴーシュっちの手伝いすればいいんじゃない」
「ぜ、是非なんでもしよう!力はあるから任せて欲しい」
懐記が肉料理を運び提案する、カトゥーシュカもコクコクと頷く。
「それでよければ…」
「船は後3日程で《ホウラク》に到着する、それまで船旅を楽しんでから皇国の下街の支配者ゴーシュ殿の管理下で指示を受けて貰うとしよう」
「宜しく頼む、それと海精やクーランターク殿そしてこの海に住まう皆様にご迷惑をお掛けし申し訳ない」
「いえ、我々も新しい時代に進む覚悟が出来ましたし、こうして救世主様の皆様にもお会いできましたから」
『うみぃ』『うみゅ』『うみ!』『うみぁ』『うみぅ!』
フユーゲル達もヒュール達も笑顔で頷く、これでこの海は元の海に戻るだろう。
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