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第8部 晴れた空の下手を繋いで…
第10話 《ホウラク》到着
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『皆様おはようございます、もう間も無く《アタラクシア号》及び《島船》は《ホウラク》の近海に到着致します。現在療養中の皆様はそのまま《島船》へ、観光や仕入れ、買い取りをご希望の方々は《アウトランダーズ商会》の皆様から転移札ならびにまだ収納袋をお持ちでない方々も受け取り、単独行動はしないよう観光をお楽しみ下さい。また観光期間中は《アタラクシア号》での滞在、宿泊も引き続き可能です、滞在期間は7日程です、転移札は船と《ホウラク》のみの転移札です、帰る際は必ず船にお戻り下さい』
「着いたー!って言ってもまた海だけどねー」
「詠斗さん、皆様おはようございます!」
「おはようございます、《ズィーガー商会》勢揃いですね!」
「ええ!初の大陸を越えた仕入れですから!」
「皆さん、収納袋ありがとうございます」
「たくさん、買い物しようね!」
風早の館内アナウンスを聞きながら各々客達が動き出す、ドラゴン達やクーランターク達や《ガルディア》の面々も詠斗と共に街へと入るとの事なので早速全員で街の手前まで移動する事になった。
「よし、ここからは分かれようか。僕と綴さん、ラジカさんやジラさん、商人のドラゴンさん達や《ズィーガー商会》の皆さんは商業ギルドへ仕入れと買い取りに」
「こっちは何組に別れて買い物!」
「ゴーレムの工房だよな!やっぱり」
「…肉」
「じゃ、入街料払っていくよー」
『おー』
千歳達商業ギルドチーム、詠斗、大河、率、チグリスチーム、懐記、グローリー、ティス、ライガルチーム、ゴーシュ、ティータ、トラング、カトゥーシュカチーム、崇幸(千眼同伴)、晴海、舵、シアチームに分かれて街を廻る事とし、人街料1人3,000ログを支払い《ホウラク》へと入った。
「どーしよ、あーどーしよーもうダメダメだー」
《ホウラク》の外れの宿屋…だった場所で、1人の青年が頭を抱えていた。
「潰すにしてもー金もないしー」
青年が頭を抱えていたのは、亡き両親から受け継いだボロい宿屋、安さが取り柄のそんな宿屋は今潰れる瀬戸際迄来ていた。
「あー、なんで地下から変な臭いのお湯というか熱湯なんかが出るかねーはあ、とにかく商業ギルドに行って借金して…父さん、母さんごめんなさい…なんでこんな事に…」
古い宿屋に漂う頭が痛くなる様な臭い、青年は頭を抱えて腰かけていた切り株から重い腰を上げた。
「はあ…」
「ようこそようこそ、《ホウラク》商業ギルドを任されております《エンディミー商会》の支店長ルガンダと申します」
「ご無沙汰しています、今日は《アウトランダーズ商会》の皆さんと《ズィーガー商会》と個人の商人の皆さんと《ホウラク》観光と仕入れ、買い取り等でこちらに立ち寄らせて貰いました」
「おお、そうですか。今3階の商談室があいておりますのでそちらへぞうぞ」
《ホウラク》石や岩の建物が多く、耳や尻尾が生えた獣人やエルフにドワーフ達が闊歩し馬車や荷車が往来を行き来出来るほどの道、2階3階建ての建物も多く存在しズィーガー達はその風景も楽しみながら商業ギルドのギルドマスターに案内され3階に向かった。
「《ズィーガー商会》の支配人殿にもお越し頂けるとは、空からですかな。長旅でしたな」
「ええ、その分実りある取引にしたいと思っておりますぞ」
「おおそうですな、早速こちらの商会の目録と商業ギルドの取り扱い品、冒険者ギルドでのダンジョン品等の一覧でございます。ご覧になられている間に買い取り品等あれば査定しましょう」
白髪交じりの目元の皺が深い壮年の男性ルガンが傍らに控える、小太りの男に指示を出し目録などをテーブルに広げた。
「お茶をお持ちしました」
品の良い若い10代の少女とよく似た20代前半の女性が茶を運び、書類の邪魔にならないように置かれて静かに退出していく。
「どうぞ、我が商会の自慢の茶葉の一等品です」
「香りが良いですね」
「ええ、そうでしょうとも」
千歳がティーカップとソーサーを持ち優雅に茶を飲む姿は貴族のような(魔王)雰囲気で薄く微笑む、ユナイドや他の《ズィーガー商会》の支店長の支配人達も各自収納袋を取り出せば、背後の小太りの男がカートを持ち出し、並べていって貰う。
「おお、やはり商業ギルドを預かる商会どれも良い品ばかりですな。これは我が商会の面々も興奮を隠せないでしょうな」
「すみません、こっちは量が多いのですが…」
「はっは、では職員を増やし収納袋を持って来ましょう。新しい商会の方々がお持ちになる品々楽しみですな。英雄王まで控えておられるので期待してしまいますな!」
綴の言葉にルガンが笑い、小太りの男が呼び鈴を鳴らしカートと職員が増やされる、綴が収納袋からカートに出している間、千歳とラジカが目録に目を通していいく。
「ひぇ!」
「こ、これは!?鑑定を!職員をもっと連れて来い!」
「どうした?騒がしいぞ」
「ルガン支店長!冒険者ギルドに連絡を!あと各商会にも」
「我々の商会では買い切れません!」
「あ、あの、全部買い取らなくても大丈夫ですよ?」
「んん!?これは!い、いえなんとか買い取りさせて頂きたい!すぐに連絡を!申し訳ありません、目録はお貸ししますので!鑑定と査定にお時間を頂きたいですな」
「は、はあ」
「懐かしいですねぇ、最初に詠斗さん達が持ってきて下さった物で混乱していましたね」
「ええ、大変でしたよー暫く家に帰れませんでしたし」
「あーなっちゃいますよねーそりゃ、気持ち分かります…」
興奮を隠せないルガンにたじろぐ綴、その光景にズィーガー達はうんうんと頷き詠斗達と出逢った当初を思い返した。持ち込まれたカート2台には鉱物ダンジョンの上層のドロップ品が山の様に高く積み上げられ床に溢れ、ギュロリ貝やギョロリの骨、薬草ダンジョンの上層の薬草、飛空ダンジョンのドロップ品…まだ一部だが…綴はもう出すのを止めようと思った。
「こ、こんな大量の品…しかもダンジョン品に鉱物ダンジョンの…わが商会始まって以来の大取引ですな!預かり証を出しますので、2、3…いえ3日下さいませ!」
「はい、しばらくはこの街にいますから…よろしくお願いします」
「では、少しお待ちください…私としたことがはしゃいでしまいお恥ずかしい。それと皆様今夜ご予定は如何ですかな?よければ…私の屋敷で…」
「すみません、今夜は皆さん予定がありますので」
「それは残念ですな…都合が合えば是非我が屋敷にお招きしたいですな」
「予定が合えば是非」
ルガンの誘いに間髪入れずにラジカが表面的な笑みを浮かべて遠回しにでもない断りを入れる、心の底から残念そうに肩を落とすルガン、小太りの男から預かり証を渡した。
「食事は残念ですが、皆さまは運が良いですな。3日後の昼から《ホウラク》で祭りが行われます
。大規模な千年祭ですので、良ければ皆さまも出店なども出来ますから、出店料など無く通行の邪魔にならない様に店を出して貰えれば問題ないので」
「食べ物なども大丈夫ですか?」
「ええ、もちろんですとも。こちらに禁止品など記載ありますので、とはいえこの千年祭もう場所取りなど行われていますので良い場所はもうないですが…祭りを楽しんで下さい。10日程行われますから」
「場所の目印などは無かったようですが」
祭りに綴が食べ物等を聞けば、小太りの男から細かなルールが記載された紙を渡され、通って来た道を思い返したが目印や許可証の様な物は無かった。
「近づくと線が引かれているのが分かりますよ、そういった魔法具を商業ギルドで貸しているんです、一回1,000ログです。線を書く時魔力を注げば注いだ者の出店場所として確保出来ますから、出店料無料と言いつつもそう言った料金はどうしても掛かりますな、揉め事など起こさないようするのも商業ギルドや冒険者ギルドの役割ですから、もう大体は住民や商人達は場所取りが終わっているので良ければお使い下さい。それはそうといまの時期どの宿屋も満員ですので、うちの屋敷へ…」
「大丈夫です、大型のテントがありますから。もうすでに職員が荷物の設置なども済ませていますので。では店など出すかどうか相談をしに街へ出ようかと思います。3日後にまた来ます」
「そ、そうですか…では、下までご一緒させて頂きます」
「ええ」
そう言って表面的な笑顔を浮かべラジカがさっさと腰を上げ、ルガンが名残惜しそうに下へと案内した。
「なあ、あの支店長…」
「そうです、ここに来る度にああですよ」
「随分ルガンさんはラジカさんを引き留めていましたね」
「綴ーそれは娘だよ、茶を持って来た女達は支店長の娘達だぞーははっ、ラジカを家に招いてなんとか婿か娘のどっちかを嫁にしたいんだろう」
「え、お姉さんならともかく妹さんは…」
「関係ないさ、何せ《ラズライール商会》の支配人、どうにかしたい所だろ」
商業ギルドを後にし、ズィーガー達は目録やドロップ品等の購入品の会議を行う為船へと戻り、千歳、綴、ラジカ、ジラの面子で街の散策を行う。
「確かに美形で稼ぎもあるラジカさんは結婚相手には最高ですね、特に商会の皆さんには」
「そんな事はありませんよ、綴さん。本当に古い商会なだけですから」
「へぇ、こういう事がよくあるのかな?」
「あまりないですよ、社交の場には出ませんから。商会の支店長辺りのご息女達は社交界等で相手を探すのが常ですから」
「だから出ないってー?」
「出なくとも十分人脈はありますから」
「へえ、じゃあの話しは本当?どっかの国の王女2人と国王の妹から求愛されて断った話しと、とある大商会の某未亡人から言い寄られて断った話しと、女盗賊の頭から求愛されて断って危うく殺されかけた話し」
「よくご存じで、どれも本当ですね。王女達はともかく、某未亡人は夫を12人殺害した毒婦ですし、女盗賊の彼女は断った途端に私を殺して死姦して子供を作るといってましたし」
「へぇ、よくある話しだよなーその女盗賊俺の所にも捕縛依頼来たなー断ったけど」
「よくある話しではないですけど…」
「その毒婦と女盗賊はどうしたのかな?」
千歳の声のトーンが少し低くなる、顔はニコニコとしているが周囲の気温が下がった気がした。
「毒婦は面倒になったので夫12名の殺害を暴き処刑場送りに、女盗賊はこっちも危ないので仕方なく殺しました」
「そう、なんだかそういう話し多そうだね、ラジカさん」
「そんなにありませんよ、認識疎外の魔法具を使ったりもしますし。薬もよく盛られますが効きませんから」
「へえ、でも気を付けないとね」
「ええ、そうですね」
『……』
「お、綴あそこの店面白そうだな。行こうぜ」
「わ、本当ですね!人形屋ですかね、子供達のお土産にしましょう!」
「ああ、あの店は質が良いですよ」
「行こうか」
なんだか変な空気になってしまったのを無理矢理ジラが綴を巻き込み、綴もいまいち分からないが面白そうな店だったので向かう事にした。
「着いたー!って言ってもまた海だけどねー」
「詠斗さん、皆様おはようございます!」
「おはようございます、《ズィーガー商会》勢揃いですね!」
「ええ!初の大陸を越えた仕入れですから!」
「皆さん、収納袋ありがとうございます」
「たくさん、買い物しようね!」
風早の館内アナウンスを聞きながら各々客達が動き出す、ドラゴン達やクーランターク達や《ガルディア》の面々も詠斗と共に街へと入るとの事なので早速全員で街の手前まで移動する事になった。
「よし、ここからは分かれようか。僕と綴さん、ラジカさんやジラさん、商人のドラゴンさん達や《ズィーガー商会》の皆さんは商業ギルドへ仕入れと買い取りに」
「こっちは何組に別れて買い物!」
「ゴーレムの工房だよな!やっぱり」
「…肉」
「じゃ、入街料払っていくよー」
『おー』
千歳達商業ギルドチーム、詠斗、大河、率、チグリスチーム、懐記、グローリー、ティス、ライガルチーム、ゴーシュ、ティータ、トラング、カトゥーシュカチーム、崇幸(千眼同伴)、晴海、舵、シアチームに分かれて街を廻る事とし、人街料1人3,000ログを支払い《ホウラク》へと入った。
「どーしよ、あーどーしよーもうダメダメだー」
《ホウラク》の外れの宿屋…だった場所で、1人の青年が頭を抱えていた。
「潰すにしてもー金もないしー」
青年が頭を抱えていたのは、亡き両親から受け継いだボロい宿屋、安さが取り柄のそんな宿屋は今潰れる瀬戸際迄来ていた。
「あー、なんで地下から変な臭いのお湯というか熱湯なんかが出るかねーはあ、とにかく商業ギルドに行って借金して…父さん、母さんごめんなさい…なんでこんな事に…」
古い宿屋に漂う頭が痛くなる様な臭い、青年は頭を抱えて腰かけていた切り株から重い腰を上げた。
「はあ…」
「ようこそようこそ、《ホウラク》商業ギルドを任されております《エンディミー商会》の支店長ルガンダと申します」
「ご無沙汰しています、今日は《アウトランダーズ商会》の皆さんと《ズィーガー商会》と個人の商人の皆さんと《ホウラク》観光と仕入れ、買い取り等でこちらに立ち寄らせて貰いました」
「おお、そうですか。今3階の商談室があいておりますのでそちらへぞうぞ」
《ホウラク》石や岩の建物が多く、耳や尻尾が生えた獣人やエルフにドワーフ達が闊歩し馬車や荷車が往来を行き来出来るほどの道、2階3階建ての建物も多く存在しズィーガー達はその風景も楽しみながら商業ギルドのギルドマスターに案内され3階に向かった。
「《ズィーガー商会》の支配人殿にもお越し頂けるとは、空からですかな。長旅でしたな」
「ええ、その分実りある取引にしたいと思っておりますぞ」
「おおそうですな、早速こちらの商会の目録と商業ギルドの取り扱い品、冒険者ギルドでのダンジョン品等の一覧でございます。ご覧になられている間に買い取り品等あれば査定しましょう」
白髪交じりの目元の皺が深い壮年の男性ルガンが傍らに控える、小太りの男に指示を出し目録などをテーブルに広げた。
「お茶をお持ちしました」
品の良い若い10代の少女とよく似た20代前半の女性が茶を運び、書類の邪魔にならないように置かれて静かに退出していく。
「どうぞ、我が商会の自慢の茶葉の一等品です」
「香りが良いですね」
「ええ、そうでしょうとも」
千歳がティーカップとソーサーを持ち優雅に茶を飲む姿は貴族のような(魔王)雰囲気で薄く微笑む、ユナイドや他の《ズィーガー商会》の支店長の支配人達も各自収納袋を取り出せば、背後の小太りの男がカートを持ち出し、並べていって貰う。
「おお、やはり商業ギルドを預かる商会どれも良い品ばかりですな。これは我が商会の面々も興奮を隠せないでしょうな」
「すみません、こっちは量が多いのですが…」
「はっは、では職員を増やし収納袋を持って来ましょう。新しい商会の方々がお持ちになる品々楽しみですな。英雄王まで控えておられるので期待してしまいますな!」
綴の言葉にルガンが笑い、小太りの男が呼び鈴を鳴らしカートと職員が増やされる、綴が収納袋からカートに出している間、千歳とラジカが目録に目を通していいく。
「ひぇ!」
「こ、これは!?鑑定を!職員をもっと連れて来い!」
「どうした?騒がしいぞ」
「ルガン支店長!冒険者ギルドに連絡を!あと各商会にも」
「我々の商会では買い切れません!」
「あ、あの、全部買い取らなくても大丈夫ですよ?」
「んん!?これは!い、いえなんとか買い取りさせて頂きたい!すぐに連絡を!申し訳ありません、目録はお貸ししますので!鑑定と査定にお時間を頂きたいですな」
「は、はあ」
「懐かしいですねぇ、最初に詠斗さん達が持ってきて下さった物で混乱していましたね」
「ええ、大変でしたよー暫く家に帰れませんでしたし」
「あーなっちゃいますよねーそりゃ、気持ち分かります…」
興奮を隠せないルガンにたじろぐ綴、その光景にズィーガー達はうんうんと頷き詠斗達と出逢った当初を思い返した。持ち込まれたカート2台には鉱物ダンジョンの上層のドロップ品が山の様に高く積み上げられ床に溢れ、ギュロリ貝やギョロリの骨、薬草ダンジョンの上層の薬草、飛空ダンジョンのドロップ品…まだ一部だが…綴はもう出すのを止めようと思った。
「こ、こんな大量の品…しかもダンジョン品に鉱物ダンジョンの…わが商会始まって以来の大取引ですな!預かり証を出しますので、2、3…いえ3日下さいませ!」
「はい、しばらくはこの街にいますから…よろしくお願いします」
「では、少しお待ちください…私としたことがはしゃいでしまいお恥ずかしい。それと皆様今夜ご予定は如何ですかな?よければ…私の屋敷で…」
「すみません、今夜は皆さん予定がありますので」
「それは残念ですな…都合が合えば是非我が屋敷にお招きしたいですな」
「予定が合えば是非」
ルガンの誘いに間髪入れずにラジカが表面的な笑みを浮かべて遠回しにでもない断りを入れる、心の底から残念そうに肩を落とすルガン、小太りの男から預かり証を渡した。
「食事は残念ですが、皆さまは運が良いですな。3日後の昼から《ホウラク》で祭りが行われます
。大規模な千年祭ですので、良ければ皆さまも出店なども出来ますから、出店料など無く通行の邪魔にならない様に店を出して貰えれば問題ないので」
「食べ物なども大丈夫ですか?」
「ええ、もちろんですとも。こちらに禁止品など記載ありますので、とはいえこの千年祭もう場所取りなど行われていますので良い場所はもうないですが…祭りを楽しんで下さい。10日程行われますから」
「場所の目印などは無かったようですが」
祭りに綴が食べ物等を聞けば、小太りの男から細かなルールが記載された紙を渡され、通って来た道を思い返したが目印や許可証の様な物は無かった。
「近づくと線が引かれているのが分かりますよ、そういった魔法具を商業ギルドで貸しているんです、一回1,000ログです。線を書く時魔力を注げば注いだ者の出店場所として確保出来ますから、出店料無料と言いつつもそう言った料金はどうしても掛かりますな、揉め事など起こさないようするのも商業ギルドや冒険者ギルドの役割ですから、もう大体は住民や商人達は場所取りが終わっているので良ければお使い下さい。それはそうといまの時期どの宿屋も満員ですので、うちの屋敷へ…」
「大丈夫です、大型のテントがありますから。もうすでに職員が荷物の設置なども済ませていますので。では店など出すかどうか相談をしに街へ出ようかと思います。3日後にまた来ます」
「そ、そうですか…では、下までご一緒させて頂きます」
「ええ」
そう言って表面的な笑顔を浮かべラジカがさっさと腰を上げ、ルガンが名残惜しそうに下へと案内した。
「なあ、あの支店長…」
「そうです、ここに来る度にああですよ」
「随分ルガンさんはラジカさんを引き留めていましたね」
「綴ーそれは娘だよ、茶を持って来た女達は支店長の娘達だぞーははっ、ラジカを家に招いてなんとか婿か娘のどっちかを嫁にしたいんだろう」
「え、お姉さんならともかく妹さんは…」
「関係ないさ、何せ《ラズライール商会》の支配人、どうにかしたい所だろ」
商業ギルドを後にし、ズィーガー達は目録やドロップ品等の購入品の会議を行う為船へと戻り、千歳、綴、ラジカ、ジラの面子で街の散策を行う。
「確かに美形で稼ぎもあるラジカさんは結婚相手には最高ですね、特に商会の皆さんには」
「そんな事はありませんよ、綴さん。本当に古い商会なだけですから」
「へぇ、こういう事がよくあるのかな?」
「あまりないですよ、社交の場には出ませんから。商会の支店長辺りのご息女達は社交界等で相手を探すのが常ですから」
「だから出ないってー?」
「出なくとも十分人脈はありますから」
「へえ、じゃあの話しは本当?どっかの国の王女2人と国王の妹から求愛されて断った話しと、とある大商会の某未亡人から言い寄られて断った話しと、女盗賊の頭から求愛されて断って危うく殺されかけた話し」
「よくご存じで、どれも本当ですね。王女達はともかく、某未亡人は夫を12人殺害した毒婦ですし、女盗賊の彼女は断った途端に私を殺して死姦して子供を作るといってましたし」
「へぇ、よくある話しだよなーその女盗賊俺の所にも捕縛依頼来たなー断ったけど」
「よくある話しではないですけど…」
「その毒婦と女盗賊はどうしたのかな?」
千歳の声のトーンが少し低くなる、顔はニコニコとしているが周囲の気温が下がった気がした。
「毒婦は面倒になったので夫12名の殺害を暴き処刑場送りに、女盗賊はこっちも危ないので仕方なく殺しました」
「そう、なんだかそういう話し多そうだね、ラジカさん」
「そんなにありませんよ、認識疎外の魔法具を使ったりもしますし。薬もよく盛られますが効きませんから」
「へえ、でも気を付けないとね」
「ええ、そうですね」
『……』
「お、綴あそこの店面白そうだな。行こうぜ」
「わ、本当ですね!人形屋ですかね、子供達のお土産にしましょう!」
「ああ、あの店は質が良いですよ」
「行こうか」
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