あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第09部 魔王たちの産声 歪

第024話 夜のお話し会

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よくナイデル達は寝る前に子供達に毎晩寝物語を聞かせている、最初は不安そうにしていた《コウトル》の孤児院の子供達や《ロクロル》に住んでいた瓦礫の子供達…眠れぬ彼らを思っアゲイルとレグが大河に相談し、ならばと大河が子供の頃に読んでいた絵本を貰い寝る前に読み聞かせ始めた所寝つきが良くなりそれからは毎晩の習慣となっていた。
今夜は母親や弟達が心配なヒビカの為にと大河から提案され、《島船》での読み聞かせとなった。
「あるところにおじいさんとおばあさんがいました…」
ナイデルが座って読み始めるおじいさんとおばあさんの格好をしたマンドランド達が畑仕事をしている、大画面で映し出され子供も大人もはしゃぐ、ナイデルの優しい声で物語は進んでいく。
「あー、もうエクトとセレネは寝ちゃったね」
『魔人でも子供は子供だな』
「おやすみ」
舵がカーテスの膝の上で寝息を立てるエクトとセレネを見つめチキが舵の肩で物語はこれからなのに子供だから待てずに寝るんだと呆れ、カーテスが布団に寝かせ頭を撫でてやる、今夜カーテス達が此処にいる理由…カーテスは僅かに顔を曇らせたがまだイビヤは話しに顔を向けている、畑に植えたカブが大きく…お化け野菜が植わっている風になった。
「おじいさんはカブを抜こうとします、抜けません。おじいさんはおばあさんはカブを抜こうとします、カブは抜けません」
マンドランドがお化け野菜を抜こうとして抜けない(抜けるけど)おばあさんに扮したマンドランドを呼び一緒に抜こうとうんしょうんしょと引っ張る振りをする、子供達はがんばれーと応援してくれた。
「まだまだカブは抜けません、おじいさん達は孫娘を呼びます」
おじいさん達が手で孫娘の衣装を着たマンドランドがとととと走り、おばあさんの腰を引っ張る。
「それでもカブは抜けません、孫娘はオオカミを呼びます」
子供達からは残念な声が上がる、孫娘はオオカミを呼べば毒の森にいた痩せたオオカミ3頭を呼んで皆で大きな株をうんとこしょと抜いて行こうとするが…。
「それでもカブは抜けません、オオカミはネズミを呼びます」
オオカミは金色の毛並みのネズミ…レグを呼び皆でカブを抜こうとする、子供達からも声援が贈られ漸くカブ(お化け野菜)は重い腰を上げた。
「ようやくカブが抜けました…その後…カブは………皆と仲良く暮らしました……おしまい」
パチパチ…拍手が広がり演者の野菜と動物達がペコリと頭を下げて去って行く、徐々に明かりが暗くなっていく子供達もゆっくりと眠りに入り大人たちも布団に入りざわざわとした音が少しづつ小さくなり、ヒビカも天井を見つめならゆっくりと目を閉じた…。

「おやすみー」
《島船》で夕食を食べて《ホウラク》の銭湯に入り家でアイスを食べて、さあ寝ようと挨拶を交わしたグローリー達とテスカと晴海、テスカも今日からグローリー達と暮すと聞かないので先に訳を話し了承して貰っている、収集家が薬に必要な物が調達出来たので後はそれを待てば…。
『おやすみー』
グローリーとウォルゾガの間にカヌイを挟み皆で眠る、グローリーにとってまだ夜は始まってすらいなかった…。

サビシイ…寂しい…寂しいって何?……暗くて冷たい……いや…いや…どうして…寂しいの…カヌイの感情が眠りと共に迫って来る、カヌイ自身にもグローリー自身にも…。
独りでしかなかった生…何時だって誰かとすれ違うだけの生…魔人は役目が来る日まであちこちに散り……会う事が難しい…会うべきではないとされ、だから孤独だった…魔人に孤独や寂しいという感情など無い…無い筈…だから独りでも問題ない…嫌…イヤ…。
「イヤー!!!」
「始まったな」
「カヌイ…大丈夫…いる」
「アヌイ皆いる、家族…」
「ちゃんと見ろよ?独りじゃないだろ」
「イヤー!!!いやー!ひとりイヤー!!」
カヌイの絶叫でグローリーウォルゾガがすぐに起き上がり抑え込む、大人しいと言えども魔人は魔人…凄まじい力で暴れグローリーとウォルゾガの身体に掻き傷が出来ていく、初日は散々たる物だった。
真夜中に急に暴れ出し、セレネとエクトとイビヤが大泣きしカーテスが3名を居間に連れ出しタナトスも起きて様子を伺いに来るほどの暴れ方だった。
暴れに暴れ気が済み眠りに就いた朝、本人はその事を覚えていなかったのが幸いだったがカーテスにエクト達を暫く夜はベルン達の所に行かせるように頼みこうして様子を見ていた。
「イヤー!!!」
「魔人も頑丈で心身共に異常を来たしにくいのですが…カヌイ様は上位魔人…一度最期まで壊れてしまったんですね…」
「死…ねないからそれに一番近い所までいった」
テスカとイザラがカヌイの状態を見守り、イデアと晴海は声を掛け続けた。
「独りじゃないって」
「カヌイさん、みんないるよ!」
「いや!イヤー!」
声は届かない、暴れるカヌイの身体を傷つけないように抑え込む、グローリーとウォルゾガは傷が付くがすぐに治る。
「あ、そうだ…寝るには子守歌!」
『こもりうた?』
「歌を歌えばいいよ!えとね…」
晴海は思い出す、千歳が皇国の下街で歌ってくれた歌、ゆらゆらと揺れる背中が気持ち良くて寝てしまったの時の事を思い出して歌を歌う、母親が歌ってくれた記憶もそんな話をあの父親がする筈もない…だから晴海は千歳が歌ってくれた歌を歌う。
暫くしてゆっくりとカヌイが眠りに入っていく…悲鳴が小さくなり…皆ホッとした…グローリーが手を握り、頭を撫でればゴーレムとヒヨコとおりがみの子達と動物が温かいミルクを運んで来てくれた。
「お、ありがとな」
「みんなありがとう!」
「ありがとう」
「いただきます」
「ありがとう…」
「いただき」
グローリー達が受け取り飲んで一息つく、全員ほっとしてミルクを飲んだ後すぐに寝入ってしまった。

「ああ、落ち着いたようで」
飲み終わったコップを運ぶゴーレム達を見て居間に来ていたタナトスが、眠れぬ夜をゴーレムの修復や絵を描く時間に使ってついでにゴーレム達に落ち着いたらミルクを出すよう指示したのもタナトスだった。
「ありがとう」
ゴーレム達がタナトスにもミルクと夜食の干した木の実を並べてくれる、タナトスもまた寝る必要もそれほどない夜はこうして居間でゴーレム達と作業をしている、ゴーレムを直せば仕事として給料が支払われるからしているという訳でもないが只時間が過ぎていくのも好きでもないのでこれで良い。
「……ゴーレムも紙人形も増えたな……」
『増築しますので幾ら増えても問題ないでしょう』
「どうだか…最近紙人形たちも自分達で増やしているぞ、どうなっているんだ魔神は」
『神ですからね』
風早の声にタナトスがうんざりする、魔神…こんな能力を持つ者の命令を聞かない自分で生み出しといて一切制御が出来ないグローリーに呆れ返る、なんなら一番産み出した親のいう事を聞かない、この間うっかりグローリーがエクトとセレネにおりがみの子達とヒヨコ達が楽しみにしていたおやつをグローリーが上げてしまったら……それはもう彼らは怒りに怒り、仕舞いには鳴く個体迄いてカーテスとウォルゾガに泣いて訴えている途中でヒヨコは勝手にヒヨコを生み出し…なんなら産みの親のグローリーよりも感情が豊かで見ていたタナトスも呆れてしまった。
沢山謝り困ったグローリーが楽しみしていたナイルからのステンドグラスクッキーを皆に振る舞い、どうにか許して貰った位だ。
『そろそろ寝ては如何です?』
「大きなお世話だ」
『おやすみなさい』
「……おやすみ」
タナトスもミルクと木の実を食べて、暫く作業し…自室へと戻った…。
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