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幕間 翼の想い③
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夏休みが終わって、碧依の笑顔が変わった。
笑顔のカタチは同じかもしれないけど、どこか寂しげで、心にぽっかり穴が開いたみたいだった。
夏休み最後の日。
この日碧依は、大和に全部話すって決めてた。
その夜、遅くまで帰ってこない碧依に、また泣いてるんじゃないかって気が気じゃなかった。
いてもたってもいられなくて、碧依が好きだと言ってた外の景色をスケッチしてた。
少しでも碧依がこれを見て、笑顔になってくれるように、願いながら。
でも、帰ってきた碧依は泣いてなかった。
うまく言ったのかなって、一瞬ホッとしたけど。
「僕、何も言えなかった」
碧依の声は震えていたし、目元は赤くなってた。
碧依、相当泣いたんだ。
「我慢しないで、もっと泣いてもいいんだよ」
僕は、思わず口に出してた。
碧依はそれを笑って誤魔化す。
「泣きたいのは傷ついた大和だよ」
だって。なんだよ、それ。
碧依だって、十分傷ついてるのに。
泣くのを我慢して笑ってる碧依が、逆に痛々しくて、胸が苦しかった。
翌朝、碧依が前髪を切って現れた。
がたがたになった前髪を見て、まるで自分を傷つけてるみたいだと思った。
だから、その傷が少しでも癒えるように、そっとハサミで整えることしかできなかった。
だって、口を開いたら、僕が泣いてしまいそうだったから。
「……似合ってるよ」
何とかその言葉を絞り出して、逃げるように美大へ向かった。
玄関を出たとたん、涙が溢れた。
そこに、理人さんから電話がかかってきた。
涙声で出ると、理人さんはそれだけで察してくれた。
「翼、おはよう。……今夜、話を聞くから。それまで大丈夫か?」
その夜、理人さんと会った。
思いっきり理人さんの胸で泣いて、ぎゅっと抱きしめられて、元気をもらえた。
僕には、理人さんがいてくれる。
それだけで、たくさん力が湧いてくる。
だから、碧依のことは、僕が支えたい。
理人さんみたいには上手くはできないけれど、僕にだってできることはあるんじゃないかな。
そう思ったから。
大学が始まって、碧依は変わった。
いろんな人から頼られるようになって、携帯にしょっちゅう電話がかかってくる。
碧依は、穏やかにでもしっかり答えてる。
物怖じしない姿は、まるで一気に大人になったみたいだ。
でも、僕が知ってる碧依の、ちょっと照れて頬を赤らめる幸せそうな笑顔は、どこかに行っちゃった。
ずっと笑顔なのに、僕には泣いてるようにしか見えない。
碧依がポケットから星の砂の瓶を取り出して、遠くを見つめる瞬間だけ、昔のキラキラした目が戻る。
その目が、如月くんとの思い出に浸ってるんだって、すぐに分かった。
僕は、碧依のために何かできないのかな、って、ずっと考えてる。
けれど、答えが見つからないんだ。
碧依の恋はキラキラしてて、僕が触れられないほど眩しい。
でも、その輝きが碧依を傷つけてると思うと、胸が苦しくなるんだ。
笑顔のカタチは同じかもしれないけど、どこか寂しげで、心にぽっかり穴が開いたみたいだった。
夏休み最後の日。
この日碧依は、大和に全部話すって決めてた。
その夜、遅くまで帰ってこない碧依に、また泣いてるんじゃないかって気が気じゃなかった。
いてもたってもいられなくて、碧依が好きだと言ってた外の景色をスケッチしてた。
少しでも碧依がこれを見て、笑顔になってくれるように、願いながら。
でも、帰ってきた碧依は泣いてなかった。
うまく言ったのかなって、一瞬ホッとしたけど。
「僕、何も言えなかった」
碧依の声は震えていたし、目元は赤くなってた。
碧依、相当泣いたんだ。
「我慢しないで、もっと泣いてもいいんだよ」
僕は、思わず口に出してた。
碧依はそれを笑って誤魔化す。
「泣きたいのは傷ついた大和だよ」
だって。なんだよ、それ。
碧依だって、十分傷ついてるのに。
泣くのを我慢して笑ってる碧依が、逆に痛々しくて、胸が苦しかった。
翌朝、碧依が前髪を切って現れた。
がたがたになった前髪を見て、まるで自分を傷つけてるみたいだと思った。
だから、その傷が少しでも癒えるように、そっとハサミで整えることしかできなかった。
だって、口を開いたら、僕が泣いてしまいそうだったから。
「……似合ってるよ」
何とかその言葉を絞り出して、逃げるように美大へ向かった。
玄関を出たとたん、涙が溢れた。
そこに、理人さんから電話がかかってきた。
涙声で出ると、理人さんはそれだけで察してくれた。
「翼、おはよう。……今夜、話を聞くから。それまで大丈夫か?」
その夜、理人さんと会った。
思いっきり理人さんの胸で泣いて、ぎゅっと抱きしめられて、元気をもらえた。
僕には、理人さんがいてくれる。
それだけで、たくさん力が湧いてくる。
だから、碧依のことは、僕が支えたい。
理人さんみたいには上手くはできないけれど、僕にだってできることはあるんじゃないかな。
そう思ったから。
大学が始まって、碧依は変わった。
いろんな人から頼られるようになって、携帯にしょっちゅう電話がかかってくる。
碧依は、穏やかにでもしっかり答えてる。
物怖じしない姿は、まるで一気に大人になったみたいだ。
でも、僕が知ってる碧依の、ちょっと照れて頬を赤らめる幸せそうな笑顔は、どこかに行っちゃった。
ずっと笑顔なのに、僕には泣いてるようにしか見えない。
碧依がポケットから星の砂の瓶を取り出して、遠くを見つめる瞬間だけ、昔のキラキラした目が戻る。
その目が、如月くんとの思い出に浸ってるんだって、すぐに分かった。
僕は、碧依のために何かできないのかな、って、ずっと考えてる。
けれど、答えが見つからないんだ。
碧依の恋はキラキラしてて、僕が触れられないほど眩しい。
でも、その輝きが碧依を傷つけてると思うと、胸が苦しくなるんだ。
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