ある平凡な女、転生する

29話

本を無事入手！

ホクホクとした気持ちで、自宅にて戦利品をゆっくり堪能しようとしていた私

しかし、不運の神が全速力で追っかけてきた

そろそろ、ヒートさんと別れようかと話を締めようとしていた矢先に、厄介事が私に降ってきた

「おい、低級！生意気に、ヒートさんと話してんじゃねぇよ！低級は、黙って草むしりしてサッサと換金したら帰れ。邪魔だ！」

ん、なんだこいつ？

中肉中背の装備は背伸びして、いかにも痛い冒険者が私に絡んできた。しかし、奴の仲間は遠巻きでこちらの様子をみてるだけ。

おいお前らこの馬鹿を止めろ、仲間だろ？違うんか？

「ヒートさん、知り合いですか？」

奴をまるっと無視し念の為、確認しとこう知り合いボコす訳にゃいかん

「いや、こんなＥ級？しらねぇ。大方、昔の俺に憧れた奴だろ。」

気持ちいいくらい、バッサリだなぁ

なんて、言われてるのに奴はめげない

「ヒートさん！俺らＤ級に上がった『蒼き閃光ブルーフラッシュ』です。今日は挨拶にきました。」

ダサい、ダサすぎる

誰がチーム名考えた？酷い厨二病患者様だ

「挨拶はわかったから、もう行け。俺はまだマーガレット嬢ちゃんと話があるんだわ」

ヒートさんは、そう言うと手でシッシと追い払う仕草をした

あー、奴がみるみる顔が真っ赤になったぞ

これって、私に被害出るんじゃね？

「なんで、そんな低級の女に構ってるんですか？俺らの方が優れた冒険者なのに！」

えー、自分でそれ言う？頭イカれてるわぁ

「あのな？優秀なんて、自分から言う奴は碌なのがいねぇんだよ。嬢ちゃんの方がお前より、優秀かつ模範的な冒険者だつーの！」

あー！火にガソリンを注いだ上に、私に盛大に投げてきた！

私が思わず、ヒートさんへ非難の目を向けたよ

その間も、ギャイギャイ五月蝿い奴

「そんなに優秀なら、この場で俺とサシで勝負だ！」

こら、ギルド内は暴力御法度だぞ

「馬鹿なの？ギルド内は如何なる理由においても、暴力行為は規約違反で処罰対象だよ？ランクが下がるか資格剥奪、登録時に規約読んで無いの？」

思わず本音が出てしまった

「黙れ黙れ！生意気な女め！貴様、Ｄ級のこの俺がその鼻っ柱をへし折ってやる！」

おいおい、私の話理解できなかったの？

本物の馬鹿なの？辛いんですけど。

助けて欲しくて思わず奴の仲間を見たが、アイツらとうとう背中向けて、他人のフリしてたんだけど⁈

実はこの馬鹿、既に仲間に見捨てられてんじゃ無い？

「ヒートさん、練習場貸して下さい。この困った馬鹿に、我が家直伝の教育的指導をします。それなら、規約に違反しない筈ですね。」

思いっきり悪い顔で、ヒートさんへ提案した

「げっ、あれかよ。」

「はい。あれです。お祖母様より、指導員としても鍛えられましたので。」

ヒートさん、経験者だもんね。