追放ご令嬢は華麗に返り咲く

歌月碧威

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不意なキスの波紋3(ちょっと遡る事数分前のリスト視点)

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「あら? お兄様とティア様だわ」
 ルナ様ーっ! と僕が心の中で絶叫したのは言うまでもない。
 泣きたい。暴走するティアを見ているのとは別の意味で泣きたい。
 暴走するティアを見るよりも、こっちの方が遥かに心が動揺してしまっている。


「レイ……」
 窓枠に手を添え、メディ様は外を覗いている。
 今にも泣きだしそうな表情を浮かべながら。


「きっとあいつら偶然出会ったんだろう」
「偶然……?」
「あぁ、星でも見に行ったんだろ。俺達も行ってみるか? 他にも人がいるかもしれない。こんなに綺麗な月夜だからな」
 と、コルタがフォローしてくれている時だった。
 レイガルド様が屈み込んでティアの頬に口づけを落としたのは。


 ――レイガルド様、君もか!


 そう突っ込まずにはいられなかった。


 どうかメディが見ていませんようにと願いつつ、彼女の方へを顔を向ければ、メディが頬に雫を伝わせているのが飛び込んでくる。
 訊ねずともばっちりと見ていたのを察した。
 今すぐ僕を気絶させて欲しい。
 一瞬にして張り詰めた重苦しい雰囲気に対して、僕は現実逃避をしたくて切に願う。


「メディ」
 コルタが沈痛な表情をしたままメディを抱きしめれば、ルナ様の表情が曇った。
 彼女はコルタの顔をじっと見ると両手をぎゅっと握りしめ、唇を噛んでこれ以上何も見たくないと瞳をきつく閉じる。


 ――もしかして、ルナ様ってコルタのことがっ!?


 レイガルド様とライはティアのことが好きで、レイガルド様のことをメディが好き。
 そして、メディのことをコルタが好きで、コルタのことをルナ様が好き。


 複雑! 


 まさかの六角関係に胃が益々キリキリとしてしまい、僕は咄嗟に胃を押さえてしまった。
















 レイガルド様がティアの頬に口づけを落としたのを見た僕達は、誰も何も言わず静かにその場を後にする。
 言いたいことがいっぱいだったと思う。
 でも、言ってしまえば色々な事が変わってしまうから――


 僕はそのまま部屋に戻る気にもなれず、胃を押さえながらとある人物の元へと向かうことに。
 彼がいるのは王族居住エリアなため警備が厳重だったが、何度か訪れたことがあるため、顔見知りの騎士が入れてくれた。
 弱々しく重厚な扉をノックすれば、「はい」という声と共に扉が開かれ、現れたのは部屋の主であるライだ。


「リスト、どうした?」
 突然の訪問にも関わらず嫌な顔せず、笑顔で出迎えてくれたライの優しさが染みる。


「大丈夫か? 顔色が悪いがもしかして体調でも?」
「主にメンタルで……でも、僕よりメディとティアの方が心境複雑だと思うし……兄としていつも頼りになる存在でありたいんだけど……」
「レイガルド様が動いたのか?」
「ごめんね。ライも当事者だから一々レイガルド様が何をしたかなんて聞きたくないと思う。でも、僕が信頼できるのってライなんだ」
 兄妹揃ってライに強い信頼を寄せている。
 国王として強さと賢さを持っている。相談するたびに的確なアドバイスくれるし、世間話に交じる愚痴も聞いてくれる上に体調を気遣ってくれる懐の広さ。


 ただ頼りになるだけじゃなくて優しさも兼ね備えていた。


「気にするな。立ち話もなんだから、中へ。ソファに座って待っていてくれ。リラックス効果のあるハーブティー入れてくるよ」
「ありがとう」
 ライが部屋に招き入れてくれる中、僕は心から強くティアにライを推していた。
 ティアにはライナスの方を選んだら? とは言えない。
 ただ、僕はライにならばティアを任せられるし、何より僕も安心だとは思う。


 ――最終的に決断するのはティア自信だけれども。




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