追放ご令嬢は華麗に返り咲く

歌月碧威

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番外編(web版)

メディの恋~いつも見守ってくれていた私の騎士様~3

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(コルタ視点)



 レイの婚約が発表になり、国内中が祝福ムードで包まれる中。
 俺はメディの事が気がかりだった。

 彼女の様子を見に行きたかったが、レイの結婚に関して警備面などでの仕事が山積みになっていたからなかなか行けず。
 偶然ティアに遭遇した時に聞いたら、仕事はしているけどやっぱり……という葉切れの悪い返事が。

 メディは休みの日ごとに神殿で読書をしていたのに、今は仕事以外ほとんど部屋から出ないらしい。
 ティアやメディの兄・ライナス様が気に掛けたり、リストやセス様が気分転換に外出に誘ったりしているが、首を左右に振っているそうだ。
 あんなに好きだったお菓子作りも今は全然していないし、食事もあまり摂らないらしい。

 山積みになっていた仕事も落ち着き、一ヶ月ぶりの休みが取れ、メディの様子を見に行く事が出来るように。

「……メディの好きなもの、甘い物以外思いつかなかったな」
 俺は姉と義理の兄が営んでいる菓子店の紙袋を手にしながら、ティア達の家の玄関前に立っている。

 今日はティアもメディも仕事が休みのため、在宅しているはずだ。

 俺は軽く手を丸めて扉をノックすれば、「はい」というティアの返事が届き、扉が開かれる。
 すると、コルを肩に乗せたティアが現れた。

「急に来て悪いな。やっと休みが取れたんだ。メディの様子は……?」
 俺の問いに対して、ティアは眉を下げると首を左右に振る。
 コルも「カァ」といつもと違った声で鳴くと、階段の方へと顔を向けじっと見詰めだす。

「いま、家にいるのか?」
「えぇ、部屋に。呼んでくるわ」
「いや、いい。俺が会いに行くから。これ、菓子。茶でも入れてやってくれ」
「ありがとう」
 俺はティアに紙袋を渡すと、家の中に入った。

 奥の階段を昇って行くと、三つある部屋が窺える。
 その中からメディとプレートが掲げられている部屋の扉をノックした。

 やや間が開き、「はい」という返事が届く。
 俺が知っているいつものメディの声と違い弱々しくて、胸が痛んだ。

「俺だ」
「コルタ……?」
 俺の名を呼ぶ声が聞こえたかと思えば、中で小さな物音が聞こえてくる。
 かと思えば、足音がだんだんとこちらに近づき、やがて目の前の扉が開かれた。
 すると、部屋の主であるメディの姿が目に飛び込んでくる。

 線が以前よりも細くなっていて、生気も感じず顔色も悪い。

 もっと早く来るべきだった――

 仕事で身動きできなかったのが悔やまれる。

 大丈夫かどうかを尋ねるまでもない。
 大丈夫なわけがない。

「出かけるぞ」
「……え?」
 メディの返事を聞く事も無く、俺は彼女を抱き上げると無理やり部屋から出す。

 きっと彼女は断るだろう。
 だったら、連れて行くしかない。

「コルタ!?」
「掴まっていろ。落ちるぞ」
 俺の声にメディは「え、あの……?」と困惑の声を上げながら首元に抱き付く。

 羽の様に軽いという比喩があるが、本当に軽かった。
 あまり食事を食べていないから、当然と言えば当然だろう。

 メディを抱えながら階段を降りれば、ちょうど銀のトレイにお茶セットを乗せたティアと遭遇。
 彼女は俺達を見ると目を極限まで見開き唇を開く。

「コルタ、どういうこと!?」
「気分転換として外に連れて行く。心配するな」
「ど、どこに!?」
「あー、内緒の場所。夕方まで戻って来るから、夕食を準備して待っていろ」
 俺はそう言うと、メディを連れて外へと出た。









 メディを連れて彼女の家から外へと出た俺は、ティア達の家近くに住んでいる友人宅へ。
 そこで馬を借りると、目的地である森の中を騎馬で進んでいた。
 借りたのは一頭だったので、俺がメディを乗せている。

 王都の郊外はほとんどが森なので自然豊か。
 隣町へと通じる道がある森は整備されてあり、王都の人達には親しみがある。

 だが、それ以外の森は深すぎて薬草やきのこ狩りをする人達以外はほとんど立ち入ることはない。
 俺達が今いるのはそちらの森だ。
 俺はガキの頃からレイ達と共に森で遊んでいたため、慣れているので問題はなかった。

「ねぇ、コルタ。私、家に……」
「もう少し付き合え。あと少しで着くからさ」
 二人で馬に乗り、瑞々しい香りが漂う森の奥へとどんどん進んでいく。
 道が整備されていないため、所々足場が悪いが、王都の馬は山を越えられるように足が丈夫なため問題はない。

 やがて水の流れる音が聞こえてくれば、木々の隙間から風が吹き、光が差し込んで来ていた。

「着いたぞ」
 獣道を越えて到着したのは、開け切った場所だった。

 ごつごつとした岩場に左右を挟まれた川とその大元となる大きな滝つぼ。
 ここは昔、俺とレイの秘密の遊び場だった。


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