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【とある不良の驚愕】
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とんとん、と軽い足取りで廊下を歩いていく彼の後ろ姿を見送る。
彼は、これからどこへ行くのだろうか。
つい先ほど検討違いも甚だしい回答をしていった彼に、驚いてしまったのは無理のないことだろう。
そんな回答は予想していなかった。
彼が、会長を見る目が変わったこと、その気持ちの変化には気づいているつもりだった。だが、自分はなにもわかっていなかったのだ。
『そうだなぁ。』
そういった彼の表情はいつも錦が見るより優しく穏やかだった。
彼が本当のところ会長をどのように思っているのか錦は知る必要があった。実際自分にはあまり関係のないこと。
だが、そこにあの先輩が絡んでくると違う。
あの、友達思いで頑固で可愛い先輩のためにも、ここではっきりさせておいた方がいいと思った。
会長は転校生が好き。
今現在進行形でそう思っているらしい彼が、どのような行動にでるのかが気になった。
反射的に嘘を言ったことを先輩は気にしていたけど、そんなことはどうでもいいことだ。
お互いの気持ちが同じなら、結ばれるのは必然。
錦はそう考えていた。だけれど、それと同時にこうも考えていた。
あの二人はダメだろうな。
彼が、会長は転校生のことが好きなんだと思いこんでいる以上、これからの関係の発展は絶対に望めない。彼が会長に気持ちを伝えるなんてことは絶対にないし、転校生を敵としてライバルになるようなこともない。
微妙な距離を保ちながら、徐々に離れていくんだろう。
そう思っていた。
彼は、なんでもすぐに手放してしまう人だから。
彼は、なんでもすぐに諦めてしまう人だから。
彼は、なんでもすぐに手にいれるくせに、完全に手にいれることが怖い人だから。
そう思っていたのに。
「あーあ。」
あの顔はなんだろう。
『夢でもみたんじゃないかな。』
『へ?』
『そのひと。きっとみたんだよ。すごい綺麗で不思議な夢。』
『はぁ。』
『心配になって落ち着かなくて、挙げ句の果てには恋しちゃうような夢。』
あの言葉はなんだろう。
錦の時にはなかった、あの彼はなんだろう。
「あー、あ。嫉妬しちゃいそう。」
自分とは、あんなに簡単に関係を切ったくせに。
自分のことを覚えてもいないくせに。
苛立つ心を無理矢理押さえつけて、足を動かす。
いく場所を決めていたわけではなかったのに、自分の身体は勝手にあの部屋へと入っていく。
また鍵を閉めていないが分かり、部屋の住人をさがす。
名前を呼ぶまでもなく、住人は布団にくるまっていた。
「愛せんぱい。」
「んー?」
まだ寝ぼけているのか、うっすらと開いた目に錦自身が映りこむ。あの時とは違う、銀の髪をした自分。
「愛ちゃん。」
「......ん、どうした。」
「べつにー。」
別に用事なんてない。
ただ名前を呼んでみただけ。ただ、それだけ。
「よしよし。」
小さな彼に頭を預ける。いつも飛んでくる拳が今日はない。
なんでだろう。これでいて鋭い人だから。
「愛ちゃん、あったかい。子供体温。」
「あ? バカにしてんのか、てめぇ。」
本当にあったかい。
前髪が勝手に上げられ、視界が開く。と思ったら、またバサリと視界を閉じられる。
「もー、ちょっとー。」
「うるさい。」
錦の文句にも耳をかさない暴君。俺様度は会長の次かもしれないな、と失礼なことをこっそり考えて。
背中を叩く優しいリズムに、自然と瞼は閉じていく。
甘く優しい香りがした。
彼は、これからどこへ行くのだろうか。
つい先ほど検討違いも甚だしい回答をしていった彼に、驚いてしまったのは無理のないことだろう。
そんな回答は予想していなかった。
彼が、会長を見る目が変わったこと、その気持ちの変化には気づいているつもりだった。だが、自分はなにもわかっていなかったのだ。
『そうだなぁ。』
そういった彼の表情はいつも錦が見るより優しく穏やかだった。
彼が本当のところ会長をどのように思っているのか錦は知る必要があった。実際自分にはあまり関係のないこと。
だが、そこにあの先輩が絡んでくると違う。
あの、友達思いで頑固で可愛い先輩のためにも、ここではっきりさせておいた方がいいと思った。
会長は転校生が好き。
今現在進行形でそう思っているらしい彼が、どのような行動にでるのかが気になった。
反射的に嘘を言ったことを先輩は気にしていたけど、そんなことはどうでもいいことだ。
お互いの気持ちが同じなら、結ばれるのは必然。
錦はそう考えていた。だけれど、それと同時にこうも考えていた。
あの二人はダメだろうな。
彼が、会長は転校生のことが好きなんだと思いこんでいる以上、これからの関係の発展は絶対に望めない。彼が会長に気持ちを伝えるなんてことは絶対にないし、転校生を敵としてライバルになるようなこともない。
微妙な距離を保ちながら、徐々に離れていくんだろう。
そう思っていた。
彼は、なんでもすぐに手放してしまう人だから。
彼は、なんでもすぐに諦めてしまう人だから。
彼は、なんでもすぐに手にいれるくせに、完全に手にいれることが怖い人だから。
そう思っていたのに。
「あーあ。」
あの顔はなんだろう。
『夢でもみたんじゃないかな。』
『へ?』
『そのひと。きっとみたんだよ。すごい綺麗で不思議な夢。』
『はぁ。』
『心配になって落ち着かなくて、挙げ句の果てには恋しちゃうような夢。』
あの言葉はなんだろう。
錦の時にはなかった、あの彼はなんだろう。
「あー、あ。嫉妬しちゃいそう。」
自分とは、あんなに簡単に関係を切ったくせに。
自分のことを覚えてもいないくせに。
苛立つ心を無理矢理押さえつけて、足を動かす。
いく場所を決めていたわけではなかったのに、自分の身体は勝手にあの部屋へと入っていく。
また鍵を閉めていないが分かり、部屋の住人をさがす。
名前を呼ぶまでもなく、住人は布団にくるまっていた。
「愛せんぱい。」
「んー?」
まだ寝ぼけているのか、うっすらと開いた目に錦自身が映りこむ。あの時とは違う、銀の髪をした自分。
「愛ちゃん。」
「......ん、どうした。」
「べつにー。」
別に用事なんてない。
ただ名前を呼んでみただけ。ただ、それだけ。
「よしよし。」
小さな彼に頭を預ける。いつも飛んでくる拳が今日はない。
なんでだろう。これでいて鋭い人だから。
「愛ちゃん、あったかい。子供体温。」
「あ? バカにしてんのか、てめぇ。」
本当にあったかい。
前髪が勝手に上げられ、視界が開く。と思ったら、またバサリと視界を閉じられる。
「もー、ちょっとー。」
「うるさい。」
錦の文句にも耳をかさない暴君。俺様度は会長の次かもしれないな、と失礼なことをこっそり考えて。
背中を叩く優しいリズムに、自然と瞼は閉じていく。
甘く優しい香りがした。
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