王様のナミダ

白雨あめ

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分からないこと4

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ドアをバタンと後ろ手でしめて、廊下を歩く。

会長が追いかけてくる気配はない。
それでいいんだけど。
なんだろう、ちょっぴり寂しいような悲しいような。


「......。」


ぬわっー!

どうした、自分。

なんか変だ。
自分のなかのなにかが着実に変わってきている気がする。

あぁ、これが恋なのか?
そんなことを思って、......あっ。廊下の曲がりかど。

向こうもこちらに気づいたのか、慌てたように駆け寄ってくる。

「錦。」

「あーっ、桜庭せんぱい! こんにちはー。」

「うん、こんちには。」

錦と話していると時々、幼稚園児と話しているような不思議な気持ちになる。
幼稚園児は耳に派手なピアスなんてつけていないけれど。

「あれ、愛先輩は?」

錦と話していると、いつも後ろから挟み撃ちのように攻撃してくる愛先輩がいない。いつも二人でいるところを見るだけに、不思議だ。

「あー、愛ちゃんですかー? まぁ、あの人は色々あって傷心中というか。」

「しょうしんちゅう?」

前髪を弄りながら、ニヤーと笑う錦に驚く。

しょうしん、って傷つく心であってるよね。愛先輩が傷心なんて、想像できないけど。

「そう、そう。自分が大切に大切に育ててきた花を、ある日、その時までなーんの興味も示さなかった人がきれいさっぱり持ってっちゃったって感じ? あーいやまだ持ってってはないか。時間の問題だろうけども。」

「へー。」

錦が何を言ってるのかさっぱりわからない。

「まぁ、仕方ないことなんですよ。花にも心があるからねー。育てた人と持ってっちゃう人でも気持ちの種類が違うし。」

そう言い、なぜか俺を見る錦はそのまま口角をもっとあげ、

「先輩ならどーしますかぁ? どこかの鈍感バ......失礼。に、5年間片想いしていた友達がいたとして、突然その鈍感がその友達に興味を持ち出す。......なにかあると思っちゃいませんか? もしかして気持ちに気づいたのか、とか。それでからかっているのか、とか。」

やけに楽しそうにそう語る錦の話に、少しのひっかかりを感じる。

なんだろう。

こんな話、前にどこかで聞かなかったっけ。


そう思って記憶を辿るも、正解にはたどり着けない。

なんだったっけ。
でそうで、でてこない。


「ん、せんぱい?」

「あ、あぁ、ごめん、ごめん。」


いつもは三日月型の目を細め、訝しげにこちらを見る錦に我にかえる。

「そうだなぁー。」

ただ静かに答えを待つ錦が、なぜか後輩らしくみえて頬が緩まる。

いつもそんな顔をしていればいいのに、と思いつつ、どこか焦ったような表情の後輩に口を開いた。

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