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生徒会室と風紀副委員長
しおりを挟む「ふぁ。」
......ねむい。
悠のやつ、また勝手に部屋に入りやがって。
入るだけならまだしも、またわけの分からないことをぶつぶつ。出来損ないとか我慢の限界とか、叫んでなぜか不機嫌だったし。
おかげでこっちは寝不足だ。
今日から会長の手伝いをするというのに。
「会長、ホッチキスとって。」
「......。」
「会長、」
「ちっ。」
会長の舌打ちっ。
ちょっと、いやかなり傷つく。でも、ちゃんとホッチキスは取ってくれるからまだましか。
顔はずっと不満そうだけど。
「ありがと。」
「あぁ。」
短く返事をしてペンを握り直した会長から視線を落とし、書類をみる。
内容は、新入生歓迎会?
あれ、これってもうちょっと早い時期じゃなかったっけ。
「ね、会長。これいつもこの時期だったっけ。」
いつもなら副会長の使っている机から、整いすぎの横顔に問いかける。
机ひとつぶんの距離が意外と遠いことに気づいた。
「......あぁ、それか。それは理事長が時期を変更した。理由はしらねぇ。どうでもいいしな。」
「へー。」
言うだけいってふい、と顔を元に戻した会長はまた書類にペンを走らせる。
真面目だなぁ。少しは休憩すればいいのに。
そう思う俺は、やはり不真面目なんだろか。
会長に呆れられたくないし、俺もちゃんとやろう。
でもまずは休憩。
よっこいしょ、と席をたって給湯場に向かう。部屋の作りは風紀室と同じだなー、と辺りを見回して目当ての瓶をさがす。
背中に視線を感じるけど、気にせず近くのカップを引き寄せる。
そのなかにコーヒーの粉を入れて、ポットのお湯を注ぐ。
「あ、会長! カップ使っていい?」
「もう使ってんだろうが。」
「っ!」
驚いて後ずさる。
すぐ後ろから聞こえた声に、身体が自然と後ろを向いた。
「会長......。」
俺とほぼ同じ背の会長と視線が交わる。
吸い込まれるようなその瞳から目が離せないでいると、綺麗な顔が横を向き、切れ長の眼が伏せられた。
「桜庭。」
「な、なに。」
なんだ、どうした。緊張する。
なんで緊張なんてするのか、理由がわからない。
「………、冷蔵庫。コーヒーとれ。」
「............え?」
「冷蔵庫。コーヒーはいってんだろ。それ。」
え、れいぞうこ、こーひー。
......あぁ、冷蔵庫に入ってるコーヒーね。
「あぁ、はいはい。」
すぐ右にある冷蔵庫をあけて、コーヒーをさがす。ここの購買にしか売ってないコーヒー。
触ると、ひんやり冷たい。
「はい。」
「......さんきゅ。」
「あ、うん。」
なにこれ、なんか恥ずかしい。
さんきゅ、だって。恥ずかしい。
たぶん、赤くなっている。顔を見られたくなくて、下を向く。視線だけで会長を伺うと、
わー。
席に戻ろうと後ろを向く会長の顔は見えない。だけど、綺麗な黒髪から覗いた耳が、若干赤く見えたのは幻か、現実か。
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