隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

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1年生編:1学期

第21話 期末テスト1日目

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 月曜の朝、教室の窓から差し込む光は柔らかく、しかしどこか緊張感を帯びていた。
 晴は机に向かい、深く息をつく。

(……いよいよ、期末テスト初日か……)

 隣の席では美羽がノートを軽くめくり、鉛筆の先でページをなぞっている。
 その所作は自然で、落ち着いた雰囲気を周囲に漂わせる。

「晴、緊張してる?」
 小さな声に、晴は思わず顔を上げた。

「いや……まあ、少しは」

「少し?少しじゃ済まないと思うけど」
 美羽はにやりと笑い、ペン先でノートを指す。

「今日の国語、長文が結構あるみたい。落ち着いて読まないとね」

 そのとき、教室の扉が静かに開き、紗耶が入ってきた。
 金髪ボブを揺らしながら、少し寝ぼけたように微笑む。

「おはよう、晴くん、美羽ちゃん」

「おはよう、紗耶ちゃん」

「今日のテスト、ちょっと緊張するね」
 紗耶は小さく手を握りしめ、頬を赤く染めている。

 晴は肩の力を抜き、軽く微笑んだ。
「大丈夫だって。焦らなければ問題ない」

 美羽は机の下で晴の手にそっと触れ、励ますように握る。
「そうだよ、晴が言うんだから間違いない」

 教室には、試験前特有の張り詰めた静けさが漂う。
 ノートを広げる音、鉛筆の芯を回す音、呼吸のリズム……
 そんな細かい音さえも鮮明に耳に届く。

 チャイムが鳴り、担任が試験用紙を配布すると、ついに国語のテストが始まった。

 晴は深呼吸をひとつして、問題に目を落とす。
 長文読解、漢字の書き取り、古文の訳――
 授業中に覚えた知識を思い出しながら、慎重に進めていく。

 後ろの紗耶は静かに鉛筆を走らせながら、時折眉をひそめえる。

 隣の美羽は、焦る様子はなく、丁寧に文字を追っていたが、時折ちらりと晴の方を見て深呼吸をしている。その視線はまるで、「一緒に頑張ろう」と言ってくれているかのようで、晴の背中に少し安心感を与えた。

 教室には鉛筆の音と紙をめくる音だけが響き、時折、心の中で誰かに問いかけるような小声が聞こえる。
 美羽が「ここはこう書けばいいかな」と小さくつぶやくと、晴はそれに軽く頷く。
 紗耶は問題に集中しながらも、晴や美羽の動きに安心を見出している様子だった。

 長文読解では、物語の登場人物の心情や背景を頭の中で整理しながら読み進める。
 晴は文章の中の微妙なニュアンスを捉えようと眉をひそめ、美羽は要点を整理しながら読み、紗耶は一度文章を読み終えたあと、もう一度確認して問題に取り組んだ。

 試験終了の合図とともに、教室にはほっとした空気が流れる。
 晴は肩を伸ばし、軽くため息をついた。

「思ったより手ごたえあったかな」

「まあまあかな……」
 美羽は控えめに笑い、紗耶は少し不安げに眉をひそめる。
「ステージの疲れもあるし、集中力が持つか心配で……」

 昼休み、三人は廊下に出て、校舎の隅で弁当を広げた。
 窓から差し込む陽射しが、机の上に淡く影を作る。
 風がそよぎ、校庭の木々の葉が揺れる音が遠くから聞こえる。

「次は英語だけど、晴は自信あるの?」
 美羽が聞く。

「英語か……単語と文法だけしっかりしてれば、なんとかなる」

「ふふ、じゃあ安心ね」

 紗耶も目を輝かせてつぶやく。
「誰かと一緒にやれば集中できそうですね」

 その言葉に、晴は胸がじんわり温かくなる。
 弁当の彩りや香りも手伝い、穏やかで心落ち着く昼のひとときとなった。

「でも、午後は結構長いみたいだよ」
 美羽がさらりと付け加える。
「リスニングから長文、文法問題まで。気を抜くとあっという間に時間が過ぎる」

 三人は軽く笑い合い、午後への緊張感を少し和らげた。

 午後は英語のテスト。
 リスニング問題では、晴は耳を澄ませ、スピーカーから流れる音声に集中する。
 紗耶は小さく息を止め、聞き逃さないように目を閉じる瞬間もある。
 美羽は要点を頭に置きながら、問題用紙に目を落とす。

 長文読解では、文章の構造や接続詞の意味を整理し、順序立てて理解する。
 晴は少し眉をひそめつつも、問題文に沿って落ち着いて進めていく。
 紗耶は慎重に文字を追い、時折、深呼吸をして落ち着きを取り戻す。

 リスニング中、晴はそっと紗耶の手に視線を送る。
(大丈夫……)
 心の中でそう囁きながら、互いに励まし合う感覚を確かめた。

 文法問題では、選択肢を慎重に吟味し、文章の意味が通るかどうかを頭の中で確認する。
 美羽は自然な筆跡で答えを書き込み、紗耶も焦らずにペンを走らせていた。

 英語が終わると、すぐに社会の試験が始まった。
 歴史の年号、地理の地名、政治の仕組み――頭に入れた知識を一つひとつ丁寧に書き込む。

 晴は授業中のノートを思い出しながら、冷静に回答していく。
 美羽は教科書の要点を軽く復唱し、効率よく問題をこなす。
 紗耶は迷う場面もあったが、隣の二人を思い浮かべて落ち着きを取り戻す。

 試験の合間、わずかな空き時間には互いのメモを見せ合い、答えを確認する。

「ここ、漢字間違えてない?」
 美羽が尋ねると、紗耶は穏やかに微笑みながら答える。

「大丈夫、こう書いたよ」

「良かった!」
 美羽も嬉しそうに笑った。

 小さなやり取りが、疲れた心を軽く支え、安心感を与える。
 試験中は集中していても、互いの存在を感じるだけで心が落ち着くのを三人とも感じていた。

 夕方のチャイムが鳴り、初日の試験が無事に終わった。
 教室を出ると、校庭に長い影が伸び、夕陽が校舎を赤く染めている。

「ふぅ、1日目、無事終了」
 美羽が肩を伸ばし、深呼吸する。

「まずは今日を乗り越えたな。明日は理科と数学かー」
 紗耶は少し疲れた表情を浮かべながらも、微笑みを絶やさない。

「しっかり勉強したから、大丈夫だよ!」
 帰り際、晴は少し照れくさそうに言う。

 三人は帰り道を歩きながら、今日の出来事を思い返す。
 国語の長文の内容、英語のリスニングの引っかかり、社会の地名と年号――小さな失敗もあったが、それ以上に互いに支え合えた安心感があった。

 夕暮れが校舎を染める中、三人の間には言葉にせずとも通じ合うものがあり、明日への意識も自然と高まっていった。
 
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