幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ

文字の大きさ
3 / 22
崩壊の始まり

03_それぞれの教室

しおりを挟む
■葛西裕司(かさいゆうじ)の視点
昼休み、みんなが心配してくれて、一緒に弁当を食ようと集まってくれた。
男女合わせて10人もいる。
ありがたいことだ。

騒がしいけど、今の僕にはこの騒がしさがちょうどよかった。

「で、どうして会長と別れちゃったの?」

高田がずかずかとデリケートな部分に踏み込んできた。
前言撤回。
静かがな方が嬉しい・・・

「ねぇ、告白したとか?」

「告白してフラレたっていうか、告白すらさせてもらえなかった・・・」

「あんなラブラブなのに?」

「いや、それは僕の勘違いで・・・ああ・・・恥ずかしくて死にそうだから勘弁して・・・」

「まあねぇ」

「僕が床でうずくまって泣いてたら、頭は撫でてね・・・」


「キャハハハ」

(なでなで)「早速かーい!」

後ろから頭を撫でられたので、振り返ると、小田島由香さんが頭を撫でてきた。
小田島さんは、クラスの中で男女垣根無く友達の多い感じの話しやすい子だ。
たまたま席も近い。


「ねね、葛西くん、今度、ユカん家に来ない?」

「え?!」

「あ、変な話じゃなくて、うち、美容院だから、タダで髪きってあげる♪」

「髪?」

「うん、髪切ると気持ちもさっぱりするよ?」

女子は失恋すると髪を切るなんて、漫画やドラマではある。
そんな感じか。
そう言えば、ここ1年くらいは出来るだけ髪を切るのを遅らせていた。

これまでは、月1くらいでカットしていたのだけど、バイトしたいと思っていたので、土日は髪を切らなかった。
平日は生徒会の仕事があたし、髪を切る暇がなかったというのが正解かもしれない。

僕が落ち込んでいるから気を遣ってくれたみたいだ。
いい機会だ。
切ってもらうか。

「ありがとう。甘えさせてもらうよ」

「ホント?じゃあ、いつ切るか決めよ」

その後、小田島さんも机をつけて、打ち合わせしながら弁当を食べた。





■中野ウルハの視点
「ウルハ、お弁当食べよう」

昼休みにいつもの様に由香里が声をかけてきた。

「あ、ごめん、由香里ちゃん、今日、生徒会でトラブルがあって・・・生徒会室で食べるね」

「そう・・・頑張って!」

何がどうしてしまったのか。
配布予定のプリントの原稿がまだできていないというのだ。

ここしばらくこんな問題は起きてなった。

ユージと別れて以来、次々問題が起きている気がする。
バイオリズムか何かの関係だろうか。



ガラッと音を立てて生徒会室のドアを開けた。

「お疲れ様。問題の原稿はどうなってる?」

「お疲れ様です、会長」

「お疲れ様です」

役員全員が集まっている。
いつもならこんなに原稿が遅れることなんてないのに・・・

「問題はなんなの?」

「会報なんですが、『地域の活動』の部分の情報が無くて・・・」

「いつもはどうしてるの?」

「地域のボランティア参加状況とか、清掃活動とか、スポンサーからの寄付の情報とかについて書いているんですが、ほとんどユージ先輩がやってくれていたので・・・」

「僕らは内容を聞いて、記事にしていたんですが、情報がない上に、活動記録も分からなくて・・・」

「じゃあ、今月は休刊して、来月発行しましょう」

「でも、連続発行記録更新中だったので・・・」

「なにそれ」

「会報は毎回学校のファイルに保管するんですが、1年間連続発行できたのは今期だけなんです。10年ぶりの快挙で、先生方も注目してくれていて・・・」

「うーん・・・でも、書けないものはしょうがないわよね」

「今からでもユージ先輩に・・・」

「それはダメよ。ユージはもう関係ない。部外者よ」

「・・・」



生徒会の空気がもう一段階悪くなるのを感じた。
ただ、欠員による一時的なトラブルだと思っていた。
時間経過とともに空いた穴は埋まってくるもの。
そう私は考えていた。



(がらがら)「ちーっす。あ、ウルハちゃん、ここにいた!」

生徒会室に現れたのは、光山先輩だった。

『ウルハちゃん』と呼ばれることに不快感は感じたが、まあ付き合い始めたのだからこれから慣れて行けばいいのだろう。

「光山先輩、どうされたのですか?」

「冷たいなぁウルハちゃん、」

「ごめんなさい、このところ色々トラブル対応で忙しくて・・・」

「今日、放課後カラオケいかない?ウルハちゃんのこと友達にも紹介したいし」

「すいません。今日はちょっと忙しくて・・・トラブルがあって」

「そんなの、下のやつらに任せたら?ウルハちゃん会長でしょ?」


ああ、何だこの会話。
頭が痛くなる。
トラブルの予感しかしない。

クーリングオフできないだろうか・・・

「会長、お話し中すいません。放課後だったら僕らで何とかしておきますよ?行ってください」

「そうもいかないでしょ(行きたくないのよ)」

「ほら、下のやつもそう言ってるしさぁ」

『下のやつ』って何!?
一緒に生徒会を運営してきた仲間に対してすごく腹が立った。

「とにかく、忙しいので、すいません。光山先輩、また連絡します」

「あ、ちょ、ちょっと待ってって!」

そう言って、生徒会室から追い出した。
何だろう。
胸の辺りが苦しいような・・・頭が痛いような・・・

「今は『会報』!過去の会報を出して!使えるところがないか調べてみましょう!」

「「「はい!」」」





■放課後・生徒会室
生徒会メンバーはそろっていた。
会長を除いて。

「会長は?」

「バスケ部に呼ばれたから対応してもらってる」

「しばらく帰ってこないな」

「ああ、確かに」

「なあ、最近、日に日に仕事増えてないか?」

「なんかなぁ」

「今日も遅くなりそうだな」

「こんな時、ちょっとおかし食べたくなるよね」

「そういう意味じゃ、ユージ先輩は、時々おかしの差し入れしてくれてたし、モチベーション上がったよな」

「ああ、分かる。一番働いてんのユージ先輩だから、『これ以上この人を働かせちゃいかん』って思ってた」

「あ!わかる!」

「私は、一番大変な時に先輩から『大変だけど、なんとか乗り切ろうね』って言われたのが印象的だったー。キュン死するかと思った」

「ああ、もし『がんばろう』とか言われたら、『もう頑張ってるし』って言いたくなるよな」

「そうそう、『一緒に乗り切ろう』って感じが『先輩と一緒に仕事している』って感じで・・・」

少女は夢見がちにひとりあちらの世界に行ってしまった目をしている。

「それ会長の前で絶対言うなよ!荒れるから」

「でも、でも、別れちゃったんでしょ!?今は光山先輩と付き合ってるって」

「ホント会長見る目無いなぁ・・・」

「「たしかに・・・」」

「あ、で?会報はどうする?」

「実は、俺、5時間目の後こっそりユージ先輩のとこ行ってきたわ」

「どうだった?」

「もしかしたらって言って、USBにデータ準備してくれてた」

「マジか!?神か!?あの人、神なのか!?」

「問題は、ユージ先輩の名前を出さずにどうこの情報を会報にあげるかだよな」

「あーもう、それ何の仕事だよ!?」

「とりあえず、ぎりぎりまで引き延ばして何とか出来ました的に会長に出して承認を取ろう」

「じゃあ、帰り暗くなるよね!?ああ、お腹空いてきた・・・」

「それがさぁ、ユージ先輩からお菓子もらっちゃって・・・会長には内緒って」

「マジか!?俺抱かれてもいい!」

「キモっ!それなら私が頂いていくわ!」

「ユージ先輩落ち込んでたからチャンスかもな」

「マジ!?ちょっとユージ先輩のクラス行ってくる!」

「バカ、もう帰ってるよ」

「そっかぁ・・・残念」

「・・・あと何か月もこの状況ってきついよなぁ」

「何とかなんないかなぁ」

生徒会の仕事は遅くまで続いた。
ただ、その内容はどんどん薄くなっていっていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

そんなに嫌いなら、私は消えることを選びます。

秋月一花
恋愛
「お前はいつものろまで、クズで、私の引き立て役なのよ、お姉様」  私を蔑む視線を向けて、双子の妹がそう言った。 「本当、お前と違ってジュリーは賢くて、裁縫も刺繍も天才的だよ」  愛しそうな表情を浮かべて、妹を抱きしめるお父様。 「――あなたは、この家に要らないのよ」  扇子で私の頬を叩くお母様。  ……そんなに私のことが嫌いなら、消えることを選びます。    消えた先で、私は『愛』を知ることが出来た。

妹が公爵夫人になりたいようなので、譲ることにします。

夢草 蝶
恋愛
 シスターナが帰宅すると、婚約者と妹のキスシーンに遭遇した。  どうやら、妹はシスターナが公爵夫人になることが気に入らないらしい。  すると、シスターナは快く妹に婚約者の座を譲ると言って──  本編とおまけの二話構成の予定です。

あ、すみません。私が見ていたのはあなたではなく、別の方です。

秋月一花
恋愛
「すまないね、レディ。僕には愛しい婚約者がいるんだ。そんなに見つめられても、君とデートすることすら出来ないんだ」 「え? 私、あなたのことを見つめていませんけれど……?」 「なにを言っているんだい、さっきから熱い視線をむけていたじゃないかっ」 「あ、すみません。私が見ていたのはあなたではなく、別の方です」  あなたの護衛を見つめていました。だって好きなのだもの。見つめるくらいは許して欲しい。恋人になりたいなんて身分違いのことを考えないから、それだけはどうか。 「……やっぱり今日も格好いいわ、ライナルト様」  うっとりと呟く私に、ライナルト様はぎょっとしたような表情を浮かべて――それから、 「――俺のことが怖くないのか?」  と話し掛けられちゃった! これはライナルト様とお話しするチャンスなのでは?  よーし、せめてお友達になれるようにがんばろう!

【完結】虐げられていた侯爵令嬢が幸せになるお話

彩伊 
恋愛
歴史ある侯爵家のアルラーナ家、生まれてくる子供は皆決まって金髪碧眼。 しかし彼女は燃えるような紅眼の持ち主だったために、アルラーナ家の人間とは認められず、疎まれた。 彼女は敷地内の端にある寂れた塔に幽閉され、意地悪な義母そして義妹が幸せに暮らしているのをみているだけ。 ............そんな彼女の生活を一変させたのは、王家からの”あるパーティー”への招待状。 招待状の主は義妹が恋い焦がれているこの国の”第3皇子”だった。 送り先を間違えたのだと、彼女はその招待状を義妹に渡してしまうが、実際に第3皇子が彼女を迎えにきて.........。 そして、このパーティーで彼女の紅眼には大きな秘密があることが明らかにされる。 『これは虐げられていた侯爵令嬢が”愛”を知り、幸せになるまでのお話。』 一日一話 14話完結

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

【完結】「お姉様は出かけています。」そう言っていたら、お姉様の婚約者と結婚する事になりました。

まりぃべる
恋愛
「お姉様は…出かけています。」 お姉様の婚約者は、お姉様に会いに屋敷へ来て下さるのですけれど、お姉様は不在なのです。 ある時、お姉様が帰ってきたと思ったら…!? ☆★ 全8話です。もう完成していますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

この恋に終止符(ピリオド)を

キムラましゅろう
恋愛
好きだから終わりにする。 好きだからサヨナラだ。 彼の心に彼女がいるのを知っていても、どうしても側にいたくて見て見ぬふりをしてきた。 だけど……そろそろ潮時かな。 彼の大切なあの人がフリーになったのを知り、 わたしはこの恋に終止符(ピリオド)をうつ事を決めた。 重度の誤字脱字病患者の書くお話です。 誤字脱字にぶつかる度にご自身で「こうかな?」と脳内変換して頂く恐れがあります。予めご了承くださいませ。 完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。 菩薩の如く広いお心でお読みくださいませ。 そして作者はモトサヤハピエン主義です。 そこのところもご理解頂き、合わないなと思われましたら回れ右をお勧めいたします。 小説家になろうさんでも投稿します。

妹に婚約者を奪われたけど、婚約者の兄に拾われて幸せになる

ワールド
恋愛
妹のリリアナは私より可愛い。それに才色兼備で姉である私は公爵家の中で落ちこぼれだった。 でも、愛する婚約者マルナールがいるからリリアナや家族からの視線に耐えられた。 しかし、ある日リリアナに婚約者を奪われてしまう。 「すまん、別れてくれ」 「私の方が好きなんですって? お姉さま」 「お前はもういらない」 様々な人からの裏切りと告白で私は公爵家を追放された。 それは終わりであり始まりだった。 路頭に迷っていると、とても爽やかな顔立ちをした公爵に。 「なんだ? この可愛い……女性は?」 私は拾われた。そして、ここから逆襲が始まった。

処理中です...